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そのいち!

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 何の変哲もない日常。それがどれだけすばらしいものか理解している人は少ない。
 もちろん俺だって理解していなかった。
 その中でも俺のような日本人は特に理解していなかった。この世界の日々に飽き飽きしている奴がほとんどだろう。
 年は18、身長は170。髪は黒でで少し長めで目が隠れないぐらい、頭脳は完全に理系。英語なんてのは前置詞あたりで躓いた。性格は極めて消極的。根暗。運動能力は中の中。
 もうなんとなく俺の全体像がつかめてきたんじゃないかと思う。目に下にクマを抱えてる友達もいないひどい奴だ。




 その日いつも通り2chをやっていた。まったく、俺は受験生だというのに何をやっているんだろう、馬鹿じゃないのか?
 そんなことを思いつつも現実逃避。
 そしてある一つのスレを見つけた。

『おいwwwこのゲーム一緒に参加しようずwwww』

 みるからに>>1が低能なカスでそのゲームも糞ゲーなのは分かっていたが、俺の手はそのスレタイに伸びて気付けばURLを開いていた。
「『超リアルサバイバルゲーム さばいばるっ!』?タイトルエロゲかと思ったわw課金ゲーか?俺は無料ゲーしかやらんぞ?」
 軽く馬鹿にしながらさらに読み進める。
「ん?料金は参加者以外の全人類の命だけ?条件を満たせばすべてかえってきます?もうわけわからんぞ、ネタなのか?」
 どこをどう見ても怪しかったのだが、その時の俺はおかしかったんだろう。メールアドレスを入力して登録していた。まぁ、どうせフリーメールだからいいんだけど。
 しかし、登録完了メールが一向にこない。俺はメールアドレスを集めるためだけの糞サイトだと決めつけて寝た。




 夢を見た。あたりが暗い、一面の闇、しかし自分の周辺10mぐらいの範囲にポツポツと人を照らすライトがある。そこには数十人の人間がいる。ライトは一人ひとつ、動くたびにその人を追いかけている。
 よくわからないが目の前の中に浮いたモニターに『名前を言え』書かれていたので言ってみる。
「西山良」
 モニターに『西山良』と表示されたあとにカウントダウンがはじまった残り10分ほどだ。
 なんだなんだこれは?意味が分からない……ああ、単純に夢か。少し前に寝た記憶がある。
 改めて周りを見渡すとオッサンが多い気がする。しかもオタ臭い見た目がほとんどだ。その中に知ってる女に似てるやつを見つけた。
「岸本…岸本まどか?」
「ふぇ?良?」
 岸本は驚いてるみたいだ。
「おう。久しぶり。中学まで一緒だったから3年ぶりだな」
「あ、うん。そうだね。てか、良が自分の夢に今頃出てくるとは思ってもなかったよ」
 ん?これは俺の夢なんだが?いや、夢の中ならなんでもありか?
「気にするな。岸本が俺の初恋の人であることに変わりがないから今頃になってもこうやって夢に出てくるんだよ。それだけだ」
 そう、俺はこの黒髪ストレートでやわらかい感じの温厚な岸本に恋焦れた時代があったんだ。いや、今もそうかもしれない。何せ俺の唯一愛した女だ。それにしても、俺の記憶よりすこし見た目が成長してる気がするんだが?
「え?良が私を?えっ?あ、うん。なんかごめんね、今まで気づかなくて……ん?でもこれは私の夢だから私の思ってることが、ん??わかんなくなっちゃったよ」
「いや、わからんのは俺の方だ。なんでそんなに胸がデカくなってる。俺の脳は会ってない3年間の補正もいれたのか?どれだけハイスペックなんだ?オイ」
 顎をさすりながら胸を凝視する俺。
「え!?そんな目でみないでよ…恥ずかしいよ…」
 頬を赤らめて胸を隠しながら下を向いてる岸本。
「か…かわいい」
 思わず声に出てしまったではないか!夢だからいいんですけどね!
 岸本は顔を真っ赤にしてこちらに背を向けてしまった。俺はどうせ夢の中だから何をしてもいいと思って後ろから手をまわして胸を揉んでみる。
「ひゃっ!!!」
 岸本がびっくりして声を上げたが知ったことではない。もっと揉んでやれ。こんなこと二度とないんだ。それしても柔らかいな。夢とは思えぬほどの限りなくリアルな感触。てか、おっぱいってこんなにやわらかかったんだな!だから乳袋に入れて形を維持するんだな!
 ブラジャーじゃないところが西山のキモさであった。
 童貞の妄想力恐るべし!おっぱいの感触まで妄想しているとは…

『転送開始30秒前。装飾物などのプレイヤーと接触している物体はプレイヤーの所有物とみなし同一の座標へ転送。なお、その時に元の座標からの変更がなされる場合には質量が大きい物体を優先する。転送開始。』

 俺は何か聞こえた気がするが岸本のおっぱいを揉むことに集中しすぎていて気付かなかった。気付いたことと言えばさっきまで地面から垂直に立っていたはずの俺たちが地面と水平な向きになっているということぐらいだ。
「体が急に倒れた気が……そんなのはどうでもいい!おっぱい最高!この流れで最後までヤッちまえ!どうせ夢の中だ!犯罪じゃねー!」
「やめてーーー!!!」
 鮮血が飛び散った。それが岸本の頭が俺の鼻に当たって流れ出たと気付くには数秒かかった。
 そしてここが俺の部屋のベットの上であることに気づくにはさらに数分かかり、今自分の上に仰向けになっている岸本がいる状態が夢ではなく現実あることに気づくのにはさらに数十分かかってしまった。
 その間温厚なはずの岸本にポカポカ頭をたたかれ続けたのは言うまでもない。
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