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終業

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「だめだこりゃ。もう死んでる」
 俺は内蔵いじりをやめた。心臓は止まってたが血管の残圧さえあればなんとか閉塞せずに済むかと思ったが、もうだめだ。この少女は死んだようなものだ。
「助けられると思ったんだけどな」
「やりかたがまずかったんだろう」バンダナを巻いた看護婦が偉そうに言う。男勝りなのはいいが、身の程はわきまえてほしい。
「いつも使ってる工具を使えばよかったんだよ。あんな大きなブレードで精密やろうとするからこうなる」
「できると思ったんだよ」俺はふてくされながら患者の傷を縫っていく。
「しかし、死んじゃったな。助けたかったんだけど」
「かわいかったから?」
「そうかも。でもなにも死ぬことなかった」
 俺は患者だったものの髪をなでた。
「べつに生きていたっていいじゃないか。なんで死ぬんだ」
「神様は馬鹿だからね」
「ああ、それじゃいつか殺してやろう」
「それがいいよ」とナースは笑った。
 じきに五時の鐘が鳴る。
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