がんばって三話目書きました。よろしくお願いします
『僕はオナホールに呪われました。
呪いがおそろしすぎて、僕はもう生きてゆけません。
死に逃げる僕をどうかお許しください。
山田太郎』
花子さんに見せられた、太郎の遺書を、僕は唸りながら眺めていた。
書いてある内容が完全にギャグにしか見えないが、確かにどうみても見慣れたくせのある太郎の字だし、綺麗な便せんに、丁寧に書かれたこの文章は、どう見てもふざけて書かれた様には見えなかった。
「正直、訳がわからない事だらけなの。兄が自殺するなんて考えられない。昨日まで私と一緒に何時も通りにテレビを見て笑っていたのよ? 悩んでいる様子も無かったわ」
と花子さんは、僕が持っている遺書に視線を落とした。
「バカバカしいかもしれないけど、本当に何かに呪われて死んだ、というのが一番しっくりくるの」
ぞくりと背筋が寒くなった。
呪い。そんなものがあるはずがない。あるはずがないと思いたい。
しかし、そう思おうとすればするほど、僕の頭の中にある一つの嫌らしい形をしたオナホールが浮かび上がる。
太郎から貰ったオナホール。
昨日あまりの気持ちよさに我を忘れて「らめぇぇぇぇっ!!!」と精液を放出しまくった、あのオナホールだ。
呪いなんてあるはずがない。
でも、彼女の言う通りだ。昨日まで元気満々で学校に来ていた太郎がいきなり自殺なんてする訳が無い。
それこそ呪われでもしない限りはしないだろう。太郎は呪われた。呪われたのだ。呪われたとしよう。
呪われた原因はなんだ?
太郎の遺書を信じるなら、呪いのオナホール。それが原因だ。
呪いのオナホール。太郎はそれを使って、呪われて死んでしまった。
ではその呪いのオナホールは、どんなオナホールなのか。一番の候補は、間違いなく太郎が最近公園で拾った怪しいオナホールだろう。
入手経路からして怪しい。怪しすぎる。そんな糞怪しいオナホールは他に無い。
どう考えても、考え直しても、思考がそこにいきつく。
僕が太郎から貰ったオナホールに呪われて、太郎は死んだのではないか。
では、昨日そのオナホールでハッスルして、四発も精液を注ぎ込んだ僕は。僕も。
僕もすでに呪われているんじゃないか?
「それで、知らないかしら? この呪いのオナホールのこと――」
「ぼ、僕知らない!!! 」
僕は花子さんに太郎の遺書を付き返すと、そのまま走ってそこから逃げだした。
恥ずかしい事だが、本当に頭の中が真っ白になっていた。吐き気がした。訳がわからなくなった。とにかく走り出さずにはいられない気分だったのだ。
「らめぇぇぇぇっっっっ!! 腰が勝手に動いちゃうよぉっっっ!!!!」
ドピュッピュッ!!!
ドクドクッ!
ドピュンッ!
……ふぅ。
学校を早退して家に帰った僕は、例のオナホールで五発抜いて、ようやく少し落ち着きを取り戻した。
僕は一体何をしているんだ。早退してオナニーかよ。
僕は精液の匂いで充満した部屋の中で、頭を抱え込んだ。しかし数秒もしないうちに臭くて限界が来たので、窓を開けて部屋を換気し、オナホールを持って風呂場へいった。
水をじゃあじゃあと出しながら、生命の元の液体をオナホールからかきだしていく。
僕は呪われたのだろうか。
たった今ハッスルしたオナホールの気持ちよさは、確かに呪いのオナホールと言われても信じられそうな領域のものだ。
こんなオナホール、普通じゃない。洗ってるだけで、チンポがオナホの快感を思い出してむくむくと膨れ上がってくるぐらいだ。さっき五発も抜いたというのに。
呪われたとして、一体どんな呪いなのだろう。
今のところまったく自覚は無いが、呪いが実在するとすれば、一人の人間が耐えられずに自殺するほどの恐ろしい呪いである。
僕は死ぬのだろうか。
呪いなんてある訳無い、と否定して笑う僕がいる。
しかし呪いが恐くてオナホールを持つ手を震わせているのも、紛れも無く僕だった。
脳みそがぐちゃぐちゃになってしまいそうな感覚だった。
呪い、呪い、呪い。
呪いのオナホール。
僕はただただ、オナホールを洗い続けていた。