Neetel Inside ベータマガジン
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「Wild Wise Words」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=15598



短編集と思っていたんですが、それぞれに「説法屋」が登場することから繋がりはあるようでした。
また、多くの文芸小説が「更新分」を一番下のページに持ってくるのに対し、こちらの作品はいつも間に挟まれていました。
更新されたページは「更新分」とあるので分かりますが、その代わりサブタイトルもない。
妙な更新の仕方だなぁと思っていましたが、ページの並び順は時系列だったんですね。
ということは、これは一番過去の話から始まったかと思えば、未来の話に飛び、また少し過去の話へ飛ぶというスタイルな訳か。
これは実に分かりにくい。
であるなら、前後のつながりを無視し、途中の話をつまみ食いして読んでも問題ないのでしょうか?
…と思って読んでみたが、若干問題はあるようです。

■ブルー
最初に読んだ「黄金の心臓」を砕いて作った金の粉というものが出てきます。
やはりつながりがあるのか・・・。
となると、今の話を理解するのに、前のも読み直さなくてはいけなくなるかも。
ちょっとそれは読者には不親切な更新スタイルかなと思う。
まぁ、目新しいやり方だから、それはそれで面白いかもしれない。
さて、この話の方ですが、視点が誰かというのは語られていませんでした。
でも恐らくまた説法屋なんでしょう。
意識を深海から海上まで寄せたり、心の中で呼びかけたり。
そんなエスパーは彼しかいないでしょうw
説法屋さんが趣味の釣りをしていたって感じでしょうか。
でも捕まえたのは魚ではなく鷲。
金の粉をふりかけると死にかけていた鷲は回復する。
そしてキャッチ&リリース。
説法屋さんは狩猟採集民なんでしょうか。
ワイルドだなぁ。
でも相変わらず、説法屋の一人称なのに彼が何を目的としているのかは皆目分かりませんw

■「ブルー」の次のページの「更新分」
ここでも「黄金の心臓」が出て来ます。
他にも「炭人間の煤」とか…これは「消し炭の彼」のアレか!?
マッドサイエンティストが怪しげな実験をしている。
生物を造りだそうとしているようだ。
でも真実は思いがけない展開。
結局、水戸黄門ばりに説法屋さんがマッドサイエンティストを懲らしめて世界を救います。
難解なこの作品にしては珍しく、台詞の節々などに単純明快なかっこよさがありました。

■厄賽
ここまでの話の中でも最も分かりやすく、かつ説法屋に親しみを持てる話。
他の話と特に関連がある訳でもなさそう。
Wild Wise Words初見の方にオススメ。
もっとも、どの話もそうなのだが、文章を注意深く読む事を強いられる。
それが持ち味なのだが、これらの奇妙な世界を理解するのに少しだけ深く文章の中に潜らねばならない。
流し読みもできないし、集中して読まないと理解できない。
それでもこれは序盤さえ乗り切れば、中盤からはとても分かりやすく、読後感も爽やか。
何となく「にほんむかしばなし」みたいでした。

■「木枯らし」の次のページの「更新分」
ささやき…いのり…えいしょう…ねんじろ!
せっぽうやはまいそうされました。
ウィザードリーっていう海外産コンピューターRPG草分け的ゲームがあります。
翻訳が下手なのか、実に難解な謎かけが満載。
そのウィザードリーの文章を読んでいるかのよう。
「読む」じゃなく完全に「読み解く」レベル。

>今回はやや難解かもしれません。

作者コメ、今更ですかw
少しでも文章の意味を読み違えると分からなくなって消し炭になりますよこれは。

>次は捻り潰すぞ、説法屋。

でも説法屋って殺しても死ななさそうだよね…。
とりあえず未読の分は読みました。
木枯らしの次の更新分は、正直言ってちょっと意味が分かりませんでした!

──ウィザードリーより。
はかばは くらく
わなはときをきざみしもの
このさきは いかぬがとくさく
さもなくば
*いしのなかにいる*

ねっ、意味が分からないでしょう?
リセットリセット。

       

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