Neetel Inside ニートノベル
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「右足も左足も一般的には同じサイズの靴を履く。2つ目と3つ目の数値は同じだ。つまりこれは。」
 確かにその通りだ。そこから導き出される答えは・・・。しかしこれでいいのか?何か引っかかる。」
「あいつは探偵助手だ。今までのあいつとの会話で正解にたどりつけるようになっているはず。それがロジックの道に生きてる人間のクイズの出し方だ。」
 なるほど・・・。助手は証明できる数値だと言っていた。つまりそれは数値として健康診断書に記録、もしくは記載されているものだということだ。あれ?なんかここに大きな引っ掛かりを感じるのだが。
「さて、そろそろ答えを聞いていいですか?」
 これ以上考えてもその引っ掛かりを解消できる気がしない。先輩と目を合わせ、先ほどの先輩の解答で行くことに目で了承をした。
俺と先輩はお互いの視線を同時に助手のほうへと移す。
「お?自信ありですか?ではどうぞ?」
 少し間をおいて先輩が立ち上がり、
「左足のサイズだ!」
 逆転裁判さながらの決めポーズを見せた。その様子を俺は下から見上げる形で見つめていた。助手はというと逡巡するように渋い表情を作りながらうつむき加減になった。こんなくだらないやりとりなのになぜか胸が高鳴る。しばらくして助手が口を開いた。
「布施さん・・・」
「なんだ?」
「おしい!不正解です!」
 ああ、なんということでしょう!先輩は全身の脱力とともに膝が折れてソファに深く吸い込まれた。かなりの高さから吸い込まれたため先輩の腰の着地とともにボスンと大きな音が鳴った。まるで先輩のため息を代弁しているかのようだ。
 先輩はうつむきがちに助手のほうに顔を向けることなく尋ねた。
「答えは?答えは何だ?」
すると助手は、机の上に裏向きにして置いてあったメモ用紙を翻し、
「正解はこれです!」
と答えに指を指した。その答えとは・・・
「ひ・・・左の握力?25kg?」
あっけにとられて呆然としている先輩の横で俺は助手のある発言を思い出していた。まさか、ミスリードだったのか・・・?
「納得の行く説明を・・・」

       

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