Neetel Inside ニートノベル
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「お父さん、またやったの!」ポレスは申し訳なさそうに大柄な体を縮ませていた。「いくらなんでも今回はやり過ぎよ、ナルゲンさん伸びちゃってるじゃない」
「しかしこれには訳が」
「聞きたくありません!」大男ポレスは娘には頭が上がらないらしい。ふぅっと大きな溜め息をし髭を意味もなく弄っている。「いくら体だけが丈夫なナルゲンさんでもお父さんのパンチを食らったらいつか体を壊しちゃうわ。」はい、とポレス「ただでさえうちの町は衛兵不足なのに……ナルゲンさんでも貴重な戦力でしょ」そうです、と空返事「そもそも頭に来たからってすぐに人を殴るなんて最低よ」
「いやあれは……」
「いやもなにもない!」その時、先ほどまで意識を失っていたナルゲンが起き上がった。殴られた辺りを抑え、口を大きく開いて閉じて。まだ痛そうである。
「ナルゲンさん、よかったぁ。痛くない?」
「うん……大丈夫だよユニ」大男ポレスの娘はユニというらしい。黒く、艶のある長い髪を1つにまとめている。顔にかんしては美人といよりは可愛らしいと言う言葉が似合う。どうもポレスとは似ているようには見えない。この2人が親子と言われたら大抵の人は驚くであろう。
「さっそくだけど明日の天気予報をお願いそれにカプスさんが農場を手伝ってくれって」ユニは笑顔でナルゲンに頼む。がナルゲンは不満そうである「今起きたばっかりなんですが……」
「そんなの関係ない!さぁ、外に出るわよ!」痛い痛いと訴えるナルゲンの手を引っ張り部屋を出ていくユニ、それを安堵の表情で見送るポレス。玄関が開かれた音がすると同時に、ナルゲンを急かすユニの声が聞こえる。「お父さん!いってくるわよ!」
「ユニィ待ってくれぇ」扉が閉まる。
嵐が過ぎ去った部屋に1人残されたポレスは「やれやれ、行ったか」と呟くと本棚に向かった。政治や、法律、兵法に関する本のなかからそれらとは全く関係のない、ノートと論文、資料集を取り出す「さて、研究の時間だ」勉学とは縁が遠そうな大男は机に向かい始めた

       

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