Neetel Inside ニートノベル
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お前らこんなのが好きなんだろ(笑)
出会い編

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 回答受付中のQ&A

 raisuke さんの質問
 私は小説家を目指すワナビです。
 ライトノベルを書きたいのですが、何を書けば良いのか思いつきません。
 面白いストーリーや好かれるキャラにはなにか法則があるのでしょうか?
 教えてください><

 質問日時:1234/5/67 00:00:00
 回答数:3

 ******さんの回答
 それはやはりラブコメなのではないでしょうか? 普通の高校生の周りに女の子がわんさかやって来て何にもしていないのにモテモテ……といったところでしょうか?
 いきなりHなシーンや萌え萌えなキャラクターを出せば大ヒット間違いなしですよ(笑)

 ******さんの回答
 主人公には実は秘められたチカラが眠っていて、それが覚醒した時に――其れは最強の存在と化す。
 だが主人公はその「チカラ」を嫌っており、自ら開放することは決して無い。
 その能力で、人ならざるモノ――怪物や魔王を素手で倒したあとに長々と説教をする。

 ******さんの回答
 最近の流行りはファンタジーだと思います。
 全く違う種族が出会って気持ちを通い合わせたり、協力して何かを成し遂げる話が多いです。
 ですが、まったくの空想ではなく生々しい話や現代社会の批判といった要素が強いと感じます。

 質問した人からのコメント
 ありがとうございますm(_ _)m
 皆さんのアドバイスを参考に書いてみたいと思います。

   □■□

 登場人物紹介
 主人公:高校生。親は家にいない。とりあえず金髪で見た目が不良。性格がひねくれている。だが、怒りで覚醒すると……!?
 メインヒロイン(仮):なんかよく分かんないけど何故か主人公のことが好きな自称・妹兼幼馴染み。頭が良くて非暴力的。あと無駄にエロい。

   □■□

 これはずっと昔の話だ。ある日突然、俺に「神奈子」という妹ができた。妹と言っても実際には俺と血が繋がってなくて、それはまぁパッと見て分かった。神奈子は俺によく懐いていて、いつも後ろをついて回った。だけど人見知りで、家からは出たがらなかった。
 それとは別に、俺には男友達がいた。本名は英雄(ひでお)といって、俺はヒデと呼んでいた。ヒデは無二の親友で、よく一緒に野球やゲームをして遊んでいた。俺はその二人を会わせて、皆で遊ぼうと考えた。だが、そううまくはいかなかった。

「お前さ、そいつのことが好きなんだろ? だったら結婚しろよヒャハハハハ!」
 これがヒデの第一声だった。俺たち二人を見て吐き捨てるように言った。その時ヒデは笑ってはいたが、言葉の端々から悪意のようなものを感じ取れた。俺は急に自分の行動が恥ずかしく思えてきて、とっさに否定した。
「なっ、ちげーよバーカ」
「……お兄ちゃん? 私のこと嫌いなの?」
 神奈子は、涙を湛えた目で俺を見つめた。ヒデは意地悪く笑うと神奈子に囁いた。
「聞いてなかったのかよ、お前のお兄ちゃんは俺らと遊ぶんだぜ。お前はどっか行ってろよ! ケケケ」
 気づくと俺はヒデを突き飛ばしていた。全身を血液が高速で流れて、信じられないほど息が荒くなっていた。今思い返せば、我を忘れていたように思う。
「黙れ!」
「ひっ……」
 ヒデが驚いた様子で見つめいていた。お前は何を驚いているんだ。ずっと俺が怒らないとでも思っていたのだろうか?
 ――ムカついた。とにかくムカついて、俺の中でナニカが切れた。たとえヒデが、泣いて許しを乞うたとしても俺は許さなかっただろう。
「ああ、そうだよ! 好きだよ。結婚するんだよ!」
 ヒデの服を掴み、拳を振り上げる。
「じ、じゃあ……証拠見せてみろよ!」
 ヒデは地面に座り込んだまま、俺たちを指差した。コイツをぶん殴るだけじゃダメだ。

 もっと徹底的に痛めつけなくちゃ。

 そして俺は、妹の顎を右手で掴むと乱暴に引き寄せて、キスをした。神奈子の、大きく開いたエメラルドグリーンの瞳孔を覚えている。そこから温かい綺麗な雫が数滴、右手に落ちた。――涙だ。驚いたことに、神奈子が泣くのを見るのは初めてだった。
 俺たちはそのまま長いこと硬直していた。本当はすぐにでも離れて神奈子に謝りたかった。でも、もう戻れなかった。少なくともヒデの目の前では弱気なところは見せたくなかった。
 少し経ってからヒデの「知らねーよバカ」という声が聞こえてきて、周囲に誰もいなくなった。……神奈子の唇の感触は、まぁ、柔らかかったとしか言い様が無い。

 その後のことは、思い出したくない。神奈子が俺の後ろでずっと泣いていて、謝るタイミングが見つからなかった。
 家に帰ると母親に叱られた。神奈子の保護者が遠くから迎えに来ていたらしい。俺は母親とともに玄関から見送ったが少女は、後ろ姿が見えなくなるまで、うつむいて終始無言だったのを覚えている。
 そえrからの俺は、空っぽだ。神奈子は遠くへ去り、ヒデとは二度と会話することも無くなった。
 ――つまり俺は、愛する妹と親友を同時に失ってしまった。

第一章 会って一秒、即えっち!

「まーったくよぉ! なんで俺がこんなことしなくちゃならねーわけ!?」
 ホコリまみれの部屋を、金髪の少年が掃除していた。少年の名は佐々木浩一(ささきこういち)。この春から晴れて高校一年生だ。両親は仕事で忙しく、普段はめったに帰ってこない。それを良いことに、浩一はつかの間の自由を満喫した。
 学校へ行かず深夜までゲームをしたり、家に帰らず夜の街を散策したりもした。どこへ行っても一人だった。俺は一人で何でもできるのだ。
 だが、その自由も永くは続かない。
 ――約2時間前。久しぶりにかかってきた母親からの電話は、こうだ。
『明日、帰ってくるから。あの使ってない部屋の掃除しといて。じゃヨロシク!』
 ガチャン――会話終了。
「俺を奴隷か何かと勘違いしてんじゃねーのか!? あのババァは」
 怒りに任せて壁や床をすべて磨き上げる。壁に立てかけてある姿見の鏡も磨きあげた。すると浩一の目に、怒りに歪むあまりにも強烈な自分自身の顔が映りこみ、思わず皮肉っぽい笑みがこぼれた。
「うはっ、こいつぁひでぇ」

 最初に全体像。鏡の中の自分は、けっしてスタイルが悪いわけではない。175センチのヤセ型だ。どこにでもいる普通の少年と言えた。だが問題はそこではない。
 きつくつり上がった目、小さな黒目がギョロギョロと動く三白眼。ただでさえオソロシゲな目元には慢性的な睡眠不足から黒いクマができている。笑顔の口元からは鋭く尖った歯が覗いていた。
「問題は髪型か?」
 前髪を下ろしてみても眼つきの怖さは変わらなかった。むしろ目を細めるので逆に迫力が出る。あがけばあがくほど深みにはまる悪循環。

 ――余談だが、浩一の髪は染めた金髪である。根元から先っちょまでサラッサラの金髪である。その金色の髪の一本一本から、「俺は普通の人間じゃないですYO!」オーラが溢れ出していた。(もっとも黒髪にしていても「ヤダ。あの人なんかネクラっぽい、近寄りがたいわ」的なオーラが染み出してくるのが悲しいところである。)
 金髪に染めたのは失敗だったか? でも昔からの憧れだったし、誰に嫌われても、ま、別に構うこたあねーか……なんて前髪をいじりながら思いつつ。
「って顔なんか眺めてる場合じゃねー! 掃除だ! 日が暮れちまわぁ!!!」
 浩一が大急ぎで掃除した結果、部屋は綺麗サッパリになった。衣装箪笥と姿見があるだけのシンプルな部屋だ。
「気に入らねーもんは全部捨ててやったぜ。ははは、ザマミロ、ババァ!」
 浩一は床に寝そべって、天井を見つめた。顔に当たる西日が眩しい。それを手で遮りながら、浩一は考える。「このまま誰にも邪魔されずこの綺麗な空間を独り占めできたら良いのに」
 小さな窓から夜を告げる涼しげな風が吹いてきて、掃除で疲れた身体に心地よかった。
 自分だけの力で作り上げた場所。確かな達成感。満ちてくる充足感。そういったものが一気に感じられて、浩一はなぜだかとても嬉しくなり、そのまま部屋の端から端までを転がってみることにした。
「うひょひょーい!!」
 独りでいるとついテンションが上がってはしゃいでしまうのがこの男、浩一のサガである。顔の怖い金髪オニーチャンが笑顔で床を這いずっているというのは、なかなかにシュールな光景だが、誰も家にいないのだから気にすることもない。
 ドガァン!! その刹那、肩が箪笥に激突。次に頭に小さな箱が落ちてきて、中の何かが割れた音がした。
「やっべ、掃除したばっかなのによ!」
 痛めた額を撫でつつ、浩一は箱を開けた。
「あん、なんだこりゃ?」
 箱の中では写真立てが入っていた。割れたガラスや枠はあとで捨てるとして、浩一は肝心の写真を拾い上げた。
 映っているのは不思議な雰囲気の漂う美少女。雪のような真っ白な肌に、優しそうなハの字眉毛とパッチリ二重の目。その双眸は、右はアンバー、左はグリーンのオッドアイ(虹彩異色症)。そして、腰のあたりまで長くまっすぐ伸びた髪は――現実世界では信じがたいことだが――鮮やかなピンク色だったのだ!

「……神奈子」
 浩一の口から自然と言葉が漏れた。俺はこの少女に遠い昔に会ったことがある。浩一は少し過去に思いを馳せた。

  *・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜―思い出―*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜

「お兄ちゃん、あそぼ!」キュンッ
「いや、わりぃ。ヒデと約束してるから」
「わ、わかった。なんかゴメンね……」

「お兄ちゃん、大好き!」キラキラッ
「ああ、そう。ちょっとヒデの家に行ってくるから」
「あっ、うん。」(´・ω・`)

「あたし、お兄ちゃんと結婚するの!」キャピキャピ
「いらん」
「お、怒らないでよぉ」(泣)
  *・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜―思い出終了―*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜

 あぁ、そういえばやたらモテてたな、と浩一は改めて思った。もっともあの頃は男友達と遊ぶのが楽しくて、ピンク髪の妹なんか全然気にしてなかったな。今にして思えば、変な色の女の子が身内だと悟られるのが恥ずかしくて意識的にあえて冷たくしていたのかも知れない。
「もったいないことしたよなぁ……」
 あの時にもし、好きだと伝えられていたら――いや、違う。伝えたんだ。俺は気持ちを伝えた。だけど、不器用なりに正直な気持ちを伝えたら、俺の周りには誰もいなくなってしまった。
「ちっ、つまんねーこと思い出しちまったぜ。気分転換して寝よう」

   □■□

 窓の外はすっかり暗くなりどこからか懐かしいメロディーが流れてくる。浩一は照明を点けると部屋の扉を閉め、厳しい表情でポケットから『神奈子』の写真を取り出した。
「神奈子」
 浩一は写真を見つめながら、ズボン(パンツ)を脱ぎ、自らの剛直した欲棒を優しく右手で撫でた。
「かな子!かなさん!かなちゃん!可愛いよ可愛いよ!!!」
 写真に向かって語りかけながら浩一は無心で自身の男の象徴を擦り上げた。シュッシュッ。手馴れた様子でリズミカルに扱く。
 最近気づいたことであるが、オ○ニーする時に声に出して叫ぶと興奮度がグッと上がるようだ。シュッシュッ! リズミカルリズミカル。激しく脈動する「ソレ」は間もなく絶頂を迎える――!?
「ああっ、かな子ォ! いいよ、すごく良い! あっああっああああっ……かな子、好きだッ!!」
「ホンマにぃ?」
「あぁぅ!?」ドピュ
 ふいに話しかけられたことで思わずのけぞってしまう。やばい。コントロールが乱れる。股間から発射されたゲル状の液体は浩一の額を高速でかすめると、背後の人間の顔を正確に撃ち抜く。
「うわっ、なんか飛んできよった! なんや、なんやこれ!!!??? 取って!!」
「誰だテメェ! ここでナニしてやがる!?」
 冷静になって考えればナニしてるのは俺だな。うん。

「うぎー、取って! 取って! 変な匂いしよる! あふぅん、あひぃん!」
 絶頂の甘美な感覚から醒めた浩一の目に「丸々と太った背の低い女」がのたうち回っているのが見えた。どうやら顔に『浩一の汁』がかかったようで、手探りでめちゃくちゃな動きをしている。その動きはまるで閃光弾を食らった大型モンスターだ。
 何だコイツ。どこから入ってきやがった。聞きたいことはたくさんあったが、その前に。
 浩一はティッシュを何枚か乱暴に掴むとできるだけ優しい声色で目の前の「知らない女」に話しかけた。
「お前さぁ、勝手に他人の家に上がってくるんじゃねぇよ。俺は一切悪くねーからな」
 浩一はしっかり弁解しつつも彼女の顔を拭いてあげた。彼女は赤いニット帽を被って、上はニットカーディガンを羽織り、下は淡い灰色のオーバーオールを履いている。立ち上がって見たところ、浩一よりもだいぶ背の低い女だ。もしかしたら体重は同等以上かも知れない。
 年齢は見た目からはちょっとわからない。中年のおばさんにも見えるし場合によっては小学校高学年にも見えた。
 そもそも人間なのだろうか? じーっと見ていると人間では無い別のおそろしい何かに見えてきて浩一は思わず目を伏せた。
「あっ、あの、キミは佐々木浩一さん……で間違いないやん?」
 女は垂れ目気味の細い目をさらに細めて微笑みながら、独特のアクセントで話した。関西弁だ。しかし微妙にインチキ臭い発音だった。
「そうだけど。だったら、なんだよ」
 浩一はぶっきらぼうに返す。そもそも他人がなんで俺の部屋にいるのだ。そしてお楽しみを邪魔されなくちゃならないのだ。浩一はイライラしてきた。
「あっ、あのですね。そのぉ……」
 女はなんだか口ごもっている。浩一は殴ってやろうかと思ったが、ギリギリで耐えた。たとえ知らない無礼な人間であっても女を殴りたくはなかった。
「言いたいことあんなら言えよ。そして出てけ」
 しかし女の口から出た言葉は意外なものだった。

「あの……あのあのっ! 何かよくわかんないんですけど! 多分あなたのことが好きです! えっちなことして下さい!!」
「はぁ?」
 ガシィ!
 女は浩一の肩を掴むとグイグイと押してきた。押し倒してキスでもするつもりだろうか? ってゆうかデブの力ってスゲーのな。
「私は浩一さんの恋人になりたいんです!」
「意味分かんねーから! やめろっつーの」
 浩一は後ろを振り向いて確認した。鏡に自分の動揺した顔が映っている。もう逃げ場は無い。
「だって、一緒に遊んだら友達! えっちなことしたら恋人でしょ!? そこに愛なんてあっても無くても関係ないもんねっ!?」
「うるせえっっ!! いい加減にしろ!!」
 浩一はデブ女の首ねっこを抱え、そのまま身体をまっすぐ高く持ち上げ、勢いをつけて後ろに叩きつけた。
「ギャー!!! ウギャギャー!!!」
 女は数秒ほどもんどり打って跳ね回っていたがすぐにまた立ち上がると、掴みかかろうと襲ってきた。
「テメッ、こっち来んじゃねー」
 浩一は無数の拳を女に叩き込んだが、それらは総て肉に吸収されてしまった。
「ファ~ハハハ! 我が身体は拳法殺し! 貴様の拳も経絡秘孔にとどくまでにすべて肉厚に吸収されてしまうのだ」ブニュブニュ
「ならば・・・ならば・・・肉体言語にて語るまで!!!」
 浩一は女の頭を抱え込み、両腕の力を使って締上げる! HEADLOCK(ヘッドロック)だ!
「ウギャギャー! 痛い痛い痛い!!」
「ギブ? ギブ?」
「ギブ! すんません! ギブっす!」
「ならば良し!」

   □■□

 浩一は女を解放し、床に座らせた。女は最初こそ抵抗していたが、浩一がひと睨みすると小さく「ぁぅ」とだけ呟き、ピシッと正座したのだ。
「あのさぁ……」
 浩一は怒りを内心全力で押さえ込みつつできるだけ穏やかに尋ねた。
「なんで俺が怒ってるのかお前には分かる?」
「はい……ホントすみませんでした。私が女だということで、あなた様が手加減されているのをいい事に、調子に乗っちゃってすみませんでした」
「いや、そっちじゃねーんだけどな」
 勝手に家に上がってきて、いきなり力づくで襲ってくる。性別を逆にして考えると、事態の異常さや恐ろしさが分かってもらえると、思う。
 だが、急にしおらしくなった女を前に、怒りが収まりつつあった浩一は「やれやれ、どうしたもんかな……」と、後頭部を掻いた。

 警察に突き出す程でもないし、そのまま外にほっぽり出すわけにもいかない。
 そもそも、なんで俺んちに上がり込んで、関係を迫ったのか? 理由くらいきいても、まぁいいだろう。
「まぁ色々と聞きたいことはあるんだが、なんであんなことをしようと思ったの? バカなの?」
「だって、男の人ってえっちのことしか考えてないじゃないですか。私だってちょっとおかしいと思ったけれど、浩一さんや読者さんが喜ぶと思って……」
「どんな男だって他にも色々考えてるっツーの! そもそも俺、お前のこと知らねーしよォ!?」
「エーッ、浩一さん、私のこと誰だか知らないであんなことをしたんですか? それはアカンで! ワシャまだええけんど他の人ならポリスに捕まるかも知れんよ?」
「捕まるのはオメーのほうだろが……。そもそもお前誰なんだよ?」
「フッフッフ……」
 女はおもむろにニット帽を脱ぐと頭を振りながら髪をバサっと広げてみせた。
「あっ、お前、その髪の毛!」
「わかりましたか? 私、あなたの妹で幼馴染みの矢内神奈子(やないかなこ)です! お久しぶりやんな? 浩一さん」
 浩一はかつての写真と見比べてみた。色々とおかしいだろ……? こんな可愛い天使がどうやったらあんな醜悪な豚になるのだろうか?
「目だって色違いやねんぞ! 見てみ! 見てみ!」
「うるせーよデブス! キモいからそんなの見せんじゃねー!」
 神奈子は細い目をせいいっぱい指で開いてアピールしたが、浩一はその腕を払いのけ、それを掴んだ。
「ありえねーだろ!? ちょっとこっち来いオラ!」
「いやーんえっち!」
 浩一は自称・神奈子の襟首を掴み、鏡の前に立たせた。
「いいか? この写真を見ろ。これが神奈子だ」
「あー、懐かしい! これ昔の写真ですね。まだ大切に持っててくれたんやね」
 神奈子は嬉しそうに微笑んだが、浩一は昔話がしたいわけではない。
「そんで、こっちがお前だ」
 鏡に映った神奈子は、丸々と太っていており顔は力士や魔人ブウのよう。背の低さも相まって、浩一には一般的な人間とは違う別の生物に見えた。
「うわ、なんやコイツ。えっらいブタやなぁ!」
「オメーだよ! ブタァ!」
 鋭いロー(キック)が神奈子のふくらはぎを捉える。
「ギャー! 痛いってば」

   □■□

「あ、そうだ。浩一さんの高校……えと、セントクロノス学園でしたっけ? 私もそこに通うことになりました。」
 神奈子は布団を敷きながら、ご機嫌で言った。
「ふーん。ってここに泊まんのかよ!」
「オッス! 三年間お世話になります! よろしくアニキ!」
「ああん? 誰がアニキだ。ぶち転がすぞコラ」
「まったまたー。男の人ってこういうのお好きなんでしょう?」
 浩一無言のリストロック!(手首固め)
「痛い痛い痛い! わかったワシが悪かったけん。許してつかぁーさい!!」
 浩一は手首を開放すると、神奈子を布団で簀巻きにして、掃除したての部屋に放り込んだ。
「……とまぁ、冗談はこのへんにして、これから短い間ですがよろしくお願いします」
 神奈子は人間離れした動きでスルリと布団巻きから脱出すると、三つ指をついて深々と座礼をした。
「ったく、やれやれだぜ」
 かくして、二人の共同生活は始まったのだった。

「そういや、ババアはどうしたんだよ? 帰ってくるんじゃねーの?」
「そこはまぁ、もうじき帰ってくるんじゃないですか? つまりは作者の都合次第です」
「は? 何言ってんのか意味がよくわかんねー」

 憧れの幼馴染みに数年ぶりに再会したら、なんか残念な感じになっていた。
 よっしゃ、これで間違いなく大ヒット間違いなしである。by作者

       

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