今日は友達が俺の家に行きたいと言ったので連れてきた。正直なところ、家には上げたくなかった。なぜなら兄オタがいるからだ。
「伊藤の家って一戸建てなんだろ?すげぇジャン。俺の家マンションジャン。だから狭いんだよね~。」
伊藤は我が家の苗字だ。
「そういえばそうだったな・・・」
他愛も無い会話をしながら俺の家に近づいてくる。どうか兄オタが家にいませんように・・・
家に着いた。
「ただいま~。」
・・・・・返事が無い。よし!兄オタはいないようだ。
「なぁ伊藤、ゲームでもするか?」
「ああ、そうだな。しよう。」
俺はリビングへ向かった。後ろから友達もついてくる。
ん?なんだ?この変な高い声は?リビングから聞こえてくる・・・・
ガチャ
「ああ、弟よお帰り。」
兄オタが●いおん!を見ていた。
「どうしたんだ伊藤?部屋入るぞ。」
「あっ、ちょっ!」
もう遅かった。友達に兄がオタクだということがばれた。
ああ、終わった。これで俺は学校でオタクの弟扱いさ。オタク風に言うとこの状況はオワタというやつだな・・・・
「伊藤・・・・お前の兄貴オタクだったのか・・・」
「はは・・・そうだよ、笑っちゃうだろ?」
「最高ジャン!」
「え?」
よく意味がわからなかった。最高?最後?西郷?談合?炭鉱?堪能?
「官能ですか?」
「いえ、最高です。」
どうやら友達は隠れオタクだったらしい。しかもアニキはそれを馬鹿にしてるらしい。だから俺みたいにアニキがオタクだと趣味を語り合えてうらやましいとか、なんとかかんとか。
「友達、言っておくが俺はアニキと語ったことなんて無いぞ。」
「わかってるよ。お前はオタクじゃないから。」
その流れで兄オタと友達はアニメを見ながら語り合っていた。
俺は●いおん!に興味はなかったので暇だった。
兄オタは数秒間俺のことを見つめてきた。そのときは理由はよくわからなかった。
でも、その後すぐにリモコンを持って●いおん!を見るのをやめて、●の錬金術師に変えた兄オタをみて、さっき見つめてきた理由がなんとなくわかった。