Epilogue
世の中は金がすべてである。
そんなことは、暗黙の了解ではなく、もはや親から教えられる慣習となっていた。そんな世界になってしまったのだ。
そう、お金はすべてを支配する。
何かを得るためには、その対価となるものが必要である。そして、人間はその物々交換の上で利便上お金を作り出した。
自販機にお金を入れればカンはでてくる。
切符を買えば電車に乗れる。
一般人にはこの程度のレベルなのだろうが、金持ちは違うのである。そう、お金ですべてが買える世の中であるのだ。
権力、武力、労働力。形なきものでもそろえてしまえるのだ。
だから、人は金にひかれるのかもしれない。
しかし、そのお金を支配する存在がある。
それは力だ。それも個人でもつ力、'魔力'によって。
2100年。人類は宇宙への航海で、月の内部に存在するエネルギーの存在を発見した。光輝く鉱石が月には埋まっており、それは核の力がどうでもよくなるほどだった。
幸い、熱を発生させるには効率が悪く、軍事利用はなかった。利用価値が見いだせなかったが、エネルギーの形の変化の自由度は高く、人の意志で変えれるほどであった。これが後の魔法の形となる。
そして、その力を手にした人は、弱者を襲うようになった。
忌まわしき第二次世界大戦から約550年。人は変われないのかもしれない。支配することは本能なのだから。
金を持つのであれば、奪えばよい。力がすべてを勝るのだから、そんなことは力があるなら子供でもできた。
それに対して、金持ちは護衛を雇う。それが賢明な判断であり、金持ちに護衛はつきものだ。
その雇用を選ぶことができるのが、力の集団「ギルド」である。ギルドは雇ってもらわないと仕事にならない。護衛を雇うようになって登場するようなった、今時の仕事というものか。
そして、僕はとあるギルドの入口に立っていた。このあたりの高層住宅が並ぶなかでは異質を放つ存在で、西洋建築の造りである。その外壁には張り紙が貼られていた。
結構堅苦しい文だと思いつつ、その文字を目で追った。
西暦2499年13月30日
ギルド Royal Warrant の追加募集について
Royal Warrant
新年を迎える忙しい時期の中、失礼いたします。来年4月に行われるギルド行政法改正にともなって、ギルドメンバーの追加募集をすることとなりました。以下、詳細な日時です。
1、集合日時
2500年1月1日 00:00
2、場所
ギルド Royal Warrant 入口
3、募集人数
最大8名。うち4名は最低でも採用
4、内容
・実戦
・面接
カレンダーは13か月で1年だ。1~12月は28日、13月は29日か30日のどちらかである。つまり今日は大晦日。
今日というこの日をずっと待ち続けたのである。ギルドへ入るのは、なりたい職業でも上位に分類するもので、よくあることだ。
だが、僕はこのギルドにはいりたいのである。
いや、このギルドしか入りたくない。
そんな思い入れがあるのである。
自分の未来を見つけるためにも