封島賞
第一回 大賞
第一回封島賞 大賞
夏ンデレ
次点:せかいでいちばんたいせつなこと
選評
クソさのポテンシャル 封島
夏ンデレ
次点:せかいでいちばんたいせつなこと
選評
クソさのポテンシャル 封島
新都社とはなんなのかと聞かれると様々な回答が返ってくるだろうが、玉石混交というものがまずあげられるだろう。プロと見まごうほどの画力を持った作家もいれば、そこらの幼稚園児に適当に描かせたアリジゴクの絵よりもひどい絵を恥ずかしげもなくアップロードしている作家もいる。本賞はそんな玉石混交の作品群から「面白いのに埋もれてしまっている」作品にスポットライトを当て、微力ながらも賞賛することでより良い作品の創出を促すことを目的として創設した。
新都社においては、昨今では大手出版社が持つ商業の勢いに飲まれつつあるものの、Webマンガ界の一翼を担っていると言っても過言ではないだろう。そんな新都社の中で一際異彩を放つのは、「決して商業ベースの雑誌に載ることはないが、凄まじい潜在能力を秘めた作品」である。センセーショナルなイメージを重視したためにそれらを「クソさ」と表現したが、これは第2回以降も変えるつもりはない。
クソさは新都社において非常に重要なファクターである。正直言って素晴らしい、面白い作品が読みたければ、商業誌を見れば良い。プロフェッショナルの目が選別した、洗練された素晴らしい作品がたくさんあるだろう。だが、新都社作品は、全く洗練されていない。表面がゴツゴツとした岩のようなものである。時々、川の上流から下流まで流されたおかげでツルッツルになったきれいな石も混じっていたりするが、そんな例は稀である。荒削りながらも、突き抜けた何かがあったり、光る表現が目を突き刺すほどの衝撃を与えたりする作品を称揚したいと思っている。
第一回封島賞はノミネート形式を採用し、幸運にも5作品の選考を行うことができた。すぐ読み終わるものから、大長編漫画まで様々で、読むだけで大変苦労した。中でも死神ゲジゲジは、私の精神力をみるみる内に奪っていく作品だった。この作品が非常に惜しいのは、ストーリーはあるのに、それを読者に「面白く見せよう」という意識が見られないことだ。画力がクソすぎてなにしてるのかわからんことが多々あるのはこの際目をつぶるにしても、作品内の工夫がなさすぎる。せめてテキストで笑いを取りに行くなどの積極的姿勢がほしい。
クソさで飛び抜けていたのは、「そうさいつだって僕らは…。」だった。なかなかセンスのあるテキストではあったし、話自体もそこそこ面白いものはあったが、飛び抜けた力を持った面白さはなかった。これは全体に言えることだが、腹を抱えて笑ってしまうほどの面白さを持った話がなかったのが今回非常に残念な点である。
夏ンデレ、せかいでいちばんたいせつなこと、アロハ!ジョダンに関しては、安定した画力で読ませる作品だったことに相違ない。ただ、アロハ!ジョダンは話数が多すぎ、1話ごとの印象が薄いためか冗長感を感じてしまう。夏ンデレはかなり短いが、漫画の面白い、楽しい部分がそこかしこに散りばめられている良作である。せかいでいちばんたいせつなことは話数も程よくスラスラ読める内容で、また読者に考えさせる工夫をするなど猪口才な技術を駆使しており、なかなかレベルが高い。だが、技術というものは一定レベルを超えてしまうと拙い部分が非常にはっきりと見えてしまう。せかいでいちばんたいせつなことは読ませる作品ではあるが、作品内に突き抜けた要素がない。作品のどこか一部分にでも「アホすぎてだれもやらない」ような要素があれば、また評価は変わっていたかもしれない。
今回の大賞は、夏ンデレである。個別評における評点で高得点を獲得し、作品の完成度や、新都社にそもそも登録していないという作者の規格外のクソさが大賞の決め手となった。だが、今回大賞受賞候補が競り合ったという感じではなく、消去法で選んだという感が否めない。次回以降の選考では、今回以上のレベル感で選考ができることを期待している。
ちなみに次回以降の開催時期については、特に決めていない。
新都社においては、昨今では大手出版社が持つ商業の勢いに飲まれつつあるものの、Webマンガ界の一翼を担っていると言っても過言ではないだろう。そんな新都社の中で一際異彩を放つのは、「決して商業ベースの雑誌に載ることはないが、凄まじい潜在能力を秘めた作品」である。センセーショナルなイメージを重視したためにそれらを「クソさ」と表現したが、これは第2回以降も変えるつもりはない。
クソさは新都社において非常に重要なファクターである。正直言って素晴らしい、面白い作品が読みたければ、商業誌を見れば良い。プロフェッショナルの目が選別した、洗練された素晴らしい作品がたくさんあるだろう。だが、新都社作品は、全く洗練されていない。表面がゴツゴツとした岩のようなものである。時々、川の上流から下流まで流されたおかげでツルッツルになったきれいな石も混じっていたりするが、そんな例は稀である。荒削りながらも、突き抜けた何かがあったり、光る表現が目を突き刺すほどの衝撃を与えたりする作品を称揚したいと思っている。
第一回封島賞はノミネート形式を採用し、幸運にも5作品の選考を行うことができた。すぐ読み終わるものから、大長編漫画まで様々で、読むだけで大変苦労した。中でも死神ゲジゲジは、私の精神力をみるみる内に奪っていく作品だった。この作品が非常に惜しいのは、ストーリーはあるのに、それを読者に「面白く見せよう」という意識が見られないことだ。画力がクソすぎてなにしてるのかわからんことが多々あるのはこの際目をつぶるにしても、作品内の工夫がなさすぎる。せめてテキストで笑いを取りに行くなどの積極的姿勢がほしい。
クソさで飛び抜けていたのは、「そうさいつだって僕らは…。」だった。なかなかセンスのあるテキストではあったし、話自体もそこそこ面白いものはあったが、飛び抜けた力を持った面白さはなかった。これは全体に言えることだが、腹を抱えて笑ってしまうほどの面白さを持った話がなかったのが今回非常に残念な点である。
夏ンデレ、せかいでいちばんたいせつなこと、アロハ!ジョダンに関しては、安定した画力で読ませる作品だったことに相違ない。ただ、アロハ!ジョダンは話数が多すぎ、1話ごとの印象が薄いためか冗長感を感じてしまう。夏ンデレはかなり短いが、漫画の面白い、楽しい部分がそこかしこに散りばめられている良作である。せかいでいちばんたいせつなことは話数も程よくスラスラ読める内容で、また読者に考えさせる工夫をするなど猪口才な技術を駆使しており、なかなかレベルが高い。だが、技術というものは一定レベルを超えてしまうと拙い部分が非常にはっきりと見えてしまう。せかいでいちばんたいせつなことは読ませる作品ではあるが、作品内に突き抜けた要素がない。作品のどこか一部分にでも「アホすぎてだれもやらない」ような要素があれば、また評価は変わっていたかもしれない。
今回の大賞は、夏ンデレである。個別評における評点で高得点を獲得し、作品の完成度や、新都社にそもそも登録していないという作者の規格外のクソさが大賞の決め手となった。だが、今回大賞受賞候補が競り合ったという感じではなく、消去法で選んだという感が否めない。次回以降の選考では、今回以上のレベル感で選考ができることを期待している。
ちなみに次回以降の開催時期については、特に決めていない。