贋作・オナニーマスター黒沢 -精子論-
生死をかけるのが男の仕事。これはシャレである。
そういうシャレはいいとして、僕は今日もこの1m*1m*2.5mの箱の中で日課を終えた。ベージュの壁にはりついた液体。どうみても精子です。本当にありがとうございました。
薄いトイレットペーパーを幾重にか巻いて(学校のトイレットペーパーというのはどういうわけか普通のものより薄く感じる)それをふき取る。自分の肉体から出てきたというのになぜか手が触れるのも嫌なほど憎らしい。同じ排泄物の糞便や屁ですら、まだユーモラスな感覚があると言うに、こと精液に関しては誰からも愛されない。なんとカワイソウなことか。誰しも元はと言えばいっかいの精液であったはずなのに。精液に愛を。We are the 精液.ラブ&ピース&精液。ソリッド・ステイト・スペルマー。光が丘スペルマン病院。
ところで精液の味というのを知っておろうか。あいにく僕は舐めたことがない。苦いというのが一般的な情報ではある。エロマンガにはよくふにゃあご主人様の精液濃くっておいしいですぅとか出てくるが。
「日本沈没」で知られるSF作家小松左京は貧乏なころ、仕事もなく空腹で、ただ家にこもってオナニーばかりやっていたとき、精液を食べたことがあるのだそうだ。飲んだ、ではなく食べたのだ。どういうことかと言うと、まず精液をいくらか溜め、それをフライパンでいためて食べたのだ。味はどうかと言うと、ご想像のとおり、美味しいわけがない。未確認だが精液の味はその日その日の体調によって異なるらしい。とすると、空腹で栄養もほとんどとっていなかったであろう小松氏の精液が美味しいはずもないだろう。そうすると合点がいく。
はたして一人の男が生きていくうちに、どれくらいの精液=精子が外に出ていくのか。
一回の射精にともなって出てくる精液の中に、一億の精子がいるとする。十五歳の男が成人するまでに平均一日二回オナニーをしたとしよう。
2回×365日×5年。さらにこれを一億倍。365,000,000,000.。さんぜんろっぴゃくごおく。すごい数字だ。だがどれくらい凄いのかすぐにはわからない。ちょうどわが国の借金が二億ろうと三億だろうと、とりあえず「バクダイな値段」ということしか感覚がつかめないのと同じだろう。まったく無為なオナニーでこんなにも精子が死ぬのである。精子の身にもなってみろ、という話だ。
ちなみにオナニーの語源は聖書のオナンに由来するのは有名だが、オナンがやったのはオナニーではなく、膣外射精なのだ。キリスト的には子を宿さない射精という点ではオナニーも外田氏も同義であるのだろう。ちなみにキリスト教ではオナニーは重罪であり、少年がオナニーをできないようにする貞操帯というのが開発された。これはどういうものかと言うと、性器に器具を装着し(自らの意思では外せない)、性器に手を伸ばすと警報が鳴るという仕組み。そして警報を無視してさらに行為を続けようとすると、性器に電撃が走るのである。人間発電所とはよく言ったものだが、本当に電気が走ってはたまらない。
国の借金と言ったが、この話をするとぜったいクラスに一人は出てくる「ならお金作ればいいじゃん!」と言い出す輩。あたかも「パンがなければお菓子を食べれよいではないの」と言いはなったマリーアントワネットのごとく。こういうやつは何せ頭が単純なので国語の時間も当然のように"走れメロス"を「走れエロス」とか言って喜ぶ。エロスは勃起した。エロスは十六の内気な妹と暮らし羊と笛を吹いて遊ぶニートである。大衆の前で全裸のエロスはセリヌンティウスに向かって「さあわたしの頬をなぐれ」と言いだす。露出ハードゲイSMプレイ。こんどはセリヌンティウスの頬を全裸のエロスが殴る。リバーシブル。そこに残虐な王様が「わしも雑ぜてはくれぬか」露出ハードゲイSM3P。
すっかり脱線した。
サテ3650億。これだけでも凄いが、成人してからも射精は終わらない。まあ数はぐっと減るだろうが、20才~30才まで週に三回としよう。月12回。10年で144,000,000,000の精子が飛び出すことになる。144億。3650+144=3794億。ものすごい大量虐殺だ。某○○大虐殺なんてめじゃないぜって。まああれはあったかどうかすらあやしいが。
もっとも、精液すべてに一億の精子がつまってるかどうかはわからない。多少の誤差はあろう。きんたまでの精子の生産量は人によって差異がある。ところで女性器がすべて内側に内蔵されているのに対し、なぜ男性器は、とくにきんたまは外にぶらさがっているのかご存知か。あれは精子の生産量にかかわるもので、精子を製造するのに適した温度が人間の体温よりやや低い35度であるためなのだ。ゆえに体内から出ているのである。だからスカート、アレは女性が履くよりも男性が履いたほうがきんたまがフル稼働するのである。
ちなみに精子がきんたまから出てどれくらい生きるかと言うと、30分ほどである。短い一生である。生物実験などで人間の精子が必要な場合、そこの研究員の精子を使用したりする場合もあるそうだ。
ここまで書いて精子・精液に関する雑学がなくなりました。