学校には大抵、七不思議とされる噂話が生徒の間に存在するものだ。
小学生の間では実しやかに存在するがしかし、中学生、高校生と年齢を経るごとにそれらへと向けられる感心は薄まりゆき、その手の怪談話が存在する高等学校はその数を数える程である。
私立寛道学園。
県内でも有数の進学校との風評を名に負う高校である。
この学校には、時代と年齢の流れの中にあって薄れ行く、怪談話が未だ存在していた。
――八怪談――
この高校のそれは通常よりも一つ多いが、怪談一つ一つの持つ印象は酷く空々しい。
この物語は、二人の少年が八つの短文に出会うところから始まる。
八怪談の示す物とは。
愚直に、稚気そのままで走る彼の先に待つのは、一体。