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11話-判断力の戦い

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結局すべては
勘違いから始まっていたのかな

++
なんなんだろう。あいつ等の今日の行動。

いまは皆、鑑家に集合だ。
大事なところだからな。
「ってぇことは。
 "七罪"は今日顔見せをしたってことだけだよな?」
「だろうな。私としては裏がありそうではあるのだが」
俺の意見に石川も頷いた。
唯可は
「本当に、それでいいのでしょうか。
 場所まで知られていればいつ襲い掛かってきてもおかしくないのでは?」
と。
ただし、おれもそこは危惧している。
しかし、
「だからといって。移動してもおそらく変わらないだろうに…」
この場所が知れているんだ。
何処へいてもやつらは情報をつかむだろう。
「です…ねぇ…」

プルルルルルル

全員が凍りついた。
俺が受話器を取るべきか…?
鑑は俺へ目配せした。
取れってことか
「はい?…
 もしもし?」

そこからは意外な声がした
「もっしー?あ、霧徒だーっ」
"嫉妬"!?
なぜ!?
石川たちに目配せ。
すぐに勘付いたようだ
「霧徒ー。あのねー
 これは内緒なんだけどねー
 "七罪"で言おうってきめたからおしえるねー」
ん?
なんだ…
「うちら、霧徒の敵でも味方でもないんよー。
 どっちかっていうと味方。だけどねー」

……
なんだって?
「やっぱり敵とおもってたーぁ?
 思い出してみてよー"那威徒"とのことをー」
たしか…あのとき…

\
くそ。つれがいたのかっ!
こっちはどう考えても不利だ。
くっそっ!
…あれ…
退却?
どうして?
なぜ?
\

「あぁ。そういえば。
 あのときの撤退はどう考えてもおかしいよな…」
あの時は不安と興奮とで
混乱していたが
今となって考えれば
あそこで攻め込まないのはおかしいのではないか?
「そぅー。あそこで"我居亜"をとめたのは
 うちらの判断。
 うちらは"あるお方"のいいなりなんだよねー」
言いなり?
あれだけ力を持っていると石川の言う奴が
7人も集まっておいて?
「そー。"あのお方"には敵いそうにないのよぉ。
 なんかねぇ。"異界のオーラ"っていうか。
 近寄れないぐらいの威圧があるのぉ」
こいつらが近寄れないって…
「まぁま、なんか裏がありそうだから。
 頭の回る霧徒に解決してもらおうって言うのが
 うちらの魂胆。
 "異界のオーラ"についても。
 "異世界人"だもんね?霧徒っ」
はぁ…さいで。
「ちょっと待っててくれよ。」
「うぃさーぁ」
さて。状況を
「なぁ。石川。
 "七罪"は味方らしいけどこれはどうだ?」
石川は驚かない。
唯可と鑑は飛び上がったが。
「ふむ。ということは。
 誰かに使われてるってところか?」
やはり石川も頭は切れる。
一方鑑はものすごく理解できないといった顔だ。
それから俺は、"我居亜"とあったときのことについて話した。
すると石川は考えてから
「しかし。それは私達をだまそうとして企んでいた、
 という可能性も捨てきれないわけではあるな」
と。
確かにそうなんだ。
だから困ったもんだ。
ここで味方だときめてしまえば、
もし"本当は敵でこれは罠"だったときに大変なことになる。
しかしそうでなくて、ここで敵だときめてしまって、
"味方だったのに遠ざけてしまう"のもだめだ。
かといって保留にしておくと
"妙な距離感"で良くは変化しにくく、
悪い方向には変化しやすくなる。
むぅ。いかにするべきか。
「私は、"味方だと認識した"フリをしておくのはいいのではないかと」
唯可が口を挟んだ。
たしかに。
フリを完璧に行えば
味方であればすぐ協力してもらえ、
敵であれば警戒でなんとかなるかもしれない。
「それが…最善…か…?」
わからない。
けど…
「それでいいじゃねぇの。
 どうしようもないんだろ?」
鑑の言うとおりだ。
その通り。どうしようもない。
おれは受話器にむかって、
「もしもし?」
そう。ここで大事な場面だ。
「おー。相談おわったーぁ?」
相変わらず陽気な声
「あぁ、終わった」
こっちは少し含みを持っていたかもしれない。
「うんじゃぁそういうことで。
 こっちは監視つきだから夜しかこうやって話せないけど。
 困ったことがあったら助けにいけるかも~」
監視が夜はないのか…
普通はあるんじゃないか?
「うんうん。けどねー。
 うちらのリーダー?って言うのかな?
 "あのお方"も人間だから夜は寝てるのー」
代役ぐらい立てれるだろうに。
「そー思ったんだけど。立ててないみたいなの。
 最近夜出歩いても何も言ってこないことに気付いたんよー」
ほぅ。それは何でだろう…
「さぁ。"あのお方"の考えはわからないよ。」
目的もわからないのか?
何をしたいのかも。
「うーん。詳しくはわからにゃい。
 けどね、こういってたのは聞いたかなぁ、
 "並行世界なんて、俺は望まないんだよ。"って」

妙な違和感を感じた。
既視感(デジャヴ)かな…
でも何故?
「うーん。今日は一気にやりすぎたかなぁ…。
 ごめんねぇ。霧徒ぉ~」
気にされてしまったか。
「いいよ。大丈夫。
 ちょっとビックリはしたけど大丈夫だ。」
「そぅ?ならよかったぁ。じゃぁ、またね?」
此処で切ってしまえば
また"七罪"についての情報は途絶える…
っ!?
「ちょっとまってくれ。
 電話番号。教えてもらえるか?」
向こうで相談しあってるみたいな声が聞こえた。
こっちも周りが驚いている。
石川を含めて。
「うにゃー。いいってよー霧徒ー」
その後俺は電話番号を聞いて、
夜10時を過ぎてからのみかけていいとの制約を受けて。
そして電話を切った。
++

##
いいのかなぁこれで。
うちは霧徒と仲良くなれたらいいんだけどなーぁ。
「ま、敵だと思われてるんだ。
 このままじゃいかんだろうに」
塵徒(憤怒)はいった
「いわれなくても。手は打つさ~」
那威徒はいつもどうりみたい。
そうじゃないと"七罪"じゃないけど。
いまうちらがいるのは"PDP"には知られてないはずの
"七罪会議所"別名。"グリモア館"。
誰にも知られていない。
市立図書館の地下に作った秘密会議所。
壁には美紅にしか判らないだろう複雑な式が刻まれている。
ギリシア文字とかロシア字。古代の言葉やローマ数字など。
複雑に書かれている。
"紅魔極式封印"とかなんとかいってたっけなぁ?
テレパシーとかの外漏れを防いだり。
誰かに探知されないようにしたり。
そして。誰も部外者は立ち入れないようにしたり。
入り口を隠したり。
そんな複雑な"力"の実行には"式"がいる。
うちも自分の式をもっているけどつかったことはないなぁ。
なんで美紅がこんなことをしているかって。
傲慢の罪を背負っていると、プライバシーとか気にするんだって。
それは、誰にも弱いところを見せたくないから。
家でくらい気を抜けるほうがいい。
だからこんな孤立空間を作れるとかなんとかいってた。
難しい話。
それぞれの能力を生かして存在する"七罪"。
これからどうするんやろう…。
##
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