心の決心
史樹が振り向くと春美が近寄ってきて春美は、史樹の唇にキスをした。
キスをした瞬間、一瞬その場の時間が止まったようだった。
史樹の唇から離れる春美。
「おまっいきなり何するんだよ」
「決まってるじゃん、私が史樹のこと好きだからしたんだよ」
驚く史樹、冗談だと思ったが春美の顔を見てそれが、本当だと史樹は思った。
「・・・そうか」
短い言葉だけを残し史樹は、家へと入って行った。
「思わず言っちゃった」
春美は、自分の家へと向かうとそこにユミが立っていた。
「春美様聞いてもいいですか?」
「何?」
「さっき史樹様に言ったこと本当ですか?」
「本当だけど」
春美は、すこし照れながら春美に言うとユミは。
「私も史樹様が好きです。」
「え?」
「春美様に史樹様は、渡しません」
二人のいる場所は、夏にも関わらず冷たい風が吹き渡っていた。
次の日。日曜日。
史樹は、自分の部屋でのんびりしていると。
ピンポーン
家のインターホンが鳴った。
家には、今史樹しかいないため史樹は、玄関を開ける。
「は~い」
そこにいたのは。
「こんにちは、史樹様」
軽くお辞儀をしたユミだった。
「おう!どうした」
「はい!今日は、史樹様のお部屋お掃除に来ました」
「えっ!べつにそんなことしなくてもいいのに」
「いえ、やらせてください」
――どうしようかなぁ~まぁ~だれもいないからなぁ~
史樹は、迷った末。
「わかった。入っていいよ」
「失礼します」
史樹の家へ入って行くユミ。その姿を史樹の家の前の家、そう春美がカーテン越しに見ていた。
「ユミ本当に史樹が好きなんだ」
史樹の部屋へと入るユミ。
「掃除って言っても俺の部屋きれいだから、掃除しなくてもいいんだけど」
史樹の部屋は、きれいに整えてあった。
「本当ですね」
すこし、ガッカリするユミ。
「でも、ゆっくりしてていいよもともとここは、ユミの家でもあるんだから」
史樹は、笑みを浮かべてユキの頭をなでる。
「史樹様・・・」
史樹になでられるのが嬉しそうにするユミ。
「あっ悪いつい」
「いえ、嬉しかったです。久し振りになでてもらって」
大きく目を開けて史樹を見詰める。
「私は史樹様の傍にいて嬉しいです」
「そうか」
「一つお聞きしたいことがあります」
「なんだ」
史樹は、ベットに腰掛けてユミを見る。
「昨日、春美様が言ったこと覚えてますか?」
「あの時、正直驚いたねなんたって春だったからねぇ」
「春美様とその、お付き合いするのですか?」
「迷ってるんだよねぇ~」
頭に手を当てる史樹。
「私とじゃぁだめですか?」
「え?」
「私と付き合ってくれますか?」
「・・・」
「駄目ですか?私がねこだからですか?」
「・・・」
何も言えない史樹。
「すいません。こんなへんなこと言って、でも嫌いにならないでください」
ユミ泣きながら史樹の家を飛び出して行ってしまった。
その日の夜。
史樹は、決めた。
史樹は、春美の家のインターホンを押した。
ピンポーン
家から春美が出てきた。
「はーい。あれ、史樹じゃん。」
「あのさっ、お前俺のこと好きって言ったよな」
それを聞いて春美の顔が赤くなった。
「うん・・・」
「俺と付き合わない?」
史樹は、拳を強く握って心中の想いを春美に、告げた。
「えっ・・・」
突然の出来事に驚く春美。
「・・・ダメか?」
「・・・嬉しいぃ~」
春美の顔が笑顔になり史樹に抱きついた。
「ずっと、ずっと史樹にこうしたかった」
春美の目から涙が落ちる。
「おいおい、泣くことないだろ」
「つい・・・嬉しくって・・・」
顔を上げて史樹の顔を見る春美。春美の目から、落ちる涙が月の光で輝く。
こうして、史樹と春美は付き合い始めた。
朝。史樹が家の玄関を開けると、春美が立っていた。
「おっはよ~一緒に行こう」
「おっおう」
並んで歩く二人。
「ねぇ~手、繋がない?」
春美が史樹の顔を、上目使いで見てきた。
「まぁ~いいけど」
「じゃ、遠慮なく」
二人は、照れくさそうに手を繋いだ。
昼休み=昼飯。
クラスの色々な人たちが弁当を開け始めている中、史樹は、何かを探すようにカバンを開けていた。
「うわぁ~弁当忘れた~」
その言葉に、春美が反応した。
「じゃぁ~私の弁当半分あげる」
隣に座っていた春美が史樹に微笑みながら言った。
「え?マジで悪いなぁ」
「いいよ、べつに」
そう言って春美は、自分の机を史樹の机にくっ付ける。
春美が弁当を開ける。
「うおっ!うまそ~」
「史樹に合うかな?」
春美がミニハンバーグを史樹の口元に持っていく。
「あ~ん」
「あ~んっ」
口を動かす史樹。
「これ、ウマっ」
「私のオリジナルなんだよ」
このまま、幸せそな時間が流れると思っていた春美・・・しかし、そんな時間は長くはなかった・・・