目覚めたらトンでもないことに巻き込まれていた。
そんな体験、したことがあるだろうか?
俺は、ある。ていうか、今真っ最中。
ええと、ここにいる物体はなんですか? なんで俺んちの前にいるんだ?
誰も応えてくれない。
いや、応えられても困るんだけど……。
だって、目の前にいるコレ、幼女。しかも猫(?)耳。
俺のスペックを書いておこう。
大学生。彼女無し。家族は四人。
やっすいアパートに一人暮し。三ヶ月散髪に行ってない。そもそもこの一ヶ月、まともに外出していない。ちょっと引きこもり入ってるかもしれない。
高校までは親と同居してた。
一人暮しになって、うるさく言うニンゲンがいなくなったせいか、それとも、いろんなことにウンザリしていたせいか、詳しい理由は俺にもワカンネ。
とにかく、なんか色々ダルくて人生さぼり気味。スウェットでダラダラするのが、ここのところの日課になってる。
そんで、自覚アリの挙動不審。つーかさ、普通にしてるつもりだけど、気が付いたら少し外れてる。微妙な疎外感から逃れられない。普段から、そんな感じがまといつく。
だからさ、端から見たら、怪しさ満点なんじゃねーかと思う。
それでだ。この御時世、そんな男の家に幼女がイキナリ現れたら、不審に思われるよな?
これって通報コース? 俺、終わった?
俺にロリ趣味はねえ! なんてついてないんだ!
落ち着け、俺。
まず、経緯を話そう。
昨日は徹夜した。
今日は不燃ゴミの日なんだ。今日を逃すと、あと二週間収集がない。前回は寝過ごしたんで、既にカップラーメンやペットボトルの空が山になってる。たいして広くない部屋は、ゴミとローベッドとパソコン、それから幾ばくかの家電に雑誌と古本で埋め尽くされている。足の踏み場? なにそれ、美味しいの? そんな感じだ。正直、にっちもさっちもいかない。
だから、なんとしても不燃物を出さなくちゃならなかったってわけだ。早起きは苦手だからな。徹夜で朝を待ってた。
そりゃあ俺だって、ゴミなんて気付いたときにとっとと出したいよ。
でも、夜中に出すと、周りのババァがうるさいんだよ。大家さんにチクられても困るし。そしたら、朝早く出すしかないだろ?
まあそんなわけで、俺は朝を待ってた。
五時ぐらいかな。あまり遅くなると、人と顔を合わすハメになるし、早すぎると苦情が出るし。塩梅が難しい。
とりあえず、そろそろいいだろうと思って、玄関を開けたんだ。
そしたら、いた。
なんかいた。
それがコレ。
目の前の猫耳幼女。
俺涙目。どうしたらいい?