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* 初心者の塔 *
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* 出口があるだけの部屋 *
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『戦士さん。あちらの扉をご覧下さい。』
首輪に言われて目を向ける。そこには錆びついた鉄の扉。
『あれが最後の扉です。これでこの塔は終わりです』
「え? もう終わり?」
『はい。物足りなかったですか?』
「うーん……モンスター少ないよー」
『難易度の低い塔ですから……案外苦労せず進めましたね。驚きました』
立川はるかは扉に手をかける。見た目に反して軽そうだ。
『ああそうだ、言い忘れていました』
「うん?」
『私から送る、最後の言葉です』
『お迎えの時間です』
『なんちゃってー? 驚きました? 恐怖しました?』
「なにわけわかんないこと言ってるんだろう……」
立川はるかは呆れて扉を開けた。
視界に飛び込んできた青空は、屋上で見た青空よりもずっと遠くにあるように思えた。