第二章
死神、戦場へ還る
窓から移る夜景を、男は見つめていた。
大都会の中枢にあるこのビルの最上階部分から見える景色はまさに百万ドルの夜景と称するに値する。
だが、男の目、黒ぶち眼鏡の奥から光る瞳の色はその美しい夜景ではなく、何か違うものを見つめているようだった。
「ボス」
二度のノックの後、返事も待たずに、一人の男が部屋に入ってきた。窓を眺めている男の机の前に立つと、ぴしりと背筋を伸ばす。
「ショーティ・スレンダーの行方が分からなくなりました」
男は簡潔に、結果だけを報告して、机の上に届いたばかりの書類を投げた。夜景を眺めていた男が、椅子を反転させて、目の前に立つ男に向き直る。
「3つの発信機と尾行をつけておりましたが、全て振り切られました」
ジェットの予想通り、彼らがせっかく捕らえた最高ハッカーをやすやすと逃すはずがなかった。
表面上は約束通り自由にしたが、彼が“BGの遺産”に手を出すのは分かっていた。ショーティのような人間は・・・腕に覚えがあるハッカーなら誰でも一度は挑戦してみたいシステムだろう。“BGの遺産”は。
“BGの遺産”それがどのようなものかは分からない。しかし、他国に他の組織の手に渡ることはどうしても防がなければならない。あれはわが国がもつにふさわしい。世界を統べ、導く立場にあるこの国こそ、BGの後継者なのだ。
本人に気付かれないよう、体内を含めてつけた発信機はショーティがラスベガスに向かったことを教えてくれた。尾行もつけていた。“BGの遺産”を彼が手に入れたら、どんな方法を用いても奪取するつもりだった。
ラスベガスで、1人の男とショーティが接触したことも分かっている。
問題はそれから先だ。
「奴らが動いております」
男の報告に、書類を掴んでいる上司の指先が反応した。ゆっくりと、黒ぶち眼鏡の奥に光る視線を目の前の部下に向ける。
黒服に身を包んだ部下は視線を上司の手の中にある書類に向けた。「くわしくはそこにある」ということだ。
黒ぶち眼鏡が書類に挟んである写真を見た。高速映像で捕らえたそれは、メインストリートで白いキャデラックを追う黒い車と、乱れ撃ちされる銃弾に逃げ惑う市民の姿が写っていた。男の指がなんの感情も表さずそれを次々とめくる。
もう一枚の写真にはキャデラックを運転する赤毛の青年と助手席で丸くなっているショーティ・スレンダーが拡大して写っている。それから次の写真にはキャデラックを追う黒いバンの運転手たちが写っている。自分の記憶にはない顔ぶれだった。
この黒ぶち眼鏡の男にはさまざまな人物の顔と経歴が記憶されている。そのどれにも当てはまらない人物の顔。つまり、それはこの男がこの国どころか他国の諜報機関の人間ではないということを表していた。
「BGか・・・・」
黒ぶち眼鏡はようやく、それだけを呟いた。目の前にいる部下は黙って頷いた。そして、直立不動の姿勢のまま、次の指示を待つ。
まるで訓練された猟犬のような男だった。軍に籍おく種類の人間に近く、それでいてその瞳の冷酷さ-自身の感情を一切消し去った機械的な瞳-が軍人とはまるで違っていた。
「FBIは・・・何か掴んでいるようですか?」
黒ぶちはそっと、静かな、不気味なほど静かな声で部下に尋ねる。
「今のところは・・・目だった動きはありません。ですが・・・」
メインストリートで突然行われた銃撃戦の調査に乗り出すのは明白だろう。あれほどの事件は州警察では手に負えない。
「そうですか」
黒ぶち眼鏡は、書類にある写真を何度も見つめた。そこにある情報をどんな些細なものでも見逃さないよう。鋭い視線で一枚一枚を食い入るように見つめる。紙片に写っている映像を頭の中でシュミレートさせる。
ショーティ・スレンダーはどうしてラスベガスに向かったのか、彼を追うのは誰か、これからの展開は?
さまざまな可能性が男の脳内で浮かんでは消える。
問題はどのようなことが、これから起こっても我々の存在が公にされないことだ。最悪、“BGの遺産”を放棄しても。
黒ぶち眼鏡の手が一枚の写真で止まった。
「この青年は?」
彼が指差したのは、ショーティの隣にいる赤毛の青年だった。20代くらいの年頃だろうか。
画像では、青年の顔ははっきり見えないが、この首の動きから黒ぶち眼鏡はこの青年が当局の人間に気付いていたことを知った。
恐らく、黒ぶち眼鏡のような観察眼がなければ見落としていただろう。
この一見、何も知らずに事件に巻き込まれただけのような青年が、こちらのカメラに気付いて視線を向けていたとは。
「早急に身元を調べます」
恐らく、ショーティが暇つぶしに連れ込んだ地元の青年だと思っていた。今回の事件に関わりがあるとは思ってもみなかった。
しかし、この上司が自分に問いかけたということは、調べろということなのだ。
「そうしてください。ショーティ・スレンダーの行方を最優先に。彼が残した『ゼウスシリーズ』を使えば、すぐに見つかることでしょう。使用許可は私が閣下からもらいます。それからCIAの人間はすぐにラスベガスから撤収するように伝えてください。実行部隊も事務関係も全てです。これ以上彼らに動かれてはこちらの妨げになります。メディアも最近は扱いづらくなっていますから・・・」
「承知いたしました」
「それから・・・・」
黒ぶち眼鏡はそっと付け加えた。
「これから先はなにがあっても我々は監視、状況の把握だけに努めます。いいですね。私からの指示がない限り、どのような事態になっても我々は監視のみを勤めるように」
これだけは徹底するように。
黒ぶち眼鏡は繰り返しいうと、部下は頭を下げ任務を遂行するために、大きな足取りで部屋から出て行った。
再び1人になると、黒ぶち眼鏡は椅子を反転させて窓の外に広がる夜景を見つめた。
「誰がやったかしらないが・・・」
忌々しそうな声だった。部下の前では感情を表に出すことをしない男が、初めて人間的感情を露わにした。
この美しい夜景を際立たせる闇が、先の見えない不気味な未来を映し出しているに思えて仕方ない。
「余計な真似をしてくれたものだ」
誰がBGを壊滅したか知らない。しかし、そのおかげで世界はかつてないほど混乱に陥っている。
もし、自分が彼らBGを壊滅できる力を持っていれば、こんな後々世界を混乱に巻き込むようなまねはしないだろう。
いや、そもそも彼らを壊滅させるなどという考え自体が間違っているのだ。あれはすでに世界の細胞の一つになってしまっている。滅ぼすことなど不可能な存在なのだ。
ならば、利用するに越したことはない。そう思い、今まで彼らと取引をし、時には協力すらした。
世界には悪と分かっていても滅ぼしてはならないものがあるのだ。
それを必要悪という。
この、今の世界の混乱は誰のせいか。
それはお前たちのせいだ。
安っぽい正義感などで秩序を乱したものたちよ。この混乱は、しなくてもいい争いの原因はお前たちだ。
世界をどうするつもりなのだ。その責任は。
黒ぶち眼鏡は憎悪に燃える瞳を夜景に向けた。
ブラック・ゴースト。
闇社会を統べるあの組織に拉致され、改造をうけたのが、彼ら00ナンバーサイボーグであり、壊滅に追い込んだのも彼らだった。
壊滅。
そう思っていた。
思い込みたかった。
しかし、彼らは感じていたかもしれない。
自分たちはただ巨大な蛇の頭をつぶしただけだということを。
この蛇は頭をつぶしても決して死なない、滅びない。
「我輩たちが組織の中枢を倒したことで、残された組織の残党はかなり混乱しているらしい」
今のブラック・ゴーストは頭を失ってのた打ち回る胴体だ。強固な頭脳を失って組織の人も物も情報さえも混乱していた。それを世界各国が知らぬはずがない、この絶好の機会を見逃すはずがない。
黒き幽鬼の力は財力、軍事力、情報収集能力、科学力、総てにおいてまさに世界を握るほど絶大であったのだ。
それが“BGの遺産”
今まで恐怖と暗黒に守られていたそれが、僅かでも手に入れば・・・・。
世界は再び、水面下の戦いを始めようとしていた。いや、もうすでに始まっているのかもしれない。
「ちょいと、探りをいれただけでもかなりの人数がこの件に首を突っ込んでいるようだ・・・詳しいことは、もう少し調べんとわからんがね」
ま、もっとも相手は落ちぶれてもブラック・ゴーストだ。簡単に外部の侵入を許すはずがない。どこの組織もまだ腹の探りあいをしている状況だろう。
「そうか・・・」
アルベルトは空になったグラスをテーブルに置いた。
ある意味、予想できた展開でもある。といった表情のアルベルトを見つめて、グレートはうつむいた。
「なぁ、アルベルト・・・・」
俺は最近、思うんだよ。
グレートが扮する中年は、太いささくれた指で目の前の空になったグラスをはじいた。
キンッと、美しい音色が鼓膜に響く。
「俺たちは、戦う方法を間違えたんじゃないかって・・・な・・・・」
彼らの戦い方・・・?
ブラック・ゴーストの中枢を見事倒したではないか。世界の誰にも成しえなかった勝利を収めたではないか。
それを憂いる必要があるというのか。
後悔することなど、ないのではないのか?
「俺たちは・・・確かに組織の首領格を倒した。しかし、今の世界状況を見ているとな・・・それこそが間違えだったように思えるんだよ」
取り返しのつかない過ちを犯したように感じるのだ。
仲間の誰にも言えない心のわだかまりを、グレートはようやく吐き出した。
相手は世界規模の暗黒組織だ。人々の欲望と本能を食い尽くして膨大に膨れ上がり、肥え太った暗黒の蛇だ。
この蛇は頭をつぶしただけでは決して滅びないのだ。頭すら挿げ替えがきくのだ。人がいる限り。
それが恐ろしい。
今、頭を失った蛇は混乱し、新たなる頭を求めてその体をくねらせ、のたうっている。それが世界を巻き込む。
この混乱の原因が、スカールをはじめ、組織の中枢を失ったことに端を発しているならば、00ナンバーたちが命をかけて成しえたことというのは・・・。
「もっと、他に方法はなかっただろうか。戦いを誤ったんじゃないだろうか」
そう思えて仕方ないのだ。
グレートはうつむいたまま、ひとつ、大きく息を吐いた。アルコールの匂いが、わずかにした。疲れた表情は変体している男の顔のつくりのせいだけではないだろう。
「・・・そうだな」
お前のいうことは、ある意味当たっている。
俺たちは間違えたかもしれない。人に、希望を見すぎていたかもしれない。
だが、あの時に他に考える時間があったか?他の手段を講じている余裕があったか?俺たちの戦いはいつもぎりぎりのものだったじゃないか。
いつも、後手回りで、勝てたことすら奇跡だったことが多かったじゃないか。
そうだ。
たとえ、俺たちのしたことが、結果世界に更なる混乱を与えてしまったとしても・・・
だからこそ、だ。
「俺たちは勝ち続けなければならないのだろうな」
幾度目かの戦いの後、誓ったではないか。
俺たちが戦う、最後の人間になろう。と。
分かっているのだろうか、彼らは。
戦うということは、常に勝者で居続けるということは、たとえどのような理由があろうと、どのような方法、手段であっても確実に己の手を汚すということだ。
汚れる。ということが、どのようなことかわかるか?
自分に誇りすらもてなくなるということだ。
戦いは敗者に何も与えない。
だが、勝者は違う。
一度でも手を汚した者は、勝ち続けなければならない。
後悔と迷い。苦悩と恐怖。
それらを伴って、更なる戦場を迎え入れなければならない。
更なる勝利を、穢れながら。
何度でも
何度でも。
きっと、永遠に・・・・。
付きまとうだろう。
「そうだ、な・・・」
グレートは悲しみと、苦悩を交えた表情で、笑った。笑えたことが、ありがたかった。
もう、手遅れになるのはごめんだ。
後悔する時期はもう過ぎた。
遅すぎるのだ。後はゆくのみ。
戦いの勝者たちよ。
「まぁ。お前さんの杞憂はわからんでもないがね」
年寄りの苦労性なんざ、似合わねぇよ、特にお前さんには、な。
アルベルトは沈む雰囲気を振り払うように笑った。
「なーにをいうか!我輩は常に世の平和を願い、争いを憂いてだな・・・」
いつもの調子に戻った彼は一説演じようと胸を張るが、彼本来の姿ではないから、ただの酔っ払いがわめいているだけにしか見えない。
はいはい。と軽くあしらって、先ほどからどうしても気になっていることを問う。
「ところで、どうしてお前さんが、この件を知っているんだ?」
他の00ナンバーが知っているなら、アルベルトにも連絡があってもいいだろう。グレート1人で行動しているのが、どうにも腑に落ちない。
「勿論、我輩ひとりの考えではないよ。これは、イワン坊やが言っていたことなんだがね・・・」
「イワンが?」
史上初のサイボーグ体はBGの復活を極端に気にしていた。恐れていたと表現した方がよかったかもしれない。
00ナンバーの中でも最も冷酷で強く、知力溢れるあの赤ん坊は、何故グレートを選んだのか。それは、彼が潜入、スパイ行動を得意とした能力を持つからだ。
「不確定要素に全員を投入するのは、さすがのイワン坊やも気が引けたらしい」
名誉の選抜。とは言いがたいかな?
グレートが扮する酔っ払いの中年親父は照れくさそうに笑った。そういう笑
顔は彼の本来の笑顔だ。アルベルトも静かに微笑む。
しかし、何かが引っかかる。
イワンにそんな配慮があるだろうか。敵を蹴散らし完全に排除するためならどんな手段もいとわないあの赤子が。ただ仲間の平穏な生活を守るためだけにグレートだけを選んだのだろうか。
あの赤ん坊の考えには、謎が多すぎる。
しかし、いずれにしても放っておくことは出来ない。
あれは危険なものだ。
誰かが、たとえ、それが国家だとしても独占してもいいものではない。“BGの遺産”は封印しなくてはならない。それが破壊であっても。絶対に。
「ま、あの赤ん坊の考えが今いちつかめないのは、今更な話だ」
アルベルトは短くなったタバコをもみ消すとグレートを見た。意地の悪い、彼、独特の笑顔だった。
「俺も、この件については動こう」
そのために俺のところに来たんだろう?
少数も過ぎれば無謀なだけだ。なんせ、今回の相手は国家で企業だ。組織のようにただ潰せばいいという単純なものではない。相棒は絶対必要だろう。
アルベルトはバーテンに今夜3杯目のスコッチを頼んだ。
「お前さんなら、そう言ってくれると思ったよ」
確信をもってグレートは笑った。
「この人選もイワン坊やのお考えかい?」
だとしたら、いい判断だ。
アルベルトが皮肉を込めて笑ってみせた。
「なんの!我輩の考えさ。戦闘のエキスパートである『死神』殿の協力なくして、なにが我輩にできようか!」
グレートは芝居がかって語る。しかし、次の瞬間、彼の表情が曇った。
「関わるなら、長丁場になるだろうし、危険も伴う」
彼はアルベルトの生活を心配しているのだ。共同出資とはいえ自分は張々湖の店に居候していたに近い生活をしていた。仲間の中では身軽な生活を送っているほうだろう。
仲間の中で同じムードメーカーをつとめてきた相棒には今回の件は伝えてある。彼は複雑そうな表情で話の一部始終を聞いていたが、最後に、黙って頷いてくれた。
しかし、グレートと違い、故郷に帰ったアルベルトにはようやく手に入れた仕事がある。生活がある。“BGの遺産”を完全に封印するまで日常の生活は送れないだろう。
アルベルトはそんな事・・・今更と言いたげに口元をほころばせた。
危険など、今に始まったことではないし、まぁ、生活の方は・・・
「実はな、トラックの仕事は、一昨日辞めた」
だから無用な心配だというように、彼は静かに笑ってみせた。
「それは・・・また・・・」
どうして?
グレートは首をかしげた。その彼にアルベルトは、曖昧な笑みを浮かべた。
戦いが終わって、00ナンバーは焦がれるほど願った平穏無事な生活を勝ち取った。
皆がそれぞれ、望む場所に住み、望む生活を手に入れた。
しかし、彼はアルベルトだけは違っていた。
静かな夜、穏やかな日常、暖かい日の差す午後、優しい風さえ、彼にとっては苦痛なものでしかない。
死神に穏やかな日常など似つかわしくない。
戦場を駆ける戦鬼は穏やかな夜などいらない。
若葉の香る風すら、彼の心の闇を色濃く映し出すにすぎない。
辛かった。
日常を受け入れることが出来ない自分が。
美しい風景と優しいひとたち。その中でいても落ち着かなかった。
思い出すら、苦痛だった。
暖かいベットの中にいても、あの場所が思い出された。
あれこそ・・・戦場こそが俺の日常だった。
恥ずかしかった。
自分がどこまでも堕ちた人間なのだと思い知らされた。もう二度と戻れないと確信した。
眠れない夜と苦悩の日常。
自分がなにを求めているのかわかる。
戦場を。
戦うべき相手を。その理由を。
与えてください。
還してください。
血煙の上がる、硝煙と屍。銃声と悲鳴、命の消え逝くその場所へ。
戻してください。
俺を・・・。
「どうも・・・俺には一般の生活というやつが合わなくてな・・・」
いっそ山奥にでも引っ込もうと考えていた。
そう、彼は笑った。曖昧に笑った。
帰還兵が一般生活を受け入れることが出来ず、あるものは自滅を選び、ある者は外界から遠ざかり、隠居生活を送る。
そんな話をきいたことがあるだろうか。
事実である事例だ。
生身の人間でもそうなるのだ。『死神』の称号を冠するこの男が、日常を生きていけるはずがないだろう。
その破壊と破滅、絶望を司る神に愛された男の名は決して、その体のつくりのせいだけではないのだ。
もう一度言おう。
この男は『死神』なのだ。
見るがいい。先ほどまで生気など微塵にも感じなかったあの蒼い霧がかかったような瞳が輝いているではないか。
戦場に戻れることを、その魂は歓喜しているのだ。
この、男は闇に沈む屍と兵器の泥沼の上に立ち、命の鎖を断ち切る権限と力、無慈悲。そして、驚くべき優しさをもった神の手をとった男なのだ。
「そうか・・・」
彼の奥底に潜む闇と永久氷壁にグレートは、『死神』の親友と名乗るこの男は気付いただろうか。彼は多くを問い詰めず、ただ頷いただけだった。
「さて、そうと決まれば、ここで油を売ってる時間はないだろう」
どこから動く?
立ち上がったアルベルトにグレートは肩をすくめてみせた。
「以前の知り合いに、イタリアン・マフィアの幹部がいる。そっちからつついてみようかと思うんだがね」
本場マフィアとどういう経路で知り合いになったのだ?聞きたいものだが、今は時間が惜しい。それに、少し怖い気もするので、その話題に触れるのはよそう。
「では、行こうか。『死神』どの?」
誘う男は、さしずめメフィスト・フェレスか。
死神、今ここに戦場に戻る。