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「女中の袖に手を入れて」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=15754


えろま先生作品。
本作は短編集「トゥー・レイト・ショウ」の中の一作です。
しかし短編と言いつつ、これ単独で十分長編になっている作品。
今回の更新で「女中の袖に手を入れて」は完結。
以前(11月3日ニノベ作品感想その2)も17話までがっつり感想を書いたのですが、総括的な意味を込め、通しでの感想を書きたいと思います。

■粗筋
金持ちだが頭に海綿体が詰まった変態ペド野郎ハル。
ご主人様の為なら気狂い淫乱サイボーグ肉便器になるメイドの満月。
売春宿で性奴隷とされていたがハルに身請けされた少女マルカ。
この三人によるエロと倒錯と共依存と感動に満ちた物語。

■変態紳士
「手を袖にする」ということわざがある。
手出しをしないで傍観するという意味。
本作はそれとはまったく逆で、メイドに手出ししまくるご主人様がこれでもかと描かれる。
だが嫌味がない。
変態だが紳士。
口にする言葉も行動も変態そのものだが、根っこの部分は愛情に溢れている。
同じハルを主人公にした作品でも「料理店」に比べると「女中」の方が遥かに好印象。
料理店だと獣人少女達の弱みにつけこんで陵辱しているだけに見える。
女中だとハルの重い過去も語られつつ紳士的な善行を重ねている。
またそれだけではなく、満月やマルカがそんなハルの変態紳士ぶりを受け入れていく。
プレイはアブノーマルだけど、物語的には純愛です。
エロはエロだけど官能小説ではない。
脂ぎったハゲ親父の体臭が漂ってくるような、しつこくねっとりしたエロではない。
あくまで若者向けでライトノベルしてるエロです。
それもどちらかというと「はいはい、しょうがないなぁ」と呆れながら笑っちゃうような。
バカな子ほど可愛く感じる。
本作にはそんな魅力があると思います。

■男の夢実現ストーリー
「トゥー・レイト・ショウ」全作において言える事ですが。
全て「男の夢を実現」してるような内容なんですよね。
「女中」は特にそれが顕著で、男なら誰しもハーレムの一つでも持ってみたいと夢見るもんです。
どんな変態欲求も受けいれてくれるメイドさんが欲しいと思うもんです。
昨今だと近寄るだけで犯罪となっちゃうようなロリに慕われたいと思うもんです。
本作はそれが全て実現できる。
小説ってそういう夢を叶えてくれるんですよね。
本当に素晴らしいなぁと思いますw

■SMとしての「女中」
そもそも「ご主人様とメイド」という主従関係そのものがSMです。
ですからいちいち「これはSMだ」とは明言せずとも、自然にSMプレイになります。
ただ、SMは難しいものです。
往々にして自己満足でしかなく、Mに何の配慮もなく、粗雑なプレイに走る「勘違いS男」が多い。
Sとしての力量も気構えもないくせに、「俺って超どSだから!」と自慢するように、周囲に喧伝するように言う。
おいおい、別にSだから男らしいって訳じゃないぞ?w
私自身、商売柄、そんな愚かしいS男を嫌と言うほど見て来ました。
その点、ハルはSとして微妙な時もありましたが、概ね立派だったし合格です。
マルカの心と体の傷が癒えるのを待ち、すぐ手出しをしなかったのも良かった。
クライマックスで王子様となったハルがお姫様となったマルカを迎えに行きますよね。
男の夢を全て叶えていく本作ですが、究極的には少女の夢を叶える事にもなります。
そこでハルはS男、マスターとして立派だったと思いました。
優れたマスターは、サーバントの望みを全て受け入れ、叶えなければならないのです。

■泣きエロゲ
「これ何てエロゲ?」と思うシーンが幾つもありましたw
でも分類的には泣きエロゲですよね。
真剣にゲーム化して欲しいですね。
満月とマルカの好感度によってストーリー分岐したりするの。
プリンセスメーカーみたいにマルカを育成して、最終的にプリンセスになるか娼婦に逆戻りするか分岐エンドになる。
あれ? マジで面白そう…。
…とまぁ、冗談はさておき。
本作の「泣き」の部分は、ハル金持ち設定で大体解決しちゃうんですよね。
感動するのは感動するのですが、ちょっとハルがチートすぎてなぁ…。
「Z軸」の四谷チート最強設定並みに、ハル富豪設定はチートです。
もう少しはらはらさせて欲しいところではありました。



そんなところですかね。
さて、「女中」完結後は「フェアリー」ですか?
それとも「料理店」?
男の夢をどんどん叶えていって欲しいところです。

       

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