まとめて読む
気持ちのいい陽気。
降り注ぐ朝日。
鳥のさえずり。
そして――
「はぁ……はぁ……今日も可愛い寝顔じゃないか……」
気持ち悪い友人の一人ごと。
朝の目覚めとしては、この上なく最悪の目覚めである。
「これで男とかあり得ないだろ……いや、むしろ男だからこそ……」
実に不愉快な言動を繰り返している友人。
コイツが僕の友達だというのも最悪だが、なにより最悪なのが――
「毎日、毎日人の寝顔を見るためだけに勝手に部屋に入ってくるんじゃねぇよ!」
こんな変態が僕の一番の友達だという事だろう。
「何でお前は毎日勝手に人の部屋に無断で入って来るんだよ?」
朝起きて必ずする質問。
もう何回聞いたか分からない事を今日も聞く。
「何でって、可愛い相棒の寝顔を見るためだろ」
「勝手に相棒呼ばわりするな! てか、寝顔を見ようと思うな! 気持ち悪いわ!」
何が悲しくて男に寝顔を見られないといけないんだよ。
しかも、コイツはただ寝顔を見るだけじゃない。僕の寝顔を見ながら怪しい一人ごとを
呟いているのだ。
本気で気持ちが悪いよ。
「おいおい、あまり俺に罵声を浴びせないでくれよ。興奮するじゃないか」
「…………」
ああ。今ここでコイツを殺してしまってもいいだろうか?
法が許してくれるのなら、今すぐにでも殺してやりたいよ。
だけど、世界がそこまで優しいわけでもなく――
「怒るのもいいが、そろそろ制服に着替えた方がいいんじゃないか? もしアレなら着替える
のを手伝おうか?」
「遠慮する。てか、さっさと出ていけ!」
「何だよぉ……そこまで拒絶する事ないだろぉ……」
「マジで気持ち悪いから止めてくれ。そしていい加減、部屋から出て行け!」
心底悲しそうな表情で部屋から出て行くゴミ野郎。何でそこまでして僕の着替えを手伝いたい
んだよ? 意味が分からないな。
多少の吐き気とクソ野郎の行動に頭を悩ませながら制服に着替える。
「よし。準備が出来た」
朝食を食べている余裕は…………無いか。まぁ、アレのせいでそんな余裕もなくなっていたか。
どうせこれも毎度の事だから諦めるしかないかね。
憂鬱な気持ちのまま部屋を出るとそこには――
「はぁ……はぁ……生着替えを見る事は出来なかったが、音だけでも随分興奮出来るものだな」
虫以下の生物が居た。
「可愛いよ。優希かわいいよ」
僕の名前を呼びながら変態が興奮していた。
よし。殺したいのはやまやまだけど、無理だからとりあえず無視して学校に行こう。
それが一番の選択だよね。
自分に言い聞かせながら僕は一人学校に向かう。
――学校――
勉強や日々の生活を通して色々なものを学ぶ場所。
そして沢山の友達に会える場所でもある。
僕自身も学校は好きだし、クラスの皆や友達に会えるのは嬉しい。
だけど……
『来た! 今日も我らがアイドルの優希様が登校なされたぞ!』
『今日は、今日は一体どんな可愛らしい姿を見せてくれるんだ?』
『きゃー優希くん。今日も可愛いわねー♪』
「…………」
悲しい事に僕のクラスメイト達は普通じゃなかった。
僕の一番の友達のゴミ虫よりは変態度は低いけど、それでも十分変態である事に間違いは無い。
それでも何故か学校に通ってしまうから不思議だ。
普通の人なら完全に登校拒否になってもおかしくはないだろう。
それなのに登校している僕はもしかしたら……
いやいや、僕が皆に弄られるのが好きとかあり得ないから。
…………あり得ないから。
「おはよ、優希。今日も皆からイヤらしい視線を浴びているわね♪」
「おはよ百瀬さん。あと、楽しそうな顔で同情するのは止めて」
そんな表情で同情されても全然嬉しくなんかないよ。
「ところで、あの変態はどうしたの?」
「さぁ?」
アイツの事だから警察にでも捕まってるんじゃないかな。てか、ぜひ捕まっていて欲しい。
「私としてはアイツが居ない方が都合がいいんだけどね」
「……百瀬さん?」
確かにアレは居ない方が世界的にもいいけど、何故か居ない方がいいと言った時の百瀬さんの
表情が気になった。
何かよくない事でも考えているのかな?
残念ながら彼女も、このクラスの一員であると同時に結構変な人なのである。
だからかな。余計に気になったのは。
僕の不安を打ち消すようにチャイムが鳴る。
気のせいだと思っていよう。
甘い考えなのかもしれないけど、そうやってポジティブに考えていないとこのクラスでは生きて
いけないから。
バカだと言われても前向きに生きて行こうと思います。
――みたいな感じで今日一日が終わってくれれば最高なんだけど……
“無理だろうなー”
絶望を感じつつ僕は静かに授業を受けます。
つかの間の休息を噛みしめながら……
降り注ぐ朝日。
鳥のさえずり。
そして――
「はぁ……はぁ……今日も可愛い寝顔じゃないか……」
気持ち悪い友人の一人ごと。
朝の目覚めとしては、この上なく最悪の目覚めである。
「これで男とかあり得ないだろ……いや、むしろ男だからこそ……」
実に不愉快な言動を繰り返している友人。
コイツが僕の友達だというのも最悪だが、なにより最悪なのが――
「毎日、毎日人の寝顔を見るためだけに勝手に部屋に入ってくるんじゃねぇよ!」
こんな変態が僕の一番の友達だという事だろう。
「何でお前は毎日勝手に人の部屋に無断で入って来るんだよ?」
朝起きて必ずする質問。
もう何回聞いたか分からない事を今日も聞く。
「何でって、可愛い相棒の寝顔を見るためだろ」
「勝手に相棒呼ばわりするな! てか、寝顔を見ようと思うな! 気持ち悪いわ!」
何が悲しくて男に寝顔を見られないといけないんだよ。
しかも、コイツはただ寝顔を見るだけじゃない。僕の寝顔を見ながら怪しい一人ごとを
呟いているのだ。
本気で気持ちが悪いよ。
「おいおい、あまり俺に罵声を浴びせないでくれよ。興奮するじゃないか」
「…………」
ああ。今ここでコイツを殺してしまってもいいだろうか?
法が許してくれるのなら、今すぐにでも殺してやりたいよ。
だけど、世界がそこまで優しいわけでもなく――
「怒るのもいいが、そろそろ制服に着替えた方がいいんじゃないか? もしアレなら着替える
のを手伝おうか?」
「遠慮する。てか、さっさと出ていけ!」
「何だよぉ……そこまで拒絶する事ないだろぉ……」
「マジで気持ち悪いから止めてくれ。そしていい加減、部屋から出て行け!」
心底悲しそうな表情で部屋から出て行くゴミ野郎。何でそこまでして僕の着替えを手伝いたい
んだよ? 意味が分からないな。
多少の吐き気とクソ野郎の行動に頭を悩ませながら制服に着替える。
「よし。準備が出来た」
朝食を食べている余裕は…………無いか。まぁ、アレのせいでそんな余裕もなくなっていたか。
どうせこれも毎度の事だから諦めるしかないかね。
憂鬱な気持ちのまま部屋を出るとそこには――
「はぁ……はぁ……生着替えを見る事は出来なかったが、音だけでも随分興奮出来るものだな」
虫以下の生物が居た。
「可愛いよ。優希かわいいよ」
僕の名前を呼びながら変態が興奮していた。
よし。殺したいのはやまやまだけど、無理だからとりあえず無視して学校に行こう。
それが一番の選択だよね。
自分に言い聞かせながら僕は一人学校に向かう。
――学校――
勉強や日々の生活を通して色々なものを学ぶ場所。
そして沢山の友達に会える場所でもある。
僕自身も学校は好きだし、クラスの皆や友達に会えるのは嬉しい。
だけど……
『来た! 今日も我らがアイドルの優希様が登校なされたぞ!』
『今日は、今日は一体どんな可愛らしい姿を見せてくれるんだ?』
『きゃー優希くん。今日も可愛いわねー♪』
「…………」
悲しい事に僕のクラスメイト達は普通じゃなかった。
僕の一番の友達のゴミ虫よりは変態度は低いけど、それでも十分変態である事に間違いは無い。
それでも何故か学校に通ってしまうから不思議だ。
普通の人なら完全に登校拒否になってもおかしくはないだろう。
それなのに登校している僕はもしかしたら……
いやいや、僕が皆に弄られるのが好きとかあり得ないから。
…………あり得ないから。
「おはよ、優希。今日も皆からイヤらしい視線を浴びているわね♪」
「おはよ百瀬さん。あと、楽しそうな顔で同情するのは止めて」
そんな表情で同情されても全然嬉しくなんかないよ。
「ところで、あの変態はどうしたの?」
「さぁ?」
アイツの事だから警察にでも捕まってるんじゃないかな。てか、ぜひ捕まっていて欲しい。
「私としてはアイツが居ない方が都合がいいんだけどね」
「……百瀬さん?」
確かにアレは居ない方が世界的にもいいけど、何故か居ない方がいいと言った時の百瀬さんの
表情が気になった。
何かよくない事でも考えているのかな?
残念ながら彼女も、このクラスの一員であると同時に結構変な人なのである。
だからかな。余計に気になったのは。
僕の不安を打ち消すようにチャイムが鳴る。
気のせいだと思っていよう。
甘い考えなのかもしれないけど、そうやってポジティブに考えていないとこのクラスでは生きて
いけないから。
バカだと言われても前向きに生きて行こうと思います。
――みたいな感じで今日一日が終わってくれれば最高なんだけど……
“無理だろうなー”
絶望を感じつつ僕は静かに授業を受けます。
つかの間の休息を噛みしめながら……
昼休みというのは普通友達とご飯を食べたり、話したり遊んだりする時間である。
それなのに、それなのに……
『きゃー♪ 優希くん可愛すぎるー♪』
『女神だ。女神が現れたんだ……』
『今日のオカズの登場だ……』
なんだよこれ。
何でご飯を食べる時間を削られてまで、変態共の行為に付き合わないといけないのだろう。
僕は平和にご飯を食べ、楽しく会話をしていたかっただけなのに……
それなのに――
「何で女装させられないといけないんだよぉーっ!?」
おかしい。何かがおかしい。
何処で道を間違えたんだ? どうしてこうなった?
午前の授業が終わり、僕はお昼ご飯を食べようとしていた。そこまではどこも問題は無い。
そして、鞄から弁当を出した時、
『ねぇ、優希くん。こんな服があるんだけど……着てくれないかな?』
一人のクラスメイトが嬉しそうな顔をして自分の鞄から一着の服を出してきた。
恐らくここの時点で僕は道を踏み外したんだろう。
僕は何も悪くは無い。けど、ここで彼女に服を出させてしまった。これがいけないかった。
それが僕の失敗。
そこから先は僕の意見など、完全に無視して物事が運んで行った。
そして完成したのが――
ヒラヒラのフリルの付いた可愛らしい服を着た一人の女の子。もとい僕なんだけど……
さすがに女装させるのはどうかと思う。しかもご丁寧にウィッグまで用意してるなんて。
男がスカートを穿いているなんて気持ち悪いだけなのに。なのに……
『や、やばいよ……もう自分を抑える事が出来ないかもしれない……』
『ああ。捕まるのを覚悟で優希に手を出そうか……』
怖いを通り越して、死んで欲しいと思うよ。
クラスメイトの異常な眼差しに恐怖を覚えつつも、ふと一瞬禍々しい視線を感じた。
恐る恐るその視線の先を見てみると、
「優希の奴め……朝から俺を悩殺しておきながら、更に可愛い姿を見せるとは……優希、恐ろしい子!」
いた。ゴミ野郎がいやがった。
登校して姿を見なかったからもうすでに死んでると思っていたけど、まだ生きていやがったよ。
しかも、聞いてるだけで鳥肌が立つような事を言ってるし……
「このままだと午後の授業がヤバイな。始まる前にトイレに行ってスッキリしておくか」
うわぁ……マジで死んでくれないかなアイツ。
何でもいいから死んで欲しい。
別に面白い死に方なんて期待しないから、普通に死んで欲しいよ。
「あはっ♪ モテる男は大変ね♪」
「それ全然褒めてないから。あと、少しは助けようとか思わないかな?」
ジト目で抗議しながら百瀬さんを睨む。
「あははっ♪ それは無理な相談だわ」
「何で!?」
「だって、私は優希が色々と苦労してるのを見るのが好きだからね♪」
「…………」
何この人? 笑顔で人が苦労するのを見るのが好きとか言っちゃってるよ。
変な人だという認識は前々から持っていたけど、少しばかり認識を改めないといけないな。
百瀬さんは変な人であると同時にドSなのね。
何で僕の周りにはこんな人しか集まらないのだろうか?
神様の悪戯としか思えないよ……
そう。決して、類は友を呼ぶの法則に当てはまっているわけでは無いんだ。
絶対に……
――地獄の昼休み――
そう表現しても問題ないくらいの時間を僕は過ごした。
何が酷いかって? それは色んな服を着させられるのは勿論のこと、他のクラスからも僕の姿を
見ようと教室まで沢山の人が押し寄せて来ていた事だ。
ただでさえ恥ずかしい恰好を多くの人に見られた。
ある人は僕の姿を見て興奮のあまり失神し、
ある人は謎の奇声をあげて何処かに走りだして、
またある人は必要以上に写真を撮り、
何人かは、股をモジモジとさせながらトイレへと駆け込んでいた。
これを地獄と呼ばず何と呼ぶのだろう?
とにかく僕にとっては最悪の時間だった。それだけは間違いが無い。
まさか学校全体が変態の集まりだったとは……
僕はこんな変態だらけの空間で無事卒業する事が出来るのかな?
何か間違いが起こりそうでかなり怖いんだよね。
身の危険を感じながらも僕は学校に通う。
自分の身は自分で守るしかない!
特別、格闘技の心得があるわけじゃないけど、何か対策を考えておいた方がいいだろう。
だって、周りは変態ばかりだから……
それなのに、それなのに……
『きゃー♪ 優希くん可愛すぎるー♪』
『女神だ。女神が現れたんだ……』
『今日のオカズの登場だ……』
なんだよこれ。
何でご飯を食べる時間を削られてまで、変態共の行為に付き合わないといけないのだろう。
僕は平和にご飯を食べ、楽しく会話をしていたかっただけなのに……
それなのに――
「何で女装させられないといけないんだよぉーっ!?」
おかしい。何かがおかしい。
何処で道を間違えたんだ? どうしてこうなった?
午前の授業が終わり、僕はお昼ご飯を食べようとしていた。そこまではどこも問題は無い。
そして、鞄から弁当を出した時、
『ねぇ、優希くん。こんな服があるんだけど……着てくれないかな?』
一人のクラスメイトが嬉しそうな顔をして自分の鞄から一着の服を出してきた。
恐らくここの時点で僕は道を踏み外したんだろう。
僕は何も悪くは無い。けど、ここで彼女に服を出させてしまった。これがいけないかった。
それが僕の失敗。
そこから先は僕の意見など、完全に無視して物事が運んで行った。
そして完成したのが――
ヒラヒラのフリルの付いた可愛らしい服を着た一人の女の子。もとい僕なんだけど……
さすがに女装させるのはどうかと思う。しかもご丁寧にウィッグまで用意してるなんて。
男がスカートを穿いているなんて気持ち悪いだけなのに。なのに……
『や、やばいよ……もう自分を抑える事が出来ないかもしれない……』
『ああ。捕まるのを覚悟で優希に手を出そうか……』
怖いを通り越して、死んで欲しいと思うよ。
クラスメイトの異常な眼差しに恐怖を覚えつつも、ふと一瞬禍々しい視線を感じた。
恐る恐るその視線の先を見てみると、
「優希の奴め……朝から俺を悩殺しておきながら、更に可愛い姿を見せるとは……優希、恐ろしい子!」
いた。ゴミ野郎がいやがった。
登校して姿を見なかったからもうすでに死んでると思っていたけど、まだ生きていやがったよ。
しかも、聞いてるだけで鳥肌が立つような事を言ってるし……
「このままだと午後の授業がヤバイな。始まる前にトイレに行ってスッキリしておくか」
うわぁ……マジで死んでくれないかなアイツ。
何でもいいから死んで欲しい。
別に面白い死に方なんて期待しないから、普通に死んで欲しいよ。
「あはっ♪ モテる男は大変ね♪」
「それ全然褒めてないから。あと、少しは助けようとか思わないかな?」
ジト目で抗議しながら百瀬さんを睨む。
「あははっ♪ それは無理な相談だわ」
「何で!?」
「だって、私は優希が色々と苦労してるのを見るのが好きだからね♪」
「…………」
何この人? 笑顔で人が苦労するのを見るのが好きとか言っちゃってるよ。
変な人だという認識は前々から持っていたけど、少しばかり認識を改めないといけないな。
百瀬さんは変な人であると同時にドSなのね。
何で僕の周りにはこんな人しか集まらないのだろうか?
神様の悪戯としか思えないよ……
そう。決して、類は友を呼ぶの法則に当てはまっているわけでは無いんだ。
絶対に……
――地獄の昼休み――
そう表現しても問題ないくらいの時間を僕は過ごした。
何が酷いかって? それは色んな服を着させられるのは勿論のこと、他のクラスからも僕の姿を
見ようと教室まで沢山の人が押し寄せて来ていた事だ。
ただでさえ恥ずかしい恰好を多くの人に見られた。
ある人は僕の姿を見て興奮のあまり失神し、
ある人は謎の奇声をあげて何処かに走りだして、
またある人は必要以上に写真を撮り、
何人かは、股をモジモジとさせながらトイレへと駆け込んでいた。
これを地獄と呼ばず何と呼ぶのだろう?
とにかく僕にとっては最悪の時間だった。それだけは間違いが無い。
まさか学校全体が変態の集まりだったとは……
僕はこんな変態だらけの空間で無事卒業する事が出来るのかな?
何か間違いが起こりそうでかなり怖いんだよね。
身の危険を感じながらも僕は学校に通う。
自分の身は自分で守るしかない!
特別、格闘技の心得があるわけじゃないけど、何か対策を考えておいた方がいいだろう。
だって、周りは変態ばかりだから……
――議題――
メイド派? ナース派?
黒板にデカデカと書かれている文字。
非常にどうでもいい事が議題にあがっている。
変態達はどんな時間でも変態だった。
朝のホームルームの時間にこんなバカみたいな事について、討論しているのだから。
もう少しマトモな事を討論して欲しいと思う。
『何故! 何故、メイドの良さが分からない?』
メイド派の一角がナース派に問いかける。
『貴様こそどうしてナースの良さが分からないんだ? メイドなんてものはもう時代遅れなんだよ!』
ナース派も負けじと問いかける。
『なんだと!? ナースの方が時代遅れも甚だしいじゃないか!』
『バカを言うな! 白衣の天使を愚弄する気か!』
『何を言う、メイドこそ真の天使だ!』
『違う! ナースだ!』
『メイドだ!』
マジで朝から何を言い合ってるんだか。
大声でメイドだの、ナースだの言ってて恥ずかしくないのかね。あいつ等は……
「あはっ♪ 優希にだけはそんな事言われたくはないんじゃないかな?」
「……百瀬さん」
「一番恥ずかしい事をやってきた優希だけにはねぇ……?」
「ぐ――っ」
確かに僕は色々と恥ずかしい事に巻き込まれてきているけど、それは決して僕が自分から望んでいた
事ではなくて、多くの不幸が重なった結果だと思うんだよ。
「それにアイツ等が今議論しているのは、お前に着せる服の話なんだからな」
「…………は?」
イマ、ナンテイッタ?
お前に着せる服の話?
てか、お前は勝手に会話に混ざってくるなよ。変態は大人しく警察と話してろよ。
色々な思考が頭を過る。
僕の聞き間違いでなければ、今討論しているのは僕に着せる服の話らしい。
何でそんな事を議論しているのだろうか。
何で僕に一言、言ってくれないのだろうか。まぁ、言った所で承認するつもりはないけど。
それにしても、あいつ等どうかしてやがる。また僕に女装させようと考えているなんて正気の沙汰じゃない。
しかも選択肢がメイドかナースって、最悪だろ……
歪んでる。歪んでるよコイツ等……
「ああ。その表情最高だわ♪ 因みに私は裸エプロンを推してたんだけどね♪」
「…………」
慰めにもならない。ただ絶望が増しただけだ。
「ふむ。裸エプロンか……悪くは無いな。よし! 今日はそれはオカズに妄想しよう」
何も聞こえない。何も見えない。あんなクソ野郎なんてこの世に存在してないんだ。
どうして警察はこのゴミを捕まえないのだろう。社会の常識で考えたら一番初めに捕まえないといけない
存在なのに、どうして……?
まさかコイツ警察と何か取引でもしてるんじゃないだろうか? そうじゃないと色々おかしいだろ。
何て奴だ。まさかここまでの変態だとは思わ……いや、想像通りか。
あのゴミ野郎は後にして、まず最初にこの議論を終わらせないといけないな。
色々思う事はあるが、優先順位を間違えるなよ僕。
勇気を持ってこの茶番を終わらせるんだ――
「おい。お前ら――」
「おいおい、お前ら朝から何バカな事をやっているんだ」
僕の声をかき消すように先生が割って入ってくる。
勢いは消されたけど、この先生ならきっと――
「メイド? ナース? お前ら何も分かってないよ。佐藤には裸ワイシャツとニーソが似合うに決まってるだろ」
どうにもなりませんでした。
むしろ状況を悪化させるような発言してるよこの先生。
それに、裸ワイシャツとニーソって明らかに女装ありきの格好ですよね?
どうして先生までも変態なのだろう?
こんな人を教師として雇っちゃダメだろ。この人はその内何か間違いを犯すような気がする。
だって、目が尋常じゃないくらいに血走ってるんだよ。そんな人が何も犯さないわけが無い。
「ワイシャツとニーソから少しだけ覗く白い肌。あぁっ!? 想像しただで鼻血が出そうだ……」
そのまま出血多量で死。又は、入院くらいはしてくれないだろうか。
「すぐだ! すぐに先生にその夢の姿を見せなさい!」
警察……医者……ゴルゴ。誰でもいいから、この先生を止めて下さい。
『先生! 先生の提案も確かに魅力的だが、メイドだけは譲れません!』
『そ、そうだ! ナースが世界で一番最強なんだ!』
「お前等……」
『先生……』
妙な空気が流れてるけど、言ってる事はクズみたいな事なんだよね。
「仕方ない。先生も大人だからな。お前等の意見も尊重しよう」
この流れはもしかして……
「メイド。ナース。裸ワイシャツ+ニーソ。これを佐藤に全部着てもらうとしよう」
やはりか! やはり、そういう流れになるのか!
『先生! ナイスアイディアですよ!』
『先生は神ですか!?』
「はははっ。少し照れるな……」
何処が神だよ? あんた達は悪魔だよ。鬼だよ! 最低の生き物だよ!
「さて。まずはどの格好から始めようか……?」
クソ! クソ! クソ!
「メイドか? ナース? 裸ワイシャツ+ニーソか?」
この世界に……
この世界に神は居ないのか!?
メイド派? ナース派?
黒板にデカデカと書かれている文字。
非常にどうでもいい事が議題にあがっている。
変態達はどんな時間でも変態だった。
朝のホームルームの時間にこんなバカみたいな事について、討論しているのだから。
もう少しマトモな事を討論して欲しいと思う。
『何故! 何故、メイドの良さが分からない?』
メイド派の一角がナース派に問いかける。
『貴様こそどうしてナースの良さが分からないんだ? メイドなんてものはもう時代遅れなんだよ!』
ナース派も負けじと問いかける。
『なんだと!? ナースの方が時代遅れも甚だしいじゃないか!』
『バカを言うな! 白衣の天使を愚弄する気か!』
『何を言う、メイドこそ真の天使だ!』
『違う! ナースだ!』
『メイドだ!』
マジで朝から何を言い合ってるんだか。
大声でメイドだの、ナースだの言ってて恥ずかしくないのかね。あいつ等は……
「あはっ♪ 優希にだけはそんな事言われたくはないんじゃないかな?」
「……百瀬さん」
「一番恥ずかしい事をやってきた優希だけにはねぇ……?」
「ぐ――っ」
確かに僕は色々と恥ずかしい事に巻き込まれてきているけど、それは決して僕が自分から望んでいた
事ではなくて、多くの不幸が重なった結果だと思うんだよ。
「それにアイツ等が今議論しているのは、お前に着せる服の話なんだからな」
「…………は?」
イマ、ナンテイッタ?
お前に着せる服の話?
てか、お前は勝手に会話に混ざってくるなよ。変態は大人しく警察と話してろよ。
色々な思考が頭を過る。
僕の聞き間違いでなければ、今討論しているのは僕に着せる服の話らしい。
何でそんな事を議論しているのだろうか。
何で僕に一言、言ってくれないのだろうか。まぁ、言った所で承認するつもりはないけど。
それにしても、あいつ等どうかしてやがる。また僕に女装させようと考えているなんて正気の沙汰じゃない。
しかも選択肢がメイドかナースって、最悪だろ……
歪んでる。歪んでるよコイツ等……
「ああ。その表情最高だわ♪ 因みに私は裸エプロンを推してたんだけどね♪」
「…………」
慰めにもならない。ただ絶望が増しただけだ。
「ふむ。裸エプロンか……悪くは無いな。よし! 今日はそれはオカズに妄想しよう」
何も聞こえない。何も見えない。あんなクソ野郎なんてこの世に存在してないんだ。
どうして警察はこのゴミを捕まえないのだろう。社会の常識で考えたら一番初めに捕まえないといけない
存在なのに、どうして……?
まさかコイツ警察と何か取引でもしてるんじゃないだろうか? そうじゃないと色々おかしいだろ。
何て奴だ。まさかここまでの変態だとは思わ……いや、想像通りか。
あのゴミ野郎は後にして、まず最初にこの議論を終わらせないといけないな。
色々思う事はあるが、優先順位を間違えるなよ僕。
勇気を持ってこの茶番を終わらせるんだ――
「おい。お前ら――」
「おいおい、お前ら朝から何バカな事をやっているんだ」
僕の声をかき消すように先生が割って入ってくる。
勢いは消されたけど、この先生ならきっと――
「メイド? ナース? お前ら何も分かってないよ。佐藤には裸ワイシャツとニーソが似合うに決まってるだろ」
どうにもなりませんでした。
むしろ状況を悪化させるような発言してるよこの先生。
それに、裸ワイシャツとニーソって明らかに女装ありきの格好ですよね?
どうして先生までも変態なのだろう?
こんな人を教師として雇っちゃダメだろ。この人はその内何か間違いを犯すような気がする。
だって、目が尋常じゃないくらいに血走ってるんだよ。そんな人が何も犯さないわけが無い。
「ワイシャツとニーソから少しだけ覗く白い肌。あぁっ!? 想像しただで鼻血が出そうだ……」
そのまま出血多量で死。又は、入院くらいはしてくれないだろうか。
「すぐだ! すぐに先生にその夢の姿を見せなさい!」
警察……医者……ゴルゴ。誰でもいいから、この先生を止めて下さい。
『先生! 先生の提案も確かに魅力的だが、メイドだけは譲れません!』
『そ、そうだ! ナースが世界で一番最強なんだ!』
「お前等……」
『先生……』
妙な空気が流れてるけど、言ってる事はクズみたいな事なんだよね。
「仕方ない。先生も大人だからな。お前等の意見も尊重しよう」
この流れはもしかして……
「メイド。ナース。裸ワイシャツ+ニーソ。これを佐藤に全部着てもらうとしよう」
やはりか! やはり、そういう流れになるのか!
『先生! ナイスアイディアですよ!』
『先生は神ですか!?』
「はははっ。少し照れるな……」
何処が神だよ? あんた達は悪魔だよ。鬼だよ! 最低の生き物だよ!
「さて。まずはどの格好から始めようか……?」
クソ! クソ! クソ!
「メイドか? ナース? 裸ワイシャツ+ニーソか?」
この世界に……
この世界に神は居ないのか!?
もし今すぐ世界が崩壊するなら僕は喜んで崩壊を見守るだろう。
何でかって? そんなの当たり前だろ。
こんな恥ずかしい恰好してるんだぞ。マジで今すぐ死にたいよ。
それなのに――
「ふむ。やはり先生の目に狂いは無かったな。佐藤にはワイシャツ+ニーソが似合う」
先生の頭は完全に狂ってますけどね。
「しかし、一つ残念なのが裸ワイシャツでは無いという所か……」
心底残念そうな表情で僕を舐めまわすように見つめる。
『確かに先生のチョイスは悪くはないですが、やはりメイドには敵いませんね』
『そうですね。ナースの次くらいには、いいんじゃないですか?』
自分達の選択に自信を持ちつつも、視線で僕を犯している変態共。
これって裁判所に訴えたら勝てますよね?
でも、どうしてだろう? ここの人達は訴えても実刑を回避するような気がするのは。
下手したら、僕が裁判に負けるような気がする。
コイツ等は己の欲望のためならきっと、人には言えないような方法を取りそうだから。
あーあ。マジで世界が崩壊しないかな。
「よし。佐藤の可愛さをじっくりと網膜に焼き付けたし、そろそろ例のアレをするか」
例のアレって何だ?
『先生……あ、アレをやるって言うんですか?』
「ああ。やるぞ」
『ま、マジですか……アレをやるとは……』
先生の発言に周りがざわつきだす。
一体アレとは何なんだろう? まぁ、嫌な予感しかしないけどね。
「さぁ、やってまいりました佐藤優希の撮影会! 撮影会に参加される皆様、遠慮しないで
どんどんシャッターを切って下さいね!」
ぼ、僕の撮影会だと……?
しかも何でお前が進行してるんだよ。
そして、何気なくカメラを構えるな!
「優希! バカみたいに突っ立てないで、何かセクシーなポーズをとりなさい」
「え……?」
この人何言ってるの? 僕にセクシーなポーズをとれとか言わなかった?
そんなの無理に決まってるじゃないか。
そして、当たり前のように百瀬さんもカメラを構えているのね……
『優希こっちだ! こっちを見てくれ!』
『優希くん、足を! もう少し足を!』
『眩しい! 絶対領域が眩し過ぎる!』
どうして、ここの連中は自前のカメラを持っているのだろう?
写真を撮るのなら大体は携帯のカメラで撮るのに、ここの連中はちゃんとしたカメラを
持っている。
人によっては、かなり高そうなカメラを持っている人間まで居る。
ほんと、相当な変態の集まりだよね。
そして健気に皆の要望を叶えている僕は、優しさの塊のような存在だと思う。
「いいよぉ~優希。何でお前はそんなに可愛いんだよぉ……」
「はぁ……優希素敵だわ。その苦悶の表情堪らないわぁ……♪」
ダメだコイツ等。早くなんとかしないと……
そんな僕の嘆きは意味もなく、撮影会は進んでいく。
ワイシャツ+ニーソに始まり、メイドにナース。
そして何故か他の服まで用意されていて、どんどん着替えさせられていく。
時間が経つと同時に僕の人としての尊厳が奪われていくような気がする。
はは……っ。泣きたいよ。
――人間の醜い欲望を見た――
人の欲望は本当に醜くて酷かった。
僕にも欲望はある。だけど――
『ほわぁーっ! この写真だけで、この写真だけで俺は――』
『あぁ……優希くん。ほんと可愛いわぁ……部屋に監禁したいくらい可愛いわ♪』
『今回の撮影会で一週間分のオカズが手に入ったな』
僕の欲望は、ここまで酷くないと思うんだ。
てか、酷くても人前には出さないと思う。
それなのに、人前で平気で自分の欲望を曝け出すこの人達はある意味では羨ましい
のかもしれない。本当にある意味でだけど……
結局僕が何を言いたいのかといえば、妙に哲学的な事を言って現実逃避がしたいって
事だよ!
だってこうでもしないと、僕の精神がすり減ってしまうだろ!
何でかって? そんなの当たり前だろ。
こんな恥ずかしい恰好してるんだぞ。マジで今すぐ死にたいよ。
それなのに――
「ふむ。やはり先生の目に狂いは無かったな。佐藤にはワイシャツ+ニーソが似合う」
先生の頭は完全に狂ってますけどね。
「しかし、一つ残念なのが裸ワイシャツでは無いという所か……」
心底残念そうな表情で僕を舐めまわすように見つめる。
『確かに先生のチョイスは悪くはないですが、やはりメイドには敵いませんね』
『そうですね。ナースの次くらいには、いいんじゃないですか?』
自分達の選択に自信を持ちつつも、視線で僕を犯している変態共。
これって裁判所に訴えたら勝てますよね?
でも、どうしてだろう? ここの人達は訴えても実刑を回避するような気がするのは。
下手したら、僕が裁判に負けるような気がする。
コイツ等は己の欲望のためならきっと、人には言えないような方法を取りそうだから。
あーあ。マジで世界が崩壊しないかな。
「よし。佐藤の可愛さをじっくりと網膜に焼き付けたし、そろそろ例のアレをするか」
例のアレって何だ?
『先生……あ、アレをやるって言うんですか?』
「ああ。やるぞ」
『ま、マジですか……アレをやるとは……』
先生の発言に周りがざわつきだす。
一体アレとは何なんだろう? まぁ、嫌な予感しかしないけどね。
「さぁ、やってまいりました佐藤優希の撮影会! 撮影会に参加される皆様、遠慮しないで
どんどんシャッターを切って下さいね!」
ぼ、僕の撮影会だと……?
しかも何でお前が進行してるんだよ。
そして、何気なくカメラを構えるな!
「優希! バカみたいに突っ立てないで、何かセクシーなポーズをとりなさい」
「え……?」
この人何言ってるの? 僕にセクシーなポーズをとれとか言わなかった?
そんなの無理に決まってるじゃないか。
そして、当たり前のように百瀬さんもカメラを構えているのね……
『優希こっちだ! こっちを見てくれ!』
『優希くん、足を! もう少し足を!』
『眩しい! 絶対領域が眩し過ぎる!』
どうして、ここの連中は自前のカメラを持っているのだろう?
写真を撮るのなら大体は携帯のカメラで撮るのに、ここの連中はちゃんとしたカメラを
持っている。
人によっては、かなり高そうなカメラを持っている人間まで居る。
ほんと、相当な変態の集まりだよね。
そして健気に皆の要望を叶えている僕は、優しさの塊のような存在だと思う。
「いいよぉ~優希。何でお前はそんなに可愛いんだよぉ……」
「はぁ……優希素敵だわ。その苦悶の表情堪らないわぁ……♪」
ダメだコイツ等。早くなんとかしないと……
そんな僕の嘆きは意味もなく、撮影会は進んでいく。
ワイシャツ+ニーソに始まり、メイドにナース。
そして何故か他の服まで用意されていて、どんどん着替えさせられていく。
時間が経つと同時に僕の人としての尊厳が奪われていくような気がする。
はは……っ。泣きたいよ。
――人間の醜い欲望を見た――
人の欲望は本当に醜くて酷かった。
僕にも欲望はある。だけど――
『ほわぁーっ! この写真だけで、この写真だけで俺は――』
『あぁ……優希くん。ほんと可愛いわぁ……部屋に監禁したいくらい可愛いわ♪』
『今回の撮影会で一週間分のオカズが手に入ったな』
僕の欲望は、ここまで酷くないと思うんだ。
てか、酷くても人前には出さないと思う。
それなのに、人前で平気で自分の欲望を曝け出すこの人達はある意味では羨ましい
のかもしれない。本当にある意味でだけど……
結局僕が何を言いたいのかといえば、妙に哲学的な事を言って現実逃避がしたいって
事だよ!
だってこうでもしないと、僕の精神がすり減ってしまうだろ!
己の精神を鍛える修行。
実に厳しい苦行を僕は乗り切った。
これで僕の器の大きさも一回り大きく――なるわけないだろ!
「お前らマジでいい加減にしろよな!」
器の小さい。いや、どちらかといえば大きいかな。
そんな僕でもそろそろ我慢の限界だった。
この変態共に文句を言ってもいいと思うんだ。
僕にはその権利があるはずだから。
『え……? お前何言ってるの?』
ん?
『君の言っている事が理解出来ないよ』
え?
『怒ってる顔も素敵♪』
は?
な、何この空気。
いきなり声を荒げて怒れば多少は変な空気になるのは分かるけど、今のこの空気はおかしい。
「優希ったら、急におかしな事を言い出して何処かに頭でもぶつけた?」
「いやいや、僕は何時だって正常なんだけど」
「あははっ♪ 優希ったら何冗談言ってるのよ。あんたは常に変なのよ♪」
「ええー」
僕がおかしいなんてあり得ないよ。100人に聞いたら全員が正常だって言うくらい普通なのに、
おかしいのは、皆の方なんだよー!
「まぁまぁ、落ち着け相棒。あまり怒ると綺麗な肌が台無しになるぞ」
「うるせぇ、黙れ、死ね」
お前は許可もなく僕に話しかけるんじゃない。
お前と話すだけで損した気分になるんだよ。
「ふぅ……言っても聞いてくれないか。しかし……お前に罵声を浴びせられるのは、やはり気持ち
がいいな」
無視だ。無視をしよう。
くそっ! 何でここの人達は皆頭のネジが何本も吹っ飛んでいるんだろう?
ここまで変態が多いと唯一の普通の人間である僕が、異常な感じがするじゃないか。
これが数の論理というやつなのか?
「先生は佐藤の言っている事を理解しているぞ」
「先生……」
あなたが一番理解してないと思ってたんですけどね。
「つまり……アレだ。何か理由が欲しいんだろ」
いや、それは――
「だったらアレだ。誕生日だからという事にしよう」
「誰の誕生日ですか? あと、色々と間違ってますから」
やはり先生は僕の想いを全然理解していなかったよ。
「先生が生徒の気持ちを間違うはずがないだろ。それと、誕生日の奴は一人くらいクラスに居るだろ」
「く……っ」
この人は……勘違いが激しすぎるだろ。
それに適当具合は半端じゃないな。どうして教師になる事が出来たのだろうか。
「仮にクラスに誕生日の奴が居なくとも、世界の何処かの誰かは誕生日だろ」
それはそうですけど……
「よしっ! 誰かの誕生日を祝おうじゃないか!」
『おおーっ!』
「なら、お祝用の服に着替えないとだね♪」
「百瀬さん……それ、正気ですか?」
「あはっ♪」
ああ。大マジなんですね。分かります。
――本日誕生日の誰かへ――
僕個人としては非常にどうでもいい事なのですが、とりあえずおめでとうございます。
何故、僕があなたをお祝しているかは聞かないで下さい。
そして、出来ることならこの服装にも……
「誕生日とは何の関連も無いが、巫女さん服も悪くはない」
ほんと、誕生日とは全然関係が無いよな。
「見ているだけで、心が洗われるようだ……」
そのまま浄化して欲しいよ。
「さてさて、皆で歌を歌って誕生日を祝おうじゃないか」
『はーーい♪』
~♪ ハッピバースデートゥーユ―♪
ハッピバースデー♪ トゥーユー♪
ハッピバースデー………………
……………………♪
お祝いの歌なのに全然嬉しくない。
大体僕の誕生日じゃないし変な格好させられてるしね。
でも、不思議とテンションが上がるからこの歌は凄いと思う。
ま、本当にどうでもいい事なんだけどね!
負け惜しみなんかじゃないよ。本当にどうでもいいんだからね。
実に厳しい苦行を僕は乗り切った。
これで僕の器の大きさも一回り大きく――なるわけないだろ!
「お前らマジでいい加減にしろよな!」
器の小さい。いや、どちらかといえば大きいかな。
そんな僕でもそろそろ我慢の限界だった。
この変態共に文句を言ってもいいと思うんだ。
僕にはその権利があるはずだから。
『え……? お前何言ってるの?』
ん?
『君の言っている事が理解出来ないよ』
え?
『怒ってる顔も素敵♪』
は?
な、何この空気。
いきなり声を荒げて怒れば多少は変な空気になるのは分かるけど、今のこの空気はおかしい。
「優希ったら、急におかしな事を言い出して何処かに頭でもぶつけた?」
「いやいや、僕は何時だって正常なんだけど」
「あははっ♪ 優希ったら何冗談言ってるのよ。あんたは常に変なのよ♪」
「ええー」
僕がおかしいなんてあり得ないよ。100人に聞いたら全員が正常だって言うくらい普通なのに、
おかしいのは、皆の方なんだよー!
「まぁまぁ、落ち着け相棒。あまり怒ると綺麗な肌が台無しになるぞ」
「うるせぇ、黙れ、死ね」
お前は許可もなく僕に話しかけるんじゃない。
お前と話すだけで損した気分になるんだよ。
「ふぅ……言っても聞いてくれないか。しかし……お前に罵声を浴びせられるのは、やはり気持ち
がいいな」
無視だ。無視をしよう。
くそっ! 何でここの人達は皆頭のネジが何本も吹っ飛んでいるんだろう?
ここまで変態が多いと唯一の普通の人間である僕が、異常な感じがするじゃないか。
これが数の論理というやつなのか?
「先生は佐藤の言っている事を理解しているぞ」
「先生……」
あなたが一番理解してないと思ってたんですけどね。
「つまり……アレだ。何か理由が欲しいんだろ」
いや、それは――
「だったらアレだ。誕生日だからという事にしよう」
「誰の誕生日ですか? あと、色々と間違ってますから」
やはり先生は僕の想いを全然理解していなかったよ。
「先生が生徒の気持ちを間違うはずがないだろ。それと、誕生日の奴は一人くらいクラスに居るだろ」
「く……っ」
この人は……勘違いが激しすぎるだろ。
それに適当具合は半端じゃないな。どうして教師になる事が出来たのだろうか。
「仮にクラスに誕生日の奴が居なくとも、世界の何処かの誰かは誕生日だろ」
それはそうですけど……
「よしっ! 誰かの誕生日を祝おうじゃないか!」
『おおーっ!』
「なら、お祝用の服に着替えないとだね♪」
「百瀬さん……それ、正気ですか?」
「あはっ♪」
ああ。大マジなんですね。分かります。
――本日誕生日の誰かへ――
僕個人としては非常にどうでもいい事なのですが、とりあえずおめでとうございます。
何故、僕があなたをお祝しているかは聞かないで下さい。
そして、出来ることならこの服装にも……
「誕生日とは何の関連も無いが、巫女さん服も悪くはない」
ほんと、誕生日とは全然関係が無いよな。
「見ているだけで、心が洗われるようだ……」
そのまま浄化して欲しいよ。
「さてさて、皆で歌を歌って誕生日を祝おうじゃないか」
『はーーい♪』
~♪ ハッピバースデートゥーユ―♪
ハッピバースデー♪ トゥーユー♪
ハッピバースデー………………
……………………♪
お祝いの歌なのに全然嬉しくない。
大体僕の誕生日じゃないし変な格好させられてるしね。
でも、不思議とテンションが上がるからこの歌は凄いと思う。
ま、本当にどうでもいい事なんだけどね!
負け惜しみなんかじゃないよ。本当にどうでもいいんだからね。
ここ最近変な視線を感じる。
変な視線自体はクラスの人間達から嫌という程感じるんだけど、
その気持ち悪い視線とはまた違う感じの視線を感じるんだ。
ねっとりとした絡み付くような視線。
まるで視線だけで犯されているような感覚だ。
「険しい顔して何かあったのか?」
「お前には何も言うつもりは無いし、そもそもお前が僕の前から消えてくれたら多少は穏やかな
表情になれるかもしれないな」
「おいおい冗談は止めてくれよ」
「冗談じゃないし、存在が冗談みたいな奴に言われたくはないな」
存在が冗談というか、存在が犯罪なんだけどね。コイツの場合は。
「変態の事は無視して優希本当に大丈夫なの? 私個人としては、疲れ果てている優希の顔を
見るのは大好きだけど、倒れられたりするのは困るわ」
「百瀬さん……」
少しは僕の事を心配してくれているのでしょうが、ちょいちょい言葉の中に気になる単語が
入っているんですよね。
「それで何か気になる事があるの?」
「えっと、実はですね……」
「変な視線を感じるですって!?」
「そうなんですよ。何かねっとりとした視線なんですよ」
「ストーカーの類かもしれないわね♪」
「可能性はありますが……って、どうして百瀬さんはそんなに嬉しそうなんですか?」
「あはっ♪ もう分かってるでしょ?」
はいはい。もう完全に分かりましたよ。苦しんでいる僕の表情を見るのが好きなんですよね。
やっぱりこの人に相談したのが間違いだったよ。
「――で、お前は何を落ち込んでるんだ?」
「俺には相談してくれなくて、百瀬には相談するんだな」
「は? そんなの当たり前だろ」
お前には死んでも相談なんかしないよ。そもそも、あまり話したくはないしな。
「クソッ! こういう扱いは嬉しいじゃないか」
「あーはいはい、いいから消えてくれ」
本気でお前の相手をしている場合じゃないんだよ。僕は――――っ!?
来た。あの視線をまた感じた。
僕は恐る恐るその視線の先を見ると、そこには――
「…………じぃー」
「あ、あれ?」
小さな女の子が物凄い眼で僕を睨んでいた。
あれー? 僕この子に何かしたんだろうか? といっても、見た事も無い子だし……
「ねぇ、優希……あの可愛らしい娘は誰なの?」
「いや知らな……って、百瀬さん? 表情が何気に怖いんだけど……」
表情は笑顔なのに全然笑ってないんだよね。
「女の子に向かって怖いって、どういう事かしら?」
「そ、そういうわけじゃ……」
百瀬さんは何で怒ってるんだろ? 僕は何もしていないのに。
「優希は後でお仕置きだね♪」
「え……?」
「う~んと可愛い服を着せてあげるからね♪」
「…………」
なんということでしょう。意味が分からないままお仕置きをされる事になりました。
それにしても、あの子は誰なんだろう?
何をするわけでもなく、ただひたすら僕を睨んでいるみたいだけど……
とにかく話しかけてみるしかないよね。
「じぃ―――――」
「あ、あの……僕に何か用かな?」
勇気を持って話しかけてみたんだけど……
「…………何でもない」
いやいや、何でもない事は無いでしょう。何でも無いのならそんな目で僕を見なくても
いいと思うんだよね。
「ほ、本当に何も無いの?」
あってほしいとは思わないけど、何も無いのに睨まれるのは嫌すぎる。
「…………」
完全な無言ですよ。本気で無視をされてますよ僕。
人に無視されるのって意外に辛いのね。だからといって、アイツの待遇がよくなるわけ
じゃないんだけどね。待遇をよくしてもつけ上がるだけだし。
変態には変態用の扱いってものがあると思うんだ。
「……変態」
「え?」
「あなたは……変態なの……?」
「は――っ!? な、何言ってるんだよ! 僕は変態なんかじゃないよ!」
自信を持って言う事が出来る。僕は変態じゃないと。
「じゃぁ……何で……女の子の格好とか……したりしてるの?」
「そ、それは――」
別に僕が好きでしているわけじゃないし、一番の変態はこのクラスの連中なんだよ。
「でも……女の子の格好のあなたは……可愛いと思う……」
「え……?」
「写真も……沢山……持っている……」
マジですか……
「それで……よかったら友達になって……欲しい」
「別にいいけど」
僕はそれよりも写真の件について話しを聞きたいかな。
「よかった……わたしは頼子だから……よろしく」
「あ、うん」
言うだけ言って彼女。頼子ちゃんは何処かに行ってしまった。
一体彼女は何だったのだろう。僕と友達になりたかったみたいだけど、それだけであんなに
睨むのはどうかと思う。
「あははっ……神聖な学び舎でナンパするなんてどういう事かな?」
「ナンパなんて――」
ただ普通に話しをして普通に友達になっただけなのに、それだけでナンパと決めつけられる
のはどうなの?
「これはもう、お仕置きだけじゃ済まされないわよ」
「そ、そんな――」
「覚悟しなさいよ優希♪」
「…………」
ああ、アレだ。もう何を言っても無駄なんだろうね。
この後どんなお仕置きをされるのか分からないけど、確実に言える事は僕が不幸だという事だ。
そしてもう一つは――
女装してないのが実に久しぶりだという事だよね。
ある意味では、話しとして違う方向にいっただけなんだけど……
あ、いや……別に女装がしたいとかそういうわけじゃないからね。
そこは本気で勘違いしないでね!
それにどうせ、次回で女装させられるんだろうしね。つかの間の休息といった所かな。
変な視線自体はクラスの人間達から嫌という程感じるんだけど、
その気持ち悪い視線とはまた違う感じの視線を感じるんだ。
ねっとりとした絡み付くような視線。
まるで視線だけで犯されているような感覚だ。
「険しい顔して何かあったのか?」
「お前には何も言うつもりは無いし、そもそもお前が僕の前から消えてくれたら多少は穏やかな
表情になれるかもしれないな」
「おいおい冗談は止めてくれよ」
「冗談じゃないし、存在が冗談みたいな奴に言われたくはないな」
存在が冗談というか、存在が犯罪なんだけどね。コイツの場合は。
「変態の事は無視して優希本当に大丈夫なの? 私個人としては、疲れ果てている優希の顔を
見るのは大好きだけど、倒れられたりするのは困るわ」
「百瀬さん……」
少しは僕の事を心配してくれているのでしょうが、ちょいちょい言葉の中に気になる単語が
入っているんですよね。
「それで何か気になる事があるの?」
「えっと、実はですね……」
「変な視線を感じるですって!?」
「そうなんですよ。何かねっとりとした視線なんですよ」
「ストーカーの類かもしれないわね♪」
「可能性はありますが……って、どうして百瀬さんはそんなに嬉しそうなんですか?」
「あはっ♪ もう分かってるでしょ?」
はいはい。もう完全に分かりましたよ。苦しんでいる僕の表情を見るのが好きなんですよね。
やっぱりこの人に相談したのが間違いだったよ。
「――で、お前は何を落ち込んでるんだ?」
「俺には相談してくれなくて、百瀬には相談するんだな」
「は? そんなの当たり前だろ」
お前には死んでも相談なんかしないよ。そもそも、あまり話したくはないしな。
「クソッ! こういう扱いは嬉しいじゃないか」
「あーはいはい、いいから消えてくれ」
本気でお前の相手をしている場合じゃないんだよ。僕は――――っ!?
来た。あの視線をまた感じた。
僕は恐る恐るその視線の先を見ると、そこには――
「…………じぃー」
「あ、あれ?」
小さな女の子が物凄い眼で僕を睨んでいた。
あれー? 僕この子に何かしたんだろうか? といっても、見た事も無い子だし……
「ねぇ、優希……あの可愛らしい娘は誰なの?」
「いや知らな……って、百瀬さん? 表情が何気に怖いんだけど……」
表情は笑顔なのに全然笑ってないんだよね。
「女の子に向かって怖いって、どういう事かしら?」
「そ、そういうわけじゃ……」
百瀬さんは何で怒ってるんだろ? 僕は何もしていないのに。
「優希は後でお仕置きだね♪」
「え……?」
「う~んと可愛い服を着せてあげるからね♪」
「…………」
なんということでしょう。意味が分からないままお仕置きをされる事になりました。
それにしても、あの子は誰なんだろう?
何をするわけでもなく、ただひたすら僕を睨んでいるみたいだけど……
とにかく話しかけてみるしかないよね。
「じぃ―――――」
「あ、あの……僕に何か用かな?」
勇気を持って話しかけてみたんだけど……
「…………何でもない」
いやいや、何でもない事は無いでしょう。何でも無いのならそんな目で僕を見なくても
いいと思うんだよね。
「ほ、本当に何も無いの?」
あってほしいとは思わないけど、何も無いのに睨まれるのは嫌すぎる。
「…………」
完全な無言ですよ。本気で無視をされてますよ僕。
人に無視されるのって意外に辛いのね。だからといって、アイツの待遇がよくなるわけ
じゃないんだけどね。待遇をよくしてもつけ上がるだけだし。
変態には変態用の扱いってものがあると思うんだ。
「……変態」
「え?」
「あなたは……変態なの……?」
「は――っ!? な、何言ってるんだよ! 僕は変態なんかじゃないよ!」
自信を持って言う事が出来る。僕は変態じゃないと。
「じゃぁ……何で……女の子の格好とか……したりしてるの?」
「そ、それは――」
別に僕が好きでしているわけじゃないし、一番の変態はこのクラスの連中なんだよ。
「でも……女の子の格好のあなたは……可愛いと思う……」
「え……?」
「写真も……沢山……持っている……」
マジですか……
「それで……よかったら友達になって……欲しい」
「別にいいけど」
僕はそれよりも写真の件について話しを聞きたいかな。
「よかった……わたしは頼子だから……よろしく」
「あ、うん」
言うだけ言って彼女。頼子ちゃんは何処かに行ってしまった。
一体彼女は何だったのだろう。僕と友達になりたかったみたいだけど、それだけであんなに
睨むのはどうかと思う。
「あははっ……神聖な学び舎でナンパするなんてどういう事かな?」
「ナンパなんて――」
ただ普通に話しをして普通に友達になっただけなのに、それだけでナンパと決めつけられる
のはどうなの?
「これはもう、お仕置きだけじゃ済まされないわよ」
「そ、そんな――」
「覚悟しなさいよ優希♪」
「…………」
ああ、アレだ。もう何を言っても無駄なんだろうね。
この後どんなお仕置きをされるのか分からないけど、確実に言える事は僕が不幸だという事だ。
そしてもう一つは――
女装してないのが実に久しぶりだという事だよね。
ある意味では、話しとして違う方向にいっただけなんだけど……
あ、いや……別に女装がしたいとかそういうわけじゃないからね。
そこは本気で勘違いしないでね!
それにどうせ、次回で女装させられるんだろうしね。つかの間の休息といった所かな。
ガーターベルトっていうのかな? よくわからないけど、まさかそんな物を装着する日が
来るなんて夢にも思わなかったよ。
「いや~ん。ゴスロリ優希可愛いわね♪」
「確かに……想像以上の可愛さ……」
「は、はは……」
やっぱり、こんな事で褒められても全然嬉しくないよ。
「そうだぞ。今回の衣装は俺の中でも歴代トップ3には入るぞ」
「そうかよ。僕の中でお前は今すぐ消えて欲しいランキングの第一位だよ」
因みにこのランキングは未来永劫変わる事は無いと思う。
「そして、どうしてここに頼子ちゃんがいるの?」
何時のまに現れたんだろう? そして、出来る事なら彼女にはこんな姿を見せたくは無かった。
「……気にしないで……」
「かなり気になるんだけど……」
「気にしたら……負け……」
何に負けるのだろう?
「あなたの……いるところにわたしは……いつでもいる」
……怖すぎますよ頼子ちゃん。
「余計な存在が増えるのは私的によくないけど、今は優希の可愛らしい姿を満喫するのが
先だからね。それに悔しいけど彼女もなかなかいい趣味をしてるみたいだしね♪」
「褒められても困る……」
僕も変態が増えるのは非常に困る。
『こまけぇことはどうでもいい!』
『今は我らがアイドルの勇姿をその目に焼きつけよう』
『この後の授業なんかやっている場合じゃない!』
あーあ。クラスの変態共が騒ぎだしたよ。
「教師としてはお前等の発言は止めるべきなんだが、佐藤が可愛いのが悪いし今回は目を瞑ろう」
いや、ここは教師として皆の暴走を止めるのが、あなたの役目でしょ!
何で僕の女装ひとつで、後半の授業が全てなくなるんだよ!?
教育者としてそれはどうなのよ。
「お前等、先生が校長を説得してくるから存分に楽しめよ!」
とても凛々しい表情を見せて、校長室に向かう先生。
どうしてこんな時にそんな表情を見せるのだろうか? 凛々しい表情を見せるのは、もっと違う場面で
見せるべきだと思うんだよね。
『せ、先生……!』
『先生の犠牲は無駄にはしないよ……』
『先生は教師の鑑ですよ……』
そして、コイツ達は一体何を言っているんだろう?
感動するポイントが全然分からないんだが。
「教師からのお許しも出たことだし、さっそく――」
「さっそく、優希で楽しみましょうかね♪」
「な――っ!? お、俺の台詞――」
「もう少し……スカートの裾を……あげて……欲しいかも」
「ま、また台詞が!?」
お前の台詞が遮られるのは問題ないだよ。
むしろ、誰かに遮られる事によってお前の声を聞かなくていいから都合がいいんだよ。
そして、僕で遊ぶのを回避する事は無理なんだね。
分かり切っている事だけど、やはり悲しいものがあるよ。
僕は皆の玩具じゃないって言いたいけど、言ったらどうせ「何言ってるんだ? お前は皆の玩具だろ」
って、言葉が返ってくるに決まってるからね。
言うだけ無駄なんだよ。
「早く……スカートの裾を……」
これだから変態は困る。
もう少し人としての常識を持って欲しい。
「スカート……」
あと、一人でもいいから僕を助けてくれるような人が欲しいよね。
この変態共を黙らせる事が出来るような人が……
「……もういい。自分でやるから……」
「ちょっ――っ!? 頼子ちゃん、何スカートの裾をあげようとしてるんだよ!?」
「散々……人を無視……するのが悪い……」
「いや、無視って……」
スカートの裾をあげろって言われたら、普通は無視するでしょ。
何で僕が皆にサービスをしてあげないといけないんだよ。もし、そんな事をしたら変態共が調子に乗る
から絶対にお断りだよ。
「それに……裾をあげるのは……皆の総意だから……」
「そ、総意って……」
変態共の欲望のために僕は犠牲になるというのか?
激しく遠慮したい所だね。
まぁ、すでに女装してるから説得力はないけどね。
それでも最後の意地だけは貫き通したい。
だから……ね。
『じぃ――っ!』
『じぃ――――――っ!』
『じぃ――――――――――っ!』
その場の全員がジト目で僕を見つめる。
何これ? まるで全員で空気を読めっていっているような感じは。
あれですか? 本当に僕はスカートの裾をあげないといけないんですか?
「優希、早くしなさい」
「……はやく……」
「さぁ、兄弟! 早く俺に奇跡を見せてくれ!」
逃げられない現実。皆さんはそんな現実にぶつかった時、どうしますか?
僕は――
――その現実を甘んじて受け入れようと思います。
…………チクチョウ。
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?』
変態共の叫びが木霊する。
本当にこの後の授業が全てなくなってしまった。
校長は一体何をやっているのだろうか? そして先生は一体どんな説得をしたのだろう。
何で世界は変態共に優しく出来ているんでしょうか?
もう少し僕に優しく出来ていてもいいと思う……
来るなんて夢にも思わなかったよ。
「いや~ん。ゴスロリ優希可愛いわね♪」
「確かに……想像以上の可愛さ……」
「は、はは……」
やっぱり、こんな事で褒められても全然嬉しくないよ。
「そうだぞ。今回の衣装は俺の中でも歴代トップ3には入るぞ」
「そうかよ。僕の中でお前は今すぐ消えて欲しいランキングの第一位だよ」
因みにこのランキングは未来永劫変わる事は無いと思う。
「そして、どうしてここに頼子ちゃんがいるの?」
何時のまに現れたんだろう? そして、出来る事なら彼女にはこんな姿を見せたくは無かった。
「……気にしないで……」
「かなり気になるんだけど……」
「気にしたら……負け……」
何に負けるのだろう?
「あなたの……いるところにわたしは……いつでもいる」
……怖すぎますよ頼子ちゃん。
「余計な存在が増えるのは私的によくないけど、今は優希の可愛らしい姿を満喫するのが
先だからね。それに悔しいけど彼女もなかなかいい趣味をしてるみたいだしね♪」
「褒められても困る……」
僕も変態が増えるのは非常に困る。
『こまけぇことはどうでもいい!』
『今は我らがアイドルの勇姿をその目に焼きつけよう』
『この後の授業なんかやっている場合じゃない!』
あーあ。クラスの変態共が騒ぎだしたよ。
「教師としてはお前等の発言は止めるべきなんだが、佐藤が可愛いのが悪いし今回は目を瞑ろう」
いや、ここは教師として皆の暴走を止めるのが、あなたの役目でしょ!
何で僕の女装ひとつで、後半の授業が全てなくなるんだよ!?
教育者としてそれはどうなのよ。
「お前等、先生が校長を説得してくるから存分に楽しめよ!」
とても凛々しい表情を見せて、校長室に向かう先生。
どうしてこんな時にそんな表情を見せるのだろうか? 凛々しい表情を見せるのは、もっと違う場面で
見せるべきだと思うんだよね。
『せ、先生……!』
『先生の犠牲は無駄にはしないよ……』
『先生は教師の鑑ですよ……』
そして、コイツ達は一体何を言っているんだろう?
感動するポイントが全然分からないんだが。
「教師からのお許しも出たことだし、さっそく――」
「さっそく、優希で楽しみましょうかね♪」
「な――っ!? お、俺の台詞――」
「もう少し……スカートの裾を……あげて……欲しいかも」
「ま、また台詞が!?」
お前の台詞が遮られるのは問題ないだよ。
むしろ、誰かに遮られる事によってお前の声を聞かなくていいから都合がいいんだよ。
そして、僕で遊ぶのを回避する事は無理なんだね。
分かり切っている事だけど、やはり悲しいものがあるよ。
僕は皆の玩具じゃないって言いたいけど、言ったらどうせ「何言ってるんだ? お前は皆の玩具だろ」
って、言葉が返ってくるに決まってるからね。
言うだけ無駄なんだよ。
「早く……スカートの裾を……」
これだから変態は困る。
もう少し人としての常識を持って欲しい。
「スカート……」
あと、一人でもいいから僕を助けてくれるような人が欲しいよね。
この変態共を黙らせる事が出来るような人が……
「……もういい。自分でやるから……」
「ちょっ――っ!? 頼子ちゃん、何スカートの裾をあげようとしてるんだよ!?」
「散々……人を無視……するのが悪い……」
「いや、無視って……」
スカートの裾をあげろって言われたら、普通は無視するでしょ。
何で僕が皆にサービスをしてあげないといけないんだよ。もし、そんな事をしたら変態共が調子に乗る
から絶対にお断りだよ。
「それに……裾をあげるのは……皆の総意だから……」
「そ、総意って……」
変態共の欲望のために僕は犠牲になるというのか?
激しく遠慮したい所だね。
まぁ、すでに女装してるから説得力はないけどね。
それでも最後の意地だけは貫き通したい。
だから……ね。
『じぃ――っ!』
『じぃ――――――っ!』
『じぃ――――――――――っ!』
その場の全員がジト目で僕を見つめる。
何これ? まるで全員で空気を読めっていっているような感じは。
あれですか? 本当に僕はスカートの裾をあげないといけないんですか?
「優希、早くしなさい」
「……はやく……」
「さぁ、兄弟! 早く俺に奇跡を見せてくれ!」
逃げられない現実。皆さんはそんな現実にぶつかった時、どうしますか?
僕は――
――その現実を甘んじて受け入れようと思います。
…………チクチョウ。
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?』
変態共の叫びが木霊する。
本当にこの後の授業が全てなくなってしまった。
校長は一体何をやっているのだろうか? そして先生は一体どんな説得をしたのだろう。
何で世界は変態共に優しく出来ているんでしょうか?
もう少し僕に優しく出来ていてもいいと思う……
今日は学校が休みで、目が覚めると当たり前のように自分の部屋にいるはずなんだけど。
朝起きると、そこは見知らぬ場所だった。
何故見知らぬ場所に居るのか? どうして現在に至るまでの記憶が曖昧なのか?
辺りを見回すと答えはすぐに出てきた。
「ふんふふ~ん♪ ~♪」
「この……衣装とか……どう?」
「悪くはないんだけど、もう少しパンチが欲しいわね」
「そう……だったら、これ……は?」
百瀬さんと頼子ちゃんが楽しそうに談笑している。
そして二人の前には無数の衣装が用意されている。
それだけで全てを理解してしまった。
方法は分からないが、僕が寝ている間にこっそりとこの場所に移動させたようだ。
何故そんな事を――って、考えるまでもないよね。
それにしても勝手に人の家に侵入するのはどうかと思う。
不法侵入に拉致行為。何処の犯罪者ですか、あなた達は。
「あ、あの~」
とりあえず二人に話しを聞こう。
聞くだけ無駄な気がしないでもないが、このままでは話しが進まないし仕方ないよね。
それに二人の理性が何処まで正常なのか調べないといけないしね。
正常と言っても二人の場合、正常が異常なんだけどね。
「あら、優希おはよっ♪」
「…………おはよう」
「あ、うん。おはよう」
挨拶をするだけの知性は残っているみたいだね。だからといって僕の安全が確保されたわけ
じゃないんだけど……
「えっと……ここは何処なの? そして何で僕は二人に拉致されてるのかな?」
拉致した理由は何となく予想が出来るけど、この場所については全然予想出来ない。
「…………わたしの……家」
「そ、そうなんだ……」
頼子ちゃんって、実はかなりお金持ちだったんだね。
この部屋だけで学校の教室くらいの広さがあるんだけど……
「何も無い……所だけど……ゆっくりしてて……」
「……うん」
本当にこんな所でゆっくり出来ると思ってるのかな? それに何も無いって言ってるけど、
恐ろしいくらいの量の衣装があるよね。
それで何も無いってどういう神経をしているのだろう。
ゆっくりするといっても、ただただ彼女達が衣装を決めるのを大人しく待っているだけでしょ。
そして決められた衣装を着て辱められる。それだけの事。
今回はクラスの連中が居ないだけマシかもしれないけど、恥ずかしいのには変わりはない。
「優希。もう分かっていると思うけど……」
「その衣装を着ろって言うんでしょ?」
「そっ♪」
分かり切っているとはいえ、やはり悲しいものがあるよ。
まぁ、いくら悲しくてもそれが着替えなくていい理由にはならないわけで……
「やぁ~ん♪ 優希可愛いわよ♪」
「確かに……少しだけ……嫉妬……してしまいそう」
今回用意された衣装はセーラー服である。
ついに女子の制服を着る日が来るとは……と、いっても他にも色々と残念な衣装は着て
るんだよね。
しかも今回は強制的にスカートが短くなっている。
「……はぅ……」
これは頼子ちゃんの仕業に違いないだろう。
「うんうん。短いスカートはやっぱりいいわね♪ もう少しで下着が見えそうなのがまた――」
「――――っ!?」
こ、この人は本当何を考えてるんだよ!?
いきなりスカートを捲ろうとしてきたぞ! 男物の下着とはいえ、異性に見られるのは恥ずか
しいんだぞ!
「も、百瀬さん……?」
「ごめん、ごめん。つい出来心で♪」
「つい、じゃないよ」
ただの出来心でスカートを捲られるなんて理不尽過ぎる。
「そして、頼子ちゃんは何をしてるのかな?」
僕と百瀬さんとのやり取りを無視して、何らゴソゴソと準備をしている。
「撮影の……準備」
「ま、また写真に撮るの!?」
この人達は毎回僕の女装を写真に収めないと気が済まないのかな?
「違う……動画に収める……の」
「ど、動画だって!?」
僕のこの恥ずかしい姿を映像に残すだと……?
それはマズイ。非常にマズイ。
写真に撮られるのもどうかと思うけど、映像で撮られるのはもっとマズイ。
「あはっ♪ 可愛く撮ってあげるからね」
「わたしの……技術の……全てを注いで……撮るから……大丈夫」
自信満々に言われても安心できないよ。
「今日は時間にも余裕があるし、たっぷりと時間をかけて撮るわよー♪」
「おー……」
何このテンション。これは、もしかしたら今日は帰る事が出来ないかもしれないな。
レンズ越しに感じる彼女達の視線。
その視線は犯されているような錯覚を覚えるほど鋭くて、
一時も休まる事は無かった。
そしてポーズについても何度も文句を言われた。
僕はただの被害者で、役者やアイドルなんかじゃないんだから棒立ちになるのは仕方ないと思う。
それなのに、色々と注文をつけてくるなんて、ほんとどんな神経をしているんだろ?
ああ。この人達は普通じゃなかったか。この人達はごく普通の――
――変態だったよね。
あと、何気に僕には休みとか関係無いんだね。
学校があろうと、なかろうと結局女装させられるんだね。
ありえないよね。
朝起きると、そこは見知らぬ場所だった。
何故見知らぬ場所に居るのか? どうして現在に至るまでの記憶が曖昧なのか?
辺りを見回すと答えはすぐに出てきた。
「ふんふふ~ん♪ ~♪」
「この……衣装とか……どう?」
「悪くはないんだけど、もう少しパンチが欲しいわね」
「そう……だったら、これ……は?」
百瀬さんと頼子ちゃんが楽しそうに談笑している。
そして二人の前には無数の衣装が用意されている。
それだけで全てを理解してしまった。
方法は分からないが、僕が寝ている間にこっそりとこの場所に移動させたようだ。
何故そんな事を――って、考えるまでもないよね。
それにしても勝手に人の家に侵入するのはどうかと思う。
不法侵入に拉致行為。何処の犯罪者ですか、あなた達は。
「あ、あの~」
とりあえず二人に話しを聞こう。
聞くだけ無駄な気がしないでもないが、このままでは話しが進まないし仕方ないよね。
それに二人の理性が何処まで正常なのか調べないといけないしね。
正常と言っても二人の場合、正常が異常なんだけどね。
「あら、優希おはよっ♪」
「…………おはよう」
「あ、うん。おはよう」
挨拶をするだけの知性は残っているみたいだね。だからといって僕の安全が確保されたわけ
じゃないんだけど……
「えっと……ここは何処なの? そして何で僕は二人に拉致されてるのかな?」
拉致した理由は何となく予想が出来るけど、この場所については全然予想出来ない。
「…………わたしの……家」
「そ、そうなんだ……」
頼子ちゃんって、実はかなりお金持ちだったんだね。
この部屋だけで学校の教室くらいの広さがあるんだけど……
「何も無い……所だけど……ゆっくりしてて……」
「……うん」
本当にこんな所でゆっくり出来ると思ってるのかな? それに何も無いって言ってるけど、
恐ろしいくらいの量の衣装があるよね。
それで何も無いってどういう神経をしているのだろう。
ゆっくりするといっても、ただただ彼女達が衣装を決めるのを大人しく待っているだけでしょ。
そして決められた衣装を着て辱められる。それだけの事。
今回はクラスの連中が居ないだけマシかもしれないけど、恥ずかしいのには変わりはない。
「優希。もう分かっていると思うけど……」
「その衣装を着ろって言うんでしょ?」
「そっ♪」
分かり切っているとはいえ、やはり悲しいものがあるよ。
まぁ、いくら悲しくてもそれが着替えなくていい理由にはならないわけで……
「やぁ~ん♪ 優希可愛いわよ♪」
「確かに……少しだけ……嫉妬……してしまいそう」
今回用意された衣装はセーラー服である。
ついに女子の制服を着る日が来るとは……と、いっても他にも色々と残念な衣装は着て
るんだよね。
しかも今回は強制的にスカートが短くなっている。
「……はぅ……」
これは頼子ちゃんの仕業に違いないだろう。
「うんうん。短いスカートはやっぱりいいわね♪ もう少しで下着が見えそうなのがまた――」
「――――っ!?」
こ、この人は本当何を考えてるんだよ!?
いきなりスカートを捲ろうとしてきたぞ! 男物の下着とはいえ、異性に見られるのは恥ずか
しいんだぞ!
「も、百瀬さん……?」
「ごめん、ごめん。つい出来心で♪」
「つい、じゃないよ」
ただの出来心でスカートを捲られるなんて理不尽過ぎる。
「そして、頼子ちゃんは何をしてるのかな?」
僕と百瀬さんとのやり取りを無視して、何らゴソゴソと準備をしている。
「撮影の……準備」
「ま、また写真に撮るの!?」
この人達は毎回僕の女装を写真に収めないと気が済まないのかな?
「違う……動画に収める……の」
「ど、動画だって!?」
僕のこの恥ずかしい姿を映像に残すだと……?
それはマズイ。非常にマズイ。
写真に撮られるのもどうかと思うけど、映像で撮られるのはもっとマズイ。
「あはっ♪ 可愛く撮ってあげるからね」
「わたしの……技術の……全てを注いで……撮るから……大丈夫」
自信満々に言われても安心できないよ。
「今日は時間にも余裕があるし、たっぷりと時間をかけて撮るわよー♪」
「おー……」
何このテンション。これは、もしかしたら今日は帰る事が出来ないかもしれないな。
レンズ越しに感じる彼女達の視線。
その視線は犯されているような錯覚を覚えるほど鋭くて、
一時も休まる事は無かった。
そしてポーズについても何度も文句を言われた。
僕はただの被害者で、役者やアイドルなんかじゃないんだから棒立ちになるのは仕方ないと思う。
それなのに、色々と注文をつけてくるなんて、ほんとどんな神経をしているんだろ?
ああ。この人達は普通じゃなかったか。この人達はごく普通の――
――変態だったよね。
あと、何気に僕には休みとか関係無いんだね。
学校があろうと、なかろうと結局女装させられるんだね。
ありえないよね。
授業とは、ただ机の上だけでするものではない。
時には外に出て勉強をする事だってある。
更にはペンを動かすのではなく、身体を動かす授業だってある。
そう。体育という最悪の授業が……
僕自身、運動は好きだし体育も嫌いでは無い。
体育自体は問題は無いのだ。問題なのは、体育ではなく授業を受ける時の服装にあるのだ。
「何で……何で、僕の体操服が女子の体操服になってるんだよ……」
おかしいにもほどがあると思うんだ。
百歩譲って、上は女子のでも問題は無いけど、下の方は明らかにおかしいだろ!
「さぁ、相棒。早く俺にお前のブルマ姿を見せてくれ!」
「黙れ! 死ね! 本当に死ね!」
クソッ! 僕の本物の体操服は何処にいったんだよ!
人の体操服を隠して違う物を用意するなんて、苛めどころの騒ぎじゃないよね。
それに何で僕だけブルマなの?
ここの学校の女子の体操服の下はスパッツタイプの物なのに、何でブルマ?
一体何処からこんな物を手に入れて来たんだよ。
「どうだ佐藤。先生からのプレゼントは気に入ったか?」
「先生……」
余計なプレゼントすぎる。そして、かなり迷惑すぎるよ先生。
「可愛い男の子がブルマを穿く。何とも言えない背徳感が素晴らしいな」
ブルマは穿きませんし、背徳感が素晴らしいとも思わないですよ。
「優希のブルマ姿……胸が熱くなるわね♪」
勝手に胸を熱くしないで欲しい。
「佐藤」
「せんせ……い?」
先生が物凄く真剣な表情で僕を見据える。
い、一体何を言うんだろう? 真面目な内容の話しなんだろうか。
「お前がブルマを穿きたくないのならそれは別に構わない」
嘘……でしょ? 先生がそんな事を言ってくれるなんて……
「構わないが――」
変態だ。変態だと思っていたけど、一応は教師としての自覚があったんですね。少しだけ
先生の事を見直しましたよ。
「男子の体操服で体育に出席した場合、お前の体育の成績は0点だ!」
「…………は?」
は、はは……っ。僕のちょっとした聞き間違いかな? 男子の体操服で体育に出席をしたら
0点って、ありえないでしょ。
「これは冗談でも聞き間違いでもないからな。先生をあまりバカにしない方がいいぞ。先生くらい
になると、成績を弄るくらいなんともないんだからな!」
な、なんだって――――っ!?
「成績を弄るなんて教師のする事じゃないですよ!」
しかも、それを利用して僕にブルマを穿かせようとするなんて人の所業じゃない。
「何を言う。体育の成績しか弄らないのだから、むしろ優しいだろ」
「全然優しくないですよ!」
本当の意味で優しいっていうのは、僕に女装をさせないように周囲の人間を説得する事でしょ。
「なら、全ての成績を0点にしてやろうか?」
「勘弁して下さい」
それだけは本気で勘弁して下さい。それだけは洒落にならないから。
「優希。そろそろ諦めたらどうなの? 人生何事も諦めが肝心だったりするのよ」
「いやいや、今諦めたらもう二度と戻れない所に行ってしまうから!」
「それも素敵よ♪」
ああ……最悪だ。こんな時誰か頼りになる人間は――
『ふ……股間が熱くなるな』
『ブルマ! ブルマ! ブルマ!』
『わくわく。どきどき』
ダメだ。頼りになる人間なんて初めから此処にはいなかった。
全員が敵で、全員が変態だ。
ああ。僕は人として完全に道を踏み外さないといけないのか。
僕だけはマトモでいたかったのに、ついに変態の仲間入りをしないといけないのか。
――嫌だ! 嫌すぎるよ! やっぱり変態なんかになりたくないよ!
何で僕がブルマを穿かないといけないんだよぉ……
「優希」
「百瀬さん……」
今度は何を言うつもりですか? どうせくだらない事だと思いますけど。
「仕方ないから今回だけは助けてあげるわよ♪」
「え……?」
今何て言ったの? 僕を助けてくれるだと? あの百瀬さんが!?
何かの冗談でしょ。
「ブルマ姿の優希は正直かなり見てみたいけど、今ここで優希に借りと作るのも悪くは
無いって思うのよね」
借り……ですか。ははっ。ただでは助けてくれないのね。
「どうする? 今度個人的に私のためだけに女装してくれるのなら、助けてあげるわよ」
「どうせ僕に拒否権はないんでしょ?」
「拒否したらブルマを穿くだけよ♪」
「…………お願いします」
考えるだけ無駄なようだね。結局のところ僕にはこの選択肢しかないわけで……
「ん♪ まかせて♪」
僕の意志なんて必要がないんだ。
百瀬さんが助けてくれた結果、確かにブルマは穿かなくて済んだ。
だけど――
「あはっ♪ スパッツも素敵よ♪」
そう。ブルマを穿く事は回避したんだけど、結局女子の体操服を着るのは回避できなかった。
スパッツを穿くのも実際は嫌なんだけど、ブルマに比べたらマシだよね。
うん。絶対にそうだ……だから、
だから恥ずかしくなんてないもんっ!
時には外に出て勉強をする事だってある。
更にはペンを動かすのではなく、身体を動かす授業だってある。
そう。体育という最悪の授業が……
僕自身、運動は好きだし体育も嫌いでは無い。
体育自体は問題は無いのだ。問題なのは、体育ではなく授業を受ける時の服装にあるのだ。
「何で……何で、僕の体操服が女子の体操服になってるんだよ……」
おかしいにもほどがあると思うんだ。
百歩譲って、上は女子のでも問題は無いけど、下の方は明らかにおかしいだろ!
「さぁ、相棒。早く俺にお前のブルマ姿を見せてくれ!」
「黙れ! 死ね! 本当に死ね!」
クソッ! 僕の本物の体操服は何処にいったんだよ!
人の体操服を隠して違う物を用意するなんて、苛めどころの騒ぎじゃないよね。
それに何で僕だけブルマなの?
ここの学校の女子の体操服の下はスパッツタイプの物なのに、何でブルマ?
一体何処からこんな物を手に入れて来たんだよ。
「どうだ佐藤。先生からのプレゼントは気に入ったか?」
「先生……」
余計なプレゼントすぎる。そして、かなり迷惑すぎるよ先生。
「可愛い男の子がブルマを穿く。何とも言えない背徳感が素晴らしいな」
ブルマは穿きませんし、背徳感が素晴らしいとも思わないですよ。
「優希のブルマ姿……胸が熱くなるわね♪」
勝手に胸を熱くしないで欲しい。
「佐藤」
「せんせ……い?」
先生が物凄く真剣な表情で僕を見据える。
い、一体何を言うんだろう? 真面目な内容の話しなんだろうか。
「お前がブルマを穿きたくないのならそれは別に構わない」
嘘……でしょ? 先生がそんな事を言ってくれるなんて……
「構わないが――」
変態だ。変態だと思っていたけど、一応は教師としての自覚があったんですね。少しだけ
先生の事を見直しましたよ。
「男子の体操服で体育に出席した場合、お前の体育の成績は0点だ!」
「…………は?」
は、はは……っ。僕のちょっとした聞き間違いかな? 男子の体操服で体育に出席をしたら
0点って、ありえないでしょ。
「これは冗談でも聞き間違いでもないからな。先生をあまりバカにしない方がいいぞ。先生くらい
になると、成績を弄るくらいなんともないんだからな!」
な、なんだって――――っ!?
「成績を弄るなんて教師のする事じゃないですよ!」
しかも、それを利用して僕にブルマを穿かせようとするなんて人の所業じゃない。
「何を言う。体育の成績しか弄らないのだから、むしろ優しいだろ」
「全然優しくないですよ!」
本当の意味で優しいっていうのは、僕に女装をさせないように周囲の人間を説得する事でしょ。
「なら、全ての成績を0点にしてやろうか?」
「勘弁して下さい」
それだけは本気で勘弁して下さい。それだけは洒落にならないから。
「優希。そろそろ諦めたらどうなの? 人生何事も諦めが肝心だったりするのよ」
「いやいや、今諦めたらもう二度と戻れない所に行ってしまうから!」
「それも素敵よ♪」
ああ……最悪だ。こんな時誰か頼りになる人間は――
『ふ……股間が熱くなるな』
『ブルマ! ブルマ! ブルマ!』
『わくわく。どきどき』
ダメだ。頼りになる人間なんて初めから此処にはいなかった。
全員が敵で、全員が変態だ。
ああ。僕は人として完全に道を踏み外さないといけないのか。
僕だけはマトモでいたかったのに、ついに変態の仲間入りをしないといけないのか。
――嫌だ! 嫌すぎるよ! やっぱり変態なんかになりたくないよ!
何で僕がブルマを穿かないといけないんだよぉ……
「優希」
「百瀬さん……」
今度は何を言うつもりですか? どうせくだらない事だと思いますけど。
「仕方ないから今回だけは助けてあげるわよ♪」
「え……?」
今何て言ったの? 僕を助けてくれるだと? あの百瀬さんが!?
何かの冗談でしょ。
「ブルマ姿の優希は正直かなり見てみたいけど、今ここで優希に借りと作るのも悪くは
無いって思うのよね」
借り……ですか。ははっ。ただでは助けてくれないのね。
「どうする? 今度個人的に私のためだけに女装してくれるのなら、助けてあげるわよ」
「どうせ僕に拒否権はないんでしょ?」
「拒否したらブルマを穿くだけよ♪」
「…………お願いします」
考えるだけ無駄なようだね。結局のところ僕にはこの選択肢しかないわけで……
「ん♪ まかせて♪」
僕の意志なんて必要がないんだ。
百瀬さんが助けてくれた結果、確かにブルマは穿かなくて済んだ。
だけど――
「あはっ♪ スパッツも素敵よ♪」
そう。ブルマを穿く事は回避したんだけど、結局女子の体操服を着るのは回避できなかった。
スパッツを穿くのも実際は嫌なんだけど、ブルマに比べたらマシだよね。
うん。絶対にそうだ……だから、
だから恥ずかしくなんてないもんっ!
“今度のテストで赤点を取った奴は罰として、女装をして貰う!”
残念な先生の一言が今回の大惨事の始まりだった。
「ははっ♪ 女装してもらうって女の私とかは、どうなるのかしらね」
「どうなるんだろうね。てか、百瀬さん赤点を取るつもりですか」
「私だって取りたくないけど、バカだからね♪」
笑って言うような事じゃないような気が……
「ところでもちろん優希は赤点取るのよね?」
「取らないよ!」
普通に赤点を取るつもりは無いし、女装なんて罰があるなら、尚更取らないよ。
「あれ? 優希って頭いいの?」
「いいかどうか分からないけど、悪い方では無いよ」
「それは意外だわ」
えー、僕って頭が悪い人のように思われてたの?
確かに秀才ってわけじゃないけど、そこまで酷く思われてたのか。
「だったら、私に勉強を教えてくれない?」
「それはいいけど……」
何故だろうね。女の子と勉強会っていうと甘い響きがするはずなのに、とても嫌な予感
がするのは。
「じゃ、早速勉強会を始めましょうかね♪」
悪い予感ほど当たるのは何故なんだろうね。
僕が初めに抱いた予感は恐ろしいほど当たってしまった。
テストに向けた普通の勉強会。そのはずだったのに――
「この格好……全然勉強とは関係ないよね……」
案の定、普通の勉強会のはずだったのに、何故かまた女装させられている。
断る事が出来なかったのかって? ははっ。無理に決まってるじゃないか。
僕が百瀬さんに逆らえるとでも?
そう。これは仕方のない事なんだよ。
「あはっ♪ 優希、とってもよく似合ってるわよ」
「はは…………」
相変わらず嬉しくない言葉だよ。
「ほんと……萌え死……しても……おかしくは……ない」
萌え死って何? よく分からないけど僕の方が死にそうだよ。
それに、もうツッコムのも嫌だけど、何でチャイナ服?
勉強とチャイナ服の関係性が知りたいね。
「優希のセクシーチャイナ服でやる気も出てきたし、テスト勉強頑張ろうかしらね♪」
「勉強……頑張る……」
あ、よかった。勉強をするのは覚えててくれたんだね。もしこれで、勉強会をしなかったら、
僕は一体何のためにこんな辱めを受けたのは分からないもんね。
勉強を頑張る。そんな事を言っていたような気がしたのに、不穏な空気になってきた。
辛うじて勉強会という状況を保っているけど、先ほどから二人の視線が怖いのだ。
深く入ったスリットを舐めるような視線で見てくるのだ。
これなら、まだジックリと見られた方がマシなのかもしれない。
チラチラと盗み見るような感じで見られるのは気持ちが悪いんだよね。
「チラ、チラ」
「ちら……ちら……」
あーもうっ! ほんとに勘弁して欲しいよ。
「スリットから見える艶めかしい足。素敵だわ♪」
「チャイナ……ズルイ……」
本気で酷い。二人の頭の中が酷い。
こんなのに付き合っていたら、僕まで赤点を取ってしまいそうだ。
ここは、そうそうに立ち去って一人で勉強した方がいいだろう。
そう思い、席を立とうとしたんだけど――
「可愛い女の子二人を残して何処に行こうとしてるのかしら?」
「……ヘタレ……?」
「…………」
ああ。逃げられないらしい。
泣きたい気持ちを抑えながら大人しく席に着く。
泣きたいけど、泣くもんか。絶対に泣いてなんかやるもんか。
悲しみの決意をしつつ勉強会を再会する。
せめて赤点だけは……赤点だけは取らないように勉強しなければ……
決死の覚悟で勉強会に臨んだ結果。テストの出来はというと――
「何で僕が女装させられてるんだ――っ!?」
間違っても僕は赤点なんか取っていない。むしろ点数はいい方だった。
あの勉強会の状況でここまでいい点数が取れたのは、一種の奇跡かもしれない。
それなのに。ああ、それなのに何で女装させられてるんだろ?
「佐藤が女装するのは当たり前だろ。お前にテストの結果なんて関係が無い。佐藤が女装する
のは規定事項なんだからな」
「…………」
規定事項ってなんだよ。これじゃあ、辱めに耐えながらテスト勉強した意味が無いじゃないか。
本当に無駄な努力。なんて意味の無い事。マジで最悪だよ。
「あはっ♪ 優希似合ってるわよ」
その言葉はもういいって。
それにしても、勉強会の成果なのか百瀬さんは赤点を取らなかった。
それ自体は喜ばしい事なんだけど、結局僕だけが損をしたという点だけは最悪だね。
ほんと、勉強会もそうだったけど今回の最終的なオチも悲惨過ぎるというか、大惨事だよね。
先生があんな事さえ言わなければこんな事にはならなかったのに。
あんな事さえ……ね。
残念な先生の一言が今回の大惨事の始まりだった。
「ははっ♪ 女装してもらうって女の私とかは、どうなるのかしらね」
「どうなるんだろうね。てか、百瀬さん赤点を取るつもりですか」
「私だって取りたくないけど、バカだからね♪」
笑って言うような事じゃないような気が……
「ところでもちろん優希は赤点取るのよね?」
「取らないよ!」
普通に赤点を取るつもりは無いし、女装なんて罰があるなら、尚更取らないよ。
「あれ? 優希って頭いいの?」
「いいかどうか分からないけど、悪い方では無いよ」
「それは意外だわ」
えー、僕って頭が悪い人のように思われてたの?
確かに秀才ってわけじゃないけど、そこまで酷く思われてたのか。
「だったら、私に勉強を教えてくれない?」
「それはいいけど……」
何故だろうね。女の子と勉強会っていうと甘い響きがするはずなのに、とても嫌な予感
がするのは。
「じゃ、早速勉強会を始めましょうかね♪」
悪い予感ほど当たるのは何故なんだろうね。
僕が初めに抱いた予感は恐ろしいほど当たってしまった。
テストに向けた普通の勉強会。そのはずだったのに――
「この格好……全然勉強とは関係ないよね……」
案の定、普通の勉強会のはずだったのに、何故かまた女装させられている。
断る事が出来なかったのかって? ははっ。無理に決まってるじゃないか。
僕が百瀬さんに逆らえるとでも?
そう。これは仕方のない事なんだよ。
「あはっ♪ 優希、とってもよく似合ってるわよ」
「はは…………」
相変わらず嬉しくない言葉だよ。
「ほんと……萌え死……しても……おかしくは……ない」
萌え死って何? よく分からないけど僕の方が死にそうだよ。
それに、もうツッコムのも嫌だけど、何でチャイナ服?
勉強とチャイナ服の関係性が知りたいね。
「優希のセクシーチャイナ服でやる気も出てきたし、テスト勉強頑張ろうかしらね♪」
「勉強……頑張る……」
あ、よかった。勉強をするのは覚えててくれたんだね。もしこれで、勉強会をしなかったら、
僕は一体何のためにこんな辱めを受けたのは分からないもんね。
勉強を頑張る。そんな事を言っていたような気がしたのに、不穏な空気になってきた。
辛うじて勉強会という状況を保っているけど、先ほどから二人の視線が怖いのだ。
深く入ったスリットを舐めるような視線で見てくるのだ。
これなら、まだジックリと見られた方がマシなのかもしれない。
チラチラと盗み見るような感じで見られるのは気持ちが悪いんだよね。
「チラ、チラ」
「ちら……ちら……」
あーもうっ! ほんとに勘弁して欲しいよ。
「スリットから見える艶めかしい足。素敵だわ♪」
「チャイナ……ズルイ……」
本気で酷い。二人の頭の中が酷い。
こんなのに付き合っていたら、僕まで赤点を取ってしまいそうだ。
ここは、そうそうに立ち去って一人で勉強した方がいいだろう。
そう思い、席を立とうとしたんだけど――
「可愛い女の子二人を残して何処に行こうとしてるのかしら?」
「……ヘタレ……?」
「…………」
ああ。逃げられないらしい。
泣きたい気持ちを抑えながら大人しく席に着く。
泣きたいけど、泣くもんか。絶対に泣いてなんかやるもんか。
悲しみの決意をしつつ勉強会を再会する。
せめて赤点だけは……赤点だけは取らないように勉強しなければ……
決死の覚悟で勉強会に臨んだ結果。テストの出来はというと――
「何で僕が女装させられてるんだ――っ!?」
間違っても僕は赤点なんか取っていない。むしろ点数はいい方だった。
あの勉強会の状況でここまでいい点数が取れたのは、一種の奇跡かもしれない。
それなのに。ああ、それなのに何で女装させられてるんだろ?
「佐藤が女装するのは当たり前だろ。お前にテストの結果なんて関係が無い。佐藤が女装する
のは規定事項なんだからな」
「…………」
規定事項ってなんだよ。これじゃあ、辱めに耐えながらテスト勉強した意味が無いじゃないか。
本当に無駄な努力。なんて意味の無い事。マジで最悪だよ。
「あはっ♪ 優希似合ってるわよ」
その言葉はもういいって。
それにしても、勉強会の成果なのか百瀬さんは赤点を取らなかった。
それ自体は喜ばしい事なんだけど、結局僕だけが損をしたという点だけは最悪だね。
ほんと、勉強会もそうだったけど今回の最終的なオチも悲惨過ぎるというか、大惨事だよね。
先生があんな事さえ言わなければこんな事にはならなかったのに。
あんな事さえ……ね。
教室に着くなり、見知らぬ人からいきなり宣戦布告された。
宣戦布告された事も意味が分からないが、一番意味が分からないのがその内容で――
「佐藤優希! 貴様の時代はもう終わりだ! 今からはこの俺が真のアイドルだ!」
――て、言われたわけなんだけど、僕は全然アイドルじゃないんだけどね。
誰か知らないけど、あなたが僕の代わりに女装してくれるのなら、僕は喜んでお願いするよ。
「優希にライバルが登場するとはね。でも言っておくけど、優希はあんたなんかには負けないわよ!」
「百瀬さんっ!?」
ちょっ、何急に話しを広げてるんですか? ここは彼にアイドルの座を譲って全てが解決する
はずだったのに、どうして話しをややこしくするのかな?
「あんたみたいな男が優希に勝てるはずがないでしょ!」
いやいや、彼の勝ちでいいと思うよ。てか、勝ちたいとか思わないし。
「ふん! そこまで言うのなら勝負をしてもらおうじゃないか」
僕は何も言ってませんけどね。
「いい度胸じゃない。あんたと優希、どっちが可愛いか勝負よ!」
あーあ。本人の意思を無視して話しが勝手に進んでいってるよ。
しかも可愛さを競うってどんな事を……って、どうせアレだよね。
「皆さんお待ちかねの勝負の時間がやってまいりました! 司会はお馴染みの優希の一番の親友にして、
一度も名前で呼ばれていない不遇の男こと――」
「余計な前振りはいいから早く始めろ。先生だって暇じゃないんだからな」
「あ、あの……」
「それで、今回はどんな服を着るんだ?」
「あーもういいよ! 俺の事なんかより優希達の方が大事だからな。そんなわけで選手の紹介をしよう」
「まずは我らが学校のアイドル。そして男達の理想郷こと佐藤優希だぁー!」
『おおーっ!』
何だよこの紹介は。それに本気で勝負をする流れになってしまってるよ。
マジで辞退したいけど無理なんだろうなぁ……
「そして無謀にも優希に勝負を挑んで来た本日の勇者はコイツだぁー!」
「ふんっ。この前園和樹がアイドルに相応しいという事を証明してやろう」
もの凄くヤル気満々じゃないか。
何でこの人はこんなにもヤル気があるんだろう? 女装が好きだから?
ああ。やっぱりこの人も変態ってだけか。
「詳しい説明は必要無し! ただ二人に女装してもらって、その可愛さを競ってもらうだけだ!」
『おおーっ!』
何でこんな事で盛り上がるのかな。ここは学校なんだから楽しくなくても勉強をしようよ。
それが正しい学生の形じゃないのかな。
「優希、絶対勝つわよ。あんな変態に負けるなんて許さないんだからね」
「は、はは……」
帰りたい。本気で帰りたいよ。
これも全ては――
「佐藤優希。覚悟してろよ!」
クソが! 全部あんたのせいだよ。あんたさえいなければこんな事にはならなかったのに。
しかし、いくら僕が嘆いてもこの戦いが終わるわけじゃないわけで……
「おぉーと、これが我らがアイドルの真の力なのか――っ!」
何が真の力だよ。死ねよ。お前の実況とかいらないんだよ。
僕の意志を無視した女装対決。
こんな悲しい戦いに一体何の意味があるというのだろうか?
『ふむ。優希は今回はスタンダードな衣装で攻めてきたか』
『普通な感じがするのに、心がトキメクのは何故かしら?』
『ワンピース姿……悪く無いな』
各々が感想を述べている。
ただ普通に感想を述べるならいいんだけど、視線が気持ち悪いのは勘弁してほしい。
普段から視線は気持ち悪いけど、今回は特に気持ち悪い。
そんなにもこの、ワンピース姿がいいのかな?
不快感満載だけど、それよりも今一番気になるのが――
「佐藤優希のワンピース姿。その光景は暗黒の世界に舞い降りた、ただ一人の女神のような美しさだった。
その姿を目撃した者は、どんなに心が汚れていても綺麗に浄化されていく。そんな錯覚を覚えるほどだ。
まさに奇跡の姿。神の象徴! ただのワンピースで、ここまで可愛くなるなんて…………」
え……誰? この人。感想が物凄く気持ち悪いんだけど。
初めて見る人だし、この学校の人間じゃないよね。
この気持ち悪るさ――あのゴミ野郎といい勝負をしているかもしれないな。
「ふんっ! そんな普通の姿で出てくるとは、俺も舐められたものだな」
もの凄い自信で彼……ええと、前園和樹だっけ? そいつが出てくる。
あと、一つ言っておくけど、あんたを舐めたつもりもないし、今回の服は百瀬さんが勝手に選んだ服だよ。
僕は何も関与してないからな。大体僕が口を挟めるのなら、もう少し露出の少ない服にするって。
「おぉーと、自信満々で出てきたのは、チャレンジャーの前園和樹だぁーっ!
彼の選んだ服は何なのか? そして、どれぐらい可愛いのか――――!?」
司会であるバカの言葉が途中で止まる。
一体何があったのだろうか? アイツ自身には興味は無いけど、あの変態の言葉が止まるなんてどれほど
の事があったのかな?
とりあえずアイツの方を見てみると、そこには――
「ふふんっ! どうだ佐藤優希。俺の完璧な女装は。これで今日から俺が真のアイドルだな」
謎の生物が居た。
声と言葉から相手は前園和樹だと分かるけど、見た目では誰か全然分からない。
究極的に女装が似合っていない。むしろこれは、警察に通報されてもおかしくないレベルじゃないだろうか。
もし、この場以外で今の彼に会ったら、僕は迷わず通報するだろう。
それほどまでに彼の女装は酷い。
この酷さ、謎の人はどんな感想を抱くのだろう。
「oh……なんてこったい」
なんという絶望的な表情。
人生のどん底に叩き落とされたかのような表情をしてるよ。
さすがに、彼の女装はお気に召さなかったようだ。
「どうした? あまりの可愛さに声も出ないか」
知らぬは本人だけか。
彼以外の人間は本気で引いている。あのどうしようもない変態共が引くくらいのものが目の前に居る。
これは、ある意味では貴重な光景かもしれないな。
「あ、あんたふざけるんじゃないわよ! 何よその格好は!? 全然似合ってないわよ!」
百瀬さんがキレた。
まぁ、その気持ちは分からないでもないかも。あそこまで見栄をきっておいて、これはないと思うよ。
「比べる必要も無いくらいに優希の方が可愛いじゃない! そのクオリティでよく出てこれたわね!」
百瀬さんの怒りの声に皆が同調する。
さすがに皆も彼が許せないようだ。
「帰りなさい! 帰って今一度自己を見直して修行してきなさいよ!」
修行って、何をするんだよ。
しかもその台詞って、この先再戦があるような台詞回しじゃないかな。嫌だよ。これと闘うのは。
「クソッ! 佐藤優希、覚えてろよ!」
半泣きで教室から出て行く前園和樹。彼の事を覚えておくつもりはないし、出来る事ならもう二度と
僕の前に登場して欲しくない。
意味が分からないままライバル宣言され、
意味が分からないまま女装させられて、
結局今日一日は何だったんだろう?
ただ無駄に女装させられただけのような気がする。
ほんと、意味が分からないな。
そして、前園和樹。彼は初めから存在しなかった事にしたいな。
あと、変な感想を述べていた謎の人は誰だったのだろうか?
宣戦布告された事も意味が分からないが、一番意味が分からないのがその内容で――
「佐藤優希! 貴様の時代はもう終わりだ! 今からはこの俺が真のアイドルだ!」
――て、言われたわけなんだけど、僕は全然アイドルじゃないんだけどね。
誰か知らないけど、あなたが僕の代わりに女装してくれるのなら、僕は喜んでお願いするよ。
「優希にライバルが登場するとはね。でも言っておくけど、優希はあんたなんかには負けないわよ!」
「百瀬さんっ!?」
ちょっ、何急に話しを広げてるんですか? ここは彼にアイドルの座を譲って全てが解決する
はずだったのに、どうして話しをややこしくするのかな?
「あんたみたいな男が優希に勝てるはずがないでしょ!」
いやいや、彼の勝ちでいいと思うよ。てか、勝ちたいとか思わないし。
「ふん! そこまで言うのなら勝負をしてもらおうじゃないか」
僕は何も言ってませんけどね。
「いい度胸じゃない。あんたと優希、どっちが可愛いか勝負よ!」
あーあ。本人の意思を無視して話しが勝手に進んでいってるよ。
しかも可愛さを競うってどんな事を……って、どうせアレだよね。
「皆さんお待ちかねの勝負の時間がやってまいりました! 司会はお馴染みの優希の一番の親友にして、
一度も名前で呼ばれていない不遇の男こと――」
「余計な前振りはいいから早く始めろ。先生だって暇じゃないんだからな」
「あ、あの……」
「それで、今回はどんな服を着るんだ?」
「あーもういいよ! 俺の事なんかより優希達の方が大事だからな。そんなわけで選手の紹介をしよう」
「まずは我らが学校のアイドル。そして男達の理想郷こと佐藤優希だぁー!」
『おおーっ!』
何だよこの紹介は。それに本気で勝負をする流れになってしまってるよ。
マジで辞退したいけど無理なんだろうなぁ……
「そして無謀にも優希に勝負を挑んで来た本日の勇者はコイツだぁー!」
「ふんっ。この前園和樹がアイドルに相応しいという事を証明してやろう」
もの凄くヤル気満々じゃないか。
何でこの人はこんなにもヤル気があるんだろう? 女装が好きだから?
ああ。やっぱりこの人も変態ってだけか。
「詳しい説明は必要無し! ただ二人に女装してもらって、その可愛さを競ってもらうだけだ!」
『おおーっ!』
何でこんな事で盛り上がるのかな。ここは学校なんだから楽しくなくても勉強をしようよ。
それが正しい学生の形じゃないのかな。
「優希、絶対勝つわよ。あんな変態に負けるなんて許さないんだからね」
「は、はは……」
帰りたい。本気で帰りたいよ。
これも全ては――
「佐藤優希。覚悟してろよ!」
クソが! 全部あんたのせいだよ。あんたさえいなければこんな事にはならなかったのに。
しかし、いくら僕が嘆いてもこの戦いが終わるわけじゃないわけで……
「おぉーと、これが我らがアイドルの真の力なのか――っ!」
何が真の力だよ。死ねよ。お前の実況とかいらないんだよ。
僕の意志を無視した女装対決。
こんな悲しい戦いに一体何の意味があるというのだろうか?
『ふむ。優希は今回はスタンダードな衣装で攻めてきたか』
『普通な感じがするのに、心がトキメクのは何故かしら?』
『ワンピース姿……悪く無いな』
各々が感想を述べている。
ただ普通に感想を述べるならいいんだけど、視線が気持ち悪いのは勘弁してほしい。
普段から視線は気持ち悪いけど、今回は特に気持ち悪い。
そんなにもこの、ワンピース姿がいいのかな?
不快感満載だけど、それよりも今一番気になるのが――
「佐藤優希のワンピース姿。その光景は暗黒の世界に舞い降りた、ただ一人の女神のような美しさだった。
その姿を目撃した者は、どんなに心が汚れていても綺麗に浄化されていく。そんな錯覚を覚えるほどだ。
まさに奇跡の姿。神の象徴! ただのワンピースで、ここまで可愛くなるなんて…………」
え……誰? この人。感想が物凄く気持ち悪いんだけど。
初めて見る人だし、この学校の人間じゃないよね。
この気持ち悪るさ――あのゴミ野郎といい勝負をしているかもしれないな。
「ふんっ! そんな普通の姿で出てくるとは、俺も舐められたものだな」
もの凄い自信で彼……ええと、前園和樹だっけ? そいつが出てくる。
あと、一つ言っておくけど、あんたを舐めたつもりもないし、今回の服は百瀬さんが勝手に選んだ服だよ。
僕は何も関与してないからな。大体僕が口を挟めるのなら、もう少し露出の少ない服にするって。
「おぉーと、自信満々で出てきたのは、チャレンジャーの前園和樹だぁーっ!
彼の選んだ服は何なのか? そして、どれぐらい可愛いのか――――!?」
司会であるバカの言葉が途中で止まる。
一体何があったのだろうか? アイツ自身には興味は無いけど、あの変態の言葉が止まるなんてどれほど
の事があったのかな?
とりあえずアイツの方を見てみると、そこには――
「ふふんっ! どうだ佐藤優希。俺の完璧な女装は。これで今日から俺が真のアイドルだな」
謎の生物が居た。
声と言葉から相手は前園和樹だと分かるけど、見た目では誰か全然分からない。
究極的に女装が似合っていない。むしろこれは、警察に通報されてもおかしくないレベルじゃないだろうか。
もし、この場以外で今の彼に会ったら、僕は迷わず通報するだろう。
それほどまでに彼の女装は酷い。
この酷さ、謎の人はどんな感想を抱くのだろう。
「oh……なんてこったい」
なんという絶望的な表情。
人生のどん底に叩き落とされたかのような表情をしてるよ。
さすがに、彼の女装はお気に召さなかったようだ。
「どうした? あまりの可愛さに声も出ないか」
知らぬは本人だけか。
彼以外の人間は本気で引いている。あのどうしようもない変態共が引くくらいのものが目の前に居る。
これは、ある意味では貴重な光景かもしれないな。
「あ、あんたふざけるんじゃないわよ! 何よその格好は!? 全然似合ってないわよ!」
百瀬さんがキレた。
まぁ、その気持ちは分からないでもないかも。あそこまで見栄をきっておいて、これはないと思うよ。
「比べる必要も無いくらいに優希の方が可愛いじゃない! そのクオリティでよく出てこれたわね!」
百瀬さんの怒りの声に皆が同調する。
さすがに皆も彼が許せないようだ。
「帰りなさい! 帰って今一度自己を見直して修行してきなさいよ!」
修行って、何をするんだよ。
しかもその台詞って、この先再戦があるような台詞回しじゃないかな。嫌だよ。これと闘うのは。
「クソッ! 佐藤優希、覚えてろよ!」
半泣きで教室から出て行く前園和樹。彼の事を覚えておくつもりはないし、出来る事ならもう二度と
僕の前に登場して欲しくない。
意味が分からないままライバル宣言され、
意味が分からないまま女装させられて、
結局今日一日は何だったんだろう?
ただ無駄に女装させられただけのような気がする。
ほんと、意味が分からないな。
そして、前園和樹。彼は初めから存在しなかった事にしたいな。
あと、変な感想を述べていた謎の人は誰だったのだろうか?
ああ。そろそろ。そろそろ来るとは思っていたんだ。
思ってはいたけど――こうして現実のものになると実に言葉に困る。
プール――どうしてこんな非人道的な物が存在するのだろうか?
普通にプールで遊ぶのは何も問題は無い。ただ、この学校の授業のプールが問題なんだ。
もう言わなくても分かっているだろう?
ここの変態共の事だ。どうせ僕に女子の水着を着せようとするんだろ。もう分かり切ってるよ。
でも、今回ばかりはそんな愚行を許すわけにはいかない。
許すわけにはいかないんだ……
「やほーっ♪ 優希。今日は待ちに待ったプールの日だね♪」
「普通の人はそうだろうね……」
特に泳ぐのが苦手な人以外は、この日を待っていただろう。もちろん僕は待ってなんかいなかった。
別に泳ぐのが苦手なわけじゃない。ただ――
「ついにこの日が来たか。優希の水着姿を拝むため、俺は一カ月もオナ禁したんだからな!」
「一生禁止してろよ。てか、生きる事を禁止しろよ」
ただでさえ憂鬱な気分なのに、お前の顔を見るともっと気分が沈むよ。
「それで優希は、どっちの水着を着るのかしら?」
「どっち……って?」
聞く価値は無いけど一応聞いてみよう。
「旧スクか新スク、どっちがいいかしら? 私としては、旧スクを着て欲しいかな」
「どっちも着たくは無いよ」
やっぱり女子の水着の話しだったよ。そんなのは着たくないよ。いつもの事だけど毎回選択肢が
おかしすぎるだろ。
「あははっ♪ 優希は一体何バカな事を言ってるのかしら。女子の水着を着ないで優希は何を着る
つもりなのかしらね」
何をって、普通の男子の水着だよ。男子の水着以外に着る物なんてないでしょ。
「優希。冗談を言うのは嫌いじゃないけど、今はそんな冗談を言っていい場面じゃないのは
分かってるわよね?」
「え……?」
僕は冗談なんて言ってないんだけど……真剣に男子の水着を着たいと思っている。
それなのに――
「そろそろ優希も自覚した方がいいんじゃないかしら。みんな優希の女子の水着を着た姿を見たい
のよ。世界がその姿を求めてるの」
世界は少し言い過ぎでしょ。まぁ、でも皆が期待をしているのは僕にだって分かっている。
だからといって、女子の水着を着るわけにはいかない。
さすがにそれはマズ過ぎる。
そんな物を着てしまったら、もう二度と立ち直れないと思う。
衆人のねっとりとした視線。嫌でも強調してしまう男の部分。
元々、男が着るようには出来ていないんだから当たり前の事態だ。
そして発狂する変態共。
想像するだけでも頭が痛くなるよ。
だから、それだけは阻止しなければならないんだ。
「誰がなんと言おうと僕は男子の水着を着る! それが出来ないのなら授業を休む!」
授業を休むと当たり前のように成績が悪くなるが、僕は成績よりも男としてのプライドを守る。
まぁ、若干守れてないような気がしないでもないけど、それでも最後の砦だけは守りたい。
僕が僕であるために……
「優希……そう。そこまでの決意があるのね。だったら私も自分の意地を最後まで通すわ」
何で百瀬さんまで意地を通すんだよ。その決意は余計な物でしかないよ!
「頼子! 準備は出来てるかしら?」
「問題……無い……」
いつの間にか現れた頼子ちゃんと一緒に百瀬さんが準備を始める。
ああ。果てしなく嫌な予感しかしないね。
適当な理由でも作って、保健室に逃げようかな。
『ディーフェンス! ディーフェンス!』
何という鉄壁の壁。何でコイツ等は変な所で意志の疎通が出来てるんだよ。
もう少し違う事で意志の疎通を図れよ!
「さて、優希。覚悟は出来たかしら?」
「準備……は……いい?」
準備も覚悟も出来てないよ! そんなこと出来るわけないだろ!
「レッツ脱ぎ脱ぎ♪」
「脱ぎ……脱ぎ……♪」
なんとも嬉しそうな表情。その表情は関係無い人間が見れば可愛らしい笑顔なんだろうけど、関係者
である僕にとっては、悪魔の笑みにしか見えない。
その悪魔に勝てない僕は彼女達の望むままに着替えさせられ――
「終わった。僕の人生が全て終わった…………」
なんとかスクール水着は回避出来たけど――
「学校指定の水着じゃないといけないんだが、今回だけは特別措置を取ってもらうように先生が働きかけておこう」
「やっぱり優希は何でも似合うわね♪」
「念の……ために……準備してて……よかった」
よくないよ。何一ついいことなんかない!
百歩譲って最後の砦は回避した。そう捉えておくとしよう。
しかし、女装をしてるのは変わらない。上半身はビキニタイプの水着。そして下半身は、短パンを穿いている。
短パンの中? それは悲しい事にビキニタイプだよ。
最後まで僕が抵抗した結果、何とか短パンを穿く事が出来た。
これである程度は我慢が出来る……はず。
まぁ、それでも最悪な事に変わりはないんだけどね。
「学校でスクール水着以外の水着を見る事になるとは。しかし、佐藤優希のその姿はまるで砂漠の中のオアシス
のようだな。心に安らぎを与えてくれる。命の泉そのものだな」
うわぁ……また出たよ変態が。本当にコイツは何処から侵入して来ているのだろうか?
簡単に侵入出来るほど、この学校の警備は緩いのかな? だとしたら、マジで心配だよ。
他にもこんな変態が居たら、コイツみたいに勝手に侵入してくるかもしれないし。
一度校長に直訴した方がいいかもしれない。
他の変態共の処遇も含めて。
どういう風に校長に訴えればいいか考えながら水泳の授業は進んでいく。
本来はちゃんと授業に集中しないといけないんだけど、周りの視線が気持ち悪すぎて何か他の事を
考えていないとやってられないからね。
気を紛らわすために違う事を考える。
おかげで授業は短く…………感じるわけがないだろ!
ずっと視姦されてるのに、時間が短く感じるなんてありえないよ。むしろ普段より長く感じたよ!
いつものクラスの連中だけじゃない、プールが外にあるから他の学年の人達にも見られたんだぞ。
しかも、物凄い数の写真を撮られるし。
マジで何なのここの学校の人間は――
みんな変態かよ!
…………ま、女装なんてしている僕が言えた義理じゃないけどね。
思ってはいたけど――こうして現実のものになると実に言葉に困る。
プール――どうしてこんな非人道的な物が存在するのだろうか?
普通にプールで遊ぶのは何も問題は無い。ただ、この学校の授業のプールが問題なんだ。
もう言わなくても分かっているだろう?
ここの変態共の事だ。どうせ僕に女子の水着を着せようとするんだろ。もう分かり切ってるよ。
でも、今回ばかりはそんな愚行を許すわけにはいかない。
許すわけにはいかないんだ……
「やほーっ♪ 優希。今日は待ちに待ったプールの日だね♪」
「普通の人はそうだろうね……」
特に泳ぐのが苦手な人以外は、この日を待っていただろう。もちろん僕は待ってなんかいなかった。
別に泳ぐのが苦手なわけじゃない。ただ――
「ついにこの日が来たか。優希の水着姿を拝むため、俺は一カ月もオナ禁したんだからな!」
「一生禁止してろよ。てか、生きる事を禁止しろよ」
ただでさえ憂鬱な気分なのに、お前の顔を見るともっと気分が沈むよ。
「それで優希は、どっちの水着を着るのかしら?」
「どっち……って?」
聞く価値は無いけど一応聞いてみよう。
「旧スクか新スク、どっちがいいかしら? 私としては、旧スクを着て欲しいかな」
「どっちも着たくは無いよ」
やっぱり女子の水着の話しだったよ。そんなのは着たくないよ。いつもの事だけど毎回選択肢が
おかしすぎるだろ。
「あははっ♪ 優希は一体何バカな事を言ってるのかしら。女子の水着を着ないで優希は何を着る
つもりなのかしらね」
何をって、普通の男子の水着だよ。男子の水着以外に着る物なんてないでしょ。
「優希。冗談を言うのは嫌いじゃないけど、今はそんな冗談を言っていい場面じゃないのは
分かってるわよね?」
「え……?」
僕は冗談なんて言ってないんだけど……真剣に男子の水着を着たいと思っている。
それなのに――
「そろそろ優希も自覚した方がいいんじゃないかしら。みんな優希の女子の水着を着た姿を見たい
のよ。世界がその姿を求めてるの」
世界は少し言い過ぎでしょ。まぁ、でも皆が期待をしているのは僕にだって分かっている。
だからといって、女子の水着を着るわけにはいかない。
さすがにそれはマズ過ぎる。
そんな物を着てしまったら、もう二度と立ち直れないと思う。
衆人のねっとりとした視線。嫌でも強調してしまう男の部分。
元々、男が着るようには出来ていないんだから当たり前の事態だ。
そして発狂する変態共。
想像するだけでも頭が痛くなるよ。
だから、それだけは阻止しなければならないんだ。
「誰がなんと言おうと僕は男子の水着を着る! それが出来ないのなら授業を休む!」
授業を休むと当たり前のように成績が悪くなるが、僕は成績よりも男としてのプライドを守る。
まぁ、若干守れてないような気がしないでもないけど、それでも最後の砦だけは守りたい。
僕が僕であるために……
「優希……そう。そこまでの決意があるのね。だったら私も自分の意地を最後まで通すわ」
何で百瀬さんまで意地を通すんだよ。その決意は余計な物でしかないよ!
「頼子! 準備は出来てるかしら?」
「問題……無い……」
いつの間にか現れた頼子ちゃんと一緒に百瀬さんが準備を始める。
ああ。果てしなく嫌な予感しかしないね。
適当な理由でも作って、保健室に逃げようかな。
『ディーフェンス! ディーフェンス!』
何という鉄壁の壁。何でコイツ等は変な所で意志の疎通が出来てるんだよ。
もう少し違う事で意志の疎通を図れよ!
「さて、優希。覚悟は出来たかしら?」
「準備……は……いい?」
準備も覚悟も出来てないよ! そんなこと出来るわけないだろ!
「レッツ脱ぎ脱ぎ♪」
「脱ぎ……脱ぎ……♪」
なんとも嬉しそうな表情。その表情は関係無い人間が見れば可愛らしい笑顔なんだろうけど、関係者
である僕にとっては、悪魔の笑みにしか見えない。
その悪魔に勝てない僕は彼女達の望むままに着替えさせられ――
「終わった。僕の人生が全て終わった…………」
なんとかスクール水着は回避出来たけど――
「学校指定の水着じゃないといけないんだが、今回だけは特別措置を取ってもらうように先生が働きかけておこう」
「やっぱり優希は何でも似合うわね♪」
「念の……ために……準備してて……よかった」
よくないよ。何一ついいことなんかない!
百歩譲って最後の砦は回避した。そう捉えておくとしよう。
しかし、女装をしてるのは変わらない。上半身はビキニタイプの水着。そして下半身は、短パンを穿いている。
短パンの中? それは悲しい事にビキニタイプだよ。
最後まで僕が抵抗した結果、何とか短パンを穿く事が出来た。
これである程度は我慢が出来る……はず。
まぁ、それでも最悪な事に変わりはないんだけどね。
「学校でスクール水着以外の水着を見る事になるとは。しかし、佐藤優希のその姿はまるで砂漠の中のオアシス
のようだな。心に安らぎを与えてくれる。命の泉そのものだな」
うわぁ……また出たよ変態が。本当にコイツは何処から侵入して来ているのだろうか?
簡単に侵入出来るほど、この学校の警備は緩いのかな? だとしたら、マジで心配だよ。
他にもこんな変態が居たら、コイツみたいに勝手に侵入してくるかもしれないし。
一度校長に直訴した方がいいかもしれない。
他の変態共の処遇も含めて。
どういう風に校長に訴えればいいか考えながら水泳の授業は進んでいく。
本来はちゃんと授業に集中しないといけないんだけど、周りの視線が気持ち悪すぎて何か他の事を
考えていないとやってられないからね。
気を紛らわすために違う事を考える。
おかげで授業は短く…………感じるわけがないだろ!
ずっと視姦されてるのに、時間が短く感じるなんてありえないよ。むしろ普段より長く感じたよ!
いつものクラスの連中だけじゃない、プールが外にあるから他の学年の人達にも見られたんだぞ。
しかも、物凄い数の写真を撮られるし。
マジで何なのここの学校の人間は――
みんな変態かよ!
…………ま、女装なんてしている僕が言えた義理じゃないけどね。
今までのストレスが溜まっていたのかな? 僕は風邪を引いてしまった。
いや、風邪そのものは問題はなかった。多少辛いけど、薬を飲んでゆっくり休んでいればいいんだから。
無理をせずゆっくりと……そうすればそこまで問題はなかったのに。
僕は一つだけ重要な事を忘れていた。
ここは変態共が集まる学校だという事を――
『あら優希。風邪を引いてるの? だったら看病してあげるわよん♪』
『え、あの……』
『何!? 優希が風邪を引いてるだと! それは一大事じゃないか』
『別にただの風邪だし……』
『風邪……を甘く……みては……ダメ』
『いや、薬を飲んでるし……ね』
『さーて、看病するわよ~♪』
『おぉー♪』
ちょっとした油断から風邪を引いているのがバレてしまった。
普通の人達なら軽く心配したりするくらいだろう。しかし、此処にそんな思考を持った人などいない。
有無を言わさず僕を保健室に移動させる。
保健室に運んでくれるのは構わないけど、コイツ等は看病をすると言ってきかない。
看病――そんな優しい言葉をかけながら、コイツ等は絶対僕で遊ぶ気だろう。
だって、コイツ等は普通の神経は持ち合わせてないもんね。
ただの変態。
そんな変態が僕の心配をするわけがない。ただただ、自分達の欲求を満たしたいだけ。
なんという不幸なんだろう。
もし僕に神様を殴る事が出来るのなら、僕は迷わず殴るだろう。
誰だってそうするだろう? 理不尽な理由で女装をさせられ弄られる。
しかも今回は風邪まで引いているんだ。そりゃ、殴りたくもなるでしょ。
「優希~。お薬の時間よ♪」
「何で嬉しそうに言うのかな?」
バカな事をしてくる。そう思っていたのに意外にも普通の看病をされている。
絶対にあり得ないと思っていたのに、普通に看病されるのがこんなにも嬉しいとは思わなかった。
変態だ、変態だと思っていたけど、ほんの少しだけ常識が残っているのかもしれないね。
ほんとに少しだけだけどね。だって――
「うふふっ♪」
薬を飲ませるだけで、極上の笑みを浮かべているんだよ?
それに、彼女達の格好がおかしいからね。
常識的に考えれば、っこは学校なのだから服装は制服のはずだ。まぁ、体操服の場合もあるかもしれ
ないけど、基本は制服である。
それなのに、この人達は白衣とナース服を着ている。
どう突っ込めばいいのだろうか?
「あの~何で二人は変な格好をしてるのかな?」
「何言ってるの? 看病する時はこの格好をするのが常識でしょ」
「世界的……常識……」
え……? 世界的常識なの? 僕そんなの初めて知ったんだけどね。
「それに優希もこんな可愛い姿を見てれ嬉しいでしょ?」
「あ、いや……まぁ……」
確かにそこは否定できないけど、何か納得がいかない。
「喜んでくれて嬉しいわ。それでだけど――」
ん? 嫌な予感がする。
「これを……着て……欲しい……」
差し出されたのはネグリジェだった。
生地は薄くないけど、ネグリジェを着るのは嫌過ぎるな。しかも意味がまったく分からないし。
「ベッドの上から悲しげに窓から外の景色を眺める病弱なお嬢様。何だか萌えない?」
「萌えませんて」
何を言ってるのか意味が分からないな。
「萌え……萌え……」
「今回はそこまで恥ずかしい服じゃないんだから、さっさと着替えなさい」
「…………」
そうかもしれないけど、僕は一応病人なんだけどね。
それなのに自分達を欲求を満たそうとするなんて、少しだけ見直した僕がバカだった。
「ちなみに拒否しようなんて思わないでね。私達の素敵衣装を見たんだから、優希もそれなりの物を
見せてくれないと割に合わないでしょ」
そういう問題じゃないと思う。てか、二人が勝手に着替えたんでしょ。
「優希はお金を払いたいのかしら?」
「見物料……かなり……高い……」
「うっ……」
結局こういう展開になるのね。僕が何を言っても、どういう状態でも女装させるんだね。
ほんと、二人は悪魔だね。
でも律儀に着替える僕は一体何なんだろう?
そんな事を疑問に思いながら差し出された服に着替える。はぁ……風邪が悪化しそうだ。
「す、素敵よ。素敵だわ優希」
「最高……」
相変わらずの褒め言葉で盛り上がる二人。
ねぇ、そろそろ眠ってもいいかな? 僕は疲れたよ。
もう限界なんだ。
きっと神様も許してくれるよね……?
いこうか。パトラッシュ……
薬が効いてきて深い眠りについている僕の横で二人はずっと騒いでいた。
あまりに迷惑な行為だが、ほんとうに疲れてたんだろう。そして薬がいい仕事をしたんだろう。僕は
最後まで起きる事はなかった。
ん? 何の最後かだって? それは――
寝ている僕に色々と悪戯をしてたんだよ。この二人は!
今まで何をしていたかは分からないけど最後の最後、僕の下着を脱がそうとしている所で目が覚めて
本当によかった。
このまま目が覚めなかったら、洒落にならない事になっていただろう。
しかも、その時の二人の対応が逆ギレというまさに意味の分からないものだった。
こっちは病人なのに、ほんとちゃんとした看病をしてもらっていないな。
はぁ……今日は学校を休むべきだったんだよ。
これは完全に僕の落ち度だね。
変態共に隙を見せてしまった僕のミスだ。
いや、風邪そのものは問題はなかった。多少辛いけど、薬を飲んでゆっくり休んでいればいいんだから。
無理をせずゆっくりと……そうすればそこまで問題はなかったのに。
僕は一つだけ重要な事を忘れていた。
ここは変態共が集まる学校だという事を――
『あら優希。風邪を引いてるの? だったら看病してあげるわよん♪』
『え、あの……』
『何!? 優希が風邪を引いてるだと! それは一大事じゃないか』
『別にただの風邪だし……』
『風邪……を甘く……みては……ダメ』
『いや、薬を飲んでるし……ね』
『さーて、看病するわよ~♪』
『おぉー♪』
ちょっとした油断から風邪を引いているのがバレてしまった。
普通の人達なら軽く心配したりするくらいだろう。しかし、此処にそんな思考を持った人などいない。
有無を言わさず僕を保健室に移動させる。
保健室に運んでくれるのは構わないけど、コイツ等は看病をすると言ってきかない。
看病――そんな優しい言葉をかけながら、コイツ等は絶対僕で遊ぶ気だろう。
だって、コイツ等は普通の神経は持ち合わせてないもんね。
ただの変態。
そんな変態が僕の心配をするわけがない。ただただ、自分達の欲求を満たしたいだけ。
なんという不幸なんだろう。
もし僕に神様を殴る事が出来るのなら、僕は迷わず殴るだろう。
誰だってそうするだろう? 理不尽な理由で女装をさせられ弄られる。
しかも今回は風邪まで引いているんだ。そりゃ、殴りたくもなるでしょ。
「優希~。お薬の時間よ♪」
「何で嬉しそうに言うのかな?」
バカな事をしてくる。そう思っていたのに意外にも普通の看病をされている。
絶対にあり得ないと思っていたのに、普通に看病されるのがこんなにも嬉しいとは思わなかった。
変態だ、変態だと思っていたけど、ほんの少しだけ常識が残っているのかもしれないね。
ほんとに少しだけだけどね。だって――
「うふふっ♪」
薬を飲ませるだけで、極上の笑みを浮かべているんだよ?
それに、彼女達の格好がおかしいからね。
常識的に考えれば、っこは学校なのだから服装は制服のはずだ。まぁ、体操服の場合もあるかもしれ
ないけど、基本は制服である。
それなのに、この人達は白衣とナース服を着ている。
どう突っ込めばいいのだろうか?
「あの~何で二人は変な格好をしてるのかな?」
「何言ってるの? 看病する時はこの格好をするのが常識でしょ」
「世界的……常識……」
え……? 世界的常識なの? 僕そんなの初めて知ったんだけどね。
「それに優希もこんな可愛い姿を見てれ嬉しいでしょ?」
「あ、いや……まぁ……」
確かにそこは否定できないけど、何か納得がいかない。
「喜んでくれて嬉しいわ。それでだけど――」
ん? 嫌な予感がする。
「これを……着て……欲しい……」
差し出されたのはネグリジェだった。
生地は薄くないけど、ネグリジェを着るのは嫌過ぎるな。しかも意味がまったく分からないし。
「ベッドの上から悲しげに窓から外の景色を眺める病弱なお嬢様。何だか萌えない?」
「萌えませんて」
何を言ってるのか意味が分からないな。
「萌え……萌え……」
「今回はそこまで恥ずかしい服じゃないんだから、さっさと着替えなさい」
「…………」
そうかもしれないけど、僕は一応病人なんだけどね。
それなのに自分達を欲求を満たそうとするなんて、少しだけ見直した僕がバカだった。
「ちなみに拒否しようなんて思わないでね。私達の素敵衣装を見たんだから、優希もそれなりの物を
見せてくれないと割に合わないでしょ」
そういう問題じゃないと思う。てか、二人が勝手に着替えたんでしょ。
「優希はお金を払いたいのかしら?」
「見物料……かなり……高い……」
「うっ……」
結局こういう展開になるのね。僕が何を言っても、どういう状態でも女装させるんだね。
ほんと、二人は悪魔だね。
でも律儀に着替える僕は一体何なんだろう?
そんな事を疑問に思いながら差し出された服に着替える。はぁ……風邪が悪化しそうだ。
「す、素敵よ。素敵だわ優希」
「最高……」
相変わらずの褒め言葉で盛り上がる二人。
ねぇ、そろそろ眠ってもいいかな? 僕は疲れたよ。
もう限界なんだ。
きっと神様も許してくれるよね……?
いこうか。パトラッシュ……
薬が効いてきて深い眠りについている僕の横で二人はずっと騒いでいた。
あまりに迷惑な行為だが、ほんとうに疲れてたんだろう。そして薬がいい仕事をしたんだろう。僕は
最後まで起きる事はなかった。
ん? 何の最後かだって? それは――
寝ている僕に色々と悪戯をしてたんだよ。この二人は!
今まで何をしていたかは分からないけど最後の最後、僕の下着を脱がそうとしている所で目が覚めて
本当によかった。
このまま目が覚めなかったら、洒落にならない事になっていただろう。
しかも、その時の二人の対応が逆ギレというまさに意味の分からないものだった。
こっちは病人なのに、ほんとちゃんとした看病をしてもらっていないな。
はぁ……今日は学校を休むべきだったんだよ。
これは完全に僕の落ち度だね。
変態共に隙を見せてしまった僕のミスだ。
夏祭りに誘われた。
祭は嫌いじゃないし、何より祭じゃ女装はさせられないだろうと思ったしね。
でも結局は自分の浅はかさを思い知る事になってしまった。
ああ、そうだね。浴衣だから大丈夫。そんな幻想は捨てるべきだったんだ。
柄なんて関係無い。そう思ってたんだけど、実際着てみるとかなり関係があったんだね。
男性用。女性用。多少の違いはあれど、そこまで大きな違いは無いと思ってたけど、これは無いわ。
恥ずかし過ぎる。
今までは女装させられても学校の人間達にしか見られて無かったけど、今回は大勢の人間がいる。
しかも知らない人間ばかりだ。
そんな中で女装をしている。なんという辱めだろうか。
もし、誰かに女装しているのがバレてしまったら? 僕は二度と外を歩く事は出来ないだろう。
外を歩くたびに、誰かに指をさされるんだろう。変態がいると。
それだけは勘弁して欲しい。
勘弁して欲しいのに――
「なに、これ……?」
僕達を中心に物凄い人が集まってきてるんだけど。
「あはっ♪ 優希があまりに可愛いから、誘拐をしようと色んな人が集まってきたわね♪」
「誘拐って……」
どうしてだろうね。ここの人間達なら本気でやりそうな気がするのは。
『はぁ……はぁ……誰だあの可愛い娘は?』
『お、お持ち帰りしたいでござる』
『浴衣の中は何も穿いて無いのかな?』
「…………」
誰か嘘だと言って欲しい。
何でこの町の人間も学校のバカ共と同じで変態的思考を持ってるんだよ。
何? この世界は変態しか存在してないの? 常識的な人はいないの?
「見知らぬ複数の男達に蹂躙される優希……いやん♪」
「いやいや、何くだらない妄想してるんですか」
マジで洒落にならない妄想は止めて欲しい。
ただの妄想で済めばいいけど、あの人達の瞳を見てたら冗談では済まされないような気がするんだよね。
もし、そんな事になったら完全に自殺ものだよ。
さすがにこの年齢で自殺はしたくないので、蹂躙されるのは勘弁して欲しい。
まぁ、それ以前に女装させられるのも勘弁して欲しいんだけどね。
「貞操の危機を感じながらお祭りを楽しむのも一興じゃないかしら?」
「ないから」
そんなのを推奨しないで欲しい。
「そういうものかしら? まぁ、とにかく今はお祭りを楽しみましょ♪」
百瀬さんから言い始めた事なんだけどね。
でも、確かに今はお祭りを楽しんだ方がいいかもしれない。せっかくここまで来たのに、沈んだ気持ちで
いても全然楽しくなんかないもんね。だから多少も不安はあるけど、祭を楽しもう。
――と、まぁポジティブシンキングで言ってみたのはいいものの、
『おっ! 嬢ちゃん達なかなか可愛いじゃねぇか。サービスするぞ』
『あの……よかったら、俺達と一緒に行きませんか?』
『しゃ、写真を撮ってもいいですか?』
「…………」
あまり楽しくない。
行くところ行くところで、人に絡まれる。
食べ物とかをサービスしてくれるのは嬉しいけど女の子扱いされてるから、かなり複雑だ。
居心地が悪いどころの騒ぎではない。
「どうしたの優希。楽しくないって表情をしてるけど」
「周りの視線が……」
絡まれるのも面倒だけど、一番の不愉快は周りの人間達の視線だ。
学校でのことがあるから、ある程度は慣れてると思っていたけど、やはり気持ち悪い。
大げさじゃなく、貞操の危機を感じるよ。
まぁ、それでも唯一の救いは他の面倒な人間に会っていないという事だよね。
「あはっ♪ 優希、今自分でフラグを立てたわね♪」
「え……?」
それはどういう――
「こんな……所に……いた……んだ」
「な、なんという神々しい姿なんだ相棒!」
「佐藤優希! また貴様は俺の邪魔をしようと言うのか!?」
うわぁ……本当に面倒な人達が集まって来たよ。
恐るべきはフラグの力だという事か。
「ふむ……。浴衣とポニーテールの組み合わせか。なかなかいい選択じゃないか。浴衣から覗くうなじの
破壊力はまさに、ひと夏の清涼剤といった所か……」
気持ち悪い変態まで出てきたよ。
あ~マジで最悪だよ。さっきも酷かったけど今の状況よりはマシだった。
それなのに、それなのに――
「「「お祭りはこれからだよ。優希!」」」
あーもうっ! 夏祭りなんて大っ嫌いだよ!
てか、変態共が嫌いだよ。
少しは大人しくしてくれないかな。
…………無理か。
祭は嫌いじゃないし、何より祭じゃ女装はさせられないだろうと思ったしね。
でも結局は自分の浅はかさを思い知る事になってしまった。
ああ、そうだね。浴衣だから大丈夫。そんな幻想は捨てるべきだったんだ。
柄なんて関係無い。そう思ってたんだけど、実際着てみるとかなり関係があったんだね。
男性用。女性用。多少の違いはあれど、そこまで大きな違いは無いと思ってたけど、これは無いわ。
恥ずかし過ぎる。
今までは女装させられても学校の人間達にしか見られて無かったけど、今回は大勢の人間がいる。
しかも知らない人間ばかりだ。
そんな中で女装をしている。なんという辱めだろうか。
もし、誰かに女装しているのがバレてしまったら? 僕は二度と外を歩く事は出来ないだろう。
外を歩くたびに、誰かに指をさされるんだろう。変態がいると。
それだけは勘弁して欲しい。
勘弁して欲しいのに――
「なに、これ……?」
僕達を中心に物凄い人が集まってきてるんだけど。
「あはっ♪ 優希があまりに可愛いから、誘拐をしようと色んな人が集まってきたわね♪」
「誘拐って……」
どうしてだろうね。ここの人間達なら本気でやりそうな気がするのは。
『はぁ……はぁ……誰だあの可愛い娘は?』
『お、お持ち帰りしたいでござる』
『浴衣の中は何も穿いて無いのかな?』
「…………」
誰か嘘だと言って欲しい。
何でこの町の人間も学校のバカ共と同じで変態的思考を持ってるんだよ。
何? この世界は変態しか存在してないの? 常識的な人はいないの?
「見知らぬ複数の男達に蹂躙される優希……いやん♪」
「いやいや、何くだらない妄想してるんですか」
マジで洒落にならない妄想は止めて欲しい。
ただの妄想で済めばいいけど、あの人達の瞳を見てたら冗談では済まされないような気がするんだよね。
もし、そんな事になったら完全に自殺ものだよ。
さすがにこの年齢で自殺はしたくないので、蹂躙されるのは勘弁して欲しい。
まぁ、それ以前に女装させられるのも勘弁して欲しいんだけどね。
「貞操の危機を感じながらお祭りを楽しむのも一興じゃないかしら?」
「ないから」
そんなのを推奨しないで欲しい。
「そういうものかしら? まぁ、とにかく今はお祭りを楽しみましょ♪」
百瀬さんから言い始めた事なんだけどね。
でも、確かに今はお祭りを楽しんだ方がいいかもしれない。せっかくここまで来たのに、沈んだ気持ちで
いても全然楽しくなんかないもんね。だから多少も不安はあるけど、祭を楽しもう。
――と、まぁポジティブシンキングで言ってみたのはいいものの、
『おっ! 嬢ちゃん達なかなか可愛いじゃねぇか。サービスするぞ』
『あの……よかったら、俺達と一緒に行きませんか?』
『しゃ、写真を撮ってもいいですか?』
「…………」
あまり楽しくない。
行くところ行くところで、人に絡まれる。
食べ物とかをサービスしてくれるのは嬉しいけど女の子扱いされてるから、かなり複雑だ。
居心地が悪いどころの騒ぎではない。
「どうしたの優希。楽しくないって表情をしてるけど」
「周りの視線が……」
絡まれるのも面倒だけど、一番の不愉快は周りの人間達の視線だ。
学校でのことがあるから、ある程度は慣れてると思っていたけど、やはり気持ち悪い。
大げさじゃなく、貞操の危機を感じるよ。
まぁ、それでも唯一の救いは他の面倒な人間に会っていないという事だよね。
「あはっ♪ 優希、今自分でフラグを立てたわね♪」
「え……?」
それはどういう――
「こんな……所に……いた……んだ」
「な、なんという神々しい姿なんだ相棒!」
「佐藤優希! また貴様は俺の邪魔をしようと言うのか!?」
うわぁ……本当に面倒な人達が集まって来たよ。
恐るべきはフラグの力だという事か。
「ふむ……。浴衣とポニーテールの組み合わせか。なかなかいい選択じゃないか。浴衣から覗くうなじの
破壊力はまさに、ひと夏の清涼剤といった所か……」
気持ち悪い変態まで出てきたよ。
あ~マジで最悪だよ。さっきも酷かったけど今の状況よりはマシだった。
それなのに、それなのに――
「「「お祭りはこれからだよ。優希!」」」
あーもうっ! 夏祭りなんて大っ嫌いだよ!
てか、変態共が嫌いだよ。
少しは大人しくしてくれないかな。
…………無理か。
人生で初めてラブレターを貰った。
差出人は書いてないから誰からの物かは分からない。
普通なら諸手をあげて喜びたい所なんだけど……
いまいち素直に喜べない。
何故なら、この手紙の差出人が男の可能性があるからだ。
悲しい事に僕は学校でよく女装をさせられている。
それだけでも自殺ものなんだけど、その女装の受けがいいのだ。
特に男共の熱狂ぶりが恐ろしい。
あいつ等の瞳に宿る狂気が怖い。あいつ等は平気で性別の壁を越えてきそうだから。
性別を無視して、己の欲望を満たしてきそうだから。
そんな事を考えると、どうしても素直には喜べないのである。
「あら優希。その手に持ってるのは何?」
「何ってこれは手が――って、百瀬さん!?」
「手紙……もしかしてラブレターじゃないでしょうね」
一番見つかりたくない人に見つかってしまった。
しかも変な所で鋭い。
「は、はは……そんなわけないじゃないですか。何の変哲も無い普通の紙ですよ」
「嘘」
「嘘じゃないですよ?」
まぁ、勿論大嘘なんだけど、僕の全神経が悲鳴をあげて警告しているんだ。彼女にはこの手紙の
内容を知られてはならないと。
だから、ここはなんとかして百瀬さんをやり過ごさないといけない。
「嘘は……よくない……と……思う」
「え……?」
一瞬の隙をつかれて頼子ちゃんに手紙を奪われてしまった。てか、どうして頼子ちゃんが此処に居るんだろうか?
「やっぱり……ラブレター……だ」
「うおっ!?」
手紙を奪い返す事も出来ず、頼子ちゃんを口止めする事も出来ずにバラされてしまった。
「 」
うわぁ……百瀬さんが本気で怒ってるよ。本気の無言のプレッシャーを放っている。
死ぬ。普通に考えたら殺されてしまう。
そんな錯覚に陥るほど、百瀬さんから迸るプレッシャーが凄いのだ。
「優希」
「は、はいっ! 何でしょうか?」
「これ、誰からのラブレターなの?」
「だ、誰って……差出人の名前が書かれてないから分からないよ」
出来ることなら女の子であって欲しいとは思うけどね。
「……そう。相手が誰かなんてどうでもいいわね」
いや、かなり重要な部分だと思う。だって、これがもし男だったら……いや、考えるのはよそう。
「返事は私がしておくから優希はこの手紙の事は忘れなさい」
「ええっ!?」
いくらなんでもそれは横暴すぎると思うんだけど。
「何? 何か異論でもあるの?」
むしろ異論しかないよ。
「優希にはラブレターなんて物はまだ早いのよ」
「いや、ラブレターに早いも遅いもないと……」
「確かに……あなたには……少し……早いかも」
その根拠は一体何なんだろう。
「優希には私が居るから他の女なんて必要ないでしょ」
「一応……わたし……も……いる」
その言葉は嬉しいような、微妙な感じがするような……
「まぁ、仮に相手が男なら何の問題もなかったんだけど、現状じゃはっきりとしてないからね」
「あなたと……男子の……絡み……すごく……美味しいです」
全然美味しくも無いし、問題しかないよ!
何で女の子はダメで男だったらいいんだよ! マジで意味が分からないんだけど!
「そういうわけだから優希は、その手紙の事は忘れなさい」
「早く……忘れる……の」
「う、うん」
もの凄い重圧を感じる。
どうせ僕にはこの二人に対して拒否権も発言権も無いだろうし、ここは大人しく頷いておこう。
「あはっ♪ さすが優希。私の気持ちをよく理解してるわね」
はは……全然理解できてませんよ。
「変な……女には……あなたを……渡さない」
どうして頼子ちゃんが僕の相手を選別するのかな。
「ははっ。羨ましい状況じゃないか相棒」
「どこをどう見れば羨ましい状況なんだよ」
こんなドス黒いオーラに包まれる状況なんて嬉しくないんだけど。
「何を言う。こんな恐怖しか感じない状況はドMにとってご褒美じゃないか」
「ははっ。死ねよバカ」
お前にとってはご褒美かもしれないけど、ごく普通の僕にとっては地獄だよ。
てか、この状況でご褒美とか言えるとかマジで変態だな。
まぁ、誰が僕に手紙を送ってくれたのか分からないけど、ごめんね。
返事をする事が出来なくてごめん。
本当は返事くらいはするべきなんだろうけど――
「あははっ♪ 何処のクソ野郎が私の優希を取ろうとしてるのかしら?」
「許さない……絶対に……」
こんな風に恐ろしい人達が居るから動く事が出来ないんだ。
普段はただの変態だと思ってたのに、嫉妬癖があるだなんてね。
変態+嫉妬癖。
最悪の組み合わせじゃないかなこれって。
うん。マジで酷いと思うよ。しかもそれが二人って何の嫌がらせなんだろうか。
とりあえず、この手紙を書いた人に忠告をしておきたい。
早く逃げるんだ――
逃げないと彼女達に殺されるんじゃないだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
差出人は書いてないから誰からの物かは分からない。
普通なら諸手をあげて喜びたい所なんだけど……
いまいち素直に喜べない。
何故なら、この手紙の差出人が男の可能性があるからだ。
悲しい事に僕は学校でよく女装をさせられている。
それだけでも自殺ものなんだけど、その女装の受けがいいのだ。
特に男共の熱狂ぶりが恐ろしい。
あいつ等の瞳に宿る狂気が怖い。あいつ等は平気で性別の壁を越えてきそうだから。
性別を無視して、己の欲望を満たしてきそうだから。
そんな事を考えると、どうしても素直には喜べないのである。
「あら優希。その手に持ってるのは何?」
「何ってこれは手が――って、百瀬さん!?」
「手紙……もしかしてラブレターじゃないでしょうね」
一番見つかりたくない人に見つかってしまった。
しかも変な所で鋭い。
「は、はは……そんなわけないじゃないですか。何の変哲も無い普通の紙ですよ」
「嘘」
「嘘じゃないですよ?」
まぁ、勿論大嘘なんだけど、僕の全神経が悲鳴をあげて警告しているんだ。彼女にはこの手紙の
内容を知られてはならないと。
だから、ここはなんとかして百瀬さんをやり過ごさないといけない。
「嘘は……よくない……と……思う」
「え……?」
一瞬の隙をつかれて頼子ちゃんに手紙を奪われてしまった。てか、どうして頼子ちゃんが此処に居るんだろうか?
「やっぱり……ラブレター……だ」
「うおっ!?」
手紙を奪い返す事も出来ず、頼子ちゃんを口止めする事も出来ずにバラされてしまった。
「 」
うわぁ……百瀬さんが本気で怒ってるよ。本気の無言のプレッシャーを放っている。
死ぬ。普通に考えたら殺されてしまう。
そんな錯覚に陥るほど、百瀬さんから迸るプレッシャーが凄いのだ。
「優希」
「は、はいっ! 何でしょうか?」
「これ、誰からのラブレターなの?」
「だ、誰って……差出人の名前が書かれてないから分からないよ」
出来ることなら女の子であって欲しいとは思うけどね。
「……そう。相手が誰かなんてどうでもいいわね」
いや、かなり重要な部分だと思う。だって、これがもし男だったら……いや、考えるのはよそう。
「返事は私がしておくから優希はこの手紙の事は忘れなさい」
「ええっ!?」
いくらなんでもそれは横暴すぎると思うんだけど。
「何? 何か異論でもあるの?」
むしろ異論しかないよ。
「優希にはラブレターなんて物はまだ早いのよ」
「いや、ラブレターに早いも遅いもないと……」
「確かに……あなたには……少し……早いかも」
その根拠は一体何なんだろう。
「優希には私が居るから他の女なんて必要ないでしょ」
「一応……わたし……も……いる」
その言葉は嬉しいような、微妙な感じがするような……
「まぁ、仮に相手が男なら何の問題もなかったんだけど、現状じゃはっきりとしてないからね」
「あなたと……男子の……絡み……すごく……美味しいです」
全然美味しくも無いし、問題しかないよ!
何で女の子はダメで男だったらいいんだよ! マジで意味が分からないんだけど!
「そういうわけだから優希は、その手紙の事は忘れなさい」
「早く……忘れる……の」
「う、うん」
もの凄い重圧を感じる。
どうせ僕にはこの二人に対して拒否権も発言権も無いだろうし、ここは大人しく頷いておこう。
「あはっ♪ さすが優希。私の気持ちをよく理解してるわね」
はは……全然理解できてませんよ。
「変な……女には……あなたを……渡さない」
どうして頼子ちゃんが僕の相手を選別するのかな。
「ははっ。羨ましい状況じゃないか相棒」
「どこをどう見れば羨ましい状況なんだよ」
こんなドス黒いオーラに包まれる状況なんて嬉しくないんだけど。
「何を言う。こんな恐怖しか感じない状況はドMにとってご褒美じゃないか」
「ははっ。死ねよバカ」
お前にとってはご褒美かもしれないけど、ごく普通の僕にとっては地獄だよ。
てか、この状況でご褒美とか言えるとかマジで変態だな。
まぁ、誰が僕に手紙を送ってくれたのか分からないけど、ごめんね。
返事をする事が出来なくてごめん。
本当は返事くらいはするべきなんだろうけど――
「あははっ♪ 何処のクソ野郎が私の優希を取ろうとしてるのかしら?」
「許さない……絶対に……」
こんな風に恐ろしい人達が居るから動く事が出来ないんだ。
普段はただの変態だと思ってたのに、嫉妬癖があるだなんてね。
変態+嫉妬癖。
最悪の組み合わせじゃないかなこれって。
うん。マジで酷いと思うよ。しかもそれが二人って何の嫌がらせなんだろうか。
とりあえず、この手紙を書いた人に忠告をしておきたい。
早く逃げるんだ――
逃げないと彼女達に殺されるんじゃないだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
――文化祭――
学校行事の中でも大きな規模の行事の一つである。
クラスの人間。または、部活仲間。友達同士で色々な企画を立て実行する。
そんな一種のお祭りのようなものである。
まぁ、そんな文化祭に向けて僕達のクラスも何か出し物をしようと話が持ち上がったわけで。
「我がクラスは文化祭の定番である喫茶店を開こうと思います」
その決定にクラスから拍手が起きる。
確かに喫茶店は定番だけど、その分やりがいも十分にあるのだ。
年に一回のお祭りの文化祭だ、皆で楽しくワイワイとやるのも悪くは無い。
そんな風に考えていた――
しかしまぁ、現実はそんなに甘いわけでは無かった。
準備が上手く進まない? 作業をサボる人間が居る? クラス全体の士気が下がっている?
そんなどこにでも起きるような現実ならまだよかったのかもしれない。
そういうような事ではなく、今僕に突きつけられている現実は――
「さぁ、優希。優希はどの衣装を選ぶの?」
何とも僕にだけ優しくない現実だった。
最初に誰が言ったか覚えてないが、誰かが『喫茶店といえば可愛い衣装だよな!』なんて事を言い。
そして、その言葉に触発されたのは他の誰かが『ならまずは佐藤の衣装を考えないといけないな』
とか言い出したんだ。そして、あれよあれよと僕の目の前には無数の衣装が運ばれてきた。
「基本はウエイトレスかメイドだけど、あえて違う衣装を選ぶってのもありだと思うわ」
何がありなのか教えて欲しい。そして常に過る疑問としては、何故僕なんだろうかという事。
当たり前のようにこのクラスにも女子はいるし、何気に可愛い子だっている。
それなのに、何故一番初めが僕なんだろうか。
「先生も百瀬の気持ちも分からないでもないが、ここは王道で攻めるのがいいと思うぞ」
「先生……」
「変に着飾る必要は無いだろう。こちらには佐藤が居るんだ。十分な素材があるんだから、飾り付け
なぞ拘らない方が素材が映えるだろう」
この先生は一体何を言っているんだろうか。
何で僕を基準にして考えてるの? どう考えてもおかしいでしょ。
「――先生! 感動しました。今回は先生の考え通りにいきましょう!」
ええーっ!?
ちょっ、百瀬さん? 何で先生の戯言に感銘を受けてるんですか?
今の話。どこも感動する所なんてなかったですよ。いや、わりとマジで。
「優希もそれでいいでしょ?」
「いいでしょ……って言われても……」
勿論嫌に決まってるじゃないか。でもどうせ、それを言っても聞いてもらえないんでしょ?
だったら、僕の答えはもう決まってるじゃないか。
「……仕方ないか」
「さすが優希、話が早くて助かるわ♪」
「は、はは……っ」
泣いていいだろうか……
「お、おぉう。まさか相棒が自分から女装を認めるとは驚きだ」
「認めてなんかいねぇから死ねよ変態」
全部、全部……仕方のない事なんだよ。だから勘違いするなゴミ野郎が!
「あはっ♪ 腕が鳴るわね。私の全てを懸けて優希に似合う衣装を用意するからね♪」
「はは……」
そこまで張りきらなくてもいいですよ。てか、むしろ大人しくしていて欲しい。
「俄然盛り上がってきたわ! 女子の皆、私に付いてきなさい! そして野郎共! 力仕事は任せたわよ!」
『ええっ!』
『おおっ!』
百瀬さんの号令でクラス全体の士気があがる。
それに引きかえ僕のテンションは急降下である。
「さぁ、皆! 今年の学園祭は最高のテンションでいくわよ!」
『おお――っ!』
恐ろしいまでの盛り上がり、そして恐ろしいまでの統率力。
下手したら、何処かの国を潰す事が出来るくらいじゃないだろうか。
ああ。火事か地震でも起きないかな。
別に今すぐとは言わないよ。学園祭が始まる前の日までには起きてくれればいい。
そして、この学校を消滅させて欲しい。
あ、いや。別に学校を消さなくてもいいかな。ここの変態共を消してくれればそれでも構わない。
学園祭まであまり日にちが無いな。
無駄だと分かっていても祈りを捧げよう。
せめて――せめて、普通の衣装を僕に――
おかしくない服装を僕に用意して下さい。
学校行事の中でも大きな規模の行事の一つである。
クラスの人間。または、部活仲間。友達同士で色々な企画を立て実行する。
そんな一種のお祭りのようなものである。
まぁ、そんな文化祭に向けて僕達のクラスも何か出し物をしようと話が持ち上がったわけで。
「我がクラスは文化祭の定番である喫茶店を開こうと思います」
その決定にクラスから拍手が起きる。
確かに喫茶店は定番だけど、その分やりがいも十分にあるのだ。
年に一回のお祭りの文化祭だ、皆で楽しくワイワイとやるのも悪くは無い。
そんな風に考えていた――
しかしまぁ、現実はそんなに甘いわけでは無かった。
準備が上手く進まない? 作業をサボる人間が居る? クラス全体の士気が下がっている?
そんなどこにでも起きるような現実ならまだよかったのかもしれない。
そういうような事ではなく、今僕に突きつけられている現実は――
「さぁ、優希。優希はどの衣装を選ぶの?」
何とも僕にだけ優しくない現実だった。
最初に誰が言ったか覚えてないが、誰かが『喫茶店といえば可愛い衣装だよな!』なんて事を言い。
そして、その言葉に触発されたのは他の誰かが『ならまずは佐藤の衣装を考えないといけないな』
とか言い出したんだ。そして、あれよあれよと僕の目の前には無数の衣装が運ばれてきた。
「基本はウエイトレスかメイドだけど、あえて違う衣装を選ぶってのもありだと思うわ」
何がありなのか教えて欲しい。そして常に過る疑問としては、何故僕なんだろうかという事。
当たり前のようにこのクラスにも女子はいるし、何気に可愛い子だっている。
それなのに、何故一番初めが僕なんだろうか。
「先生も百瀬の気持ちも分からないでもないが、ここは王道で攻めるのがいいと思うぞ」
「先生……」
「変に着飾る必要は無いだろう。こちらには佐藤が居るんだ。十分な素材があるんだから、飾り付け
なぞ拘らない方が素材が映えるだろう」
この先生は一体何を言っているんだろうか。
何で僕を基準にして考えてるの? どう考えてもおかしいでしょ。
「――先生! 感動しました。今回は先生の考え通りにいきましょう!」
ええーっ!?
ちょっ、百瀬さん? 何で先生の戯言に感銘を受けてるんですか?
今の話。どこも感動する所なんてなかったですよ。いや、わりとマジで。
「優希もそれでいいでしょ?」
「いいでしょ……って言われても……」
勿論嫌に決まってるじゃないか。でもどうせ、それを言っても聞いてもらえないんでしょ?
だったら、僕の答えはもう決まってるじゃないか。
「……仕方ないか」
「さすが優希、話が早くて助かるわ♪」
「は、はは……っ」
泣いていいだろうか……
「お、おぉう。まさか相棒が自分から女装を認めるとは驚きだ」
「認めてなんかいねぇから死ねよ変態」
全部、全部……仕方のない事なんだよ。だから勘違いするなゴミ野郎が!
「あはっ♪ 腕が鳴るわね。私の全てを懸けて優希に似合う衣装を用意するからね♪」
「はは……」
そこまで張りきらなくてもいいですよ。てか、むしろ大人しくしていて欲しい。
「俄然盛り上がってきたわ! 女子の皆、私に付いてきなさい! そして野郎共! 力仕事は任せたわよ!」
『ええっ!』
『おおっ!』
百瀬さんの号令でクラス全体の士気があがる。
それに引きかえ僕のテンションは急降下である。
「さぁ、皆! 今年の学園祭は最高のテンションでいくわよ!」
『おお――っ!』
恐ろしいまでの盛り上がり、そして恐ろしいまでの統率力。
下手したら、何処かの国を潰す事が出来るくらいじゃないだろうか。
ああ。火事か地震でも起きないかな。
別に今すぐとは言わないよ。学園祭が始まる前の日までには起きてくれればいい。
そして、この学校を消滅させて欲しい。
あ、いや。別に学校を消さなくてもいいかな。ここの変態共を消してくれればそれでも構わない。
学園祭まであまり日にちが無いな。
無駄だと分かっていても祈りを捧げよう。
せめて――せめて、普通の衣装を僕に――
おかしくない服装を僕に用意して下さい。
ついにやってきた学園祭当日。
どんなに一生懸命願ってもこの日を回避する事は出来なかった。
悲しい事に僕はクラスの出し物の喫茶店の最前線に出されている。
勿論女装をさせられているし、服もウエイトレスの衣装にしては少々過激な気がする衣装だ。
どうしてこんなにもスカートが短いのだろうか?
下手をすれば下着が見えそうなくらいに短い。
こんな物の何処に需要があるのか実に分からない。
そして、それに釣られる人間も本気で意味が分からない。
『こ、ここが噂の神がいる喫茶店か』
『ここは天国ですか……?』
『早く! 早く! 席を開けるんだ! 早く俺に彼女を見せてくれ!』
『いやん。あの娘、お持ち帰りしたいわぁ~♪』
酷い。あり得ないくらいに酷過ぎる。
お客さんの入りはよく、売上も凄い勢いで上がっているけど素直に喜べない。
「まさかここまでお客さんが優希に群がるとは……」
「いや、感心してる場合じゃないでしょ。このままだとこの店潰れるよ」
比喩的表現ではなく、本気で喫茶店が潰されてしまいかねない。
しかも、売上が悪くて潰れるんじゃなくて、大勢の人が押し寄せて来て潰れそうなんだ。
場合によっては、病人が出てもおかしくない程の人だかり。
これは、ある意味では成功しているんだろう。
しかし――
僕は完全に損をしている。
ただの客寄せパンダにされて、大勢の人間に見られる。
しかも、聞くだけで気持ち悪くなるような事を聞かされる。
変態。
変態ばかりが集まっている。
こんなの健全な学園祭じゃない。僕が望んだ学園祭じゃないんだ!
「うぐぐ……佐藤優希。また貴様は小賢しい事を――」
「ウエイトレス姿……素敵」
「ああっ! 相棒が可愛すぎて生きるのが辛いぜ!」
どんどん変態が湧いてくる。
そして、生きるのが辛いなら死んでくれ。今すぐに。
「うむ。先生の思った通りだな。面白いように人が集まっている。そして、佐藤の可愛さ
が素晴らしい事になっているな」
先生ェ……あんただ。あんたのせいで僕は――
「短いスカートから覗く白い太もも。そして見えそうで見えない下着。しかも見えないから
こそ、彼が穿いているのが男ものの下着なのか、女ものの下着なのか分からないのが更にいい!
それだけで色々な妄想が掻きたてられてしまう。実に完璧じゃないか」
うわぁ……今までで一番気持ち悪い表現の仕方じゃないかな。
あと、あんたは何処から湧いて出てきたんだよ?
マジで警察とかに連絡してもいいのかな?
いや、この変態だけじゃなくて他の変態共も含めて消したいから、やはり連絡するべきか。
携帯。携帯は……と。
「あら優希。仕事をサボって何をしてるのかしら?」
「も、百瀬……さん」
どうして百瀬さんが此処に? あなたは確かこの場所には居ないはずなのに……
「隠れて携帯を取り出して何をしようとしてるの? ナンパした女のアドレスでも登録するのかしら?」
「いや、そんな事――」
てか、ナンパなんかしてないし、そもそも僕にそんな余裕はなかったよ。
「じゃあ、早く仕事に戻りなさい」
「…………はい」
ああ。僕は誰かに助けを求める事すら許されないのか。
学園祭は生徒全員が楽しむものじゃないのか?
それなのに僕には不幸しか舞い降りていない。
こんな、こんな学園祭――
潰してやる!
とかほんの一瞬だけ考えてみたけど、無理だね。
間違った企画とはいえ、皆が頑張って作り上げたものを壊すのは嫌だし、何より――
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?』
この変共を止める勇気が僕には無い。
行けば一瞬にして、変態の波に飲み込まれるだろう。
だから僕は踏みとどまるんだ。
これは決して逃げているわけじゃない。
むしろ勇敢に戦っていると言いたい!
そうだ! 僕は戦っているんだ。
この辛い現実と!
そんな現実逃避をしながら僕は最前線に立つ。
怖い。周りの視線が本気で怖い。
だけど僕は逃げられない。後ろに百瀬さんが恐ろしいオーラを放ちながら仁王立ちしているから。
は、はは……っ。
泣かないもん。
どんなに一生懸命願ってもこの日を回避する事は出来なかった。
悲しい事に僕はクラスの出し物の喫茶店の最前線に出されている。
勿論女装をさせられているし、服もウエイトレスの衣装にしては少々過激な気がする衣装だ。
どうしてこんなにもスカートが短いのだろうか?
下手をすれば下着が見えそうなくらいに短い。
こんな物の何処に需要があるのか実に分からない。
そして、それに釣られる人間も本気で意味が分からない。
『こ、ここが噂の神がいる喫茶店か』
『ここは天国ですか……?』
『早く! 早く! 席を開けるんだ! 早く俺に彼女を見せてくれ!』
『いやん。あの娘、お持ち帰りしたいわぁ~♪』
酷い。あり得ないくらいに酷過ぎる。
お客さんの入りはよく、売上も凄い勢いで上がっているけど素直に喜べない。
「まさかここまでお客さんが優希に群がるとは……」
「いや、感心してる場合じゃないでしょ。このままだとこの店潰れるよ」
比喩的表現ではなく、本気で喫茶店が潰されてしまいかねない。
しかも、売上が悪くて潰れるんじゃなくて、大勢の人が押し寄せて来て潰れそうなんだ。
場合によっては、病人が出てもおかしくない程の人だかり。
これは、ある意味では成功しているんだろう。
しかし――
僕は完全に損をしている。
ただの客寄せパンダにされて、大勢の人間に見られる。
しかも、聞くだけで気持ち悪くなるような事を聞かされる。
変態。
変態ばかりが集まっている。
こんなの健全な学園祭じゃない。僕が望んだ学園祭じゃないんだ!
「うぐぐ……佐藤優希。また貴様は小賢しい事を――」
「ウエイトレス姿……素敵」
「ああっ! 相棒が可愛すぎて生きるのが辛いぜ!」
どんどん変態が湧いてくる。
そして、生きるのが辛いなら死んでくれ。今すぐに。
「うむ。先生の思った通りだな。面白いように人が集まっている。そして、佐藤の可愛さ
が素晴らしい事になっているな」
先生ェ……あんただ。あんたのせいで僕は――
「短いスカートから覗く白い太もも。そして見えそうで見えない下着。しかも見えないから
こそ、彼が穿いているのが男ものの下着なのか、女ものの下着なのか分からないのが更にいい!
それだけで色々な妄想が掻きたてられてしまう。実に完璧じゃないか」
うわぁ……今までで一番気持ち悪い表現の仕方じゃないかな。
あと、あんたは何処から湧いて出てきたんだよ?
マジで警察とかに連絡してもいいのかな?
いや、この変態だけじゃなくて他の変態共も含めて消したいから、やはり連絡するべきか。
携帯。携帯は……と。
「あら優希。仕事をサボって何をしてるのかしら?」
「も、百瀬……さん」
どうして百瀬さんが此処に? あなたは確かこの場所には居ないはずなのに……
「隠れて携帯を取り出して何をしようとしてるの? ナンパした女のアドレスでも登録するのかしら?」
「いや、そんな事――」
てか、ナンパなんかしてないし、そもそも僕にそんな余裕はなかったよ。
「じゃあ、早く仕事に戻りなさい」
「…………はい」
ああ。僕は誰かに助けを求める事すら許されないのか。
学園祭は生徒全員が楽しむものじゃないのか?
それなのに僕には不幸しか舞い降りていない。
こんな、こんな学園祭――
潰してやる!
とかほんの一瞬だけ考えてみたけど、無理だね。
間違った企画とはいえ、皆が頑張って作り上げたものを壊すのは嫌だし、何より――
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?』
この変共を止める勇気が僕には無い。
行けば一瞬にして、変態の波に飲み込まれるだろう。
だから僕は踏みとどまるんだ。
これは決して逃げているわけじゃない。
むしろ勇敢に戦っていると言いたい!
そうだ! 僕は戦っているんだ。
この辛い現実と!
そんな現実逃避をしながら僕は最前線に立つ。
怖い。周りの視線が本気で怖い。
だけど僕は逃げられない。後ろに百瀬さんが恐ろしいオーラを放ちながら仁王立ちしているから。
は、はは……っ。
泣かないもん。
ヒラヒラのフリルのついた可愛らしい服に始まり、ゴスロリ、セーラー服。
果ては女子の体操服やチャイナ服、水着まで様々な服を着せられた。
そこに僕の意志なんか無く、皆の望むままに辱めを受けてきた。
どれだけ僕が否定の声をあげても、一向にそれを聞き入れてもらえる事は無く、
一体、どれだけ僕は男のプライドを傷つけられてきたのだろうか。
ところで、何でこんな事を今更振り返っているのかって?
それはね――
いつの間にか僕の数々のコスプレ写真のアルバムが出来ていたからなんだよね。
当たり前だけど僕は、そんな事を頼んでいない。
つまり、どこかのクソ野郎がこんなハタ迷惑な事をしているわけである。
一体誰がこんな事を――
「ふふ……優希のアルバム買ったわよ」
「百瀬さん……」
アルバムを買った。つまり百瀬さんは犯人ではないという事か。
「アルバム……おいしい……」
「頼子ちゃん」
言っている意味は分からないけど、恐らく頼子ちゃんも犯人じゃなさそうだ。
この二人が犯人じゃないって事は……
「やぁ相棒――」
「お前は喋るな。そしてお前が犯人なんだろ。死ねよ」
「ちょっ、おま――」
「だから喋るなと言っている」
仮に違う人間が犯人でも、お前って事でいいだろ。
ああ。それでいいんだよ。だから消えてくれ。
まったく、こんなんじゃ最終回が不安だな。
最終回手前の今回でさえ変態が大人しく出来ないなんて、あり得ないだろう。
こんな事で無事に終える事が出来るのだろうか。
まぁ、そんな心配はするだけ無駄だろうし、今はとりあえず――
学校内に出回っているアルバムを全て回収するのが先だよね。
果ては女子の体操服やチャイナ服、水着まで様々な服を着せられた。
そこに僕の意志なんか無く、皆の望むままに辱めを受けてきた。
どれだけ僕が否定の声をあげても、一向にそれを聞き入れてもらえる事は無く、
一体、どれだけ僕は男のプライドを傷つけられてきたのだろうか。
ところで、何でこんな事を今更振り返っているのかって?
それはね――
いつの間にか僕の数々のコスプレ写真のアルバムが出来ていたからなんだよね。
当たり前だけど僕は、そんな事を頼んでいない。
つまり、どこかのクソ野郎がこんなハタ迷惑な事をしているわけである。
一体誰がこんな事を――
「ふふ……優希のアルバム買ったわよ」
「百瀬さん……」
アルバムを買った。つまり百瀬さんは犯人ではないという事か。
「アルバム……おいしい……」
「頼子ちゃん」
言っている意味は分からないけど、恐らく頼子ちゃんも犯人じゃなさそうだ。
この二人が犯人じゃないって事は……
「やぁ相棒――」
「お前は喋るな。そしてお前が犯人なんだろ。死ねよ」
「ちょっ、おま――」
「だから喋るなと言っている」
仮に違う人間が犯人でも、お前って事でいいだろ。
ああ。それでいいんだよ。だから消えてくれ。
まったく、こんなんじゃ最終回が不安だな。
最終回手前の今回でさえ変態が大人しく出来ないなんて、あり得ないだろう。
こんな事で無事に終える事が出来るのだろうか。
まぁ、そんな心配はするだけ無駄だろうし、今はとりあえず――
学校内に出回っているアルバムを全て回収するのが先だよね。
最終回。
ついにあの変態共から解放される記念すべき日。
僕が一体どれだけこの日を待ち望んでいた事だろうか。
変態共に弄られる日々。
実に辛い思いでだ。
何度死にたいと思ったか。
何度神様に文句を言ったか。
でも、それも今日で全てが終わる。
最終回だから。
えっ? かなりのメタ発言だって?
そんなのはどうでもいいんだよ。
だって、もう女装しなくて済むんだから♪
だから、メタ発言なんてものは些細な事なんだよ。
ああ。ほんと、普通の姿でいるのがこんなにも素敵な事だとは思わなかったよ。
最終回、最高!
――て、いう夢を見たんだ。
何であれが夢なのだろうか? 別に現実の出来ごとでもいいじゃないか。
だからお願いだから百瀬さん――
「その服だけは勘弁して下さい」
その明らかに布の面積の小さい衣装を僕に着せようとするのだけは勘弁して下さい。
それを着たら本気で、洒落になりません。
てか、猥褻物陳列罪で捕まってしまう。
だからそれだけは勘弁を……
「私が止めると思う?」
「は、はは……」
一ミリも思いませんね。
「覚悟しなさい」
「あーーーーーーーーっ!?」
――また夢を見たんです。
実に最悪な夢でした。
でも同時に夢でよかったと思います。
あれが夢じゃなかったら僕は人として完全に終わっていたでしょう。
そう僕の現実は、スカートを穿いてクラスの変態共に写真を撮られて――
「違う! こんなのは僕の現実じゃない!」
「何を言ってるんだ? これがお前の現実だよ」
「う、嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
――ええ。夢でした。
また夢ですよ。てか、僕は一体どれだけ連続で夢を見ているんだろうか?
もしかしたら、この夢から覚める事がないのでは? と思ってしまうほどだ。
一体、この仕打ちはなんなのだろうか?
『それはね。最終回だからやりたい放題やっているのさ』
「え……?」
『最初からメタ発言があるから、言ってしまうけど、今回は最終回でありながら完全ノープラン
なんだよ。だからオチも無いし、終わり方も分からないんだ』
「ちょっ、それってマズイでしょ!」
『うん、そうだね。仕方ないね』
「いや、諦めるなよ!」
『ごめん。もう無理だ。これが限界なんだよ少年……』
「ま、マジかよ。じゃ、じゃぁ、最後に一つだけ答えてよ」
『何だい?』
「何で毎回僕に女装させるようなネタばっかり書いてるんだよ!?」
『……なんとなく?』
「なんとなくかよ! てか、マジでふざけんなよ!」
『はは……気にするな少年。ではさらばだ。そして話も終わりだよ』
「う、うわぁ……本気で終わらせるつもりだよ」
まぁ、終わりなら別に終わりでもいいんだけどね。割と本気で。
じゃぁ、みんなバイバイ。
ついにあの変態共から解放される記念すべき日。
僕が一体どれだけこの日を待ち望んでいた事だろうか。
変態共に弄られる日々。
実に辛い思いでだ。
何度死にたいと思ったか。
何度神様に文句を言ったか。
でも、それも今日で全てが終わる。
最終回だから。
えっ? かなりのメタ発言だって?
そんなのはどうでもいいんだよ。
だって、もう女装しなくて済むんだから♪
だから、メタ発言なんてものは些細な事なんだよ。
ああ。ほんと、普通の姿でいるのがこんなにも素敵な事だとは思わなかったよ。
最終回、最高!
――て、いう夢を見たんだ。
何であれが夢なのだろうか? 別に現実の出来ごとでもいいじゃないか。
だからお願いだから百瀬さん――
「その服だけは勘弁して下さい」
その明らかに布の面積の小さい衣装を僕に着せようとするのだけは勘弁して下さい。
それを着たら本気で、洒落になりません。
てか、猥褻物陳列罪で捕まってしまう。
だからそれだけは勘弁を……
「私が止めると思う?」
「は、はは……」
一ミリも思いませんね。
「覚悟しなさい」
「あーーーーーーーーっ!?」
――また夢を見たんです。
実に最悪な夢でした。
でも同時に夢でよかったと思います。
あれが夢じゃなかったら僕は人として完全に終わっていたでしょう。
そう僕の現実は、スカートを穿いてクラスの変態共に写真を撮られて――
「違う! こんなのは僕の現実じゃない!」
「何を言ってるんだ? これがお前の現実だよ」
「う、嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
――ええ。夢でした。
また夢ですよ。てか、僕は一体どれだけ連続で夢を見ているんだろうか?
もしかしたら、この夢から覚める事がないのでは? と思ってしまうほどだ。
一体、この仕打ちはなんなのだろうか?
『それはね。最終回だからやりたい放題やっているのさ』
「え……?」
『最初からメタ発言があるから、言ってしまうけど、今回は最終回でありながら完全ノープラン
なんだよ。だからオチも無いし、終わり方も分からないんだ』
「ちょっ、それってマズイでしょ!」
『うん、そうだね。仕方ないね』
「いや、諦めるなよ!」
『ごめん。もう無理だ。これが限界なんだよ少年……』
「ま、マジかよ。じゃ、じゃぁ、最後に一つだけ答えてよ」
『何だい?』
「何で毎回僕に女装させるようなネタばっかり書いてるんだよ!?」
『……なんとなく?』
「なんとなくかよ! てか、マジでふざけんなよ!」
『はは……気にするな少年。ではさらばだ。そして話も終わりだよ』
「う、うわぁ……本気で終わらせるつもりだよ」
まぁ、終わりなら別に終わりでもいいんだけどね。割と本気で。
じゃぁ、みんなバイバイ。