祓魔の血脈、滅鬼の器(短編)

 瑙乃のうの家は日ノ本屈指の……いや、頂点と言っても過言ではない祓魔の血である。
 鎌倉時代の初め、美濃にて土地神を騙り村を脅かす、強大で兇猛ながらも天下に並ぶものなしとまで言われた美貌を持つ狸の怪を退治した瑙乃光時を始祖とする。
 瑙乃が存在しなければ日ノ本は何回滅んでいたことか。少なくとも、両手足の指で足りはしないであろう。
 魔を刈り、霊を灼き、鬼を伏す。場合によっては、神を弑する。
 人に仇なす数多の怪を誅するがために奔走する日ノ本の懐刀。一族の者は総じて闇の中で煌めく菫色の瞳をしているので、『紫の守』とも呼ばれている。
 その紫の守の一族は、外部から見れば謎に包まれている。
 代を重ねる毎に血が薄れるのを防ぐため頻繁に行われる祓魔の家同士の婚姻。瑙乃の男子は婿養子として出向くことはあっても、瑙乃の家に嫁を招き入れる事はなかった。
 そして、瑙乃に生まれた女子を見たものはいない。少なくとも外には出てこないのだ。
 理由を瑙乃に尋ねても、決して明確な返答は出てこない。
 当然ながら、近親相姦の疑いは何度も囁かれてきた。
 が。一度や二度ならまだしも、一等親同士で三度四度と交わりを重ねれば奇形の子を孕んでも不思議ではない。
 それが十代二十代ともなると遺伝子が完全に綻び、一族が滅びかねないだろう。
 しかし瑙乃は今尚、明敏と辣腕を以て祓魔の頂に立っている。
 それではやはり、あの噂は所詮噂だったと言うわけか――

 否。
 瑙乃は事実として、近親交配を繰り返している。七百年前から、ずっと。
 瑙乃における女は子を成し血を絶やさぬための道具に過ぎず、それ相応の扱いを受けている。
 奴隷以下の、肉の便所。決して外には洩れぬように厳重に閉じ込め、たっぷりと肉親の身体の味を愉しんでいるのだ。
 この儂――濡尾花凛光女ぬれおかりんみつめの味を。







 祓魔の血脈、滅鬼の器



 




 「困りますね母上様、後世に残す記録に人聞きの悪い事を書かれては」
 「! み、光空……」
 儂は慌てて手記を手で隠した。
 後ろから覗き込んでおったのは光空であった。
 まだ外が薄暗い中、誰も起きて来ぬうちからこっそりと瑙乃の悪行を記すのが日課であったが、まさかこんなに早く光空が起きてくるとは。
 「いや……花凛?」
 「っ……!」
 真名を呼ばれ、あの方と同じ菫色の瞳で見つめられると。
 いくら心で反抗しようと思うても、身体が逆らう事ができぬのであった。
 実の曾祖母であり、祖母であり、母親でもある儂を、これから妻にする……いや、性処理の道具として使うが為に、儂の小さな頬を優しく擦り、目の端を吊り下げて微笑った。
 「私が起きたら、どうするんでしたっけ?」
 儂の顔のすぐ下で、光空の逸物が服の上から反り返っているのがわかった。
 「わ、儂は……」
 躊躇いながらも……いや、躊躇うふりをしながらも、光空の寝巻に手を伸ばす。ゆっくりとずり下げると、ぶるんとそれが飛び出る。
 野太い魔羅が、儂の幼い肉を想像して膨れ上がっておった。
 「光空の……」
 触れようと指先を伸ばす。も、魔羅に触れるより早く、髪の毛を鷲掴みにされた。
 「『光空』?」
 冷たいその声と髪を引っ張られる痛みに怯え、儂は涙ながらに訂正する。
 「み、光空様の……おちんぽを満足させる、雌便器です……!」
 そう言うと、光空はにっこりと笑って儂の髪を離し、痛む頭を撫でてきた。
 「よくわかってるじゃあないか。しっかり満足させてくれ」
 「はい……」
 赤子の頃は儂の小指よりも小さかった可愛らしいおちんちん。今では口に収まりきらないくらいの凶悪な太魔羅となっていた。
 黒光りするそれに舌を這わすと、口の中にむっと男の……瑙乃の臭いが広がる。
 裏筋を撫で上げ、鈴口に口吻をし、亀頭を唇で饗すと、光空は儂の頭に両手を添える。
 「花凛の口は小さくて可愛いね。でも」
 そして力強く、自分の腰元に儂の頭を引き寄せた。
 「ぐもっ!?」
 「奉仕っていうのはもっと気持ちよくしてくれないと」
 喉奥の肉に、陰茎が突き刺される程の勢いで。何度も、何度も、何度も腰を打ち付け、頭を引く。
 屈辱、嘔吐感、息苦しさ。そして僅かに刺激される、被虐の悦び。
 それのどれによるものか、目から小粒の涙が零れ落ちる中で、儂はただ魔羅に歯を立てないように必死であった。
 「瑙乃に生まれて幸運だよ。こんなに可憐で従順で、しかも歳を取らない肉穴を使い放題なんて」
 そう言うと同時に、儂の喉奥……食道に、精をごぷりと放つ。
 「んむっ……!」
 むせるを通り越して溺れてしまいそうになる儂に構わず咥内をしばらく味わった後、ようやく太い逸物を儂の口から抜いた。
 「げほっ、がはっ、はぁ、はぁ……わ、私の口まんこを使って頂き、どうもありがとうございます……」
 そう言う風に躾けた儂の泣き顔を見て、光空は再び魔羅を儂に押し付けた。
 腿に、固い肉が突き付けられる。
 「あっ……」
 儂の膣口からは、既に愛液が滴り落ちて腿を伝っていた。
 「あんなに乱暴にされて興奮しちゃって……欲しいんだよね、これが」
 それで貫かれる感覚を、体が覚えている。身に染みこんでいる。心が欲している。
 儂は無言で、こくんと頷いた。
 「じゃあ、おねだりしないとね」
 光空は儂の着物を緩め、小さな胸に手を伸ばして敏感な所を摘んだ。
 かつて無垢に吸い付き乳を飲んでいたそこを、今は性感帯として弄ぶ。
 儂の頭は、既に蕩けきっておった。光空を満足させるべく、情欲を唆らせる言葉を必死に選ぶ。
 「あっ……はあっ……み、光空様……。どうか、畜生以下の私の、涎を垂らした未成熟肉穴……締りの良い経産婦まんこに……お情けを下さい……その逞しいおちんぽで、ぐちゃぐちゃに掻き回して……瑙乃家の孕み汁、濃ゆい種汁をお恵み下さいませ……」
 着物をはだけ、下半身をよく見えるように露出して突き出し、求めるように腰をくねらせる。尻を振って、ご褒美をねだる。
 自尊心など、どこにもなかった。
 「よくできました」
 褒める言葉が聞こえた瞬間、儂の身体は歓喜して震えた。一際粘りのある涎を、肉棒をねだる口からどろりと垂れ流す。
 亀頭の先端を陰唇に添えられただけで、儂の腰が勝手に動き、擦り付けるように、舐め上げるように、肉の味を愉しんだ。
 「ふんっ……!」
 「あ――」
 小さな儂の体の、小さな膣口。瑙乃の子を孕む事と瑙乃の男を悦ばせる事のために使われる性器。
 儂から産まれた光空が、そこに戻ってきた。
 「ただいま、母上」
 「お……おかえりなさい……ませ……っ!」
 瑙乃の男が持つ肉棒は、儂の肉穴ととても相性が良い。
 まるで脳を直接犯されているように、官能を刺激して体を痺れさせる。
 それもそのはず、瑙乃は妖怪を退治すべく造り上げた、名刀。儂は妖怪の肉で造った、隙間一つ存在しない鞘である。
 屈服しないわけがない。
 「どうですか母上? 人間に呪いをかけられて、肉便器となり……何代も何代も、自分の産んだ息子に犯されては孕まされ、育てた息子に陵辱されるのを永遠に繰り返すのは?
 元は人間など歯牙にもかけぬ大妖怪だったはずが、今では見下していた人間に監禁され、家畜未満の生活……悔しくないのですか?」
 息子として敬語を使いながらも母親の肉を堪能する光空。
 その腰の動きは激しく、一突き毎に儂の子宮を穿ち、緩んだそこへ頭半分侵入するほどだった。
 儂にはもはや屈辱を感じる余裕すら無く。
 腰をがくがくと震わせて、こう答えた。
 「くやしくないですっ……! しあわせ、しあわせですっ……!! 瑙乃家の性奴隷になれて、光空様の肉便器としてお使い頂いてっ、とても幸せですっ……!!」
 惚けた顔で言うと同時に、光空の愛すべきおちんぽが、儂の腹を食い破る程強く奥に入り込んできて。
 息子の遺伝子を子宮に直接注がれながら、儂は多幸感で気をやってしまった。









 「だから母上様、あまり変な事を書かれると困りますってば……」
 「ふーん。実際に瑙乃の男は変態ばかり、儂は倒錯ぷれいに振り回されるかわいそーな女の子じゃ。どいつもこいつも、儂をなんじゃと……」
 「女の子って、何百歳なんですか母上様……」
 宥める光空を睨み、儂は再び手記に筆を走らせる。
 内容は盛りに盛っており、今日は光空に式神である蟲共と交尾させられて卵をぽんぽん産まされたと既に記した後であった。
 「光空は下卑た貌で儂を見下ろして良い式神を造るにうってつけですねと二匹目の蟲を召喚し、ひくひく蠢く菊座へと強引に捩じ込み……」
 「そんな事してませんって!!」
 「これからするんじゃろどーせ。先読みして書いておいたわ。全く、光空は本当に儂の事を愛しておるのかのう。いくら頭に海綿体の詰まった瑙乃の男児とは言え、光空はなーんか儂の事を本気で都合の良い肉便器と見てる気がしてならんのじゃ。光陸と光海も違う方向に変態じゃが」
 と嘘を零す。稀にそう思わないでもないくらいに嗜虐体質さでぃすとであるが、まあ今回は思っておらんかった。
 儂のぼやきに対して光空は呆れ顔で答えおった。
 「何を馬鹿な事を言っているんです。濡尾花凛光女様は妖魔鏖滅を絶対の掟とする私共が唯一崇め祀らう大妖おおあやかし、瑙乃の要にして我等が一族の大母上……敬愛し、忠愛し、親愛致しております」
 「うっそじゃー。儂の少女体型ろりぼでぃーを貪りたいだけじゃろ。このぺど空め」
 そう訝しんで光空を困らせてやる。
 先程の交合……それ自体はとても気持ちよいものではあったが、どうも後味がすっきりせん。
 この儂が息子に言葉責めされ肉棒に屈服してあへあへ言ってたかと思うと、腹の虫が収まらないのも当然じゃった。
 「……愛しておるなら、儂をもっと可愛がるがよい。抱きしめて、口付けながら、尻を優しく撫でるのじゃ。初代様のようにな」
 最後くらい儂の好きにさせよ、と光空の手を握る。
 光空は仕方なさそうに笑って、儂を包み込むように抱き寄せた。
 光時様と同じ温もりが、体に、臀部に、唇に染み渡る――






 
 
 
 日が南天に高く昇る頃、儂の股の下では目隠しをされた光陸がふごふごと藻掻いておった。
 「どうじゃ美味いか、母上の御陰ほとは? 自分が産まれた穴の味は如何かや? 懐かしい味がするであろ?」
 下腹に、甘い快楽が広がる。ぺちゃぺちゃと水音を立てながら、光陸は幼子姿の母親に舌奉仕して肉を昂らせている。
 「ほら、もっと奥まで舐めるのじゃ。儂の小袋もお主を懐かしがっておるぞ。挨拶せい」
 舌が内部まで這い寄るのに合わせて、子宮をぐぐっと下ろす。元々奥行きが短い身体であることもあって、光陸の舌は儂のそこへどうにか届いた。
 固めの肉が先に触れたのを感じた光陸は、必死になって生まれ故郷を小突いた。
 「あはっ、これこれそんなにがっつくでない。母は逃げはせんぞ、たっぷり味わえ……」
 光陸が勢い良くむしゃぶりつく度、鼻先が陰核に擦れて身悶える。
 官能が高ぶってくると同時に、儂の中に排泄欲が生まれて尿道をひくつかせた。
 「んっ、出そうじゃ……光陸、厠になるがいい……たっぷり飲ませてやるぞ……」
 言うが早いか、しっかりと押さえつけて固定された光陸の口に、儂の尿が流れ込む。
 実の息子の口に排泄する高揚感、背徳感、そして征服感で儂は放尿しながら達してしまった。
 飲みきれずにごふごふと咽る光陸に腰をぐいぐい押し付けて熱に酔いしれるのは、中々の趣があった。
 どうにか水責めを耐え切った光陸の口を解放してやり、目隠しを取ると。
 「母さま……」
 儂を魅了して止まない紫の瞳が、虐げられた小動物のように潤んでおった。
 「おお……なんて愛い顔をしとるのじゃ……!」
 儂は愛しい愛しい我が子を胸に抱きながら、先走りをどろりと垂れ流して刺激を待つ哀れな肉棒へと手を伸ばした。
 光陸の顔を、膨らみが控えめながらも常に母乳を出すことができる乳房――初代様あのへんたいの仕込みである――へと近づける。
 「ほれ、大好きな母さまの乳じゃ。飲みたくはないか? 吸い付けばたんまり飲めるぞ」
 と優しく囁くと、光陸は桜色の突起を噛み付くような勢いで求めた。
 「あはっ、まるで赤子じゃの。光陸はいつまでたっても甘えん坊じゃな。よしよし、儂は逃げぬよ……」
 光陸が儂から必死に乳白液を搾っている間、儂は光陸から柔らかく白濁液を搾り取っていた。
 「どうじゃ、母の指先でおちんちんを弄くられる気分は。心地よいか? ほぉれ、しこしこ、しこしこ……」
 手の動きに合わせて擬音を口にすると、光陸はびくんと面白いように身体を震わせて悦びおる。
 赤子にしては大きすぎる我が子を手で慰めていると、言い知れぬ劣情を感じて儂の息も荒くなった。
 「光陸は母の言う事をよく聞く良い子じゃからな、いっぱい気持よくしてやるぞ。儂に身を委ねて、楽にするのじゃ……おちんちんしこしこ、気持ちいいのぅ、とろけそうじゃのぅ……」
 餌に食いつく鯉のように必死であった光陸の力もその内に抜け、いつしか乳を飲む赤子そのものの安らかな顔つきに変化しておった。
 「そろそろ出したくなってきたじゃろ……? どぴゅどぴゅしていいのじゃぞ……遠慮することなどない、母さまの手の中で白いおしっこたっぷり出していいのじゃ……」
 甘く淡い刺激を与えるだけだった手慰みを、少しだけ早める。陰嚢がどんどん上がってきて、吐精が近い事を告げた。
 「出るのか? 出そうなのか? よいぞ、光陸が上手におちんちんからぴゅっぴゅできたら褒めてやるぞ。しこしこ、しこしこ…………あはっ」
 どぴゅっ。ぴゅるっ。
 赤子にしては立派過ぎる光陸のおちんちんから、大人の証が勢い良く迸った。
 儂は手の動きを弱くし、優しく陰茎を撫でて射精の余韻を深める。
 「おお、元気にどぴゅどぴゅできたのぅ。偉いぞ光陸。よーしよし、いい子じゃいい子じゃ」
 汗を垂らして荒く呼吸する我が子の頭を抱きながら、儂も雌の悦びを滴らせていた。
 手にねばねばとこびり付いた美味なる息子の種汁をたっぷり舌で味わい、光陸の腰に跨って尚も元気な陰茎へと女筋めすじを擦り付ける。
 「じゃあ、次は母さまの中にたっぷり注いでおくれ」
 哀れ祓魔の人間は返り討ちに会い、大妖怪に美味しく食べられてしまったと言うわけじゃ。
 めでたしめでたしじゃな。







 「……と言うわけで光陸もド変態のぺど被虐体質まぞひすとだったと言うわけじゃ。わしの苦労は尽きぬ、と」
 「待って下さい待って下さい母さま」
 光陸が儂の手記を見て制止しおった。
 「何じゃ? 言っておくが今度は何一つ盛っとらんぞ」
 実母(幼女)の小水が飲みたいと言い出した時は流石に育て方を間違えたかと思ったもんじゃ。
 それにこの歳になっておっぱいを吸いながら陰茎をしごかれたいなど、末っ子だからと言って甘えすぎではないかのう……。
 「さも私だけが変態みたいな書き方してますけど、母さま最初から最後までかなりノリノリでしたよね? 楽しそうでしたよね??」
 「儂は外面が幼いから許されるのじゃ。お主は十九歳、元服前の青年であろう。完璧あうとじゃ。近親相姦とぺどと飲尿とおまけに授乳手慰みで攻守交代じゃ」
 「前二つは代々みんなそうじゃないですか!! セーフですよセーフ!!」
 「瑙乃家全員あうとに決まっておろうが!!! ぺど一族め!!! どいつもこいつも躊躇なく交わりおって恥を知れ恥を!!!」
 儂が怒鳴るとしょぼんと小さくなる光陸。へたれじゃ。
 「その後光陸はひくひく蠢く菊座を差し出してお尻の穴で気持ち良くして下さい母さまと……」
 「盛ってるじゃないですか……」
 「何か言うたか?」
 「いえ……」
 涙目になる光陸。
 つい庇護心が湧いてしまい、よしよしと抱きしめる。
 駄目な子ほど可愛いとはよく言ったもんじゃな。尤も、瑙乃家の男児に祓魔師として無能な者は一人たりともおらんが。
 「仕方のない子じゃな、もう……大丈夫じゃ、光陸が近親ぺど飲尿授乳手慰みあなるふぇちでも、母さまは嫌いになったりせんよ。可愛い可愛い、儂の子じゃ」
 「母さま……。……アナルは違いま」
 「何か言うたか?」
 「いえ…………」
 ドへたれじゃ。









 昼七つ、申の刻。現代で言うと午後四時。
 障子戸に橙色が差し込む中で、儂は西洋の礼服を着せられておった。黒を基調として、ふりるが沢山ついた……所謂ごしっくどれす、と言う奴である。
 「いいよぉ~カリンたん! 次はもっと見下すように! 片手を腰にやって、そうそう!」
 そして瑙乃の財を使って撮影器具を揃え儂を着せ替え人形の如く扱うのは、変態その三(初代様から数えれば四十二人目じゃ)の光海であった。
 「折角黒髪ロングロリババアなんだから吸血鬼は鉄板だよね! じゃあソファに横になって! 違う違う、うつ伏せから顔だけこっち見るようにして……」
 一体何着あるのか、毎度毎度衣装を変えては撮り小物を揃えては撮り新しい映写機を買っては撮りと飽きもせず儂の撮影会を続けておる。
 普段着である朱の和服から始まり、浴衣、割烹着、喪服、巫女装束、女中服、看護服、どこぞの学び舎の制服、女教師の礼服、水着、学校指定の水着、布面積が異常なまでに狭い水着、寝間着、兎の格好、拘束服、修道女服……
 次から次へと新しいのを買ってくる上に眼鏡だの猫耳だの尻尾だのを付けるわ被せるわねじ込むわで煩わしいことこの上ない。
 撮影がようやく終わったかと思えば待っているのはその衣装のままでの交合である。
 「ふ、ふええええええ~~~!? そ、そんなところいじっちゃだめだよお~~!!」
 『えっちな目に合う十歳の新米ドジっ娘魔法少女』なる性格付けをされた儂は台本の通りに声を出す。も。
 「カーット! 駄目駄目そんなんじゃ! 全然焦燥感も恥じらいも出ていない! やり直し!!」
 「恥じらいは十二分にあるんじゃがな……」
 竿男優兼監督と化した(撮影や証明等は式神が務めておる)光海の駄目出しが飛ぶ。
 こやつは完全に儂を淫靡ぽるの女優か何かと勘違いしておる。
 瑙乃の家を継ぐ者は常に一人、例外は無い。光海は兄弟二人に劣るわけではなかったが、後継者争いにさっさと見切りを付けておった。
 こやつは家を出る前に交わるだけ交わり、撮れるだけ撮っておこうと言う心算らしく、儂の痴態を山ほど記録している。
 「はい、じゃ次は触手におっぱい絞られながら引きずり出された子宮口に挿入されて白目剥くとこ行くよー」
 「……魔法少女は大変じゃのう……」
 散々無茶ぶりをさせられて抵抗する気力すら失せた儂は、もう勝手にせいと身を投げ出す。
 光海は躊躇なく粘液滴る触手を儂の乳房に這わせてやらしく撫で、乳首が上がっていった所を滑らないように吸盤でしっかり捕まえる。
 人間の指では決して味わうことの出来ない細かい締め付け。糸で縛られているかのような感覚が、痛覚の中に悦楽を覗かせる。
 小児の柔らかい肉が、伸ばされて尖ってゆく。
 「はぁっ……」
 儂が苦悶しながら乳を噴き出している間にも別の触手が股に伸び、安々と中に侵入していった。
 奥で切なそうにしている子宮を摘み、引っ張って外へ出そうと絡まる。
 一本、二本、三本。
 木を根本から引き抜こうとするかの如く幾重にも結ばれたそれが、儂の小袋を官能ごと引きずり下ろしてゆく。
 「あ゛っ……あぁ……!!」
 我慢できる程度の痛みの中で、確実に膣道を擦っていく儂の中心部。
 分泌される膣液の量もそれを手助けするかのように増えて、ずるりずるりと這うように通ってゆく。
 中身が裏返っていく感覚が、これほど気持ち良いとは思わんかった。
 やがて儂のそこは外気に晒され、股からはいささか陰惨な光景が飛び出る。
 しかし、本来は醜悪であるはずの子宮脱に光海は股間をいきり立たせていて。
 「……やっぱり触手じゃなくて僕が挿入しよっと」
 触手で広げさせたそこの中に、瑙乃の逸物をねじ込んだ。
 「ひぎぃっ!! ……ぁ……」
 肉筒と化したそこで、光海は激しく自慰を行った。そうである。
 儂は言いつけ通りしっかりと白目を剥いて泣き喚いた後気を失ったのでよくは覚えておらん。
 起きた所に「あ、おはようカリンたん。やっぱり実母を犯すなら子宮姦に限るね!」とかほざきおってからに、なんか腹が立ったので妖怪変化してぶん殴っておいた。
 結界が割れたがまあ大したことあるまい。

 





 「なんで僕だけ本気グーパンを喰らったのか、それがわからない」
 右頬を腫らせた光海は儂の肩を丁寧に揉みほぐしながら疑問を呈した。
 「お主はなぁ、そんな悪趣味極まりない性癖拗らせて外界に出るなどと本気で言っておるのか!? 幼女を着せ替え子宮を引きずりだして犯すなど正気の沙汰ではないわ。児童監禁の容疑者としてにゅぅすに出でもしてみよ、儂が責任を持って喰い殺しに参るぞ」
 と儂が危険思考を窘めると光海はぶふっと嘲笑しおった。
 「人間の女の子にそんなことするわけないじゃん……カリンちゃんはお馬鹿だなぁ」
 「おっどうやら喰われたいようじゃな、よぉしそこになおれ」
 「冗談です冗談です母上様」
 再び妖力を解放しだした儂に慄き慌てて背中の経絡に奉仕し始める。
 瑙乃は一族総母親性愛まざこんの為、儂が本気で怒ると止められる者はおらんかった。宥められるとしたらせいぜい初代様くらいのものじゃろう。
 「最近じゃ女の子妖怪とかも祓協(祓魔協会のことじゃな)にかなり狩り尽くされててさー、妖力なんてかすっかすの悪戯程度しかできない子も討伐対象に挙がるくらいなんだよ。知ってるでしょ?」
 光海は不満を隠そうともせずに儂に愚痴を零す。
 この子は、瑙乃の中でも考え方が異端じゃった。神も妖も人も、それほど差異があるとは思っておらん。
 まあ、儂が親だからと言うのもあるじゃろうが……それでも他の瑙乃は、魔は狩るもので神霊は見張るもの、と割り切っている。
 「まぁのぅ」
 「やれノルマやら威厳やらのために女の子殺すとか、僕としてはそっちの方が正気とは思えないね。僕は保護したいんだよカリンちゃん、妖も、はぐれ神霊も」
 肘でぐりぐりと肩を刺激しながらも光海はもっともらしいことを言いおる。
 「保護、とは捕まえて触手で子袋を引きずり下ろし逸物を差し込むことを言っておるのか?」
 「当たり前じゃん。……と言いたいけど、大丈夫そうな子にしかやんないかなー。まぁ、男としては女の子を集めて全員ちんぽで屈服させたいわけで……」
 それを他の誰からも気付かれることなく成せるんじゃから瑙乃の一族は恐ろしい。
 まさに、ここがそういう系統の場所であるしな。
 「はぁ……なんでこんな子に育ってしまったんじゃろうなぁ……」
 「いや、自覚してるから言うけど結構歪むよ? この環境」 
 それは否定できぬ。








 ある日の朝方。
 いつものように儂が瑙乃に対する恨みつらみを書き留めていると、後ろから光空が儂の懐へと手を忍ばせてきおった。
 「おやおや母上様、今日も今日とて熱心でいらっしゃいますね……そうだ、私に抱かれながら手記を綴るというのは……」
 「どっせい!!」
 儂は座ったままの姿勢から光空の腕を掴み背負い投げを決めた。
 予想外の反撃を喰らった光空は抵抗どころか受け身もままならぬまま筆卓に背中を打ち付け、更に臀部を縁に強打した。
 「おうぼっふッ……!?」
 割と本気で痛がる長男に儂はちょっとやりすぎたかのうとも思うたが、まあこのくらいでどうにかなる瑙乃男児ではないのでええじゃろ。
 「は、母上様、何をっ……?」
 もんどり打ちながらもどうにか言葉を捻り出す光空。
 儂は立ち上がり、腕を組んで答えた。
 「今日は交わりは無しじゃ」
 「なしてよ!!」
 「なしてよてなんじゃよ」
 痛みと驚きのあまり口調が変わる光空。
 「わ、私に飽きたのですか母上様……? 駄目です、私は母上様の幼い柔肉を一日一回味わわないと修行などとてもとてもする気になりませぬ!」
 「どちらにせよもう駄目じゃよお主わりと。別にお主に飽きたわけではない。ただ精を数日溜めこんで欲しいだけじゃ」
 と言うか儂が瑙乃に飽きるわけなかろう。この呪いは滅びるまで解けぬわ。 
 「なんでですか」
 「なんでもじゃ。わかったらとっとと修練に励め。自慰などもっての他じゃぞ」
 と言って部屋から光空を引きずり出し、締め出す。
 はーはーうーえーさーまー……と覇気無き声で扉を叩く光空をするーし、儂は手記の続きに手を付けた。



 「母さまえっちしましょうえっち」
 「駄目じゃ」
 光海の部屋にあった割烹着を拝借し、昼食をこしらえている儂の元へやってきて性交をねだる光陸。
 を、儂はにべもなく断った。
 「え、なんでですか。空とはしたんでしょ?」
 「しとらん。一本背負いして叩きだした」
 「えぇ……」
 こやつら三兄弟は三つ子の癖に起床と就寝時間が大幅にずれておる。
 光海など昼過ぎになって、ようやくのそのそと起きてくるくらいじゃ。
 「光海も光空も、数日は性交抜きじゃ。お主も我慢せい」
 「す、数日!? 今日だけでなくて?」
 この世の終わりみたいな顔で愕然とする光陸。そしてしょぼんとうなだれる。
 「母さま……私は、母さまの温もりが無いと生きていけません。どうか、お慈悲を……」
 まるで儂(の見た目)と同じくらいの歳の子供のように、手を握って懇願する。
 本当に、庇護欲をそそるのが上手い子じゃ。これで天然なのだからたちが悪い。
 「はぁ、もう元服前だと言うのに親離れのできない子じゃのう……。あとで膝枕してあげるから、そんな顔をするでない」
 と言うとぱぁっと明るくなる光陸。
 「ほ、本当ですか母さま!」
 満面の笑みなど見せなかった初代様に似た顔でそんな表情をされると、どうも調子が狂ってならぬ。
 ……やはり瑙乃は魔性の男じゃ。



 「駄目じゃ」
 「まだ何も言ってないよ?」
 光海が褌を手にやってきたので儂は先手を取った。
 「カリンちゃんどうしたの急に? おちんぽ大好き淫乱ロリババアが突然セックス断ちなんて我慢は体に悪いよ?」
 儂の体の心配など微塵もしておらぬであろう光海がいけしゃあしゃあと述べる。
 体に悪いかはともかく、体が多少疼くのは自分でも実感しておった。
 いつもなら既に瑙乃の肉棒が二回儂を貫いているはずの時刻。すっかり三つ子の玩具にされるのに体が適応してしもうた。
 それを隠しつつ、儂は光海の額をぴっと指で弾いた。
 「あいた」
 「たわけ。毎日三回も交合に勤しむ方がふしだらで不健康じゃ」
 「カリンちゃんが発情してる時は三人ともひん剥かれて四回目が始まるけどね。あの時完全に人間を喰う妖の顔になってるけどどう見てもカリンちゃんが一番楽しいんじゃ……」
 「ええい黙れ黙れ!! 悪いか!! 阿呆!!!」
 儂は大声を出してその場を誤魔化した。
 「うわぁカリンちゃんがキレ芸で誤魔化そうとしてる……」
 「ここで思いっきりぶん殴れば誤魔化しきれるかのう?」
 「なんでカリンちゃん僕にだけツンデレヒロインばりにぶん殴ろうとするの!?」
 「光空もさっき投げ飛ばしたわ、別にお主だけじゃなかろう。ほれ、だから今日は交わりは無しじゃ。精をしっかり溜めておけ……
 ……その内、干からびるまで搾り取ってやるから、な」
 儂が舌を突き出し、手で竿を扱くような仕草を見せる。
 と。爽やかな笑顔で光海は仕方ないなぁと言いつつ股間をぽっこり膨らませて戻っていった。
 儂はその背中に、
 「後悔したくなければ自慰などするでないぞー」
 と適当に叫んでおいた。

 
 
 
 

 「さて」
 子の刻。
 屋敷の灯りは全て消した。空に煌めく満月が光っているだけの宵闇、その下に儂らはいた。
 当然、結界があるためこちらから外界は見えても、外界からこちらが見えることはない。
 びにーるしーとの上に敷かれた布団のそのまた上で全裸の儂が腕を組み、やはり全裸で正座する三兄弟を見下ろす。
 「もうすぐ元服じゃな、お主ら。これまで共に過ごしてきた三兄弟が、それぞれ別の道を進むわけじゃ」
 「はい」
 「……そうですね、母さま」
 「カリンちゃんはよセックスしたい」
 光海の顔面に儂の足裏がめり込んだ。
 「……納得いかぬかもしれんが、掟は掟じゃ。三人仲良く次代の当主などできるはずもない。瑙乃の名を背負うものは一人しかいらない……祓魔の長として絶対の頂に立つには……」
 顔を抑えて震えている光海の隣にいた光空が挙手する。
 「……あの、母上様」
 「なんじゃ? 今話の途中であろう」
 「話、長くなります? 流石にもうそろそろ我慢も限界なんですけど……」
 五日間おあずけを食らってげっそりした顔で言う光空に、光陸も続いた。
 「あ、私も……母さまのあらたまった話はいつも数時間単位で続くので、ちょっと早めに切り上げて欲しいかなって……」
 儂に追い打ちをかけるように光海も呻く。
 「……いっ……てぇ……まあ、年寄りは話が長いからね……」
 光海に追い打ちをかけるように儂は踵を落とす。
 蛙が潰れたような音と共に光海は動かなくなった。
 「……こほん。まあよいじゃろ、今更何を言うことでもない。前振りは置いておくとして、とっとと交わるか。陰茎は一本減ってしもうたが……」
 ちらと見ると光海は魔羅を逆立てながらも布団を握りしめて立ち上がろうとしていた。
 意識も曖昧であろうというのに凄い執念じゃ。
 「……まあ、四人で性交するのは少なくとも今日が最後になるじゃろうな。……しっかり母に味わわせておくれ、瑙乃三人分の濃ゆい種汁を」
 儂はそう言って光海の陰茎にかぶりつき。
 光空と光陸に小振りの尻を向け、くいと上げて。
 既に蜜が溢れんばかりに滴っている女筋を手で開き、肉を招いた。
 
 
 「お゛うっ……! あ゛っ、う゛っ、んごぉ……っ」
 野太い肉棒で串刺しにされている、下腹部と喉元。
 女陰を貫かれる苦しみに唸っている最中にも、咥内を固い肉が往復する。
 まるで水の中を泳いでいるかのように呼吸は絶え絶えとなり、止め処なく涙は溢れ、全身は大きく震える。 
 当然、歓喜によるものじゃった。
 儂は瑙乃二人に前から後ろから交互に、あるいは同時に体内を蹂躙される。
 まるで退治した後の妖を玩具にして游ぶ、初代様のように。
 三本目の陰茎は横から伸び、儂の小さな手に握らせられる。強めに握って肉の輪を作り、しごく事を強要させられていた。
 「うっ、出ますよ母上様……!」
 「わ、私も……っ!」
 「じゃあ僕も、カリンちゃんのちっぱいに……!」
 「ん゛っ、ん゛っ、ん゛っ…………っ!」
 ごぷん、どくん、びゅびゅるん。
 三者は儂の口と女陰と身体に、凄まじい量の白濁液をぶちまけおった。
 性交を禁じ精を溜め込んでいたのと、昨日よりたっぷり朝餉昼餉夕餉と混ぜ込んだ儂特製の精力増強薬の効果はしっかりと発揮されておる。
 精を放ちながらも、腰を動かすことを止めようとはしない。三人共、同じであった。
 「次、次は僕がカリンちゃんの膣内に出したい……!」
 「待って、私も母さまのおまんこに入りたいよ……」
 「焦るな二人とも、順番で輪姦そう。母上様の仕込みか、この通り萎える気配など全くないからな」
 発情した猿のようにがっつく二人に対し、長男ゆえか一人落ち着きを見せる光空。
 だがその顔は、嗜虐の色に歪んでいた。
 「次は私が口を犯そう。陸は母上の蜜壺に奉仕して差し上げるんだ、そして海は残った穴を慰めてやれ」
 指示に従い、いそいそと儂の下に潜り込む光陸。
 「はぁ、母さまのおまんこ、暖かい……」
 三つ子であるからか、兄の精液が溢れていることなどまるで気にせずに儂の花弁へと腰を突き入れる。
 「はぁっ、んっ……」
 儂が身悶えるのと同時に、光海のであろう手が臀部を撫で上げるのを感じ、鳥肌が立った。
 「何度犯してもせまいままのカリンちゃんアナル、いっただきまーす……っ!」
 言うとおり、すぼまったままの菊門に精液を塗りつけて、無理矢理魔羅をねじ込まれてしもうた。
 「ひぎっ……!!」
 前の穴と後ろの穴を同時に食い破られ、圧迫された下腹部の苦痛を伴った快楽に腰を抜かしていると。
 「母上様、しっかり奉仕してくださいよ」
 開いた口に肉棒を咥えさせた光空が、儂の鼻をつまんで息吹を止めてきおった。
 「んぶっ……!?」
 呼吸困難になる儂など構わず、狭くなったそれぞれの穴を愉しむ三兄弟。
 狭まれば狭まるだけ悦楽は肉を固くし、なお強い暴力を以って儂の穴と言う穴を抉っていく。
 ごりゅっ、ごりゅっ、どっぷん。
 「~~~~~っ!!!」
 体内に暖かい種汁をぶちまけられれば儂の身体は簡単に屈服し、更に穴を窄ませて具合を良くしていく。
 太魔羅を勢い良く引きぬかれて安堵と切なさにしばし浸っていると、場所を交代しただけの三つ子はまたすぐに儂の肉を喰らいはじめた。
 「あ……あは……っ!」
 歓喜に、昂奮に、表情の筋肉が緩んでしまうのを感じる。
 すっかり蕩けた儂の目の前に、優しい光陸の決して優しくない肉棒が差し出され、儂は喜んでそれを咥内へ受け入れた。
 喉元を通過して、胃の中へ。
 膣道を通り越して、子宮内へ。
 直腸を逆流して、大腸内へ。
 もはや誰のものかもわからない肉から飛び出た精が交じり合い、儂の身体を満たしていく。
 いや、それはまるで一つの生き物のように儂の中をうねっていった。
 瑙乃の精を放出し種汁を供給する、肉の塊。
 瑙乃と言う化物に喰らわれる、儂。
 瑙乃を喰らう、化物の儂。
 「んんっ……まだまだ全然足りんぞ、光空、光海、光陸……母をもっと愉しませてみせよ……?
 ほれ、満足させねば三人まとめて頭からばりばりと喰らってしまうぞ……?」
 赤子を孕んだかのように膨らんだ腹を擦りながらも、儂は息子達の肉を求める。
 「おお、おいたわしや……母上様も、一皮剥けば所詮は人の肉を喰らうことしか考えていない妖怪であったとは……」
 芝居がかった口調で言う光空。
 何を言い出すのかと黙りこむ光陸と光海の視線を浴びながら、にやにやと卑俗に微笑んでおる。
 ああ、どんな恐ろしいことを考えておるのじゃろうか……。
 期待のせいか、頬が緩む事を抑えられない儂はそれに乗っかり、大袈裟に身振りを加えて続ける。
 「そうじゃ、儂は大妖怪濡尾花凛光女じゃっ……! 退治してみせよ瑙乃の子よ、その立派なもので、儂を調伏してみせよっ……!」
 「なればこそ三人の力を合わさねばなりませんな。我ら三本の矢となりて、濡尾花凛光女様、貴女を降伏ごうぶくして見せましょうそ」
 と言って、儂の「女陰のみ」に狙いを定める光空。
 意味を理解したのか、光海と光陸も他の穴に手を付けることなく、光空が広げる儂のそこへと肉を押し当てた。
 こぷり、と精が滴り落ちる。じゃが、これからその数倍、数十倍にも及ぶ精をたらふく飲まされてしまうのじゃ。
 「あ、ああ、駄目じゃ、そんなことをしたら、わ、儂は壊れてしまう……許しておくれ……」
 そう懇願する儂の顔はきっと。
 嗤っておったのじゃろう。

 ……そして、儂は壊れるほどに息子達の肉を堪能することとなった。
 

 

 



 
 そして翌々日。
 光海が、荷造りを終えていた。
 光空の元服を明日に控えたこの日、次男は瑙乃家を出て行く。
 「じゃま、そんなわけだから。たまに帰ってくるかもしれないから部屋はそのままにしておいてね」
 軽くそう言うが、瑙乃の掟では脱走者は許すことなどできない。
 出て行くことは暗黙の了解として見逃すとしても、帰ってくることなど無いであろう。
 恐らくこれが、今生の別れとなる。
 次に儂が見る時は……
 ……死体となっているはずじゃ。
 「……少し羨ましいな、外で自由に生きられると言うのは」
 当主となる光空が零す。
 儂が瑙乃の被害者であるとしたら、瑙乃は日の本の被害者じゃ。
 国の為に生まれ、国の為に死す。
 彼らは人生を、運命を、生まれる前から決められておる。
 「なに言ってんのさ空、カリンちゃんみたいなロリババア食べ放題とか全世界の男の夢だよ。二番目がハーレム。僕は妥協しただけだ」
 寂しそうに微笑む光空に、歯を見せて笑う光海。
 「海……元気でね。正直あまり心配はしてないけど、海は突拍子も無いことばかりするから」
 「僕としては陸の方がエキセントリックだけどね……。まあ明日死ぬ奴に元気でねって言うのもなんだけど、せっかく自分からやるって決めたからにはやり通すといい」
 「もちろん」
 呆れ顔の光海と、静かながらも決心した顔の光陸。
 三人とも、誰を贔屓したわけでも特別扱いしたわけでもない。
 同じように育てて、同じように育ったはずなのに。
 同じになったのは顔と体格ぐらいじゃった。
 人と言うのは、まこと不思議なもんじゃな。
 「じゃーねカリンちゃん。僕がいなくなって寂しいでしょ?」
 「寂しいわけあるか、たわけ。瑙乃の恥晒しめ、逃げ出すのならとっとと出て行くがよい。二度とその面見せるでないぞ」
 儂は手でしっしと光海を追い払う。
 気丈に振舞った……つもりじゃった。
 「……泣かないの」
 「……泣いておらぬわ」
 初代様の子を孕んでから四十一人の子を育てた。
 誰一人、同じ者はおらんかった。みんな、瞳以外は違っておった。
 腹を痛めて産んだ恩を陵辱で返す、親不孝者ばかりじゃった。
 何よりも親不孝なのは、儂を残して逝ってしまうことじゃ。
 みんな、みんな。
 儂の可愛いやや子じゃ。
 儂の、大切な……。
 光海の抱擁に、儂は顔を押し付けてその温もりを甘受した。
 「カリンちゃんはいい匂いがするなぁ……親離れしたくなくなっちゃうよ」
 「あたしだって、子離れなどしたくないよ……ばか……」
 
 そうして、光海は旅立ってゆきおった。
 その背中が見えなくなって、ようやく。
 あの子に着せ替え人形扱いされるのは恥ずかしくもあったが、新鮮で、どこか違う自分になれる気がして……嫌いではなかった事に、気づいた。






 

 そしてその日の深夜、日付が変わる頃。
 末っ子の光陸は瑙乃の掟を受け入れるがため、暗い部屋で寝そべっていた。
 瑙乃の掟。
 儂、光女――瑙乃の一員として付けられた名じゃ――が、双子、または三つ子、あるいはそれ以上の子を同時に孕み、出産した場合。
 瑙乃を継ぎ当主となるのは、もっとも力の強い一人だけ。
 それ以外は――光女の妖力源とする。

 「……母さま」
 「うむ」
 白一色の死装束を纏った光陸に、儂は近づいて膝を立てる。
 「もう光空との別れは済んだのかえ?」
 「うん、今更長く話すこともないし」
 恐怖など微塵も感じていない息子の頭を、そっと撫でる。
 そしてその帯をはらりと解き、愛しい息子の体を触り、これからの行為に感情を溢れ出す。
 「……決心は変わらないのじゃな? 光海みたいに出て行っても、儂は追わんぞ」
 「何をおっしゃいます……私は、この日を楽しみにしてたのですよ、母さま」
 体をまさぐる儂の手に固いものが触れ、儂は微笑んだ。
 「光陸はどうしようもない変態じゃのう……実は儂も、楽しみにしてたのじゃ……。久しぶりに人の肉を喰らえる。それも、甘くとろける瑙乃の肉をじゃ」
 露出した乳首に舌を這わせれば、光陸は女のような甘ったるい声を吐き出した。
 かり、と齧れば。体をよじらせて喘ぐ。紫の瞳が、闇の中で潤んだ。
 「痛み止め、効いておるかの?」
 「は、はい……。」
 この儀式は性交とは違う。
 比喩でも何でもなく、儂に肉を喰らわれるのじゃ。いや、当然昂ってくるので比喩的な意味でも喰らうが。
 何の下付けもなく齧り付こうものなら、痛さのあまり力を抑えきれずに儂を殺しかねない。
 ので、しっかりと薬を服用させてある。
 痛みが痺れと快楽で和らぐ秘薬を。
 「それなら安心じゃな……。光陸、お主はこの儂の生贄じゃ。皮を剥ぎ、肉を齧り、内蔵を啜り、脳を舐め、骨だけになったらたっぷり自慰に使った後で噛み砕き、残らず喰ろうてやろう。髪の毛一本残さず、儂の肉となるのじゃ」
 頬を優しく撫でながら、儂は心拍が上がっていくのを感じる。
 「もちろん……こっちも、干からびるまで、一滴残らず啜ってやるから、たっぷり気持ち良くなるのじゃぞ……」
 先ほどから雄々しく聳え立ち、儂が言葉を紡ぐたびにびくんびくんと震える、美味そうな汁の滴るそこが。
 馬乗りになった儂の体に、沈んだ。
 「あはっ……!」
 まずはここを味わわんと、雰囲気が出ない。
 儂は腰を密着させて奥でしっかりと味わいながら体を伏せ、光陸の首筋を少しだけ噛み千切った。
 「っ!!」
 どくん、と濃ゆいのをたっぷり飲ませてくれるのを子宮で堪能しながらも、人間の肉と、血の味を口の中で転がした。
 臭みのない、良質な肉じゃ。良い物を食べて、良い女を抱き、たっぷりと妖力の詰まった瑙乃の肉は、味付けなどしない生のままで十分過ぎる。
 ちうちうとコクのある血を舐め啜り、その味が口内に残ったまま儂は喘ぐ息子の唇を奪い、その味を教えてやった。
 「はぁ、はぁ……どうじゃ、瑙乃の、光陸の味は。こんなに美味く育ちおって、いやらしい子じゃな、まったく……」
 「母さま……私の肉は、そんなに美味しいですか……?」
 「ああ……どんな料理よりも、美味じゃ……。光陸を喰らえて、母は幸せじゃよ……」
 そう言うと、光陸は涙を流したままで嬉しそうに顔を綻ばせた。
 「私も……私も、幸せです……!」

 光陸は、末っ子故か異常に甘えん坊じゃった。
 いつも儂にくっついて歩き、一人で厠に行けるようになったのも十を過ぎてからじゃった。
 幽霊も妖怪も怖くないのに、自分より背の低い少女の手を握らないと落ち着かない。とても情けなくて、とっても優しい子じゃ。
 被虐体質まぞひすとをこじらせたのも、元はと言えば儂が性交の際光空に虐げられるのに文句を垂れてたら自分から母さまの好きにして下さいと言い出したのが始まりじゃった。
 光陸にとって、儂に喰らわれると言う事は。
 この世で一番大好きな母親を喜ばせられ、尚且つ愛する母の体内にいられるという事である。
 それが本人にとって幸せであると言うのなら、儂に止めることはできない。
 母として、大妖・濡尾花凛光女として。
 愛する息子を、贄にするだけじゃ。

 儂は人差し指の先で、光陸の胸元を突き。
 そのままゆっくりと、力を入れずに下へ運んだ。
 豆腐のように抵抗なく切れる、腹の皮。
 そこを両手で開き、儂は涎を垂らした。
 「御馳走の、山じゃな」
 中には脈動する臓物がぴっちりと並んでおる。
 胃。肝臓。小腸に大腸。
 少し胸元を広げれば、肋骨に庇護された心臓までもがどくんどくんと脈を打っておる。
 「光陸……食べても、ええかの……?」
 上目遣いでねだる儂に、どうして否を突き付けられようか。
 光陸は息を荒くしながらも、微笑んで首肯した。
 儂はそれを確認して光陸にキスしてやると、口端をれろ、と一舐めしてから息子の腹に顔を突っ込み。
 はらわたを、喰らう。

 ――がじゅり。
 べちゃ、ぬちゃ、ずる、ずるずる……。
 ず、ずぞぞぞぞ。もちゅ、ぺちゃ、じゅぐ……。

 何も知らぬ者が見たら、凄惨極まりないおぞましい光景であろう。
 年端もいかぬ少女が、凛々しい青年の臓物を必死に貪っておるのじゃから。
 そしてそれを為しておるのが親子であると知ったなら、狂気のあまり失神してしまうかもしれぬ。
 当然じゃろう。全うな母子のすることではない。
 こんなことが外に知られて、瑙乃の立場を守れるはずがない。鬼畜の所業じゃ。
 
 「んっ……」
 上品な苦味に頬が歓喜していると、下腹部に快感が走った。
 「……内蔵を喰わられて精液を漏らすとは、光陸は変態じゃのう」
 「はぁ、うっ……母さまも、悦んでいるじゃないですか……締りが、いつもよりも良くなっていますよ……」

 じゃが。
 儂らは、幸せじゃった。

 「ぁっ……たっぷり、出してくれたのぅ……」
 儂は血で染まった顔を手ぬぐいで拭き、一旦光陸の魔羅を放した。
 こぽりと溢れる精を手で掬い、中に仕込まれたものを指でくちゅくちゅと掻き出して、一気に飲み干した。
 生臭い、雄の味。
 内蔵のそれとは違う、野暮ったい苦さ。
 じゃが、雌を酔わせるのにこれ以上のものはなかった。
 「まだ死ぬでないぞ光陸。儂に喰らわれると言うことは、儂の肉を死の間際までたっぷり味わえると言うことじゃ」
 そう言って儂は、光陸の弱った口に自らの乳房を押し付ける。
 「良いものを喰ったからな。今日の乳はきっと、特別に濃厚じゃぞ。たっぷり味わえ……」
 自分で言う通り、母乳の出がかなり良くなっておる。
 光陸が必死に貪るのを見て、儂も食欲がどんどん湧いてきおった。
 開いた腹の穴から腸をずるりと引きずり出し、舌先で舐る。
 「ッ!!」
 すっかり感度の良くなった光陸は、母乳の味を堪能しながらもはらわたを舐められるこそばゆさに体を震わせた。
 それを見た儂は更に腸を引き出し、股の下に通す。
 そしてその肉を、秘所に押し付け始めた。
 「ひ、ひぁ……っ!?」
 「おっ、これは、なかなか……」
 悶絶する光陸をよそに、儂は柔肉に腰を滑らせる。
 尻肉ではさみ、豆を押し付け、陰唇で快楽を貪った。
 「んっ、んっ、んっ……」
 気分を良くした儂は腸を体に巻き付け、温もりと感触を楽しみながら、その敏感な部分を舌で弄くる。
 「か、母さま、そんな、そこは……」
 「ん……? そこは、どうなのじゃ? お主の腸、ぬるぬるで心地よいぞ……?」
 そう言って、今まで舐めていたそれに歯を立て、食い千切る。
 「あああああああっ!!!」
 文字通り身を喰らわれる程の痛み。それが昏い快楽に変わった時。
 人間はこんなにも、切ない顔をするのじゃな。
 
 こひゅー、こひゅー、と。光陸の呼吸が、肉欲の宴の終わりが近い事を告げていた。
 つまり……光陸の、命の灯火が消えかけている事を。
 「母、さま……」
 口に血を溜めて苦しそうにしながらも、手を伸ばす。
 儂はその手をしっかりと握って、息子の口から濃厚な血液を啜り、嚥下していく。
 「んっ……ぐむっ……」
 「んむ……ん……はぁ、なんて美味なのじゃ、お前は……」
 芳醇な甘みに酔いしれながら、儂は尚も硬さを保ち続ける光陸の棒を股で飲み込んだ。
 「光陸……! 一片残らず喰ろうてやる、一滴残らず飲み干してやる……お前の身体は全部、儂の贄じゃ……!」
 腰を叩きつけて官能を楽しみながら、その肩肉へとむしゃぶりつき、肉を噛み千切って堪能する。
 「あぁっ、母さま、母さま、気持ち、いいですっ……!」
 身体を欠損しながらも悦ぶ光陸は、もはや吐精を止めることが叶わずにびゅるびゅると汁を噴き出し続けている。
 びくんびくんと震え続ける躰を押さえつけながら、儂は人間の肉の味、愛しい我が子を喰らう背徳感で息を荒くするのだった。
 精を逃さぬように膣口をぎゅっと締めながら、陰茎を上に下にとしごいてゆく。
 「っ……! 母……さ、ま……」
 命が漏れる我が子の口を、しっかりと口で塞ぎ。
 安らかに眠れるように、あやしてやった。
 
 「…………」
 一際大きく、精が儂の胎内を叩く。
 瑙乃光陸は、その命を使い果たして息を引き取った。
 母親に生きたまま喰い殺されたその表情は、これ以上無く安心しきった……赤子のような顔をしていた。
 「……さて」
 儂の食事は、まだ終わらない。
 下の口で飲み込んでいた陰茎をぬるりと吐き出して、上の口でそれを噛み千切った。
 まだ弾力があるうちにそれを貪り、睾丸までしっかりと咀嚼して口の中で転がし、よく味わった後で飲み込む。
 ふわり――
 魂が、胸の内からゆっくりと上り、身体を離れていく。
 それを逃げぬように両手で捕まえると、もっちりした感触が手の中に暖かかった。
 「可愛い子じゃのう」
 つまんで引っ張るとむにっと伸びるそれを両手でねじって千切り、二つに分ける。
 「ほれ、儂の子袋で吸収してやろう」
 片方を股の下に入れぐぐっと押し込むと、魂の片割れは子宮を目指して上っていき、到達すると溶けるように消えた。
 「こっちは、儂のおやつじゃ」
 もう片割れはあーんと口を開いて、ぱくっと食べてしもうた。
 口の中で餅のような柔らかい感触を楽しみ、舌で舐ってやった後でよく噛み、ちゅるんと喉を通して飲んでやる。
 「はぁ……」
 息子の命そのものを飲み込む感覚に、身震いする。
 やっぱり瑙乃の味は格別じゃ。
 犯し犯され、肉を喰らい魂を味わうためなら、何千年も何万年も瑙乃の大母として生きてゆける。
 「まだまだ、美味いところはいっぱい残っておるのう。親孝行者じゃ」
 一晩で喰いき切れぬほどの肉を残してくれた光陸に感謝しながら、儂はその屍に頭から飛び込んだ。
 
 
 



 
 「……実際に『事後』の光景を見ると、中々におぞましいものですね」
 大してそうは思っていないような顔で、光空が呟いた。
 光陸は骨の一欠片も残さず、全て儂の血肉となった。
 残ったのは赤い染み。生々しい臭いを発して、惨状を物語っておった。
 「久方ぶりの瑙乃の肉がたまらなくてのう。お前の弟は、全て喰らってしもうたよ」
 「改めて、母上様が妖だということを実感致しましたよ」
 「恐ろしいかえ?」
 「まさか」
 光空は儂の冗談を一笑に付す。
 「食べられたがっている者しか食べようとしない、優しい優しい母上様ですよ」
 そして、儂の目元を指で拭った。
 そこで儂も、自分が泣いておった事に気付いた。
 「本当に……美味いものじゃの……腹を痛めて産んだ息子の、血肉は……」
 優しく抱き寄せる光空の腕の中で、儂は三つ子を出産した時の事を思い返していた――







 (完) 
sage