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僕と彼女

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彼女は時に変な質問――否、問題を僕にぶつける。
彼女に於いては、質問は即、問題となる。
何故ならどんな問いに於いても、彼女は初めから答を用意しているからだ。
それにしても幻想、ね……
彼女にしても変な『問題』だ。
「訊かせてくれよ、君の答を」
彼女の眼は爛々と輝いている。
どうやら僕が頭を抱えているのが楽しくて仕方が無いようだ。
でも分からないな。幻想が心の中に生きていたのが何時まで、だなんて。
「そうかい?じゃあ質問を変えてみよう。
――今君の心の中に、幻想は生きているかい?」
今度は今、と来たか。
勿論それなら応えられる。否、だ。
サンタなんて馬鹿馬鹿しい。幽霊?居る訳無いだろう。
幻想は所詮幻想、此処は現実だ。
「ははっ。やっぱり君ならそう答えるだろうと思っていたよ。
サンタなんて居ない。
幽霊も居ない。
妖怪も居ない。
なーんにも居ないさ。
現代には幻想なんて生きてはいない。
そんなものはナンセンスだ、何て大方の人は言うだろうね。
……でも、僕は信じているんだよ。
その、『幻想』の類を。
――笑わないでくれよ、恥ずかしいんだから」
そう言って、顔を赤くして俯く。
彼女が恥ずかしがるなんて、初めて見る光景だ。
これは記憶にしっかりと残しておかなくてはなるまい。
そうして五秒間ほどの沈黙の後、彼女は顔を上げ、饒舌に語り出す。
「サンタも信じているさ。幽霊も居ると思っている。
どっかの新聞社も言ってたじゃないか。
サンタはサンタを信じている人がいる限り存在するって。
彼らの存在は、その存在を信じている人が居るか否かによって左右されるんだ。
詭弁?
まあ、そうかも知れないね。
でも、僕はこれを信じているんだ。
――だって、その方が面白いだろう?」
そして彼女はくすっ、と笑う。
その方が面白い、か。
まあそれは否まないけど、何だか面倒が増えそうな気がするな。主に、皆の。
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