あとがき
まずは、最後まで読んで下さった方へいつものようにお礼の言葉を。
ありがとうございます。そしてどうもこんばんは、黒兎玖乃です。
この度は無事完結いたしまして、最後のあとがきとなります。いろいろと思い返すことはありますが、回顧なんてしてると書くほうも飽きてくるので特にしません。
連載始めたのが去年の九月で、約八ヶ月かかって完結。(結局回顧
期間としては長い方ですかね。作品全体の量が文庫本2、3冊であることを考えると……どうでしょう。僕には分かりません。中盤に更新停滞期があったので、そのことを考えると速い……のですかね? まあ、そのあたりはどうでもいいですね。
全体を一貫したテーマとしては、「生死」です。
幼いときに親戚が亡くなったのと、中学生の時に友人の親御さんが亡くなったのを感じて、いつかは書いてみたいと思っていたものを小説にしました。
少しでも僕の思っていることが伝われば、嬉しく思います。
死は決して怖いことでも、恐ろしいことでもない。
生きることが必ずしも幸せというわけでもない。
様々な考えが交錯すると思いますが、この作品を通してもう一度生死について考えていただけると幸いです。
生きるとは、何なのか。死ぬとは何なのか。
そんな解決不能な疑問を形にした小説「蟲籠」、お楽しみいただけましたでしょうか。
ここで一つ話すなら、「蟲籠」というタイトルの由来でも。単純なことですけどね。
古来から人間の体内には虫がいると言われてきました。「腹の虫が鳴る」「虫酸が走る(虫酸とは胃液のこと)」「虫の居所が悪い」などですね。
僕は個人的にこれを、「人の身体の奥深くに巣食うもの」と捉えていました。
ならば、それが表面化するとどうなるのか? そうして出来上がったタイトルが、蟲籠です。僕らは誰もが蟲籠です。
どうでもいいですね、はい。すみません。
それではそろそろ、この最後のあとがきも締めさせていただきます。
今まで読んで下さって、本当にありがとうございました。感謝の言葉がつきません。
願わくは、皆さんの心の中に少しでも長く居られましたことを。
願わくは、皆さんの感情に少しでも干渉できましたことを。
願わくは、皆さんの心の隅に残る一本の針になれましたことを。
新都社関係の皆様、そしてこの小説をご覧になってくださった皆様に、敬愛の念と、そして最大の感謝を贈りつつ――――
このおはなしは、おしまい。
「蟲籠」 連載期間 2009.9.6~2010.5.22 黒兎玖乃