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1.転生

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1話 火星からやってきた男

火星都市ドミニオン 宇宙科学センター

「ちょっと!お昼休みあと4分で終わっちゃうわよ!」
「うるせー体験学習なんてやってられっか!このロケットで俺は地球へ行く!」
「えー!先生ー!アチャト君がロケットで飛び立とうとしてます!」
「殺すぞブス!まあいいやポチッ。」

ド ド ド ド ド ド ド ド ド … …

「何だ今の音は!」
「先生遅いです!アチャト君もう地球行っちゃいました。」
「あれ発射に80Gかかるのに…。」
「どのくらいなんですか?」
「…宇宙船の中で内臓破裂して死んでると思うよ。」

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東日本 炭鉱都市GUNMA

「じいさーん!そろそろ休憩しましょーや!」
「そうだな、今日はこのくらいに…」

ばあさん(木村サチ江72歳)は上空から飛来した物体に激突した。

「ばぁさーん!!!!!!」

そこにばあさんの姿はなく、球状の黒い鉄の塊が蒸気を上げていた。

「この下にいるのか!今助けるからな!」

プシュー、という音が鳴り響き、じいさんは蒸発した。

蒸気が消え、ハッチが開くと、一人の赤髪の男が出てきた。

「ここはどこだああああああぁぁぁぁぁ!!!」

男は記憶を失っていた。

つづく
2 拉致

炭鉱都市GUNMA 繚乱学園 午後3時

あーつまんないなぁ。高校入ってから勉強ばっかだし
周りのみんなも必死で勉強してるしなぁ。部活も興味あるのないし
テニス部以外弱いしなー。て言っても部活は入らないといけないんだけど。
ああー憂鬱だなー。おもしろいことないかなー。
そういやこの学校の裏山に脱走者の死体が捨てられてるとか言ってたな。
午後暇だし生物の勉強ということで行ってみようかな。
熊とか出ないかしら。大丈夫だよね。

「おい飯塚!何ボーっとしてんだ!!」

「は~いすいませ~ん。お腹痛いんで保健室行ってきま~す。」

繚乱学園 裏山 午後4時

「…なにしてるの?」
「ウフフ、僕はね、この見知らぬ土地で一人寂しく死ぬんだ…。」

うわなにこいつキモい。崖付近で体育座りとかどんだけ目立ちたがり屋なの。
てか髪の毛赤っ!ファッションセンスなさそうだわー。
制服が違うってことは他の学校の不良?でもこの都市には高校一つしかないし…。
他県から修学旅行に来たのかしら。4月のこの時期になんてめずらしいわね。

「私、飯塚咲!一体どこから来たの?」
「知らない。気づいたら記憶喪失してて、ハッチ開けて外に出たら見たこともない風景が広がっていて…。
『落下時のショックで記憶喪失したオレヘ』とか書いてあった手紙開けたら『バーカ』とか書いてあるし…。
きっと僕はどこかの星から捨てられたダメダメなやつなんだ…。きっとそうだ…。」
「どうせ死ぬなら私の薬の実験台になってくれない?」
「え?」
「『新薬』ってヤツ。ネズミとかじゃどうしても正確さに欠けてね…。」
「なんで僕がそんなことを…。」
「大丈夫大丈夫、苦しくなったら電気で脳回路焼ききるから。一瞬で終わるわ。えい!」
プスッ!
「うわ、なんか刺さってる。眠っ…。」

2, 1

  

3 突然変異

飯塚家 第一研究室

「起きたみたいね。」
「…うわ、本当にやる気だよ…。このガラス部屋も防弾仕様とかだろうな…。」
「どうせ身寄りもないんでしょ。餓死よりガス殺の方が数倍楽よ。たぶん。」
「おいよしてくれ!最初から電気で焼ききってくれよ!」
「いーじゃない。私まだ人殺したことなかったのよねー。こんな機会、もう二度とないかも!」
「目をキラキラ輝かせながらそんなこと言わないでよ!」
「今回使用するのは『セントックスVP23』これは致死性の高い液体製の燃料を使っていてね…。」
「…とんでもない性格だ…。」
「あら、説明は不要?じゃあいくわよ。」

男は口から大量の血を吐き、顔が変色し、倒れ、痙攣しながら最後を迎える。

ハズだった。

飯島の見解は外れた。

「…ねぇ、何分経った?」
「なんで喋れるの…?3グラムで湖の魚皆死んだのに…。」
「なんかすごい気分がいいな。お金の無駄だからガス止めれば?」
「そんな…そんなバカな…。20倍くらい毒性上げてやる…!」
「…おー!すげぇ!体が軽い!すげぇなコレ!ハハハハハ!!」
「性格まで完全に変わってる…。ガス間違えたかしら?」
「今の俺ならこんなガラス破れるんじゃね?オラァ!」
「ちょっ、やめ…。」

パリンという音とともに、ガラスは飛び散った。

「イェーイ脱出!飯島ー入れるガス間違えんなよー。あ…。」

飯島は間違ってなどいなかった。

飯島は口から大量の血を吐き、顔が変色し、倒れ、痙攣した。

そして。

男は研究施設に3日ほど閉じこもり、飯島の指紋、声紋、頭髪、皮膚、すべてを移植した。
プログラムを打ち込めば何の苦労もなくロボットが手術してくれたので、男は全く困らなかった。
どうやら記憶のあった自分は理系が得意だったらしいと男は悟った。

「女の喋り方真似すんのダリー。」

つづく
3

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