某年冬の日の午後、ボクは初めて女の子に告白してフラれた。
フラれることは分かっていた。だってその子ムチャクチャ可愛いんだもん。
容姿端麗、天真爛漫、おまけに巨乳(推定Fカップ)ときたもんだ。
顔は下の中で、内向的なボクには高嶺の花にもほどがある。
なにがボクを告白させたのか未だに分からない。
とりあえず青い春の一ページとして心の中に入れておく。
その夜ボクは男友達とマンションの屋上でポンジュース片手に遅くまで話した。
初めての恋の終わりはポンジュースの甘酸っぱさってね。
途中で友達が「お前ホンマアホやなー、でも最高やで」と
男泣きを始めたのにはびっくりした。嬉しかった。
当人のボクはというと不思議と涙は出なかったワケで。
もちろん引きずったりはしなかった。
いや正確には引きずってるけど表に出さない状態だけど。
その子にフラれたときに「フったからって明日から変に接しやんといてな」
とヘラヘラ伝えたんだけどそれは到底無理な話だ。
だってフった男に普通に接することができるほど高校生ってのは割り切れない。
当然俺もその子との会話も減っていった。
1ヶ月経つと心境の変化が見られた。
フラれた当時のボクは「想いを伝えれたからいっか」と割り切っていたが、
1ヶ月目には「笑いとれたからいっか」になっていたのである。
そこから時間が経つにつれどんどん心境は変わっていく。
「しゃべれたからいっか」
「おはよう言ったからいっか」
「笑ってるからいっか」
「元気そうやからいっか」
これが俗に言う、「時間が忘れさせてくれる」ってやつなんだろう。
今でも彼女に対する想いは変わっていないものの、
それが脳を占める割合はどんどん少なくなっていくのが分かる。
これが極限になったときが「恋心」が「思い出」に変わる瞬間なんだと思う。
でもそれをまだ受け入れたくはない。俺はバカだから。
高校を卒業する前に最後にもう一度、思いを伝えてみようと思う。
結果はどうであれ、それもまた「想い出」である。