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「ドラゴンズペニス」   和田 駄々  作
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10周年企画の感想もこちらの作品で始まり、本番感想もやはりこの作品から始まりました。特に意味はないのですが、更新速度がとても速い作家さんなので可能な限り早めに感想を更新しようと思ったまでです。
意識したわけではないのですが、作品更新である偶数日と感想日程がかぶりました。嬉しいです。しかしそれにしても、前回感想を書いたのは第一話の6まで。以来既に16話分も更新されていました。筆の速さには圧巻。また、いい感じの挿絵もついて豪華になっていました。
文芸・ニノベ界隈における習慣的コメント不足、こちらの悩みも本作に限ってはなさそうですね。



■前回までのあらすじ

敵国ボンザの囚人となったレザナルドの国軍隊長グラーグ。彼は拷問を受けるなか古竜と契約を交わす。その契約とは人間の女と交わり竜の子を産ませること。契約成立、竜の陰茎はグラーグの股間をとらえる。グラーグと竜(マブズラウフア)は手始めに拷問役を務める女傭兵を犯す。次に捕まっていた国の王女を犯しまんまと逃げおおせる。その後グラーグは自分の兵団「竜根傭兵団」結成へ向け動き始める。



■各話ごとの感想(3~4更新分でまとめています)

第一話 竜と人
7~9
着実にメンバーを増やしていく竜根傭兵団。グラーグは昼夜を問わず多忙を極める。心身と精力の回復は必須条件。そんなおり得た回復薬「魔女の霊薬」はすこぶる効果をあげる良薬だった。それを作った魔女を竜根傭兵団に加えるべくグラーグは夜の闇へ繰り出すのですが……。

女ばかりの大奥所帯になっていく傭兵団、だが女同士の火種は見られず。むしろそれが物語の中で今は雑味になりそうなので、ここでは出てこなかったので良い点だと思いました。
相変わらず笑わせるグラーグと古竜ちんこの会話。竜は賢い。それ故でしょうか、マズブラウフアが聖剣を小バカにする姿勢に笑います。

フラウリーチェの奥ゆかし恋慕、それを肯定するカルベネの包容力に気持ちがほぐれ好感をもった。
メリダンの執念と気迫には、彼女自身は自覚がないかもしれないけど、既に芽生えている胎児との強い繋がりを感じさせられました。そんなふうに書かれてないけど、はからずも引きよせられる性みたいなものかな…。
意表を突く新人物登場にも興味をそそられつつ、ラストシーンでは結果どうあれグラーグが彼らしいリアクションをとってくれたことに「うん」と唸りました。
第一話目全体を通しで見ると、先行型の短編として十二分に読めそう。それくらいしっかりまとまっている内容だったと思います。漫画雑誌の長編連載の前にありますよね、連載前に雑誌で短編を先行掲載させるという事例。

第二話 日々と戦い
1~3
カルベネの竜根傭兵団入隊により武を補う知が加わる。浮かび上がるグラーグが最初に潰すべき強敵スヴェイル。彼はかつて孤児院で見知る人物だった。


目的意識をもって入団するカルベネの強い意思に好感がもてる。たとえ腕力がなくとも彼女は入団という形で自らの知略を活かし団の力を得たわけだから二つの武器を得たと言える。ぜひ目的を達成してほしいと思った。自己紹介、そこはやはり略さないのね。長いわwww
スヴェイルはマザコン! 型にぴたりとはまるグラーグへの劣等感。そこからくる彼の活動はおそらく今後十分発揮されるだろうと感じました。ぜひ心ズタズタになって格好悪く足掻いてほしい人物であり、負を担う人物としてとても大事な存在だと思った。
程よく苛め程よく尊重。そんな関係が心地良い人間関係かもしれない。グラーグにとってソリアンがそうなんでしょうか。友達少なそうですもんねグラーグは。昔のスヴェイル相手の小競り合いではソリアンの重要さを色濃く感じさせられます。これが後に第二話の重要な伏線となるとは読んでいるとき全く意識しませんでした。感服。

おそらくタイプミス> 妊娠さえる→妊娠させる

4~7
スヴェイル率いる宵闇傭兵団との衝突に備えメリダンから情報を聞き出すグラーグ。盗賊団の解体依頼任務をあっさり完遂した竜根傭兵団。グラーグはそのとき訪れた農村で小娘を拾う。


レザナルド、ボンザ、コルチア。三国の政治的かけ引き、戦争が絡んできて第一話より内容も濃くなっています。面白味が増してきた! まさに本格的ファンタジー。笑わせるばかりじゃありません。
カルベネは入団間もないのによく働きます。彼女は本当に良い参謀。
ここでのメリダンもなかなか可愛いかった。苛めがいのありそうな彼女の表情が目に浮かぶようです。また彼女の妄想世界への引き込みも秀逸でした。まさか作家が大風呂敷広げるのか!? と思ったほどです。
ちょっとした拾いものラッキーアイテム感のあるテルフィ。彼女の存在は竜根傭兵団でどんな役割になるのかこれからが興味深いです。

8~11
グラーグに拾われたテルフィ。団での幸せ待遇に彼女は戸惑いを覚える。片やレザナルド国内ではスヴェイルが国王を退け実権を握り台頭する。竜根傭兵団いよいよ宵闇傭兵団との戦闘にむけマシアへと発つ。


母に止められつつもグラーグを打つ気のスヴェイル。自分の器量が見えない浅慮な人間にうつります。早死にしないといいんですが…あまりやる気満々すぎると死の影を近くに感じてしまいます。
マシアへ向けて拠点から発つ団員へ向けてグラーグは激を飛ばす。その姿は雄々しい! 猛々しい! 下半身丸出しで女性に向けて朝礼コクとか、もしそんな校長が現実にいたらかっこよすぎますね。皆俺についてコイ! まあ、二秒後に撲殺されて通報でしょうけどw
いつもはお笑いキャラなマズブラウフアが母体の胎児と話しているところがとても微笑ましく温かい。日ごろ見せない竜の違った一面を見た。温もりを感じる部分でした。

更新分
1~4
ついに始まるマシアでの宵闇傭兵団との対決。スヴェイルは勝ち戦であえて得意の策で攻める。しかしそれを逆手にとって備えるカルベネの戦略。戦場は一転、竜根傭兵団の旗色は良くなった。グラーグは教会跡でスヴェイルと対決。そこにあった罠とは――。

 
傭兵だから強いのは当たり前なんです。ですがそんなこと理解しつつも、ここでのメリダンのハッスルがとてもかっこよかったと思います。スヴェイルは上手く逃げおおせますが、シーンとして書かれていないメリダンの猛る姿が行間の余白から伝わりました。
グラーグが考はスヴェイルに一策あった。もちろんスヴェイルにも一策あった。更に互いにもっていた隠しだね。最後の最後まで勝負は五分五分だった。しかし結果価値を決めたのはグラーグ。グラーグが死なないのは当たり前として、復活までの見せ方がとても巧でした。


■今回更新分の総括
展開も早くテンポも抜群でした。駄々先生の凄いと思うところは、目新しさを感じるネタを惜しみなくポンポン盛り込んできてくれるところ。これでもかというくらい面白いエサをもらっている気分です。
一見斬新でありながら物語の筋書きや世界観に非常にマッチしていている設定が沢山あります。故に浮いた感じがまるでしません。フィクションの中でのリアリティをちゃんと感じられる作品です。
良く考えなくてもこの作品は男一人(一匹分ちんこ)に女多数のハーレムですよね。ですがハーレム作品にありがちなあの黄色いキャピッとした空気がない。これはとても個人的にうれしい。重要ですこれ。大人のための本格ファンタジーとても心地よい。ハーレムでファンタジーでありながら硬派を守ってくれているところに好感が持てます。そしてなおかつ笑える。エンターテイメント性もある。なかなかひょいひょい書けるものではありませんね。作家の凄さに感動します。
登場人物個々の人物描写も秀逸だったと思います。一人一人がしっかり物語の中で顔をもち、いい動きをし、キャラクターとしての責務をこなしていた。
何度も言いますが、本当に凄い本当に凄い。凄い!
本作既にコメント100を超えていますが、1000コメント行くのもち問い未来ではなさそうです。
ああ、面白かったです!!


■作中特に印象深かった箇所
・ここ数日、フラウリーチェは毎晩自分で自分を慰めている。
カルベネはこの事実に気づいている。そして知りながら尚をその行為を肯定し抱擁できる。彼女の懐の広さを称える。人として自然なことへの深い理解がる人物と好感を持つ。
フラウには微笑ましさ。
・「思ってもいない事は言えん」
愚直だな。しかし良い。本心が聞けたのだから。人生最後に聞いた言葉が真実。それはある意味ちゃんと相手を見ていたことにもなると思わされた。
・「戦って死にたい」
メリダンの言葉。渋いです。
・自分が目の前の男よりどんな場合でも優秀であるという事を、証明したかったのだ。
人間らしい醜い感情。だけど必要。雑味の無い人物ばかりではつまらない。好きにはならないタイプの人物だけどこういう人は必要な人材と思う。
・「悪いな、グラーグ」以下4行
普通に想定できそうなビックリだったけど、まんまと一杯食わされた。してやられた感があった。



以上この作品に関する18日更新分までの感想はここまで。



       

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