ザマッチの日常5


 調書No. 200   『?』ついでに『!』 
 組織コードネーム 座間アミロウ

 全くの謎。
 困った。
 はてさて。
 何だろう。
 あんみつ姫。
 びっくり。
 うわっ。
 

 ◇この素材に関する私の主観から得られるヒト社会での実用性と可能性について、今後も一般大学生生活を進行しながら補足を加えて調書にまとめてゆく。


 私の日常において『?』は極当たり前の付き物である。
 そこでだ、実はこれこそ何であるか是非とも私は知りたい。
 『?』 
 果たしてこいつは何なのか。今こそ地球に住まう全人類を代表して君に問う。
 さあ、冴草君よ、これは一体何だ――。
 私は質問事項を大きく紙に書き、彼に掲げた。

 ……うぐ。顎痛い。
 
 やはり即蹴りである。
 冴草君、今日もなんとあっぱれなキングオブSぶり。さすがだ。
 しかし私たちは同じ鍋をつついた仲じゃないか。もう少し優しくしてくれたまえ。
 ほら、地球には確かこんな歌があったじゃないか。
「目と目で通じ合う♪ 微かに、ふん、♪色ぉっぽ……」
 げごっ。
 二発目もかなり痛い。
 残念ながら彼に当てはまるのは色っぽいナキボクロぐらいか。
 まあいい。いつか宇宙人と地球人エスパー、きっと解り合える日も来る。
 はっ。それともあれか、もしや蹴りこそがエスパー流の対話なのか。
 ならばよし。そういうことなら私もそれに習ってあげるとしよう。
 しかしその後、冴草君は三日間口を聞いてくれなかった。
 全くもって謎である。
 
『?』ってなんだろう。

「つまり解り易い例。俺はみっちゃんの彼氏になった」
 
 ?

「そうそう。そういう気分がハテナマークだザマッチ。100点やる」
 あれから機嫌がなおったのか、冴草君はまた口を聞いてくれるようになった。
 しかもこの頃やけに上機嫌で煩いくらいだ。
 私の同僚たちの庫内にまで気前よくお酒を並べている。
 少し前の反抗期じみた不良生活や自称ニヒルごっこは何だったのだろう。
 まあいい。ティーンとはコロコロ機嫌が変わる生き物。特に気にはするまい。
 何よりもありがたいことに、彼は今私の調書へとても協力的なのだ。
 嬉しいことである。
 ……。
 嬉しいね。ああ嬉しいよ、本当に。ムカムカ。
「そうだ、もう一個。みっちゃんは俺といっぱいセックスをする。かはははは」  
 
 !

「そうそう。そういう気分がビックリマーク。解ってるねぇ変人。再び100点」
 うん。何やら微妙に腹が立つがよく解ったよ。
 つまり『?』と『!』は気分で使い分ける。そういう物なのだな。
 フィーリング。感覚というやつだな。
「親切な説明ありがとう、友よ」
 私は腰をカクカク振っている冴草君へ深々と礼を述べた。彼は実に楽しそうだ。
 それなのに私ときたらなぜか涙が止まらない。
 この涙はどうして溢れてくるのだろう。鉛筆アレルギーだろうか。
 もしそうならば今後鉛筆を削る時もゴーグルを着用しなくては。
「うむ、どうしたザマッチ?」
 そうだ、せっかく冴草君がその身を尽くして私の調書作成へ協力してくれたのだ。
 私も早速彼に報いなくてはいけない。
 彼にも『?』と『!』の気分を味わってもらおう。
 そうすることが今回尊い犠牲となったみっちゃんへの恩返しにもなるはずだ。
 全く、こんなエロエロ星人のツンデレエスパー男なんかにかどわかされてしまって。  
 きっと仇はとってあげるからね、みっちゃん。
 私は固く心に誓った。
「冴草君」
「何~」
「私もみっちゃんの彼氏になった」  
 
 ……。あれ? 
 おかしい。どしたということだろう。
 ここでは冴草君から『?』が出るはずなのに。
 彼は何故か腹を抱えて大爆笑している。
 間違っている。違うよ冴草君。
 それじゃ100点ではないよ。困ったな。
 仕方がない。気をとりなおしてもう一個言ってみよう。

「みっちゃんは私といっぱいセックスをする」
 
 ふふふふふ。これでどうだ。
 今度こそ君は『!』をだすだろう。間違いな――――。

 がはっ、痛い。
 うぐ、いぎゃ、えへ、あはん、いたた。
 がふっ、げっふぁ、かはっ、ごふ。

 なんで。
 あれ?


 つづく 
sage