Neetel Inside ニートノベル
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『遊戯王M 第八話』

 やあ! 俺は図画 遊鎧! 主婦って実際は無職って扱いらしいけど、俺もデュエリストって肩書きを取られたら正直無職だと認めざるを得ない28歳だ!
 セカンドステージが始まったんだけど、ルールはややこしいから前の話を読んでくれ。
「さて、と……。ふらふらしてても何も始まらねぇ。ひたすらデュエルをするしかねぇな。まあ、一万二千円持ってるから、最悪三回までは負けてもいいわけだし……」
 そう独り言を言いながら、俺は考えていた。
 このセカンドステージの参加者はそれなりの人数がいた。セカンドステージの進出条件が十枚の『MNo.』を集めることだとあのつなぎのいい男は言った。
 肝心の『MNo.』が何枚あるのかわからないが、アニメのようにとりあえず百枚としておこう、するとセカンドステージ参加者は十人いることになる。
 この十人の内、一週間以内に先に十万円を稼いだ二人が決勝戦、サードステージに進出できるってわけだ。
 俺の所持金は一万二千円、つまり後八万八千円稼がなきゃならない。一回四千円だとすると、最低でも二十二回も勝たなきゃならないのか……。
「おい、そこの君」
「ん?」
 振り返ると、屈強そうな男が立っていた。
「俺に話しかけてくるってことは……あんた、セカンドステージの参加者、デュエリストか!」
「その通りだ。よければ是非デュエルをしようじゃないか」
「いいぜ、受けてやる! ライフはいくら賭ける?」
「最初の勝負だ、4000でどうだ?」
「いいぜ、それじゃ……」
「「デュエル!」」

遊鎧 LP:4000 VS 男 LP:4000

「私の先攻、私はライフを3000ポイント払う!」
「な、何だと!?」

男 LP:4000→1000

「そしてこのカードを発動する! 永続魔法、『生活保護』を発動! このカードはドローフェイズ時のドローカードを2枚にし、更に1ターンに2回の召喚権を得る! 更に自分の場のモンスターは攻撃力は500ポイントアップする! そして相手は……」
「まだあんのかよ!」
「相手は、エンドフェイズにデッキからカードを5枚墓地に送る!」
「クソッタレが!」
「私は『BF-チョウナン』を召喚!」
「『BF』!? ってあの『ブラックフェザー』か!?」
「残念だが、これは『ビッグファミリー』と読む」

『BF-チョウナン』☆4 ATK:1800/DEF:600

「更に私は『生活保護』の効果でもう1体、モンスターを召喚できる! 『BF-ジジョ』を召喚!」

『BF-ジジョ』☆3 ATK:1400/DEF:700

「そして自分の場に『BF-』が2体以上存在するので、このカードを特殊召喚! 『BF-サンナン』!」

『BF-サンナン』☆2 ATK:1200/DEF:300

「先攻は攻撃できない、私はカードを1枚セットしてターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー!」
(大量展開はしてきたが……レベルはバラバラ、エクシーズ召喚はしてこなかった……。とりあえずは……)
「まずはその邪魔なカードを破壊させてもらおうか! 俺は『臭いクローンの戦士』を召喚!」

『臭いクローンの戦士』☆1 ATK:100/DEF:0

「『臭いクローンの戦士』の効果を発動! 場のこのカードをリリースすることで、相手の場の魔法・罠カード1枚を破壊する! 俺が破壊するのは『生活保護』!」
「甘い! 『BF-』の共通効果発動! 自分の場に3体以上の『BF-』が存在する場合、1ターンに1度、相手の魔法・罠・効果モンスターの効果または攻撃宣言のどれかひとつを無効にする!」
「くそっ……、不発か……。なら俺は『サイバーワールド・ニート』を特殊召喚!」

『サイバーワールド・ニート』☆5 ATK:2000/DEF:1500

「このカードは相手の場にモンスターが存在し、自分の場にモンスターが存在しない場合に特殊召喚できるぜ!」
「だが、私のモンスターは『生活保護』の効果で攻撃力を500ポイントアップしている!」
(そうだったぜ……。だが、何とか奴の場のモンスターを減らせれば、『生活保護』を破壊するチャンスもあるってことだ……!)
「俺は手札から魔法カード、『怒りの進軍』を発動! デッキからカードを3枚墓地に送り、自分の場のモンスターの攻撃力を次の相手ターンのエンドフェイズまで1000ポイントアップする!」

『サイバーワールド・ニート』ATK:2000→3000

「いくぜバトルフェイズ! 『サイバーワールド・ニート』で『BF-チョウナン』を攻撃!」

『サイバーワールド・ニート』ATK:3000 VS 『BF-チョウナン』ATK:2300

「むぅぅうっ!?」

男 LP:1000→300

(あっさり通した……!?)
「ふふふ……この瞬間、罠発動! 『緊急手当』! 相手とのライフポイントの差が10倍以上になった時、ライフポイントを4000にする!」
「ふざけんな!」

男 LP:300→4000

「そして破壊された『BF-チョウナン』の効果を発動! このカードが場を離れた場合、デッキから『BF-ジナン』を特殊召喚する!」

『BF-ジナン』☆3 ATK:1000/DEF:300

(あっさり攻撃を通したのはこれを狙ってやがったからか……! 魔法罠を使おうにも、奴の場に『BF-』が3体以上存在する限り、1度だけ発動を無効にされちまう……ここはアド損だが仕方ねぇ!)
「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ!」
「『生活保護』の効果でデッキからカードを5枚、墓地に送ってもらうぞ」
「しまった! それがあったか……!」
(デッキデス……! 今の環境じゃ逆に自分の首を締める場合もあるとはいえ……)

「私のターン! 『生活保護』の効果で2枚ドロー! 私は『BF-チョウジョ』を召喚!」

『BF-チョウジョ』☆4 ATK:1600/DEF:700

(まだだ……。奴のデッキは大量展開に特化してる。タイミングを見計らわねぇと……)
「そしてレベル4の『BF-チョウジョ』にレベル2『BF-サンナン』をチューニング!」
「何!? チューナーモンスターだと!?」
「シンクロ召喚! 『BF-ゴッドファザー』!」

『BF-ゴッドファザー』☆6 ATK:2200/DEF:2100

(今か……!?)
「更に『BF-チョウジョ』が場を離れたことで『BF-ジジョ』を特殊召喚! そして『BF-サンナン』の効果で『BF-ヨンナン』を特殊召喚!」

『BF-ジジョ』☆3 ATK:1400/DEF:700
『BF-ヨンナン』☆1 ATK:300/DEF:200

「まだだ! 私はレベル3の『BF-ジジョ』2体でオーバーレイ! エクシーズ召喚、『BF-ゴッドマザー』!」

『BF-ゴッドマザー』★3 ATK:1400/DEF:/2300

「今だ! 罠発動『無職の落とし穴』! 1ターンに2体以上同じ名の付いたモンスターが特殊召喚された場合、特殊召喚された2体目以降のモンスターを破壊する!」
「ならば『BF-』の共通効果で無効にする!」
「それならそれで! いくぜ、墓地の『トリック・シンクロン』の効果を発動! 相手の場に2体以上特殊召喚されたモンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外して相手ターンにシンクロ召喚ができる! 俺はレベル5の『サイバーワールド・ニート』にレベル3『トリック・シンクロン』をチューニング! 俺に汚い召喚方法を使わせたことを後悔しな! 無職の鼓動、今ここに列をなす! 職歴皆無の力を受けるがいい! シンクロ召喚、俺の魂、『ニート・デーモンズ・ドラゴン』!」

『ニート・デーモンズ・ドラゴン』☆8 ATK:3000/DEF:2000

「『ニート・デーモンズ』が場に存在する限り、そのターンのエンドフェイズ時に攻撃宣言したモンスターは破壊されるぜ!」
「いいだろう……どの道打点3000は突破できない。私は『ゴッドマザー』の効果を発動する! エクシーズ素材を1つ取り除き、自分の場に存在する『BF-』以外の『BF-』と名の付いたレベル3以下のモンスターを1体、デッキから特殊召喚する! 私は『BF-サンジョ』を特殊召喚!」

『BF-サンジョ』☆2 ATK:1000/DEF:500

「そして魔法カード発動! 『大家族の喧騒』! 自分の場の同じ名前の付いたモンスターの数だけ、相手ライフに700ポイントのダメージを与える! 私の場にいるモンスターは全部で5体!」

『BF-ゴッドファザー』
『BF-ゴッドマザー』
『BF-ジナン』
『BF-サンジョ』
『BF-ヨンナン』

「よってダメージは3500!」
「がぁぁぁあああっ!」

遊鎧 LP:4000→500

「これでターンエンド。どうだ! これが大家族の力だ! ひとつ教えてやろう、この大会のセカンドステージ進出者の共通点……それは、事情はともかく、今現在“働いていない”ことだ。なぜそのような理由なのかは知らんがな。そして、この大会に勝てば、莫大な賞金が手に入るという」
「何だと……?」
「私は体が弱く、働くことができない。しかし、私にはこのデッキのように……守るべき家族が大勢いる! 私達を守ってくれる国のためにも、私は家族のためにこの大会に勝ってみせる!」
「ふざけんなぁ!」
「何だと?」
「体が弱いくせに、何でそんなに家族を抱えてんだよ!」
「家族を欲すること、子孫を残そうとすること、それは人として当然の欲求だ。そして今、国は未来を担う子どもたちを欲している。私は私自身と、国の欲求に従っただけだ。そんな私は讃えられ、支援され、保護されこそすれ、責められる謂れなどない!」
「それがふざけてるって言ってんだよ! 未来を担う? ふざけんな! てめぇはてめぇのガキに、自分の財布からいくらの金をかけた? てめぇのガキを大学、いや、高校に行かせてやれるのか? 俺の親は、俺が生まれるずっと前から俺の将来を考えて貯金をしてきてくれたんだ! それだけ大事に育てれられた俺でさえ職に就けねぇ。それでも俺の親は……口はうっせぇけど、今も俺を守ってくれてる! てめぇにそれだけのことができんのか! 子が親の脛をかじるのは当然だ! だけど、親が国の脛を……俺の親達が必死で払ってる税金をかじってるようじゃ話にならないぜ! てめぇが自分の子供を幸せにできるって言うんなら……まずはそのふざけた職歴をぶち殺す!」
「何だと……!」

 まるで俺の怒りの叫びに呼応するかのように、俺の体が輝き出す。俺は天高く舞い上がる。

「俺一人で、オーバーレイ! カオス・ニート・チェンジ!」

 そして、金色に輝くブリーフ一枚の姿へと変わる。

「俺のターン! ニートはドローカードすらオリカにすり替える、ニートドロー! 速攻魔法、『定期解約』発動! 自分の場のモンスターを1体をリリースして発動する! リリースしたモンスターのレベルの合計になるよう、自分の墓地からモンスターを効果を無効化して特殊召喚する! 俺は『ニート・デーモンズ』をリリースし、墓地からレベル4の『ロスト・ジョブ・ガーディアン』と『ニート・シールド・ガードナー』の2体を特殊召喚! そして、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れろ! 『MNo.39 透過竜クリアドラゴン』!」

『MNo.39 透過竜クリアドラゴン』★4 ATK:2500/DEF:2000

「そして魔法カード『RMU-ニート・フォース』を発動! オーバーレイネットワークを再構築、カオス・エクシーズ・チェンジ! 混沌を無色に変える使者……現れろ、『CMNo.39 透過竜王クリアオーラ』!」

『CMNo.39 透過竜王クリアオーラ』★4 ATK:2500/DEF:2000

「そして俺は手札から『NW(ニートウェポン)-自宅警備棒(セキュリティ・バトン)』を『クリアオーラ』に装備する! このカードは本来モンスターカードだが、『MNo.39』と名の付いたモンスターに装備カードとして装備できる! このカードを装備した『MNo.39』の攻撃力は1500ポイントアップし、戦闘では破壊されず、相手の場のモンスターの数だけ攻撃することができる!」

『CMNo.39 透過竜王クリアオーラ』ATK:2500→4000

「そして、『クリアオーラ』の効果発動! このカードが『MNo.39 透過竜クリアドラゴン』をエクシーズ素材としている場合、エクシーズ素材を1つ取り除き、そのエクシーズ素材となったカードが元々効果モンスター以外だった場合、その攻撃力分このカードの攻撃力をアップさせ、その守備力分相手フィールド上のモンスターの攻撃力をダウンさせる! 俺は『クリアオーラ』の素材を1つ取り除く! 取り除いた素材は『MNo.39 透過竜クリアドラゴン』! よって、てめぇの場のモンスターは全て攻撃力が2000ポイント下がる!」

『BF-ゴッドファザー』ATK:2200→200
『BF-ゴッドマザー』ATK:1400→0
『BF-ジナン』ATK:1000→0
『BF-サンジョ』ATK:1000→0
『BF-ヨンナン』ATK:300→0

「だ、だが『BF-』はモンスター効果を無効化することもできるし、破壊されてもデッキから『BF-』を特殊召喚する! それに、はは、教えてやろう! 『ゴッドファザー』が破壊された時、墓地の『BF-』をエクシーズ素材として『ゴッドマザー』を特殊召喚できる! そして! 『ゴッドマザー』が破壊された時、墓地の『BF-』1体をデッキに戻すことで『ゴッドファザー』を特殊召喚できるのだ!」
「何勘違いしてるんだ……とっくに支援は打ち切りなんだよ……! 『クリアオーラ』がエクシーズ召喚に成功した時、このカード以外の効果は全て無効化した! てめぇの『BF-』の効果は何も使えねぇぜ! ついでに、てめぇの『生活保護』も無効だ」
「何っ!? だ、だとしても、だ! 『ゴッドファザー』以外は守備表示! ダメージは通らない!」
「それならこんなピンポイントメタはどうだ……? 装備魔法『養育費』! このカードを装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、500ポイントのダメージを与える! 計算するまでもねぇよな……行くぜ! “無色のクリアストリーム”!」
「がぁぁぁああああ!!!」

男 LP:4000→0

「俺の勝ちだぜ……! まずはてめぇが召喚したモンスターの面倒くらい、ちゃんと見ろよな……」

遊鎧 所持金:12000円→16000円

第八話・完

       

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