3月13日更新ニノベ作品感想その2


新都社で作品の感想を書いていく。
そのスタイル(書き方)にこれというものが果たしてあるか。答えはノーでしょう。
業界の定型としてあるレビュー、書評の様式、それらをここへ持ってきても過不足のない感想は書けましょう。経験があればなお一層手堅く読者の意をくむこともできましょう。(感想の定義は別として)
ではそうでない、経験のない人間はどうするべきでしょう。
この感想企画が始まる前、感想の書き方について見聞を深めたり(ググった、立ち読みした)、人様の意見を聞いたりしてみましたが確たる答えは自分の中でそれらを消化し、自分流の感想の形を作っていくしかないということでした。日本の書籍物のレビューや書評が実際どのように行われているか情報としてあるだけで実物を目にすることはそう多くありません。目にしたとしてもほんの数行。
そこで、思ったのが……
分かり易く伝えたい。確かにそう。
読みたくなる感想を書きたい。それも当然。
作家の役に立ちたい。十二分すぎる対価になればいい。
ここでもう一つ私が感想を書くうえで組み込みたいと思ったのが感想の下地にもなる部分の具体性です。
小説は一更新分で多ければ10000文字以上にも達します。字数だけでなら漫画の比ではありません。ですが漫画だってそれは同じでしょう。視覚的情報量は個々の作品で多い少ないあります。読み物という点においてこれら二つは何も変わりません。
私はこれから半年文芸・ニノベ作品の感想を担当します。
その中で自分がどの部分でどんなふうに感じた、思った、何を思い描いたかというのは重要で、そこをちゃんと自ら把握し伝えたいと考えました。
実際そこまでしなくてもいいかもしれない。求められていないかもしれない。
ですが伝えるべきことをちゃんと伝えるための最低限の字数というのは必要です。
長いと思う方も多いと思います。読みなれない長文は閉口するかと思います。ですが読み飛ばすこともできると思います。ただ、ここで挙げる作品を読むことになればこの感想の何倍もの文を読むことにはなるでしょう。
そしてそこで感じたことを万が一にも筆に起こそうと考えたとき、おそらく作家の凄さに気がつくと思います。己の感想で書く文章がいかに拙いかも。小説や漫画を書くというのはそれほど労のいることなのです。それを思うと少しくらい長く感じるこの感想も、軽いと思って読んでもらえるとありがたい。
読めとは言いません。疲れるでしょうから。ただ掻い摘んで読みたいところを読んで閉じることもできますよ。その選択は読み手にあるのですから。つまりは無理して全部読まんでええよと、いうことです。

ではニノベ作品感想その2いきます。

今回は以下5作品。
平和と混沌の学園第41話から第80話まで
マゾでかくやな乱れ咲き!
×××の塔
女中の袖に手を入れて
週末のロストマン

「女中の袖に手を入れて」と「週末のロストマン」は感想わけるかもしれません。

「平和と混沌の学園」   第41話から第80話まで   崩砂糖 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17052

『速筆、速筆、速筆ーーー!ここにきて尚もその更新速度に衰えを見せず。作者、筆の勢い途切れません!!果たしてこの作品、今後どんな展開を見せてくれるのか見逃せません!!』
作中実況風に遊んでみました。
前回のニノベ作品感想その1更新では第40話までの感想を書いていました。今回はその後半分第80話までの感想になります。すでに13日から第83話まで更新されています。すげー。
読めば読むほどこのバトル作品、そのすごさ感じ入ります。


■各話ごとの感想

第41話 奮闘!田嶋恵士郎(後編)
恵士郎と沙耶のバトルです。いきなり自らを壊しだす沙耶。痛い、痛いです!私もなんか痛くなります!
ファイアー!! 勝敗のゆくへは……。

第42話 滝川アヤキの憂鬱(前編)
Cブロック二試合目、滝川アヤキと鳥月玲奈の戦いです。アヤキはこよみの友人であり、また過去に生徒会に生徒会長と何やかんやあった男。どうなるのでしょうね。簡単には負けないような気はしますが。

第43話 滝川アヤキの憂鬱(後編)
アヤキと玲奈男女の格差を感じさせない力比べ。これ凄いな。こんな女子いたらたとえ自分の方が力強くてもひいてしまうかもしれない。
アヤキはこの頂上トーナメントにエントリーされたことに不満のようですが、この戦いうっぷん晴らしを女子でやろうたぁええ度胸だ。

第44話 波乱の仕合
試合が終わったアヤキの前に何やら面白い女子出てきました。天架舞菓です。問答無用の愛の告白。急速上昇ラノベ展開。ワ、ラ、ウ。
Cブロック第三試合始まります。合気道部部長、葉月と何でも屋の杭瀬。葉月部長推してるのでキタコレ感あります。結果、なんとなく想像してしまう。

第45話 生徒会の思惑
作者やってくれたこの回! こういう物語に緩急つけるのも長編にはないと延々バトル続ける話は間延びしそう。でもちゃんと押させてくれている感じがします。憎い!
何かあるよね。そりゃ。
Cブロック4試合目、始まる。

第46話 魔女狩りあるいは悪魔狩り(前編)
美人だ。美人が戦っているぞ野郎どもー。「貴様」とか美人に言われてみたいですね。
夕凪みのりの以前の通り名もまたかっこいいですね~。
何かかっこいい通り名私も何かつけて欲しいですね~。

第47話 魔女狩りあるいは悪魔狩り(後編)
「……何の話か解からないわ」 私もわからないわ!(カマ
みのり、手が潰れつつも殴りに行く。 お前おとこだなー! 

第48話 新興宗教クルミ教
Dブロックに試合突入!
不測の事態夕凪みのりの敗退を楽しむこよみ。学校を変えるための合理的姿勢崩さず。好印象!
ボランティア部ってまた可笑しなのなのでてきた。笑う。
胡桃ヶ丘夢悠……むゆう?かな。キャラ濃い人だ。 対する求堂ダルクこっちは名前が濃い人だー。


第49話 信じるもの(前編)
ダルク、凄い通り名その名も‘断罪の使徒’。こっちも充分宗教めいてる。でも慈善同好会。草
ダルクに夢悠同じ同好会内での対決。これどうなるんだろう。
水夏、格闘戦で目を肥やすのもいいが年頃の女子なんだからもっと違う方向で目を肥やしてもいいんだよ…。(下心)

第50話 信じるもの(後編)
のっけから怖い光景がきてます。いいいいいいいい~(キューブリックの映画)とか言ってるのだろうか。
そしてふと思ったのですが、実況の人、そろそろ名前付くころ? あ、いらんn……察し。
夢悠の見切り発車的な戦略に笑いました。ダルクの嫌な予感。これも気になる。

第51話 勝利の誓い
ユリ期待……。
楽しげな響きの部たしか少し前の話でアヤキに告った人「わたくし」さんですよね。登場~。
美しすぎるぞこの勝負。

第52話 オールウェザー
Dブロック三試合目です。陽光が丘四天王の一人御堂ゆずきと家庭部(なんか笑ってしまう)橘蜜柑の対戦。この組み合わせに遊び心を感じました。
なけなしの金を出し合ってまで維持しようとする部。それもう同好会でいいんじゃないだろうか。格闘で注目されなくてもいいだろ別にと思うんですが、この蜜柑のいじらしさが憎めないですね。
そんな彼女を下した御堂の徹底した姿勢にも男らしさを感じました。

第53話 氷の暴君と陽光の魔女(前編)
一回戦最後の試合、ついに来ました。見守るアヤキがなにやらモヤッとしていて妙に気分がいいです。わはは。
どんな過去があったんだろう……。怖そうな人が切れた!フラグがピコーンと立ったような気がする。

第54話 氷の暴君と陽光の魔女(後編)
流石会長、つええです。飛び道具で攻めてもこの人ならものともしないでしょう。
余裕そうです。勝敗はさすがに見えてしまいますね。でもいいと思います。

第55話 二回戦、開始
うわ―これに勝ったら準々決勝ですね。既に濃いメンバだな~。
ユリ期待(もはやウザイ声)。そして見守るしかないツバキの取りまきたち。見てるこっちも歯がゆい。

第56話 天才少女と神秘の継承者(前編)
九条の仔犬っぷりが心底笑う。……そういう部長へのもやもやは勝ってから言うとかっこいいのにあえて今言わせてツッコミ入れさせてくれる作者うますぎ。
ツバキの激闘描写見ものです。すげぇ。しかしどちらも決めにいたらず終わらないまま……。と思っていったらアヤキが読者の心情察してくれた。たまにいいことするこの人。

第57話 天才少女と神秘の継承者(後編)
天才は自分の才能を自覚しているのかいないのか。どちらにせよその言葉に甘んじず磨きをかけていく人が結果的に天才と呼ばれるものなるとは思う。天才は1%の才能と残り99%の努力だみたいなことプロ野球の大家も言ってた。あれ、ちがう。これエジソンか。
九条の本性は――

第58話 九条護の鮮血合気
ここでの葉月の信条が心にしみますね。 鮮血合気、ネーミング、赤がほとばしっている。
響一郎のアヤキへの敵対心、やっぱりそこか。ちょっとあれですね、この小説は男性陣しかれすぎですね。おもしろいからいいけど。わはは。

第59話 明暗を分けたもの
おそらく1秒以下で交わされるバトルの情景描写が鮮烈です。
あとな、九条、すっぱい! 圧巻の勝者は想像にお任せ。はいそのとおり―!です。

第60話 戦うメイドと紺色の月(前編)
メイドと副会長の対決。二回戦二試合目。笛吹忍法は吉と出る? 対する副会長の動きにも目が離せない。
メイドのツクシが突然陸上部だったという新事実浮。これ、どう凄さを理解したらいいんだよ(泣きたい)。有酸素運動に長けていることは理解できる。

第61話 戦うメイドと紺色の月(後編)
飲食業界経験者としてメイドに共感できるとこあった。
ツクシの決めた一撃に副会長の笑み。コ、ワ、イ。

第62話 戦う理由
水夏はこよみに胸中の疑問を正面からぶつけます。その答え、きっと得られるはずだ。うん。いつだろう。
こよみと苅夜の試合、苅夜の闘うわけ…明確にある理由こそぶれない強さへの執着を感じますね。
生きのこるためには必要な要素だと思います。勝敗は別として。

第63話 二十年前の出来事
茶をしばきながらの格闘観戦。この学校の設備スペックの高さに嫉妬です。私の自分は……とか言い出したら高齢負け組。
明かされる二十年前の出来事。 この学校って、え、そんなに歴史あったんだ、意外。

第64話 力無き正義は無力なり
くたばりそうで倒れない逢衣いくらなんでもどこからそんな力が。精神力でしょうか。
こよみが明かす学校の歴史とそこにいた人物。うーん、これやっぱ秘話です。説明不足になるかもしれんけど…でも、だから教えないよ。読んで。
こよみの考え方で見る闘う理由、これにいまいち感情をかぶせられなくなってしまってるのは老いたからなんでしょうか。自分が親の屍踏んできたからでしょうか…。ちょい考えてしまうくだりがありました。

第65話 戦いの不純物
救護班いけずっすね! 親指↓
ちょくちょく登場はしているのですが感想で取り上げるのは初めて。黒崎藤高。かれがこの頂上トーナメントの影の実力者。ただ者ではないでしょうねぇ。その真価はいずれ問われることになりそうです。

第66話 一年前の記憶
人はいつ何を機に変わってしまうのか分からないものですね。しかし、本当に変わってしまっているのか、その自覚は本人どこまであるんだろう。あくまでそれは変わったつもり…、ただ無自覚に自分が思い込んでるだけかもしれない。どうなんだろう。
アヤキとこれまた過去に何やらあった女子沙耶の対決です。

第67話 狂気の裏にあるもの
生徒会のいいカモにさて頂上トーナメントに参加する羽目になってしまったアヤキ。負けて終わるのもしゃくにさわるようなことを考えていたようですが、過去に何かあった友人沙耶とどう戦う。
勝ちに行くのは当然だろうけど……。 こういう関係、嫌だな。苦い。大人になってしまえば割り切れるんだろうけど、若いとねぇ、なかなかねぇ。

第68話 滝川アヤキの黄昏
旧友だからこそ、気心知れる仲だったからこそ突きつけてやりたい答えや現実は実際にもありますでしょう。 そういうのをやんわり包むような関係で流していった先にあるのは希薄でしかなくて。
相手に対して辛いことをあえて示さないといけないとき、自分の真価が問われるよう気がしますね。
自問自答もするんでしょうが……。

第69話 葉山葉月の無血合気
とことんダメ犬九条。もう彼は子のキャラを極めて欲しい! 部長の靴まで舐める勢いだ!
そして常に上から目線口調の後藤尋絵に笑う。

第70話 合気の破り方
えっ! 破り方!? 

第71話 暗躍する生徒会
葉月部長、やっぱりこの人良いキャラ。信念(信条)が美しすぎるから落ちるときのリアクションも最高です。
視聴覚室でなにか企んでる人たちがいる。ふむ、こそこそと、面白いな。 くくく。
部外者いる? いいやろ別に。

第72話  澪瀬澪音
ユリキタ。(やめい→自分)

第73話 浮かび上がる歪み
地の文カッコ書きの注釈、笑った。
ユ リ キ タ。(煩い→自分)

第74話 澪音の異常な愛情
ユリ、ユリ。ユリ、ユリ。(小声)
ッセ、s ――――――――――――――。   eズやったんか!!?

第75話 救堂ダルクの正義
レズ………。
ダルクの介入はどうなん?これ。好きにさしたりーなと思う部分もある。

第76話 歪んだ愛の行方
あ、レズが。……。

第77話 二回戦最終試合(前編)
前回の話の焦点をどこに置いていたのか整理したいと思う。バトルであった。それは書かれていたことであり、自分が楽しんでいた部分ではない。そこは明白だ。よこしまな気持ちがあったにせよ、それを面白いと思っていたことは事実で、本題とは違う設定に嬉々としていた自分の楽しみ方もまた一つの選択であったろう。
 >「負けるよ」
同意。

第78話 二回戦最終試合(後編)

圧勝か。 会長と御堂の闘い。そちらも満足そうに映りました。 こよみやツバキからすると敵対側になるのですがそんな彼らの闘いぶり読んでいて心地よかったです。
このあたりになると字数がものすごく減ってきているんですが、最小限で臨場感や勢い、全部書ききってる気がしました。

第79話 トーナメント裏の攻防
何かがおこっています。裏側で。うへへ。うん。内緒かなこれも。
ただ、文字数ここへきてもやはり少ない! 目線で撫でるだけでも把握できます。サクサクいけますよ。

第80 準々決勝
滝川なんかにデレたりしちゃダメだよ!!!!!
水夏あかん……。かわええ。 作者本当にキャラの使いが抜群。


■頂点を制したものは学校を統べる。陽光が丘高校頂上トーナメント二回戦へ突入。
第40話までの一回戦、登場人物も多く濃い内容でしたが二回戦が始まってからもその濃さに衰えはありませんでした。どの人物も個性が立ち、よく書かれていたと思います。バトルシーンの描写も次第に回をおうごとに洗練されていく気配を感じつつ楽しく読ませてもらっていました。闘志をぶつけあっているわけですから物理的に負った傷もあるでしょう、しかしそれだけではない精神的な痛みや揺れまでもがセリフや心理描写からしっかり拾えました。話数は前回感想を書いた分とかわらず40話分ほど。ですが文章量は決して多くありません。むしろ少な目ともいえます。多めに取られている改行に、粋な計らいすら感じました。読むテンポを崩されることなく次へ次へと縦スクロールする動きが心地よい。作者計っているのか? やりますなぁ。スピード感、極まってきています。
これ、本当にまだ携帯電話で書いているのか!? 


■作中特に印象深かった箇所

・おかしくても狂ってても、価値観はその人間のものだ。
価値観を見出だせなくなるとつぎは崩壊が起こるんでしょうか。そうすると精神を正常に保とうとすることが破綻してしまう。おかしいという段階までなら人は人でいられるのかもしれないと思った。まだ大丈夫。
・「もいいよ。これ以上は何も面白いことはなさそうだし、終わりにする」
一瞬で氷りつく感じがしました。
・旧友を殴り、蹴った後味は――苦虫を噛み潰したかのように、最悪だ。
どんな顔をしていたんだろうね。書いてなかったけどそこをうまく思わせてくれる切ない一文。
・敵すら憎まず等しく愛するという、生半可な覚悟では倒れぬ精神的境地。
新都社で作品連載するには同じ精神がいると思った。ま、敵とかはいませんし思いませんけどね。でも相容れぬものの存在を否定し認めない。そういう方向で行くとどこの世界でも生き辛くなるのは自分ですよと言いたい。


以上この作品に関する13日更新分の感想はここまで。


「マゾでかくやな乱れ咲き!」   黒兎玖乃 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17145

蟲籠Ⅱ更新後に引き続きageてくれたのがこの作品。嬉しいことですね同日二作目をぶつけて来てくれるその心意気。高く評価したいところです。さすが量産型速筆作家はやることが違う。もう一作更新してくださってもよかったのに…。もはや誤差(笑)
本作のタイトル、これも私どこかで見たような……。記憶はおぼろげ。何年か前に同じタイトルを黒兎先生の自サイトで見たような見なかったような……。ああよく思い出せませんねぇ。まいいや。
とにかくこの作品、蟲籠シリーズとは全く毛色の違うもの。並行連載でこうしてカラーを変えて作品を書いていくとき、作者の技量が試されると思います。ともすれば投げかねない。そんな不安も付きまといます。しかし文章の書き分けについてはひたすら感心するところが多くあります。


■各話ごとの感想

#01:真染修司
作品タイトルから見て解るようにマゾについてふれることのできるノベルのようです。登録欄ジャンルでは「ガス抜きコメディ」とも記載されています。作者のガスを抜くための作品なんでしょうか。
ガスを抜きためにマゾを書く→作者気持ちよくなる。
こういう解釈もできますか。ちょっと奥ゆかしいですね、方向性が。とても意地らしいです。
さすがエレガント。ざく切りにしていきましょうか。(ニヤリ
主人公の黒t……じゃなくて主人公真染修司の平素からのマゾ性についてソフトタッチに序盤が走り出します。個性の範疇、マゾヒストの脅威はさほど見られませんでした。猿ぐつわ? 何のことだろう。

#02:TRPGとは何ぞや
ああ、懐かしい。と思うのですがこのゲームスタイルは変わらず今もあるんですね。これを経験したとき、コンピューターゲームに押されていつかは消えてゆくものかと存在を案じていましたが、メンツが揃えばどこでもできるベースは古典的ではあるが分かり易い。そして面白い。これが現代でもこのゲームがすたれず残っている所以ですね。当時私はロードス島戦記のTRPGをやった記憶があります。
もろもろの過程を作者に省かれ生徒会へ組み込まれた修司、円満美野里会長の相手にツッコミ役に徹します。
同級の飯島佐知子には被虐性感帯をくすぐられている模様も笑わせる。心中の声で敏感に反応する黒と……ではなく修司の描写が笑いをそそりました。会長のボケ、絶妙です。

#03:テスト勉強
教科書があって先生の板書をノートに書き写す。それだけでも素晴らしい教育体制です。日本の教育は先進なんです。ごく普通に感じるでしょうがそんなことしない国もあるんですよ。たとえそれが経済的先進国であっても。勉強はできるうちにしておいたほうがいいわ~後になって気づいたってオソイワ♪
おかしな眼鏡キャラが出てきました。彼の活躍が期待されます。どう落として魅せてくれる? 絶対また出てくるだろうなこのキャラ。

#04:副会長、その人
せっかくなんでいっそカミングアウトしてしまえば黒兎先生は…あ、いや、真染修司はもっとマゾヒズムの経験ができるんじゃないかなぁと思ったのは私だけ?
脅迫されることも気持ち良かったりはしませんか?
100:0がむしろ気持ち良くないですか? マゾでしょう。精神的被虐性欲にも快感を覚えましょう?

#05:教育される方の合宿①
マゾを克服?心にもないこと考えている主人公クロ……ッ、修司。
合宿のオリエンテーションでやっぱり来たかこの人物、品行方正。しかも今回二人三脚で美女的(笑)相棒つれている。
「ウホッはあい」に、わはははは。
修司&飯島のペアと対決するらしい。

#06:教育される方の合宿②
作家のさりげなく随所に入れてくるマゾネタ。どっと笑うわけではないんですが「ぷっ」とか「くくっ」とかいちいち反応してる自分が悔しいです。
元ネタ、ゴリラbotかな。笑う。

#07教育される方の合宿③
てんやわんやの末、オリエンテーションをクリアした修司&飯島ペア。
主人公である修司本人は現場にはいませんが彼の扱いがとてもいい感じに人権無視されている。
もう、はやくマゾカミングアウトしてしまえばいいのに。
ラストの引きの部分。メキャアに笑った。


■人目を憚るマゾヒスト真染修司、学園生活を舞台に腐れド変態癖を克服するのかな?本当に?
一貫して見えてくるボケツッコミのテンポの良さ。ネタの配置ぐあい。何を書かせてもその技量への感嘆は絶えません。ああー憎たらしい。軽い軽いコメディです。作者、どんな顔して書いてるんでしょうね。マゾがネタじゃなかったらこんなに生き生きとコメディ作品書かれていたのでしょうかw……(どういう意味?)。いい感じでガス抜いてます。作家自身の自虐や八倒ぶりを思わせるマゾギャグ描写も爽快です。喜劇の台本を読んでいるようにすら感じました。読んだことないですけどね実物の台本なんて。
また、黒兎先生独自のセンスでもある巧みな言葉選び。これも的確に活かされてました。笑わせるときでも、ここにこの言葉を持ってくるとよいというのがしっかりあるのか、ツボをよく抑えて来てくれます。物語の傾向はライトでサクサク。その書き方もちゃんと心得ている見事な書きっぷりでした。
作中の登場人物のセリフで交わされる内容でも、まるで読み手とも意思の交換をしているように思ってしまう「知識」の引用。これもうんうんと頷けて憎らしいです。(褒めている)
考察を交えると、修司の性癖、これを今後どうしていくのだろう。もっと濃くしていくのか、克服していくのか、このまま現状維持を続けるのか、それを学園生活とどう絡めて来てくれるのかなと思うところです。性欲というからにはそこに探究心を見出すことも大いに含まれるでしょうから今後の彼の動向が気になります。
ライトなもので進むのか、ヘビーなものに落ちるのか、どちらになっても期待はしていますよ。


■作中特に印象深かった箇所
・欲望がはみ出てますよ、会長。
恥をともなう「はみ出る」というだらしない言葉使い。欲望流出の度合いを明確に表現している。良い!
・俺のことを観察しているのか、じっと向けられた視線を見ずとも感じる。これが視姦という奴か。ぞくぞくする。
全くしょーがねー野郎です。黒兎先生は…。(褒めています)
・下郎を憐れむような目で見下していた。
己のキモさを自覚したうえでの気持ちよさそうがよく伝わってくる。
・毎日のように怪我をするような事案が発生しているので、マゾであることを隠すのに必死だ。
作者のマゾ指数もかなり高いものとうかがえる一文。ここまでの下り良く思いついたと思う。
・『「君、マゾだね?」――以下割愛――バッターアウト!』
テンポ最高。良い!
・いちいち発言がメタい。
過去一度だけの登場なのに強気なキャラ品行へ草。作者の見切り発車の投入なんでしょうか? 笑った。こういうこと言われる人材は残り続けて欲しい。


以上この作品に関する13日更新分の感想はここまで。



「×××の塔」   針山 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17570

こちらの作品プロローグだけの登録で13日更新でした。初見の作家さんになります。
以前に何か作品を発評されていて、PNを変えての再チャレンジなのでしょうか。
それとも純粋に初登録でしょうか。わからない。13日に更新してくれたので感想書きます。そりゃね。
何にせよ、パスワードを忘れての同じ作品の再投稿でしたら、だぶるでしょうし編集部で申告すれば同じ作品消してもらえそう? どうなんだろう。作家名で検索すると同じ作品二作出てきました。

■各話ごとの感想

プロローグ
プロローグのたった数行のためにしかも、初回の更新これだけしかないのでは感想の書きようが……。難しいのが正直な感想です。いいですよ。とりあえずってのも悪くはない。
第一話もせめて一緒に更新されていれば作品のことにもっとふれることができたと思いますが。
ですからさわり程度にこれを感想とします。

■作中特に印象的だった箇所

・地球が傾いたのかと思った。
何か大事な法則や概念を破壊していると思った。

■言語崩壊とはいえSF。なにやら新都社ではにわかにSF作品への関心が高まっている模様。期待していいのでしょうかね。目にもの見せられるような連載期待していいんですか?


以上この作品に関する13日更新分の感想はここまで。


「週末のロストマン」   硬質アルマイト 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=15812

本作の登録はなんと2013年12月31日。大晦日の登録。年末といえば仕事納め。そこをあえてこの日に連載スタート。作者何があった。いや、特に何もないだろうけど。
こちらの作家さん、実は文芸で連載作品が多いです。さらに完結作品も多く手堅く読者を安心させてくれるあたり固定の読者を得ているのではないでしょうか。一口で言いうには難しいが、どの作品も個々に「共感」や「惹かれる」ものを書いてくれます。それでいて個性的。また、音楽的な面においても多聞に漏れずその才を発揮されておられるよう。文芸作家の間ではイケメンバンドマンとして眩しく輝く存在です。しかし不思議と妬みを買うことはなく深い愛情で周囲を溶かし込んでしまうのは他ならぬこの作家さんの魅力でもあるのでしょう。何を隠そう登録作品最古のものは2008年。そのキャリアが示す文章には鮮やかな魅力と他にない確かな力量を感じることができます。ある日サラッと受賞して作品なくなってしまわないように未読の登録作品は要チェックでいこうと思います。


■各話ごとの感想

第一話 ライドオンシューティングスター
音楽(バンド演奏)を志す大学生の主人公・古都原鳴海。忘れられず鮮明な記憶で残る昔見たアニメ。自分はずっとそれを追いかけていた。だけど現実、今では――。
鳴海、昨今の音楽活動がつまらないのか友人・沙原の不興を買ったっぽい。大丈夫?
音の表現、「エレキベース四弦開放」ときた。むむ! 作者の音楽への色濃い傾倒を思わせる。
楽器を持って走るのはホント辛いです。あれ、慣れるまですごく大変。でもあの幸せ感は音楽やってる者にしかわからない。演奏意外に利便性を楽器に組み込めば特許が取れないかなぁ。
突如現れる現実世界の擬似空間に鳴海困惑。そこで出会ったのはなーんだ。
凡人だったら異空間に放り出された時点であわあわなって的確な判断なんかできないです。その辺踏まえても鳴海はよく頑張ったと思いました。

第二話 ムーンマーガレット
現実では頭脳明晰な優等生お嬢さん。疑似空間モッシュピットでは破天荒なムーンマーガレット。二つの顔をもつ白部律花の登場。彼女の装具はギブソンSG。ええギターですなぁ。日本だと定価20万前後から高価なものは30万以上ですかね。高校生がそんな……。うちに転がっているのはせいぜい中古の5万以下が2本ですわ…。
どこぞのバンドマンが勝手につけた横文字に笑った。
鳴海はモッシュピットのことを少しずつ知ることになっていきます。
律花のキャラ、このギャップで楽しませてくれる良い回でした。律花の戦闘後、鳴海のセリフにも興味がそそられる。

第三話 ローファイボーイ・ファイターガール
厳格な父を持つ律花、彼女は日常本性を偽って仮面をかぶり続けて生活している。小器用にやっているように見えるけど、いつか破綻しないのかな……彼女、心配である。
また鳴海にとっても沙原のように理解しあえる仲間は現実に置き換えても貴重だと思いました。大事にしてほしいですね。この先鳴海がどの道を選ぶのか沙原は問いますが、その決断、鳴海は既に決まっていそうに思えた。そりゃね…。
さらにミュージシャンに対するファン心理や、若者が社会に感じる漠然とした自分の置き所でもがく無常観もおりまぜてうまく作品に絡めて表現されていたと思う。考えさせられる部分があった。
律花と対戦する女性プレイヤーもなかなかの小細工を仕込んで戦闘シーンを読ませてくれました。
音楽世界の言葉遣いも多くて、随所にあるそれら個々がなるほどと思わせられる使い方。
上手いな。いいぞ!
擬似空間モッシュピットで伝説になった男性プレイヤー、ラストホリデイの登場でした。

第四話 レモンドロップス
おいしそうなタイトル。
擬似空間でプレイヤーが所属するギルドのようなもの、それが「レーベル」。これができたのは一年前。プレイヤー同士による抗争以来。そこから話は始まります。鳴海とともにモッシュピットの世界を読者にやさしく追わせてくれます。うんうん親切だ。
同時に鳴海と話すジョニー・ストロボという人物の語りがこれまた仏僧のように深く面白い。
一方律花は転校生の弦子と親睦を深めています。そこで生じる律花の小さな不安、彼女の内面が危うく揺れ始めています。作家、なにかたくらんでいる気配。
学生のとき、そういえば軽音部員は特に何でもロックにして世の中の説明がつかない現象を片付けていたような記憶があります。だからロッケンローラーはせこい!(褒めている)
友人の沙原との別離の末、鳴海はちょっといい体験します。ベンチで酔いつぶれて寝ていられる国日本。いいところだなあ。
そんなこんなで? 鳴海はとあるレーベルに参加することが決まったのでした。
そこで出会ったある女性プレイヤーの名前こそ――。

第五話 ブラック・シープ
レーベルには入ったものの、擬似空間での装具となる楽器が顕現できない鳴海。使えねえ人材となるのでしょうか。不安も抱えつつ実戦へ投入されていきます。
そのうえ鳴海は助けた少年・砥上雪彦に入れ込んでしまいました。雪彦に投げかけた鳴海のストレートにいい言葉。心に沁みます。この作品の中で使われているから余計にそう思うのでしょうか。さすがイケメン作家です。
困ったときの池田さん。かれは物語の序盤に出てきたプレイヤーです。たびたび鳴海は彼と会いながらモッシュピットのことについいて知識を増やしていきます。この物語を読み始めた当初、池田さんをいけ好かない野郎と思ってたんですが、戦わなければ実際普通にいい人でした。お話のここら辺までくると誤解していたことに申し訳なくなりました。 池田さんごめん。
幸彦の心の闇、それは現代の学校社会が抱える普遍的問題のひとつ。誰にでも常に隣り合わせにあってなくならないのは何故だろう。的を欲しがり礫を投げたがる者の心理、我慢する者の心理、それは日本独特の負の精神的慣習ではないかと思います。理想を述べれば、誰もがもっと気楽に顔も中身もわせられたらいいだろうにと思いますね……。

第六話 バッドドリームス
律花が疲れています。そんな彼女により添う弦子。
律花の重要な秘密を弦子は既に握っていました。そこで彼女は一計を案じて行動に出ます。
さてその結末どうなるか……。
今回、作者にまんまとはめられてしまった読者の一人がこの私。トリックなんかない話に書いておいてあとでさりげなく実はねって種明かす策士っぷりが憎らしい。作者油断も隙もないな……ちくしょう。
さすがイケメン作家。サプライズプレゼントで女子を喜ばすみたいなテクですね。よくぞやってくれた。なんてこった!(壁なぐる)

第七話 プリーズ、ミスターロストマン
「馬鹿だろ、あんた……」年下からのこの突っ込み! 鳴海は一貫してどことなくダサさを残す主人公に書かれています。しかしキモさ全くない。まあダサくてキモかったらただのお笑い主人公にしかならいのですが。鳴海のダサさはおそらく、誰にでもあるような、現実的な意味でのダサさ。そこに共感や親しみを覚えたんだと思います。だから彼は魅力的な人物に映る。このダサさの匙加減、とても難しく、作品を作るうえで上手くやらないとキャラがぶれてしまうこともあるんです。執筆初心者にはそこらへん良い手本になると思いました。キャラクター作り、重要ですね。ホントに。
意表を突かれたプレイヤー出現。その正体に律花は苦戦どころか戦意喪失します。相手が相手だからしゃあないか。そこで参戦するのが鳴海なのですが……。
新出単語その1「プライベートキングダム」 要チェックです。
この先物語が進行していくにつれて重要になってくる世界がここでは描かれています。そこで鳴海が出会う人物も後に会うことになるでしょうが、どんな話の展開を見せてくれるのか期待が高まります。
新出単語その2「カーニバル」要チェックです。

第八話
うーんここねー。内緒というか、書きたくないですねえ……、わはははは。書いてますけど。
書いたら何か重要なことポロって吐いてしまいそうで嫌ですねえ……。
散々これまで暗幕内にいた鳴海、スポットライトを浴びるときです。うわっはー。
それだけにしておきます。ここ、更新量も少ないです。だからすぐ読めます。
この先気になります。作者どう転がしていくでしょうねこの物語、キ タ イ


■深夜に現れる擬似空間モッシュピットで繰り広げられる壮絶な音のぶつかり合い、その先にあるのは………。
なんと難しい、あるいは親しみやすいともいえる「音楽」を題材にした物語です。そこには社会のゆがみや人々が抱える辛い現実も絡まって時には重く書かれています。ライトノベルでありながらそういった深いところにも触れてくれるのは文芸畑でしっかり揉まれてきた作家のシナリオないしプロット構成力からくるのでしょうか。単純な娯楽的小説とは一線を画しているように思われました。読み進むほどに想像以上の完成度が見えてきます。この良さはなかなか伝えるのが難しい! しかし読み手には書かれている内容以上「想像させる」「考えさせる」「感じさせる」といった感覚に訴える部分に秀でた作品になっています。少なくとも私はそう感じました。
音楽的な知識からくる専門用語も多くみられましたがそれらがどれも物語の中でよく映えて、しっくりとした使い方をされている。作家のセンスの賜物ですねこれは。ともすれば作品のノリは異世界ノベルと似通うところもあるのですが、この作品では現実世界にもちゃんと登場人物の生業も書かれています。そしてそこに書かれているものに共感を覚えたり、教えられたりすることが多々ありました。作家の意図、伝えたいことが明確に伝わってくる作品であると思いました。割と手堅い! ライトでありつつ読み応えあります。こういう作品も面白いですね~。凄いです。まいったまいった。


■作中特に印象深かった箇所

・社会人になって仕事して、ちまちま休日にライブができたれ関の山だ。
現実! そうなのです。社会人になると、また結婚をすると、そして子持ちになると、驚くほど自分の好きなことにのめりこむ時間なんてなくなります。同時に心のゆとりもなくなります。学生身分の間にやりたいことは存分にやっておきましょう。
・――何故、ギターの「ネック」の方を握り締めているんだ。
これ、なかなかぴんとこないかもしれませんが、ネックに重心をおいて握り締めると、構造上ネック部分にいらない負荷がかかって良くない持ち方になる。ギターはラッケトではありません。弦楽器全般に言えるでしょう。
・アンプはおそらく彼自身だ。
これも!音楽的表現。でも凄くしっくりくる。アンプの役割を理解できればなおのこと。
・『「世の中で我慢してる人ってたくさんいるし、それを十分に発散できている人なんてごく少数にみたないじゃないですか。――以下割愛」
我慢って良くないですね。我慢。これ凄く疲れる字面だと思います。我を慢ずるって書くんですよ。ひどい。
・「なんでアンタの楽器、壊れてんの……?」
うん。正しい!普通そうなるよね!! 壊れるよね。
・引き伸ばされた数秒の中で、鳴海は心地よさを感じていた。
数秒の中にあるつながった映像が刻々と終わりに近づいていく様が伺える。良い!
・この楽器は、まだ人を知らない楽器だった。
うん。じんわりとくる表現。良い!
・「実際に他の人や景色を見て、そして探すんだよ。――以下割愛」
見てるだけじゃ駄目なんだぞ!探すんだぞ!探すのは自分で探すんだぞ!分かったかー。(ナニサマ発言)
・「ああこの人はこんな事が癖なんだ、こういうことが苦手なんだなって安心する。そのほうが温かみがある気がするの」
こんなこという女子が出てくるからから男子がいつまでたってもヨレヨレ駄目人間で……こんな大人になってしまう(ガクブル)
・受け止め、調和する力だ。
まさにベース。良い!


以上この作品に関する13日更新分までの感想はここまで。



「女中の袖に手を入れて」 短編集(エロ)  えろま 作

http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=15754

たしか以前はこの短編集のタイトル「トゥー・レイト・ショー」でしたよね? 13日には『女中の袖に手を入れて』の最終話更新でした。こちらの作家さんは他に別名義でも作品を発表されています、よね。とても有名な作品が今も伝説として語り継がれています、よね。おそらくその作品名くらいは知っているかた多いのではないでしょうか。読んだ読んでないは別として…。文芸・ニノベ作品をある程度数読む読者さんはこちらの作家さんのことはもうご存知かと思います。特に語る必要もなさそうですね。新都社での在籍は決して短くないともうだと思います。またその文章にも特徴があって心地よいステップを踏むような作風で書いてくださる。今回感想を書く『マウス・トゥー・マウス』『女中の袖に手を入れて』でもその要素をありありと見せてくれました。
短編集で実際この企画前から読んでいたのは『女中の袖に手を入れて』の11話目まで。感想を書くにあたり、最終話の24まで読ませてもらいました。残りの『フェアリー・テイル』、『TITI'Sキッチン』、『注文の多い料理店やないかい』の3作については後日読んで感想書き次第また更新したいと思います。



「マウス・トゥー・マウス」
■高校生・慧が好きになって交際を申し込んだ女子・かなめにはとんでもない秘密があった。それは――。
同じ学校に通うかなめに告白する慧、しかし彼女は一風変わった返しでその告白を受け入れます。この時点で、うん、何かあるな~と思ったのは確か。でもその後に続く彼女の変貌に驚かされました。
さらに慧とかなめとの間で交わされる会話も胸にこみ上げてくる切ない感情が噴出しそうになるところで上手にドーンと笑いの渦へ蹴り落とされます。
狙って作家がやっているのか、作家の地なのか定かではないが自然体で肩の力が抜ける文章に振り回されます。それがまた心地よい。嫌な気がしない。
お話の展開も早くあれよあれよという間もなく慧はかなめの家の敷居をまたぐ結果になっています。
会話分では、かなめのボケ具合も冴えています。二人ははれて恋人同士になりますが、大事な濡れ場でも申し分なく魅せてくれました。そこだけに気をとられて読んでいると忘れてしまうのですが重要な最後の落ちまでも申し分なく作り上げられていて短編作品として読んで満足できる作品でした。
すごく良かったです。ある種のファンタジー癖をくすぐられた一作でした。



■作中特に印象に残った箇所
・「人間ってのはさ、どうしても見たくなっちゃうんだよ。怖いものと、かわいいものは」
真理だと思う。でもどうしてだろうと思う。二つのものは全く異なる感情を起こさせるのに。不思議だ。
・どこが違うというんだ。普通の女の子と。
正常な判断をできなくなっていることを全く意識できてないのは理解できる。また読んでいるほうもこのかけ離れた非現実に違和感を覚えないくらい引きずりこまれる。そしてそんな自分にツッコミを入れて読むことになる。
・「噛まない」
重要。痛そう。それはかなり。
・「でもね、ハゲはね、Mでもね、SMプレイの時に女王様にハゲって言われたら心に傷を負うんですよ」
笑った。マイルドに毛量控えめと言ってもらえるとマシでしょうかね。


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「女中の袖に手を入れて」

■各話ごとの感想
 1
謎の富豪のご主人様にその身を買われメイドになったマルカ。彼女はご主人様の館に来る前は劣悪な環境の娼館で働かされていた。
以前までの生活環境があまりにも荒んでいたためかマルカがご主人様ハルの元での恩恵に戸惑い、それいてあどけないしぐさや表情がとても可愛らしい。
マルカ「不幸ボケ&ハルと満月へのツッコミ」かます。
マルカの先輩メイド満月「忠犬エロボケ」かます。
ご主人様ハル「下ネタボケ&マルカと満月へのツッコミ」かます。
三者が上手いバランス作り。
2
風呂でかい。羨ましい。ながいことでかい風呂にはいってないなあ。
ハルの颯爽とした下ネタへの入り方が鮮やか。一見エロ好青年。満月は芯の強い忠義と正義のエロメイド。とても面白いキャラクターとして並んでいる。2話にしてこの世界にぐっと心掴まれえる感じがします。
満月はハルに恩義があるらしいが……。マルカのお願いが実に彼女らしくてほっぺをむにゅってしたくなりました。
3
暇さえあればタバコ吸ってるみたいな満月のセリフにどっと笑ってしまった。
マルカの拙いご奉仕にストレートなハルのコメント。好印象です。新人に仕込んでいくのも重要な主人の務めである。
4
ネタとばしてくるハルに真面目に付き合う満月。二人のかけ合いがみごとでどうしても笑ってしまう。
満月が今の満月として存在しているのは自分の選択による結果。何があったのだろうと深く興味をそそられました。彼女の徹底ぶりが魅力でもあるのだけどそれ以上に訳が隠されているのは明白かと思われる。
このさきこれはずっと伏線としてつづくだろうな……
5
マルカ、メイドとしての生活が始まるもよう。が――。
あのゲームが登場。なつかしい! 大好きでした。連鎖技を駆使して相手をつぶす。
ここでの潰され役は、ご想像。
6
満月のご奉仕、そして身体のスペックについて。うっほっほっほほほ、すげえ。
描写凄い良い。鮮やかすぎるくらい。さすがです。
7
セックスに関すること、性的行為に「道」があるのなら、満月はそれを極めんとする人に映ります。
彼女のハルへのご奉仕精神には武芸に通じる、まさに「道」が刻まれている。そんなふうに感じました。
8
マルカの「恋」への思い。そこでハルは良い反応してくれます。いい奴ですね。
でもその反応こそがマルカの気を引くことにもなるんですがね、罪な男でもある。
9
満月のハルへの思いは盲信とマルカには映るけど、盲信ではない確かな言葉や態度を満月は示しているので彼女の愛?は深いと思いました。
満月がマルカを抱っこする図は良かった。
ならば全員、相思相愛――ってのはちょっと……う~ん、これ考えさせられるセリフ。
10
満月とマルカの関係、ここまではどことなく、牧場の馬や牛の親子を見るような、温かく満たされる情景に感じます。エロいこともあるんですよもちろん。でもね、それだけではない柔らかな温もりもある。
11
朝のテンション笑う。
まさかのマルカS。それでいて恥じらう彼女にまた笑う。可愛い。
12
ハルとってもマルカにとっても、ここでの満月は本当に母ちゃんではないですかい。(褒めている)
どうも脳みそで構図が……、
満月>ハル>マルカ
こうなりがち。パワーバランスが時々配分難しいですがそういうのは特に気にせず読めてしまう不思議な作品。
13
お兄ちゃんと呼ばれて喜ぶのは妹のいない男の幻想。よくそういわれます。何でしょうこの背徳感みたいなもやもや。悪いか!
皆バカが故にバカを覚えず、誰がバカであるかも覚えず、すなわちバカの混沌とした平和をもたらす。
マルカがすっかりなじんできて楽しくなってきました。
14
人として成長もしなければいけない年頃のマルカ。そういう過程で揺れる彼女の気持ちを満月はうま~く支えます。ずるいと思う部分も読みながらあったけど、決してそれだけではないことに後で気づかされます。だからここは黙って読むべし。
15
ハルのボケが機知に富んでいてよい。(スチャ)
満月の爆発。拍手喝采。ああ、きもちえー。
16
よいな~よいな~。この話よいな~。それで片づけてしまえるなら本当に最高だけどな~。
その良さは一言で語りきれない。それほど深い愛情が伝わってくる。
文章は至って軽く書かれているのに……凄い。
この中で満月がいかに大きな存在であるかそして彼女がいなければ残りの二人はダメッダメになること請け合い。
17
ハルと満月に昔あった出来事それは――。
生きるってのは楽じゃない。だからこそ簡単にそれを捨てるのは美しくないと思います。辛くても足掻き続ける姿が美しい。その辛さや屈辱を味わうことも本人にしかできないことだから。
満月はそんなふうに生き延びた人。彼女のただならぬ魅力はそこにあると思いました。
18
泣く。
19
婦人科医にエロティシズムがあるのではなく、さらにそこにいる女医、それらをふまえてその哲学が埋め込まれているのだと理解できました。笑った。
マルカの娼館で傷めた陰部は順調に回復。ハルと満月は何やらお祝いを計画します。
よき家族です。
20
日本の漫画の英訳を稀に読みます。面白いです。新都社作品の作家さんや読者さんにも中にはWebで英語版の商業漫画を読まれる方もいると思います。翻訳版で「お!」と思わせるセリフがあったりで発見がありますね。英語上達には翻訳版、ぜひどうぞ。さすがにロシア語は無理。わははー。
21
マルカの誕生日に向けプレゼントを考えるハルと満月。この二人、異性ではありますが、置かれている境遇からか全く同じ風味で構成されているように見えます。相変わらず鮮やかな切り口で笑わせてくれます。
どんな贈り物をするのでしょうね。
22
マルカへのプレゼント、なかなか愛情ある物が揃っています。まあ、最初はこれで普通でしょうね。
とっておきともいえる後半のプレゼントはまだ続くようです。
マルカの目の前に現われたのは――。乙女はみんなじゃないでしょうが、どこかでこういうの期待するものなんでしょうか。こういう演出……。男子、素でできるか?
23
言葉が出ない。出したくない。眩しい。(褒めている)
24
満月の言っているハルと互いを思う気持ちが真実であればいいと思いました。現実ではなかなかうまくいかないことも多いのでそういうのがとても美しくこの物語では書かれている。
馬について、マルカのあの誕生日から計算して、数年が少なくとも9年以内ならいいなと思った。(馬の年齢参照)


■富豪に身を買われた少女。ご主人様と先輩メイドと一緒に心温まる愛と官能の日々が始まる。
柔らかく温かみのある官能ギャグ作品。と言ってしまえばそれで済む。しかしそこには壊れそうになるくらい切ない痛みのある人の心や厳しく現実に立ち向かっていく人の意志もしっかりと書かれていました。それでいて読み心地は極めて軽くテンポも抜群に良い。
まぶたが熱くなってどうにもできない、感情が溢れ出てきそうになったかと思うと次の瞬間にはドカーンを爆笑の渦へ蹴落とされ真っ逆さま。声を出し、膝を打って笑うこともしばしば。喜怒哀楽のバランスでいえば喜3怒1哀2楽4のようになるでしょうか。趣のある一作でした。新都社の小説ではエロい作品しか読まない。そういう方も多いと思いますが、エロい物をエロく書くというのは実はそう簡単にはできないです。おっぱいで抜きたい。だから「おっぱい」だけ書いても極端な話それだけで抜けませんでしょう。それを抜かせる「おっぱい」にどう書くか、そこが作家に求められるところだと思います。そしてそれができる作家というのはそう数多くない。文章を書くことがある程度上手でないとできないことなのです。この作家さんは特に官能作品に突出して優れているというわけではありません。ですがやはり既に持っている文章を書く力とセンスがこの作品でも存分に活かされているんだろうと思わされました。う~ん。満足だ。


■作中特に印象深かった箇所
・表情がとても作り笑いには見えないのが恐ろしかった。
想像するとコワイ。こういう人が本当におこると…
・別枠でペットとして飼いたい。
できればそうしたいと思うこと現実でもしばしば。
・後日、撮影していた映像を二人で鑑賞。
こんなことを何て素敵に微笑ましくできるんだ。架空ファンタジー感が凄い。
・繊細にして面倒なメンタルのハル
笑う。不謹慎かもしれないけど笑う。事実を知るまでは。
・人助けとは、他人の力を使ってするものではありません。
ぐさっとくる一文。誰もが分かっていることだけど改めて言われると刺さる。大事にした方がいいこういう意見。
・嫌なことがあっても……セックスに逃げるようにはなるな
ハルが言うとひときわ強く感じる。誰にでもわかる冷静な返しでまっすぐ。現実的でないかもしれないけどこれが実際できればその人は強いと思いました。ただ、それができないくらい弱い人がいるのもまた世の中の暗部で事実。


以上、この短編集13日更新された分含め、読めたところまでの感想でした。


13日更新の文芸・ニノベ作品現時点で10作品感想が終わりました。いやはや、半分まで一作残している。
さっさと片付けてしまわないと4月に持ち越すと本格的に感想連載が始まるので宿題も増えてしまいますね。あっはっはー。もはや無理ゲー。
既に、ツイッターのほうでは何度か作家さんごとにリプライを飛ばして念のため許可をとらせてもらっているのですが、連載・完結作品として長いもの、文量がそこそこ多いものについてはプリントして紙面で読ませてもらっています。
ただ、リプライを飛ばしても返信までに時間がかかる場合もあって許可がもらえないこともあります。そういう時は仕方ないですがPCのブラウザのまま読んで感想を書いています。正直辛い。
そこで、予めここでお知らせしておきます。
個人的な好みもあるのですが、大量の文章はやはりPC で読むよりは紙で読んだ方が目に優しい。
読むのも感想書くのもPCだと目を酷使してしんどいです。
感想を書く用にメモをとるのですが、どうにもそれだとやっぱりやり辛い。
そういうことで作品をプリントすることを予め作家のみなさんはご了承下さい。
短い作品についてはプリントしなくても書けると思いますが…ものによりそれは分からない。
もし、プリントして読まれることに快く思わない作家さんがおられましたら一報ください。ツイッターのほうでも、コメ欄でもどちらでも構いません。



次の感想は以下の作品。
3月13日に更新されたところまでの分、感想を書け次第ageます。


ニノベ作品
・ソナタ 二十五話まで(25話まで読み終えて一旦感想を書きます。残りは後日)
・欠けた天使の与能力(ゴッドブレス)
・探偵ロックンロール


文芸作品
・青春小説
・大きな頭 
・新しい都
・その倫理カリソメにつき。


sage