Neetel Inside ニートノベル
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「何じろじろ見てんのお前(笑)」
「え?いや、っそそそんなことは。」
 思わず焦って声が上擦ってしまった。先輩は右の口角を吊り上げ不適な笑みを浮かべてこちらを見ている。先輩のこんな顔を見るのも珍しいかもしれない。普段から表情の変化に富んでいる人ではあるのだが。
「あはは。いらっしゃい。すぐにお茶の準備をしますのでそちらのソファにかけておいてくださいな。」
 煌びやかな笑顔を見せながらその美人は俺の脇を通り抜け、奥の扉に消えていった。俺がその場で立ち尽くしていると、
「お前面食いか?」
と先輩にからから笑われた。
「いや、あの・・・はい・・・。」
 あんな美人に極上の笑顔を見せられて平常心を保てるやつなんて・・・結構いるかもしれないが、俺みたいに免疫のついてないやつにはきついんですよ先輩。
 ドアから向かって左側に俺と先輩が二人で腰掛けてお互いに数分間無言でいると、奥の扉が開き再び美人が戻ってきた。その両手で抱えていた、小さなマグカップを2つ乗せた木製のトレイを、天井に向けた左手のひらに載せ直し、空いた右手で扉を閉めた。ウェイトレスさながらの無駄のない動作だった。いや、この部屋の雰囲気からすると敏腕秘書か。
そんなことを考えていると、その心を読んでのことか先輩が、
「彼女は助手なんだ。もちろん探偵の。」
と彼女について紹介した。マグカップを先輩と俺の前に順に置いた後、トレイを脇に抱えてこちらに居直り、美人は自ら自己紹介をした。
「はじめまして。五百蔵(いおろい)きよと申します。」
「俺は阪田博一です。S大学の1年です。」
「俺の後輩なんだ。俺の名前は布施秋吉って知ってるか(笑)」
と先輩が付け加えた。
「あたし物覚えが悪いんで下の名前はうっかり忘れてしまってました。もう一度紹介していただけてよかったです。普通にあきらさんっておよびしそうになりました。あ、ちなみに私も大学1年ですよ。他に何か質問があれば何でも聞いてください!?」
先輩と俺を交互に見る形で探偵助手が冗談を言いつつ自己プロフィールを加えた。む?今何でも聞いてくださいって言ったよね?よし、もう少し違う情報をくれ。サイズとか。いろんな部位のサイズとか!危うくのどから言葉となって出てしまうすんでのところで先輩が言った。
「つーか前もはじめにちゃんと紹介してたのにずっとあきらさんって呼んでたよね?性格悪いわ~この子!ちなみにこっちの俺の後輩が君のスリーサイズについて知りたいらしいぞ。」
 あんたは超能力者か!?いやまて、そうではなく。急に話を振られてしまった俺は、

       

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