Neetel Inside ニートノベル
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マックで!
第十話「ピラフってすごい名前だよなー。」

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「山手線ゲーム! イエー!」
「……急にどうした。ついにふれてしまったのか?」


 突然叫びだしたきょうこに、真奈がいぶかしんだ様子で返す。
 しばらく続いた沈黙に、暇になったきょうこはゲームをやりたくなったようだ。


「まあ暇だったし、たまには暴女の提案に付き合ってやるか」
「誰が暴女だー! ってかそのネタ結構前のやつだからみんな忘れてないか?」


 暴女こときょうこの提案は、鈴によるとどうやら受け入れられる雰囲気である。


「山手線ゲームならお題が必要ねぇ。なにかちょうどいいのはあるの? きょうこちゃん」


 サヤがきょうこにお題を求める。なんだかんだこういうのが好きなのはみんな一緒なようだ。


「そうだなー。それなら…Perfumeのメンバー!」
「……なぜ四人目で確実にドボンになるお題を選ぶんだ……」


 非常に不公平なお題を持ちだすきょうこに真奈が当然のつっこみを入れる。
 きょうこはにんまり笑いながらさらなるお題を出す。


「じゃあ三蔵法師のお供!」
「……猿、豚、河童以外に挙げられるなら挙げてみろ」
「それならじゃんけんの手!」
「……チョキと田舎チョキの両立を認めるなら勝負してやる」
「ではマリオブラザーズのメンバー!」
「……なぜ二つしかないものに減らしたんだ?」


 本当にお題を出す気があるのかさっぱりわからないきょうこに、いちいち真奈が丁寧につっこんでいく。
 真奈のつっこみを信頼しているからこそ、きょうこも堂々とボケられるのかもしれない。


「キリがないからあたしが決めてやろう。ドラゴンボールの敵役でどうだ。真奈に借りてみんな読んだしなー」


 鈴が見かねてお題を提供する。どうやら全員マンガはぼちぼち読んでいるようだ。


「おー。それでいいよ。じゃあ順番決めようぜ! じゃんけんね。田舎チョキは無しだぞ真奈!」


 散々引っ張っておいて、きょうこは鈴の出したお題を一瞬で認める。
 じゃんけんの結果、順番はサヤ、鈴、きょうこ、真奈というものになった。早速ゲームが始まる。


「山手線ゲーム!」
「「「「イエー!」」」」


 きょうこの号令に全員で両手を上げて答える。
 一番手のサヤからドラゴンボールの敵役を挙げ始めた。


「フリーザ様!」
「ドドリアさん!!」
「ザーボンさんー!」
「……ピラフ」


 結局三人組を挙げるところからスタートしてしまい、真奈だけ浮いた答えになる。二順目はそのまままわっていく。


「人造人間18号!」
「人造人間19号!!」
「人造人間20号ー!」
「……くっ、人造人間8号……」


 人造人間21号は存在しないと知りながら、さりげなく人造人間18号から挙げるサヤは相当にいやらしい。ここでゲームは中断することになった。
 きょうこの物言いが入ったのだ。


「ストップ! はっちゃんは敵かー? 結局悟空達とロクに戦ってないしいい奴だぞー!」
「……それを言ったら人造人間16号も仲間になるしいい奴だと思うけど……」
「だって16号は誰もあげてないもーん。真奈ドボンだろー」


 むちゃくちゃなきょうこの理論だが、一応筋は通っているように思えなくもない。
 他の二人も自分が負けなくて済むので、とりあえず何も言わない。
 というより、この状況を生み出したのは、ある意味で今完全に知らんぷりをしているサヤである。


「まあとりあえずこの回は真奈の負けでいいんじゃないか? 次も同じお題でできそうだし」
「だよなー。じゃあ真奈罰ゲームねー」 
「……まあしかたないな。で、私はどんな罰ゲームをやればいいんだ?」


 鈴の後押しにとりあえず場が収まる。しかしここへ来て罰ゲームを決めていなかったという新たな問題が起こる。


「そっかー決めてなかったなー。……じゃあとりあえず、このコーラを頭の上に乗せて10秒キープって言うのはどうだー?」


 きょうこは自分のコーラの入ったカップを持ち上げながら言う。たいした罰ゲームではないがうまくバランスを保てなければ全身べたべたになるという地味にハードな罰ゲームだ。


「まあ微妙な判定負けだし、そんくらいでいいんじゃないか?」
「……いいよ。やってやろうじゃないか」


 提案された罰ゲームに真奈も納得したようだ。こういう場合に罰ゲームを拒むとしらけるというのを真奈はよく知っているのだろう。
 まだたっぷりと入っているコーラのカップを持って、真奈は少し間を置く。そして、意を決したように声を張った。


「……行くぞ」


 真奈が自分の頭の上にコーラを乗せる。気の遠くなるような10秒間が始まった。
 結局6秒前後で真奈はコーラをひっくり返しかけたが、きょうこがそれを受け止めて罰ゲームは終了した。
 なんだかんだ体中コーラびしょぬれという事態は誰も望んでいなかったのだ。
 もしそうなったら、真奈が帰宅せざるを得なくなって、ゲームが続けられないかもしれないから。

     


       

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