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僕は一人の女の子と、傍目から見れば仲良さそうに、歩いていた。
別に特別な感情は持っていない。同じクラスだから、という理由だけでなぜか一緒に行動している。
周りの目では僕らは付き合っているように見えるらしいが、そんなことはない。
向こうもなぜ僕なんかと一緒にいるのか不思議でたまらなかった。
ある日、彼女に聞いてみた。
 ――なぜ、僕なんかと一緒にいるのかと。
彼女はこう答えた。
 ――あなたを殺したいほど好きだから。
彼女の手には、鈍く光る何かが握られていた。それは、唐突に僕のほうにむけられた。
 ――あなたが好き。
突然、彼女と僕の距離が縮まる。
胸が熱い。何かが刺さったようだったが、たいして気にならなかった。
僕はただ、彼女を見ていた。そうして気がついた。
 ――――――そんな彼女を、僕は狂おしいほど愛していることを。
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