Neetel Inside 文芸新都
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書き散らし駄文録
夢クジラ

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何気なしに、授業中外に目を向けたら。







クジラが空を飛んでた。



クラスの奴らは誰も、クジラが飛んでいることに気づいていない
生唾を飲み込み、じぃっとクジラを注視する
誰かが気づいたら、一気にこのバランスは崩れる
クジラは、僕が見ているとも知らずに
悠々と空を飛んでいる

クジラが空を飛んでいるのを見られるのは
きっと大問題だと思う

だってクジラは海で泳ぐものだから。
土をもぐったり、木を登ったり、ましてや、空を飛んでいるとなると
それはもう大変なことだとおもう。第一、ルール違反だ。
僕だって、できるものならここから飛び出して、空を飛んでゆきたい。

クジラはここにきてやっと僕が見ていることに気づいたみたいだった。
ニコリと笑うと(この表現は怪しい、が、確かに笑っていたのだ。)

そのままこっちへと向かってきた。

うわっ!ぶつかる!

そう、思い、手で目を隠してしまった。
おそるおそる、手を外し目を開けると


いつのまにか僕はクジラの背に乗って、大空の真っ只中にいた。

「空を飛びたかったんだろう?」

少し呆気に取られてポカンとしていると。
クジラ?が話かけてきた

「そうだけど、どうして僕は空を飛んでいるんだい?」

「僕が乗せたかったからさ。」

それだけいうと、クジラはまた、ゆっくりゆっくりと空を漂い始めた。
クジラの背中から、下を見下ろすと、そこにはセカセカと動く人がいた。

「クジラが空を飛ぶにはいい世の中さ。
 人間は誰も空を見上げたりしない。
 仮に僕を見つけたとしても、何かの間違いだと思って
 また、セカセカと歩き出すのさ。」

クジラはのんびりと、都市部を漂いつづけている。

「ねぇ、クジラさん、どうして君は飛べるんだい?」

「飛びたいと思ったからさ。」

「答えになってないよ。」

「そうやって、何々だから、できるっていう考えはよしたほうがいい。
 実際問題、僕は飛べているからね。」

そういうと、クジラは少しスピードを上げた
もしかしたら少し機嫌が悪くなってしまったのかもしれない。

「陸にいる君にも、海の中を案内してあげようか。」

「いいよ、僕は空からもっと眺めていたい。」

「それは残念だ、しかし、それもそうかもしれないね
 全く知らない未知の世界というのはとても怖いかもしれない
 けど、とても楽しいものだよ。
 僕にとっては、この空がそうだった。
 だから、飛んでみたいと願ったんだ。」

「ふーん。」

「ああなったら終わりさ。みなよ、あのサラリーマン
 会社と家を往復するだけの生活
 毎日ストレスを抱え、鬱屈した生活を送っている。」

「けど、家族のために働いているのかもしれないよ。」

「僕には理解できないな、人間っていうのは。」

クジラは少しだけ肩をすくめるような仕草をした
勿論、人間ではないからあくまでような仕草だ。
それが少しだけおかしくて笑ってしまった。

「何がおかしいんだい?」

「いや、別になんでもないさ。」

失礼な奴だな。クジラはそう言うと僕を振り落としてしまった。
一瞬焦ったが、クジラの力を借りなくたって空は飛べた。

「あーびっくりした!」

「僕はそろそろ海へ帰るよ
 君もあまり遅くならないうちに戻るといい。」

「わかった、いろいろありがとう。」

そら飛ぶクジラと別れを告げ。
僕はまた、空から人の流れを眺めた
しかし、30分もすると、それにも飽きてしまった。

「帰ろうかな、教室に。」


僕はゆっくりと空を飛び、授業をやっている教室へと戻った。

       

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