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NAECO編

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新都社作家の小説の書き方アンソロ自慰(NAECO編)

一.はじめに
・私にとっての小説は趣味に過ぎない
二.文章について
 ・私の武器は?
 ・文章全体のテンションを一定に維持する
三.ストーリーの作り方
 ・スタートとゴールを決めて、間を埋める
 ・ノったときに、好きなように書け
四.おわりに

一.はじめに
 多くの方は「はじめまして」になると思います。NAECOと申します。また、私の作品にどこかで触れて下さったことのある方はありがとうございます、そしてこんにちは。今回は当アンソロジーに便乗する形で、私なりの「小説の書き方」を文章にまとめてみることにしました。そうすることで、私自身の中でも自分なりのやり方を整理できると考えた、というのが主な動機です。

・私にとっての小説は趣味に過ぎない
 新都社の文士さんたちの中にはさまざまな層がいらっしゃると思います。プロ志望、ウェブ小説で大成したいと考えている人、以前はプロ(志望)だった人、単なる趣味で細々と文章を書いている(書きたい)人、などなど。私は最後に挙げた「小説はあくまで趣味」というグループの中に入ります。執筆すること自体が息抜きにならなければ意味がないと考えて、楽しく気軽に小説を書くための方法を模索しているタイプですので、「そういう人間が書いたものなんだ」というおつもりで読んでいただくのがいいと思います。さらに言えば、これは「書き方指南」ではなく、あくまで「素人なりに少し工夫した書き方の一例」ですので、他の方の参考になるものではありません。また、プロ志望として執筆活動に精を出す方たちを否定するものでもありません。むしろ私は、同じ新都社文士として彼らを応援しています。
 これは本もろくに読まない素人の記した、軽い読み物としてお考えください。

二.文章について
 「小説の書き方アンソロジー」で今さら「文章の書き方」について述べるのはいささかナンセンスな感じもしますが、小説を書く上での大きな要素であることは間違いありません。ここで文章作法の中で気をつける点について長々と説明しても、まったく面白くありませんね。少しだけスペースをいただいて、文章作法という見地からとは違った視点で、私のやり方について特筆すべき事項を、大きく二つにまとめてみようと思います。

・私の武器は?
 自己矛盾しているようですが、「楽しく気軽に書く」とはいえ、できるならばより多くの人に評価してもらえるようなより良いものを書きたいと思うのも本音です。自分が余暇に著した作品にコメントがついたり、FAをいただいたりするのは喜ばしいことです。
 では、より良いものを書くために必要なことは何か、と言えば「無理に苦手なことをしない」ということに尽きると思います。自分の土俵だけで戦えば、そうそうひどい勝負にはならないのです。
 私について言うならば、圧倒的に足りないものは「語彙力」です。難しい単語はわかりませんし、実は単に「知っている」程度では効果的には使えません。辞書を当たって長い物語の中の一部分だけに格好のいい単語を使ってみても、物語全体の文章にそのレベルの語彙を織り込み、文章の雰囲気を統一することは不可能です。
 だから私は、むしろ逆を行きます。難しい単語を減らし、理解のしやすさを追求することに徹するのです。読者を唸らせるようなうまい表現はもちろん減ります。だからせめてリズムよく読めるように工夫してみます。時として幼稚な印象を与える文章になるかもしれません。が、私としては、読者が考え込むことなく呑み込める文章にできればそれでよし、ということにしています。その上、理解が容易な文章を書くことも、決して簡単なことではありません。
 この文章は一応、論説文という形になるでしょうから、普段よりかしこまって書いているつもりです。それでもおそらく、これを読んでいるあなたは難解な文章だとは感じていないはずです。私の小説はこれよりももっとやさしく、漢字が少なくなっていると思います。

・文章全体のテンションを一定に維持する
 上ですでに述べたとおり、私は秀逸な言い回しによって地の文を美しく整えた文章で(一部はたまたまそうすることに成功したとしても)長編を書くことはできません。やさしく、わかりやすく、を心がけて書いている物語の途中で、無理やり一文だけ格好つけてみたとしても、間違いなくその文だけが浮いて、大きな違和感を生みます。
 読み物をしているときに抱く違和感というのは、思ったよりも厄介です。一文が理解できないと、そこが引っかかって気持ちが先に進んでいかなかったり、せっかく集中して頭の中に作り上げていた世界が一瞬にして崩壊を迎えたりします。
 あなたにも、小学校で作文を書くときに、「語尾を丁寧語にするかしないかは、全体で統一しなさい」というようなことを教わった記憶があるのではないでしょうか。平たく言ってしまえば、そんなレベルに過ぎません。あなたが話し出したのなら、とりあえず最後まであなたが話し続けましょう、途中でまったく話し方の違う他人と交代してはいけません、ということです。

三.ストーリーの作り方・執筆方法
 この項を記すにあたり、最初にお断りしておきます。私は短編が苦手で、短いストーリーの発想法がわかりません。むしろ誰か教えてください。優しくご教授下さる方をお待ちしております。
 というわけで、以下はわりと長めの、いわゆる中編以上の小説のストーリーを考えるときに「私はこうするのがやりやすい」というお話です。よ

・スタートとゴールを決めて、間を埋める
 この方法は月並みで、そんなに珍しいものでもないと思います。シンプルですがかなり効果的で、最大の目標として「完結」を据えるのであれば、かなり良い方法です。

スタート……主要登場人物や世界観などの設定、時間軸上における物語の開始位置
ゴール……登場人物たちが最終的にたどり着く状態、時間軸上における物語の終了位置

 この二つを予め決定しておいて、つじつまを合わせるようにつなぎ合わせていくという考え方です。あまり項目を細分化しても複雑になるだけですから、「こんな話が書きたい」というのは「スタート」の中でも最も初めの「スタート」とみなしてしまいます。
 この方法のメリットは何より、「行きつくところが見えている」ということです。とにかく迷子になりにくく、時間をかければ矛盾することなく一本の物語を紡ぐことが可能です。始点と終点がわかっているだけで、時間軸の整理も楽になります。また、スタートとゴールを結ぶ道を小さく区切り、順序を入れ替えたり(時間軸の変更)、山を置いてみたり谷を置いてみたり(いわゆる「見せ場」や「伏線」など)、大きくカーブさせてみたり(引き延ばし)できることは、何か物語上で盛り上がるような場面を作りたいと思ったときに便利でもあります。中でも、書く予定の事項をまとめておくことにより、伏線が張りやすく、より効果的に使えるようになることは特に良い点です。
 もちろん、デメリットもあります。主たるものは以下の二点です。
・とにかく連載を始める前に、全体の設定やプロットを完成させなければならない
・連載途中での大幅なストーリー変更がきかない
 ですが、私は「話を考えながら柔軟に連載したい」というタイプではありませんので、あまり関係のないお話です。

・ノったときに、好きなように書け
 上記の方法で長編小説のプロットを完成させようとすると、それだけでもかなり大変です。実は「きちんとしたプロットがあるから執筆に詰まることはない」なんてのは大ウソで、連載開始後も何度も筆は止まります。ふとした瞬間、ちょっとした部分の表現に迷い、そのまま簡単に書けなくなるわけです。そして、そういうときにはテキストエディタを閉じてしまえばいいのです。
 また、「プロットとは違う展開が思いついたんだけど……」なんてときは、物語自体が破綻するほどの変更がなければそのまま書いてしまいます。いいシナリオは、えてしてそういうときに生まれるものらしいです(伝聞)。
 早い話が、「気が乗らないなら書かない」、「好きなように書く」というだけのこと。プロの作家さんは迫り来るデッドラインにどうにかして間に合わせなければなりませんが、私の場合は素人で、あくまで小説は趣味、本業ではありません。楽しく書けそうにないときは書かないことが一番です。
 「そんなことじゃいつまで経ってもうまくならない」? 「安定しない」? ごもっともですが、いいじゃありませんか。私はプロになりたいわけでもなく、小説は息抜きに過ぎません。それに、少しずつでも着実に書いていけばきっと文章は上達します……そうでないと、私が困ります。

四.おわりに
 私が新都社を気に入っているのは、「ハードルが低いから」に他なりません。ど素人が書いた文章でも、それなりの人数に読んでもらえますし、感想ももらえます。新都社に長くいると気がつきにくい事実ですが、素人の小説にも見知らぬ人にコメントがもらえることはもの凄く素敵なことですよ。
 何を書こうが自由、どう書こうが自由。それでも読んでもらえる。
 それって、とてつもなく素晴らしいことだと思うのです。

 こころにうつりゆくよしなしごとをそこはかとなくかきつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

 などという引用で格好つけて、新都社作家の小説の書き方アンソロ自慰(NAECO編)の〆とさせていただきます。
 長ったらしい文章でしたが、ここまでお読み下さってありがとうございました。
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