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最終話「あるおんなのこのものがたり」

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 あるところにおんなのこがいました。

 そのおんなのこははっぴーえんどのえほんがだいすきでした。

 あるときおんなのこはねがいごとをしました。

「わたしもはっぴーえんどのものがたりのしゅじんこうになりたい。なってずっとしあわせに

くらしたい」

 しかしおんなのこはびょうきでもうすぐしんでしまいます。

「どうすればいいのかな?」

 おんなのこはかんがえました。

 そんなおんなのこにはだいすきなおとこのこがいました。

 そのおとこのこもおんなのこのことがきになっているようです。

 そこでおんなのこはおもいつきました。

「だいすきなおとこのこのこころのなかではっぴーえんどのものがたりのしゅじんこうになろ

う。そしたらわたしがしんでしまってもおとこのこのこころのなかでしあわせにくらせるから」

 それはかんたんなことではありません。

 まずおんなのこはおとこのこのきもちをたしかめました。

 もしもおとこのこがおんなのこのことをすきでないならこのことをあきらめようとおもった

からです。

 しかしそれはきゆうにおわりました。

 どうやらおとこのこもおんなのこのことがだいすきなようです。

 つぎにおんなのこはおとこのこにしんでしまうことをつたえました。

 するとおとこのこはおおなきして、おんなのこをだきしめました。

 おとこのこのからだはとてもあたたかく、だきしめられたおんなのこはすごくしあわせにな

りました。

 いままでのじんせいでいちばんなくらいのしあわせだったので、おんなのこはそれをおとこ

のこにつたえました。

 これでいいかな、とおんなのこはおもいました。

 おんなのこははっぴーえんどのものがたりのおわりかたをさがしていたのです。

 とちゅうにどんなことがあってもしあわせにおわるはっぴーえんどのものがたりのおわりか

たを。

 ここでものがたりがおわればおとこのこのこころのなかのおんなのこはずっとしあわせにく

らすことができるでしょう。

 しかしさいごにおおきなもんだいがありました。

 おとこのこに、おんなのこがおとこのこのなかではっぴーえんどのものがたりのしゅじんこ

うになってずっとしあわせにくらしたい、ということをわかってもらわなくてはいけないので

す。

 そのためにはおとこのこのきおくのなかのおんなのこをこれでさいごにしなければならない

のです。

 おとこのこのきもちをかんがえれば、それはとてもむずかしいことのようにおんなのこには

おもえました。

 しかしおんなのこがそのことをつたえるとおとこのこはおんなのこのきもちをすぐにわかっ

てくれて、すなおにしたがってくれました。

 おとこのこはもうにどとおんなのこにあいにきませんでした。おんなのこがしんでしまって

もあいにきませんでした。

 それでもおんなのこはしあわせです。

 なぜならおとこのこのきおくのなかでずっとしあわせにくらしているからです。

 めでたし、めでたし。

おしまい
5

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