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ドアを開いた女の子

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それは描かれる女の子のお話で。

女の子は決して自分でなにかをきめることはできないよ?
女の子はとてもとても、ああ、それはそれは理不尽なんだ。

描かれる存在だからね。

だからある日、女の子はお願いしました。
女の子の世界は描かれているもので。

けれども、この世界の神様は何を考えているのだろうか?
女の子が一人いるだけの。
うんうん、真っ白なんていう言葉ですら絶対に間違ってるのに。
何もないっていう言葉も、女の子の世界にはないのでした。


ソノオネガイモ、オネガイサセラレテイルトハシラズニネ。
私が生まれる。
産み落とされる、私の意思とは関係なしに、だ。
うんうん、そうじゃない。
最初から私には意思などありはしないのだから。
この苦しみも、えらく憂鬱の気持ちも、全ては。
私の手の届かない、神様の考えなんだから。

目が覚める。
ゆっくりと起き上がる私は白い部屋の中にいた。
ただ、白いだけの床に突っ伏していた。
木製の丸っこいドアに、夜空を映し出す窓が一つだけ。
申し訳程度に丸い蛍光灯が天井からつるされ、真っ白な光で室内を照らしだしていた。
生まれ落ちる場所としてはあんまり良いところではなかった。
とと、考えるのは楽しくないからやめよう。
うんうん、私には楽しいと思う気持ちさえ存在してないのだ。
窓から夜空を見上げる。
真っ暗だ、星はおろか月の灯さえない、ただ真っ暗が広がるだけの空。
神様はどうやらとんでもなく暗い気持ちなようだ。
けれども、部屋は真っ白だ。
矛盾している。
本当は、神様は明るい気持ちなのだろうか。
ああ、そうか。
私がこう考えるということは、神様も自分がどんな気持ちなのか分かってなどいないのだろう。

パチッ。
私は蛍光灯の灯を消すと、そっと部屋を後にした。


2, 1

  

神様、いったいアンタは何を考えているんだ。

ただっぴろいバザー会場。
私の瞳には人々が露店を広げている広場が飛び込んできた。
「これはいくらだい?」
「これはお嬢ちゃんがつくったのかい?」
「これは売り物なのかい?」
そこには色々な。
本当に色々なものが売られていた。
それこそ甘いアイスクリームから、小さな子供まで。
そう、本当に色々、だ。
空は相変わらず真っ暗なまま。
辺りの電灯に照らされながら、人々はおのおのに売り買いを楽しんでいた。
これはあくまでも私の主観。
そう映ったからそう思っただけ、ただそれだけだ。

「ねぇ‡」
女の子だ。
茶色いショートカットの少女が私に話しかけてきた。
「ねぇ、とってもとっても痛いの‡」
少女は憂鬱そうな表情で私に訴えてきた。
「どこが痛いの?」
「ねぇ、とってもとっても痛いの‡」
「私にどうしてほしいの?」
「ねぇ、とってもとっても痛いの‡」
私は痛いということを言葉では知っていたけれども。
実際にそれを体験したことなどなかった。
すると女の子は残念そうな表情をすると、次々と広場の明かりは、その灯火を消していった。
真っ暗な広場に人々の言葉だけが繰り返される。
「コレハイクラダイ?」
「ネェ、トッテモトッテモイタイノ‡」
「コレハオジョウチャンガツクッタノカイ?」
「ネェ、トッテモトッテモイタイノ‡」
「コレハウリモノナノカイ?」
「ネェ、トッテモトッテモイタイノ‡」
知らずしらずのうちに私は走り出していた。
全力でバザー会場だったそこを走り抜ける。
どこでもいいから、ただ、そこにはもういたくない。
ただ、それだけ。
勇者と魔王がいたとしてさ。

どっちとお友達になりたいかって話をして。

貴方は魔王を選ぶのかな?
勇者を選ぶのかな?

でもそれって、とっても変なことなんだよね。

良い魔王もいれば。
悪い勇者だっているのかもしれないよ?

でもその二人も結局は何も知らなくて、
ただおもちゃ箱の中で、神様に遊ばれるのを待っているだけの。

お人形さんだとして。
4, 3

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