○プロローグ「楽園」
その世界は、美しく、光り輝いている。
七色の花が咲き乱れ、煌く川のせせらぎが聞こえ、空には満天の星空とオーロラが広がっている。
水晶の森にはユニコーン。ルビーの山にはフェニックス。美しい光景の中、幻想的な動物達が数多く暮らしている。
そしてその中心に、彼女は居た。この世界に祝福された彼女は、この世界の全てを意のままにできた。魔法のような力で空を飛び、光を生み、楽園は拡がって行く。
そう、この世界は現実ではない。彼女の夢だ。
しかし仮にこの夢を他の誰かが見たならば、その者はこの世界を、美しいと称えるに違いない。
その美しさが、何で出来ているかも知らずに……