Neetel Inside 文芸新都
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他人ごと

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他人ごと

 感情を表に出すことをやめたのいつからかしら。
 感情は長い間使わないと、使えなくなる。全て「面倒くさい」という黒いモノに飲まれてしまう。
 
 泣かなくなったのはいつからかしら。
 泣くのが惨めだったからだろうか、泣きすぎたからだろうか、何にしても今はもう泣かない、泣けない。
 なぜ?だって涙を流す必要がないもの。何事も悲しくないし。面倒くさい。

 怒らなくなったのはいつからかしら。
 きっと怒っても無駄だったからだ。どれだけ体力を使っても自分が疲れるだけで、なにも解決しない。
 はあ、もう怒るのはやめにしましょう。面倒くさい。
  
 笑わなくなったのはいつからかしら。
 何もおもしろいと思えなくなってしまった。全ての事を冷めた目で見てしまう。世の中の全てがつまらない。なんてつまらない人間かしら。
 声を上げて笑える人はいいと思うわ。あたしはダメ。面倒くさい。

 楽しめなくなったのはいつからかしら。
 おそらく感情を殺しすぎたのね。大事に使ってあげないとなにも楽しめなくなってしまう。あなたはそうならないようにね。
 あたし?あたしはもうダメよ。心から楽しむなんて面倒くさい。
 
 感情を殺し、「面倒くさい」という黒いモノを大きくしていくたびに、あたしは自分ではなく、他人になっていった。
 今ではもう、あたしはあたしではない。

 でも、そんなことはどうでもいいの。考えるのも面倒くさいわ。
 
 
 

       

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