Neetel Inside 文芸新都
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MTGについて少し話そうと思う
voL.Ex「ムラサのMTGプレイヤーズリポート~M14プレリ編~その1」

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 2000円札が発行された日として多くの日本国民の記憶に鮮烈にのこっている(お札自体はきれいさっぱり消えてしまったが)7/19に『基本セット2014』が発売されるのだが、それに先がけておこなわれたプレリリース・トーナメントに筆者は参加してきた。今回はその模様をお送りしよう。なお、このリポートはすべてありのままの事実をつづった完全なるノンフィクションであり、グールに誓っていっさいの脚色や創作をくわえていないことをはじめに明記しておく。
 1日目は『ラヴニカへの回帰』や『ギルド門侵犯』のプレリリース・トーナメントのときにもお世話になった地元のお店で参加することにした。筆者の住む旧ファイレクシアには最近MTGをあつかうTCGショップが増えてきており、都会にしかないと思っていた深夜プレリを開催するところもあったのだが、体力的な問題および平成狸合戦ぽんぽこを最後までみたかった筆者はのんびり夕方からおもむくことにした。関東最強と名高いラーメンショップ山岡家で昼食をとった筆者はダイスや前日に購入したぎゃざガールスリーブ(宴町京子ちゃん)などプレリに必要なものを準備すると《ゴブリン戦闘バギー(US)》に乗りこんでプレリ会場へとむかった。アップキープにガソリンスタンドへ寄りつつ命からがら目的地に到着した筆者は燃費のわるい愛車を《ファイレクシアの巨大戦車(MBS)》と《ペンタバス(MRD)》のあいだにとめると《Soldevi Digger(AL)》で第4球層まで掘りすすみ、「カードショップLake of the Deadプレリリース・トーナメント会場」とかかげられた会議室の前までやってきた。あのウルザでさえ引きかえせざるをえなかった禁忌の扉をひらくとそこはすでに熱戦まっただなかの《ファイレクシアの闘技場(AP)》だった。どうやら昼の部の進行がずれこんでいるようで夕方の部の受けつけはまだはじまっておらず、話す相手のいない筆者はそこらのあいている席について時計代わりにテーブルに置かれた《メトロノーム(US)》からきっちり1分間隔で生みだされるノーム・トークンたちをながめながら《開戦のラッパ吹き(LG)》をまった。
「では夕方の部をはじめたいと思いますので参加希望の方は受付をお願いします」
 ようやくピカピカの基本セット2014のパックをうけとると筆者はさっそく開封してデッキ構築をはじめる。前回の基本セット2013のプレリ同様(あれからもう1年だ)黒と緑が圧倒的につよく、かなり強力なデッキを組むことができた。以下レシピだ。


《沼》……6
《森》……10

《ただれたイモリ(M14)》……1
《エルフの神秘家(M14)》……1
《マナ編みスリヴァー(M14)》……2
《カロニアの大牙獣(M14)》……1
《命取りの出家蜘蛛(M14)》……2
《死体運び(M14)》……1
《斑の猪(M14)》……1
《獣の代言者(M14)》……1
《ルートワラ(M14)》……1
《轟くベイロス(M14)》……2
《泥沼煎じの魔女(M14)》……1
《影生まれの悪魔(M14)》……1

《地勢(M14)》……1
《巨大化(M14)》……1
《垂直落下(M14)》……1
《破滅の刃(M14)》……1
《吸血鬼の印(M14)》……2
《血の儀式文(M14)》……1
《泡立つ大釜(M14)》……1
《漸増爆弾(M14)》……1


 3体のマナ・クリーチャーと《地勢(M14)》のおかげで土地を切り詰めることができ、マナ基盤自体も安定したものとなった。また2ちゃんの黒スレで大人気な《ただれたイモリ(M14)》《泡立つ大釜(M14)》《泥沼煎じの魔女(M14)》のババア3点セットもそろったので搭載してみることにした。これで除去&フィニッシュもバッチリだろう。なにより《影生まれの悪魔(M14)》の存在がたのもしい。そう遠くないところに全勝の2文字を見すえながら筆者は全3戦のたたかいに挑んだ。


・1戦目
 相手は昼の部も参加していた常連らしきプレイヤーで《霜の壁(M14)》《壮大な鯨(M14)》《炬火の炎(M14)》《若き紅蓮術士(M14)》《古きものの目覚め(M14)》などで構成された青赤デッキ。序盤にならべたマナ・クリーチャーを《炬火の炎(M14)》で焼かれたり突如ねむりからさめた7/7の巨人にぶん殴られたりしたものの、火力では焼き切れないサイズのビーストたちで攻めたて、むこうが防御のかなめとしてプレイしてきた《霜の壁(M14)》を《影生まれの悪魔(M14)》で除去してストレート勝ち。デーモンつよし。

・2戦目
 相手は筆者とおなじくソロ参加らしきプレイヤーで《陽動の達人(M14)》《放逐する僧侶(M14)》《平和な心(M14)》《ゴブリンの近道抜け(M14)》《炬火の炎(M14)》などでボードコントロールしながら《突進するグリフィン(M14)》《包囲マストドン(M14)》《漁る軟泥(M14)》《巨森のハイドラ(M14)》で殴りたおしてくるナヤカラー。《陽動の達人(M14)》《放逐する僧侶(M14)》の2体が非常にいやらしかったが、デッキパワーではこちらに分があり手札にかかえた除去カードの使いどころをさぐりながら吸血鬼と化した《命取りの出家蜘蛛(M14)》やマナ・クリーチャーでじわじわライフを削っていく。そこにむこうの《漁る軟泥(M14)》が登場するが筆者は初手からキープしておいた《影生まれの悪魔(M14)》をプレイしてそれを葬り一気に攻勢をかける。返しのターンに《テューンの大天使(M14)》がでてくるが盤面は圧倒的にこちらが有利でかまわず総攻撃をしかける。相手のライフはのこりわずかとなり勝負は決したかに思えたのだが、つぎのターンに「あ、これワンチャンあるぞ」と《炎叫びの杖(M14)》をプレイされ状況が一変する。二段攻撃を得た《テューンの大天使(M14)》にどんどんライフを回復されながらクリーチャーまで強化されてしまい、さらに《平和な心(M14)》で《影生まれの悪魔(M14)》を封じられて天使をとめる手立てがなくなってしまう。なんとか《死体運び(M14)》を引きあてた筆者はいそいで墓地経由から《影生まれの悪魔(M14)》を回収して《テューンの大天使(M14)》を除去するが、すでに場には巨大なスリヴァー・トークンが複数ならんでいて時すでに遅しであった。「相手が勝ち誇ったとき、そいつはすでに敗北している」と勝利に目のくらんだ筆者を戒めるように相手はそう口にした。まさかの逆転敗北に引きずられた筆者はつづくゲームも落としてしまい1年前の再現とはならなかった。ちなみにその対戦相手とは「いつごろはじめられたんですか?」「ミラージュ・テンペストあたりですね」「あー相当前ですねそれはw」「ですねー、なんで最近のルールをおぼえるのに苦労してますw」「ぼくもなかなかMTGする時間がないんでこまかな部分がちょっとw」「おたがい大変ですなw」とゲーム後のトークがはずみ制限時間ぎりぎりまで勝負が長ひびいてしまったのがちょっぴり残念であった。彼とはぜひまたマジックをしたい。

・3戦目
 相手は筆者とおなじく緑のクリーチャー群に白と黒を散らした3色デッキ。勝ち越しのかかるゲームだったがむこうが土地まわりでもたついているあいだに《影生まれの悪魔(M14)》の神話パワーでゴリ押しして2-0。試合後に相手が「これ打ちたかったんですがねぇ」と《闇の領域の隆盛(M14)》をみせてきた。どうやらあと数ターン遅かったら筆者はさらなる深淵へと引きずりこまれていたらしい。また前のゲームも《影生まれの悪魔(M14)》にやられたということで飼い犬に手をかまれたリリアナ・ヴェスはうんざりした様子で《沼》をサーチしていた。この夏はデーモンの大量発生に注意されたし。


 というわけで1年ぶりの基本セットのプレリは2-1でフィニッシュとなった。『ラヴニカへの回帰』と『ギルド門侵犯』のプレリではいずれも負け越していたのでグッドゲームと言っていいだろう。《影生まれの悪魔(M14)》というあらたな相棒にも出逢うことができた(3戦中1度もそろわなかったババアセットもきっとなにかの役に立ってくれるにちがいない)。やはり筆者は基本セットのなつかしい雰囲気が大好きだ。
 さて、プレリ1日目はこうして平穏無事に終わったわけだがこれは《先触れ(5th)》でしかなかった。隣接する新興特例市によって《悲しみの残りカス(TE)》となり果てた旧ファイレクシアは静かに終わりゆく次元の残骸にすぎなかったのだ。かつてのMTGの思い出をそこに置きざりにし、筆者は新たなる脅威――ニューファイレクシアへとむかう。そこで筆者はひとりのプレインズウォーカーに出会い、《遙かなる記憶(MBS)》との邂逅を果たす。そして強大な運命の歯車がゆっくりとまわりだした……
 というわけで次回はプレリ2日目~池袋編~のリポートをお届けしようと思う。

       

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