「一千一秒物語」の版間の差分
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− | + | ''ある夕方 お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いていた 坂道で靴のひもがとけた'' <BR> | |
− | + | ''結ぼうとしてうつむくとポケットからお月様がころがり出て 俄雨に濡れたアスファルトの上を'' <BR> | |
− | ころころころころ どこまでもころがっていった お月様は追っかけたが お月様は加速度で <BR> | + | ''ころころころころ どこまでもころがっていった お月様は追っかけたが お月様は加速度で'' <BR> |
− | ころんでゆくので お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった こうしてお月様はズーと下方の <BR> | + | ''ころんでゆくので お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった こうしてお月様はズーと下方の'' <BR> |
− | 青い靄の中へ自分を見失ってしまった <BR> | + | ''青い靄の中へ自分を見失ってしまった'' <BR> |
(『一千一秒物語』より引用) | (『一千一秒物語』より引用) |
2006年12月25日 (月) 21:29時点における最新版
稲垣足穂(いながき たるほ1900~1977)の小説。星・お月さま・シガレット・ガス灯などの
ハイカラなモチーフが何度も行き来する、70余篇の超短編からなる作品。
いずれも幻想的でモダンな香りのする小粋な逸品。
ある夕方 お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いていた 坂道で靴のひもがとけた
結ぼうとしてうつむくとポケットからお月様がころがり出て 俄雨に濡れたアスファルトの上を
ころころころころ どこまでもころがっていった お月様は追っかけたが お月様は加速度で
ころんでゆくので お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった こうしてお月様はズーと下方の
青い靄の中へ自分を見失ってしまった
(『一千一秒物語』より引用)