雲子の日記3
3月14日(暖かくすごしやすい晴れ)
今日も良子さんからの電話は来なかった。
「聞き取りづらい」なんていわなければ良かった。
私に余裕があれば、優しく聞いてやれただろうに。
なぜ、いつもこうなの。
お兄ちゃん。
もっと良子さんと電話したいよ。
自分から掛けちゃ駄目かしら。
良子さんとはもっと仲良く慣れそうな気がする。
私より年上のお姉さんだし、趣味も似てるし。
ううん。
趣味とかそういう問題じゃない。
ただ、フィーリングが気持ちいい。
あの人と会話さえ出来れば、それだけで慰めになるの。
それなのに、良子さんは私の話聞いてくれるのに、私は良子さんの重荷を受け止めてやれない。
生活に困ってたら、誰だって落ち込むよね。
それなのになぜ、私はあんな風に邪険にしちゃったのかしら。
もう三日になる。
もう、二度と電話かかってこないかもしれない。
それは寂しい。
私から電話掛けちゃ駄目?
でも嫌われるのが怖い……嫌がられるのが怖い……
待つだけの身分。
お兄ちゃん。
おやすみなさい。