Neetel Inside ニートノベル
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  なんやかんやでお昼頃。両手に袋を持って家に戻る。
「おーい、開けてくれ~」
  するとがチャリ。ひさしが死にそうな顔で迎えてくれた。
「なんで1時間の留守番で死にかけてるんだよ」
「いや……腹減った……」
  腕時計を見てみると午後の1時前。
「メルトは?」
「寝てる」
  まずは寝顔をチェック!そこから昼飯だ。

「ということで今日の昼飯だ」
  ひさしが早く食べたいと唸っていたので調理時間の短い焼きそばを選択した。
  適当に皿に盛り、それぞれの前に置く。ひさし、俺、そしてメルト。結局メルトはこの世界で俺たちが食べるものを問題なく食べてくれるらしい。ひさしに負けず劣らず、目の前の焼きそばに目を輝かせる。
「では、いただきます」
  全員で手を合わせてから食事に移る。メルトはフォークで俺とひさしは箸で焼きそばを口に運ぶ。
「う、うめぇ!カーリーお前料理できたのか!」
「まぁ、お袋が家を開けることが多いからな」
「一生独身でもなんとかなるな」
  まだやきそばが残ってる皿を没収しようとしたが「冗談です。すみません」というひさしの言葉に免じてやめておいた。
  その時、やけにメルトが静かなことに気づく。メルトはフォークを強く握りしめ、空になった皿とにらめっこしている。
「メルト、もう食べ終わったか」
  俺が皿を片付けようとすると、明らかに不機嫌そうに暴れだす。あぁ、これってもしかして……
俺の皿に残った焼きそばを全部メルトの皿に移す。一瞬だけ機嫌が良くなったもののそれでもまだ不満そうだ。
「ひさし、すまんお前のもやっぱり没収だ」
  次は有無を言わさず皿を没収し、残った焼きそばをメルトの皿に移す。明らかに小さい子どもが食べる量でなくなった焼きそばを見て嬉しそうにするメルト。そして、手を合わせて……
「いただきます!」
  と舌たらずに言うと幸せそうに食べ始めた。

  あの量をすべて食べつくし、満足そうにお昼寝をしているメルト。俺は食器を片付け、次にやることそれはお着替えである。
「うわ……パンツも買ってきてやがる」
  くまさんパンツを汚いものかのようにつまむひさし。
「やめろ。店員と保護者の熱視線に耐えて買ってきたものだぞ」
「……通報されなくてよかったな」
  それは俺も思う。まぁこのいいようだとパンツしか買ってきてないと誤解を与えてしまうので言っておこう。俺はメルトが着る服を買いにいった訳である。竜人特有の耳と尻尾を隠すのもそうだが、今メルトが着てる服にも問題がある。
「マジでどんな民族衣装だよってなるからな。外に出たら」
  ワンピースのようなものに謎の文字群。現代日本でこんな服で外を出回ってたら間違いなく好奇の目で見られるだろう。
「ということでお着替えをするわけである」
「カーリー、お前変な気を起こすなよ」
「だからお前がいるんだろ?」
「え?」
「俺1人があの聖域に手を出すのはヤバい。倫理的にも」
「ま、待てカーリー、落ち着け。お袋さんが帰ってきてからでも……」
「今日帰ってこなかったらどうする?」
「……」
「今ならメルトが寝ている。チャンスだ」
「いや、でもお前よく考えろ」
「風呂……どうするの?」
「…………」
  死にたくなった。いや、一緒に入るという手もあるのだがさすがに今日できた妹にいきなりエレファントをお披露目する勇気は俺にはない。
「お前のそれを巨大ミミズと勘違いして食べちまうかもなぁ」
  俺の右ストレートがひさしの顎をとらえ打ち砕く。
「それは冗談でも許さないぞ」
「はい、発言には気を付けます……」
  ひさしを打ちのめしたところでマイエンジェルに目を向ける。これから起こる恐ろしいこと(勝手に俺がそう思ってる訳だが……)を知らずか純粋無垢な寝顔を俺たちに見せつけてくる。くそ!眩しすぎるぜ!
「とりあえず、まずはズボンから……」
「ま、まて!穿いていないというアクシデントはないんだろうな」
  何を言っているんだろうかこいつは……
「そうなったら……その時だ」
「お前格好つけてるけど格好よくないからな」
「うるさい!ここまできたらやるしかないだろ!」
  袋の中からクリーム色のズボンを取り出す。
「頼む……起きないでくれよ」
  そのとき!予期せぬ事態が起きる。鍵が開けられる音がして聞き覚えのある声が家中に響く。
「ただいまー!あれ?誰かいるの~」
  救世主かつ、しかし今現れて欲しくない人が帰って来てしまった。

       

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