Neetel Inside ニートノベル
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「え?は?あ・・・え~」
などと自分でも後悔するくらいしどろもどろになっていると、
「え~初対面の女性にいきなり聞きますぅ?」といたずらっぽく笑われた。先輩・・・いつもとキャラちょっと違いませんか。
「で?いくつなの?」
 先輩はおそらく自分が聞きたかっただけなのだろう。先輩の問いかけに探偵助手が先輩に向き直ったのをいいことに助手の体全体を頭から腿のあたりまで見澄ましてしまった。 そろそろ冬手前の秋といった季節のためか、腰まで包む薄茶色のロングニットのセーターに短めのベージュ色のパンツ、その下からすらりと伸びる長い足は黒のタイツに包まれ肌の露出はない。セーターも分厚めなはずなのだが妙に体のラインが生々しいことに気づいた。少なくとも全体的に平坦で薄い体はしていないのかもしれない。そんなことに思いを巡らせていると、
「しょうがないな!大サービスね。その代わり今日の晩御飯は布施さんのおごりですよ!」
 まじでか!?最高ジャンそれ。
「まじでか!?全然いいよ!問題ない。」
 先輩と俺は実はほとんど同じ思考回路の持ち主なのではなかろうか。心の中で俺が思ったことを先輩がそのまま口に出した。
「OK~男に二言なしだよ!」
「わかったって。じゃあ上から行こうか。」
「いいよ!168、25、25!」
「ん?」
 おれと先輩の二人声がかぶった。
「ん?」
 と助手が聞き返す。
「スリーサイズだよ?168って?」
「私の身長です。」
 な、なんだって~。ていうか結構高いのねやっぱり。
「いや、それはスリーサイズじゃないじゃないですか~。」
 先輩がいたずらっぽく言うと、
「スリーサイズって3つのサイズのことでしょ?だから私の身体に関連するサイズを3つまで公開したんですよ。」
 にこりと笑って助手が返す。
「なん・・・だと・・・。」
 そう、俺たちはいや、先輩は確かにスリーサイズのそれぞれの部位指定までは行っていない。あくまで一般常識だという前提で聞いていた。そこを突かれてからかわれてしまったわけだ。探偵助手の”らしさ”というやつを見た気がした。
「なんだよその屁理屈・・・ちくしょう。真剣に喜んでたのに。夢がかなった気分でいたのに!俺の心をもてあそびやがって。」
 先輩がおふざけ半分で逆ギレした。そんな先輩に助手は冷静に返す。
「そんなに人生すんなり行かないですよ!あきらさ・・・ごほん、布施さん!」
「わざとらしすぎるぞ。おまけに言い直してるけど結局それが指し示すところは同一人物だろうが。」
「まあまあ、それにあと2つもサイズを発表していますよ?何のサイズか聞かなくて良いんですか。」
 数値的には明らかに俺や先輩が思うところのスリーサイズではない。ではないが聞く気がなさそうな先輩の代わりに俺が聞いてみた。
「残り2つは?」
「お?ノリいいですね~?布施さんより将来有望なんじゃないですか?」
 流し目でちらりと先輩のほうへ視線を向ける。先輩は両手を挙げて降参の意だ。

       

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Neetsha