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気持ち

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次の日。史樹は、病院に行くため昨日と同じように準備をし、階段を下りる。
階段を下りると美夏が、大人っぽい服を着て立ったいた。
「兄さん。昨日会いに行ってた小橋さんのところ行くんでしょ」
「えっうん」
美夏の横を通過し靴を履き始める。
「私も一緒に行っていい?」
「なんで?」
「どんな子か、会ってみたいから同い年なんでしょ、昨日話してたじゃん」
美夏の方を見る。
「どうしても行きたいの?」
「行きた~い」
甘えた感じで史樹に抱きつきながら言った。
「分かった、分かったから抱きつくのやめて」
結局、美夏も一緒に涼華のところに行くと事になった。

二人で家を出ててバスに乗り川沿いを歩く。
史樹の歩くペースに合わせてニコニコしながら隣を歩く美夏。
10月に入り風が強めに吹いて少し肌寒い。
「寒くない?」
「すこし」
史樹は何も言わず着ていたコートを美夏に掛ける。
「ありがとう、兄さん」
すこし、照れる史樹。
――兄さんのコート・・・暖かいな~
すると、歩いている二人の前から何人もの人が走って来る。
立ち止まる二人。
よく見ると前を走る二人が追われているらしい、二人の後ろを男が何人もいる。
どんどん近づいて来る。史樹は、前を走る二人の中の一人に見覚えがあった。
「直輝!」
よく見ると直輝だった。
「なっ史樹!」
直輝と仲間らしき一人が史樹たちの目の前で止まった。
かなり走っていたのだろう二人は、息を切らせている。
「どうする、直輝」
直輝の隣にいる仲間が直輝に聞く。
二人を追って来た奴らが接近して来る。
「史樹を巻き込みたくない、あいつを準備するんだ!」
直輝は、そう言いとクルっと回れ右し直輝の背中に隠れて何かしている仲間。
距離が縮まる。
「準備は!」
「OK!いつでも」
そして、直輝の目の前に男たちが集まった。
「さ~てどうしようかな~」
一人の男が不敵に笑いながら直輝にゆっくり近づく。
「この瞬間を待ってたぜ!今だ!」
直輝の掛け声で後ろにいた仲間が男に何かを投げつけた。
それは、4つを一つにまとめた爆竹だった。
とてつもない音を鳴らす爆竹。怯む男たち。
「今のうちに!こっちだ!」
直輝は、史樹の腕を掴んで走り出す。
「ちょ!美夏!手!」
瞬時に美夏の手を握る。直輝の先導で走り出す。
「逃がすな!」
「させないよ~」
仲間の奴は、おまけにと導火線を短くしたスモックボールを、ばらまくと辺りは煙に包まれた。

なんとか男たちから逃げることができ、公園のベンチに座って休憩していた。
「悪い!ホントに悪かった」
「謝んなくていいよ」
「どこか行く途中だった?」
「あ、うん」
「本当に悪かった」
迷惑をかけてしまい謝り続けてる直輝。
「もういいですよ」
ベンチに座る美夏が言う。
「最初は、怖かったけど逃げてる時は楽しかったから」
「そう?」
「うん」
「あっそうだ忘れてた、紹介するよ。こいつは、俺と同じクラスの・・・」
直輝の隣にいた奴が史樹に手を差し出す。
「よろしく。俺のことはラ―スって呼んで」
「よろしく。長月史樹です」
史樹は、ラ―スの手を掴んで握手を交わす。
「そろそろ行く直輝?」
「そうだな、史樹たちもどこかに行く途中だったもんな」
「うん、病院に行く途中」
「あ~なるほど、じゃ今日は悪かったな」
「また今度」
軽く手を上げて史樹たちに別れを告げて行った。
「じゃ俺たちも行こうか」
「うん」

病院に着いたのは、2時をすこし過ぎたぐらいだった。
「ここ?」
涼華の病室の前で史樹に聞く。
「そうだよ」
ノックをしドアをゆっくり開ける。
「涼華さ~ん」
病室に入る。
「やっと来た」
ベットに腕を組んでふくれている涼華がいた。
「ごめんね、いろいろあって」
「まぁいいわ」
涼華の隣にある椅子に座る。
「来てくれて・・・ありがとう」
「行くって言ったからね」
史樹の言葉に若干照れる。
そこへ。
「こんにちは」
史樹が入ったあと間を開けて美夏がやって来た。
美夏を見た涼華の目が変わった。
「えっと、妹の美夏」
「はじめまして、美夏です」
涼華は、美夏の挨拶を無視して怒ったような顔をする。
「あれ?なんで怒ってるの?」
「別に・・・怒ってない」
「そう?」
「ねぇ?史樹、飲み物買ってきて」
「いいよ」
立ち上がる。
「兄さん私が行こうか?」
「いいよ、それに何を買えばいいか分かんないだろ」
史樹は、病室を出て行った。
美夏は、史樹が座っていた椅子に座った。
美夏の方を見ない涼華、以前腕を組んで不機嫌そう。
「小橋さんってズバリ兄さんの事好きでしょ」
みるみる顔が赤くなる涼華。
「あ!赤くなったやっぱり」
「好きじゃない!」
美夏の方を見て怒鳴るように言い放った。
「好きだね」
「だから、好きじゃないって言ってるでしょ」
「わかった、わかった、落ち着いて」
顔を真っ赤かになってる涼華。
「でも、兄さんを狙ってるのは小橋さんだけじゃないよ」
「え?」
「兄さんを狙ってるのは、これで4人目か~」
「あと、3人は?」
「うん?ユミさんとエミさんと・・・」
――あの二人か・・・
次の言葉に固まる涼華。
「あと一人は、私」
「え?今・・・なんて言った?」
美夏が言った言葉を聞き直す。
「だから、私も好きなの兄さんの事」
「その、好きってただ史樹が兄さんだからでしょ?」
「違うよ。一人の男性として好きなの」
「兄妹なんだよ?」
「確かに私と兄さんは兄妹・・・でも、血はつながってないんだよ」
「血がつながってなくても」
下を向く美夏。
「どうして・・・兄さんの事好きになったのかな~なんで、兄妹なの?」
膝の上で拳を作り強く握る。
「知り合うなら他人同士で純粋に好きになってそして」
美夏の目に涙があふれ、涙で出来た雫が拳の上に落下する。
「兄さんと付き合って幸せな時間を過ごしたかった」
美夏が史樹に対する想いを知った涼華。
好きな人がいるでも、その相手は兄。届きそうで届かない気持ち。
史樹と美夏との間には、大きな壁が立っている。決して壁を超えることができない。
壁の向こうには、自分の好きな人、愛しの人がいる。
登っても登っても超えることができない。
「羨ましいよ、小橋さんが」
涙目で涼華の方を見る。
「・・・・・・」
何も言えない涼華。
「どうして・・・なんで兄さんの事好きになっちゃいけないの?兄妹だから?兄妹だから好きになっちゃいけないの?」
拳をさらに強く握る。
「兄妹でも私は、兄さんの事ずっと好き、私の想いが伝わらなくても私は」
そこへ、飲み物を買いに行ってた史樹が戻って来た。
「え!?どうしたの!?なんで泣いてるの!?」
慌てて涙を拭く。史樹の方を見て笑顔を作り。
「笑って出てきただけだよ」
「なんだ、笑い泣きか~」
美夏の隣に移動する。
「はい、いつもの」
涼華に飲み物を渡す史樹。
「えっあ、ありがとう」
さっきの事が頭から離れない涼華。
それから、椅子に史樹が座りその後ろに美夏が立って涼華と会話が進んでいった。

日が暮れ始め時刻は、5時を過ぎた。
「じゃそろそろ俺ら帰るね」
椅子から立ち上がる史樹。すると、涼華が史樹に。
「ねえ史樹、明日からもう来なくていいから」
「え!?どうして?」
なぜ、涼華がそんなことを言うのか疑問に思った。
「いいから!もう来ないで!」
さっきまでの涼華どこに行ってしまったのか。
「史樹の顔なんかもう見たくないだけだからもう、来ないで!」
「わっ分かったよ!もう来ない!」
涼華の態度で史樹の態度も360度かわった。
「じゃ!帰るから!」
そう言ってドアの方へ向かう史樹。
「待って兄さん」
慌てて史樹の後について行く美夏。
「ちょっと待ちなさい!」
立ち止まる史樹。でも、振り返らない。
「史樹の通ってる高校の名前教えて!」
「・・・桜北高校」
そう言って史樹は、出て行った。
すると、美夏が。
「何を考えてるか知らないけどいくらなんでも酷過ぎるよ。小橋さんが来てって言ったから兄さんは来てあげたのにこんなの酷過ぎる」
美夏は、涼華が史樹に言った事が相当許せなかったかのように、涼華を睨みつけて言い史樹の後を追った。
一人だけになった美夏。
「ごめんね。史樹あんな言い方して」
泣き始める美夏。
「でもね・・・嫌いにならないで・・・私必ず足直すから」
流れ出す涙を手で拭く。でも、拭いても拭いて止まらない涙の雫。
「足直して・・・史樹がいる・・・学校に行くから・・・来年待ってて・・・だから、嫌いにならないで」

史樹は、病院の玄関を出た後病院の門のところで立ち止まった。
そこに、美夏が走って来た。
「兄さん」
立ち止まっている史樹の隣に並んで、史樹の顔を覗き込む。
「なんで、あんなこと言ったのかな?」
「分からないよ、兄さんのこと嫌いになったんじゃない」
「そうなのかな・・・」
「そうだよきっと、嫌いな人が毎日来たら私だって嫌だもん」
「・・・帰ろう」
歩き出す史樹。涼華に言われたことがショックだったのか下を向いている。
「・・・兄さん」
歩く史樹の後ろ姿を見る美夏。
――大丈夫だよ兄さん。兄さんの傷ついた心を癒してあげるのは、私だからだって私は、妹だしそして兄さんの事を愛してるから
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