高校生になっても待ち遠しい物は沢山ある。
例えば修学旅行、俺は修学旅行と聞くだけで気分が高揚してしまう。
そしてクラス替え、これは1年生時なんとも地獄な生活を送っていた俺には、ビックイベントである。
この結果によってとても楽しいハイスクールライフを送ることができるからね。
そして、この日はその運命の日だった・・・・・
俺がこのS高に入学して早1年、ある女に邪魔されながら学生生活を送ってきた、1年だけではなく奴とは7年間こき使われてきた、
そのせいか彼女ができ無い、そりゃいつも女と居るとこを見られていると他の子は手を出さないよな。
しかしそれで俺はよしとしているわけではない。
俺だってアニメみたいな不思議なことがおきて欲しいと思ってるし、すごくドラマティックな恋だって男ながらしたいと思ってる、とそんなことを考えながら学校の前の長い直線を歩いていたら。
ぼこ!!!
「ちょ!!!」
俺悶絶
「おっは~楓!なんにやけとん?」
なんなんだ?この暴力的な女は。
「にやけてね~よ、つかいきなり脇を殴るな!」
「2年生しょっぱなから遅刻すんなよ~!」
人の話し聞いて無いし。
このまともな用も挨拶もなく殴る女は俺の幼馴染の雅、容姿端麗、女王様気質。そしてなぜか小学4年生からずっと同じクラスなのだ。そう、こいつが俺のアンハッピースクールライフの根源なのだ。
そんな彼女は隣で一緒に登校するわけでもなく「じゃ~ね~」の一言を残して走り去っていった。なんて朝からテンションの高い女だ。
しかし俺は怒ってはいない・・・なぜならこいつとは今日でおさらばだからね。
そう今日は念願のクラス替えだ。さすがに8年も一緒になるわけが無いと、そう思っていたのが間違いの始まりだった・・・・・・
学校に着くと意気揚々と新しいクラスが書いてある張り紙の元に俺は向かった。
「えっと・・・2年1組・・・・・2組は・・・・・・3組・・おっ、あった。」
俺の新しいクラスはどうやら3組のようだ。
知らない名前ばかりだけど、まあいいか。あいつの名前は無いみたいだし。ようやく開放されたのだ。あいつだってわざわざ他のクラスに来てまで俺を使いまわしたりはしないだろうしな。
教室は1階から2階に上がったが、今の俺のテンションはそんな事をものともせず俺はいきよいよく階段を駆け上がった。
そして、教室に着いた俺は驚愕した・・・・・・・
そこに居たのは1年の時にこいつ等とは絡みたくないなと遠めで見ていたオタク達の山・・・山・・・山・・・。
うそだろ・・・・俺のハイスクールライフは終わった。
「雅は?」俺は辺りを探したがどこにも姿は無い。
これだけが唯一の救いだ。と、安心していた俺は後ろの殺気に感づいた。
「よっ!!」聞き覚えのある声・・・俺は振り向いた。
「ぇ??」こ・・・こいつは・・・・
「真顔で ぇ?? とか、もっと同じクラスになったことをよろこべ!!!」
うそだ・・・・雅の名前は無かったはず。
「なんで泣きそうなのよ。」
「別に泣いたっていいじゃん。」つうか泣かせろ。
「男のくせに泣くなよ!!早く席につかないと先生来るよ~」
混乱している俺を完全に無視し彼女は自分の席に着き俺に向かって目の前の席を指差している。
どうやら俺に自由はなくなったようだ・・・・・・
なぜ俺がここまで彼女に脅えているのか説明しよう。
そう、こいつはさっきも言ったように幼馴染、昔から一緒に遊ぶ(?)のであるのだから幼い頃から彼女から受けた仕打ちには散々泣かされてきたのだ。それが幼いながらも『こいつには逆らってはいけない』という自己防衛反応のような物が発達していき、今ではすっかりマスオ君いや奴隷同然のようになってしまったのだ。
普通に見ればそんなもの どうってこと無いじゃん と思うであろうが。
幼い頃から脳裏に恐怖を刷り込まれたのだ。俺に奴に逆らうな。と言うのは熊と喧嘩をするなと言うのと一緒である。
な?あなたならしないだろ?俺は問答無用でしない。
そういうわけだ、俺が彼女に脅えているのは・・・・・・
そして、俺の高校2年生活は幕を開けた。