ヤング感想2/柴竹

 ◆ロリコンハンター塩崎
 ♯1「落花生」
 今をときめく花の女子高生は乳房の巨きな子を捕まえては羨ましいと妬む。こんな時、恵まれた乳房を持つ女子は決まって「小さい方が良い」と言い、その見え透いた謙遜と同情がまた貧乳女子の怨恨の炎に油を注ぐ。
 ――そんなほのぼのとした言い合いが主人公兼ロリコン・塩崎に飛び火するところから物語は始まる。てっきり、タイトルからしてロリコンであることが伺える塩崎がいかに貧乳が素晴らしいかを説くのかと思いきや、予想に反し「乳は大きい方が良い」と言い放つ。――のみならず、巨乳女子の乳房を鷲掴みにしたのだ。
 開始3ページにして読者の予想を裏切った展開を連ねるその構成に、「なんだ、この漫画は」と私の食指は否が応にも動かされる。
 その後、楽しそうに帰路を踏む児童たちの横で、一人だけ隔離された時間を鈍行する幼女と塩崎は出逢う。幼女の?瞳には今にも弾けそうな涙が溢れ、塩崎に声を掛けられたことでその堤防は脆くも決壊してしまう。塩崎から発せられる不穏な空気、鈍く光る瞳、優しく頭を撫でる巨きな左手。塩崎は、幼女を自宅へと招待する――。
 ところが、結局その日は二人で落花生を食べ、泣きじゃくる幼女を慰めるだけでお開きとなってしまう。ヤングVIP連載だし、ロリコンだし、いきなり乳鷲掴みにする変態だし、と、この先繰り広げられるであろう情事に勝手に期待を寄せていた私はあっけなく裏切られることとなる。塩崎が「何やってんだ、俺は」と頭を垂れたように、一読者である私としても肩透かしを食らう形となった第一話であった。

 ♯2「傘ビーム」
 第一話で揉みしだきにされた乳房の感触が気になって気になって仕方がない、塩崎の友人・ハゲ。「それはプライバシー」だから教えられない」と塩崎に突っぱねられると、「ならば俺も」と巨乳女子に飛びかかる。この飛びかかるシーンが途中から急にバトル漫画顔負けの白熱の展開になってめっちゃ笑った。こういうの大好き。
 その後、返り討ちとなったハゲの敵討ちに燃えるシーンでは再び迫真の作画。なぜかノーブラな巨乳女子の乳首を制服越しにつまむシーンは圧巻の一言。普通にエロい。これまたバトル漫画さながらの「残像だ」と、おざなりに描かれている塩崎に笑いを誘われる。
 圧倒的な主人公補正の力の前に敗れ去る巨乳であった。

 ♯3「餃子」
 放課後のシーン。スフィンクスの唐突な「語ろ?」でまず笑う。こういう今時の女子高生を皮肉ったような小ネタは大好きです。
 またこの話で、塩崎の特殊能力「マジ作画モード」が初めて披露されることになる。これ以降、たびたび塩崎の顔が迫真の作画で描かれ、その都度、不意を突かれた感と、普通に絵がめちゃくちゃ上手いということとに笑わされる。この作者さんはこういう小ネタというか、笑いの取りどころを熟知してる感があって思わず感心しながら読まされます。
 ラストの海辺のシーンも然り。唐突なテンションの切り替えが巧みで上手いなあと。こんなん笑うやん。

 ♯4「ガブリチュウ」
 5人で王将へ行った帰り、地元の駄菓子屋へと立ち寄る塩崎たち。ガブリチュウを選択した貧乳・十子には好意的なリアクションを示すが、ハイチュウを手に取った巨乳には不快感を露わにする。「ハイチュウは駄菓子ではない、『菓子』だ」と人知れず私憤をたぎらせる塩崎の心情を察するスフィンクスの姿がシュールでツボ。そうして「たらたらしてんじゃねえよ」を選択したスフィンクスに続き塩崎は「蒲焼きさん太郎」を手に取るが、それはあまりにも質素すぎたのか、皆から「え、そんなんでいいの?」という目を向けられることになった。ここのモノローグが日常系漫画の哀しいモノローグみたいで笑った。
 その後、駄菓子を食べるために立ち寄った公園で塩崎は偶然にも件の幼女との再会を果たし――。
 背後に忍び寄る、蔑んだような四人の痛い目線。手に汗握るヒキで、以下次号!!

 ♯5「16月しがつの渚」
 一度は性犯罪者を見るような目を向けられた塩崎だが、幼女が塩崎に対し信頼関係と懐いている様子とを示したことでなんとか誤解は解ける。
 こういう、主人公が糾弾されるシーンってドキドキしますよね。普通にハラハラしながら読みました。大人の黒さを何も知らない幼女の純粋さに救われた形で塩崎セーフ。
 話の流れで幼女のことを可愛いと言った塩崎に対して頬を赤らめる幼女。この話から、幼女は単なる信頼ではなく特別な好意を寄せているということが分かるようになりますね。始めは「ええまじか、一度遊んだとはいえ好きになるほど?」とも思いましたが、最初に出会った時幼女は泣いてましたし、優しく慰めてくれた塩崎に好意を抱いたとしても不思議ではありませんよね。年上ってだけで憧れの対象でしょうし。
 なかなか羨ましい状況になりながら、ラストは軽く定番となりつつある雑オチで終了。何回やられても笑わされます、こういうの。

 ♯6「朝ごはん」
 第6話は冒頭の幼女の火照った顔がエロいということと塩崎×幼女のイチャイチャシーンで終了。
 とてもサラっとした回でした。読者であり一ファンの自分として少し物足りないかなという印象。でも相変わらずスフィンクスの迫真シーンは笑えたし、幼女が塩崎へ好意を抱いているのはもちろんのこと、塩崎も幼女に対し単なる性処理道具としてではなく(そもそも、タイトルの割にはここまで塩崎のそういう心情は描写されていないのですが)、まるで妹を気遣うような優しさも見せています。ちょっと良い話。

 ♯7「肉ジェンガ」
 この話から、塩崎の特技「マジ作画」が成長します(笑)
 まるで小畑健の夜神月のようなイケメン悪人顔……普段の作画の気合いの入り様とのギャップも相まって、面白くもあり普通に見惚れてもしまいます。
 この話では十子と塩崎が二人でジャスコへ。ここまで明確な描写はありませんでしたが、どうやら十子は塩崎に対し男友達以上の感情を抱いている様子。乳揉んでも笑って許されるし、塩崎はなかなかモテる様子。放課後に遊びに行く選択肢がジャスコというのが懐かしいようで、もう今となっては気恥ずかしさすら覚えます。そんな、ほのぼの眺めてられる二人のご様子。
 このジャスコで塩崎は拍子木型のカルパスなるものを大量に購入する。通常の、丸太のようなものではなく形が綺麗に整えられているんですね。これって実際にあるのかな。
 それはさておき、このカルパスの使い方を思いついたとニヒルに微笑んで見せる塩崎。十子はとぼけた顔で「なに?」と尋ねますが、無言を貫く塩崎を見て何かを察した様子。顔が真っ赤に火照ります。その後、からかう塩崎を追いかける内に塩崎の自宅の前まで誘導される訳ですが、「家来るよな?」と塩崎に訊かれては十子はもう顔は真っ赤。否が応にも、二人は官能的な雰囲気に――。
 これって、塩崎が匂わせ十子が察した「カルパスの使い方」は普通にまんこに突っ込むって解釈で良いのかな? 何かそれを表現するジェスチャーがあった訳ではありませんし、普通によく分からなかったのですが、まあ他にエロい使い方って思いつかないしなあ。でもそれなら通常のカルパスの方がよりディルドに似て良いんじゃないのかなって気はするんですけどね。ブツブツだし丸いしってことで。拍子木型だったらどうにかなっちゃうよ。
 ということで一抹の疑問は抱きつつも、結局塩崎がやりたかったのは拍子木型カルパスを用いたジェンガだった、というオチ。完全にメスの顔を晒した十子に萌えつつ終了。

 ♯8「みかん」
 なんと幼女の家を訪れる塩崎と十子。ノーヘル2人乗りという暴挙でバイクは駆けます。
 気合いの入った私服で二人を歓迎する幼女。それを若い母親に茶化され顔を真っ赤にして怒ります、可愛い。部屋に入るやいなや嗅覚を研ぎ澄ませ匂いを嗅ぐ塩崎はさておき、再び「語ろ?」が登場し読者の笑いを誘います。ここから3人の日常ギャグパートが展開されるのかと思いきや、そこはさすがに恋する乙女、幼女は塩崎と2人きりではなく十子もこの場にいることにご不満の様子。そんな十子の暗い雰囲気を察してか、塩崎は「みかんを食べよう」と提案する。みかんが大の鉱物だという幼女はすっかり機嫌を直し、三人でみかんの皮の剥き方トークに華を咲かせる。塩崎の剥き方を「ゴリラ剥き」と揶揄した十子が披露した「カッコいい剥き方」に二人は大興奮。その異様なテンションが笑えました。
 ラストにはやはりロリコンハンター塩崎、ちゃっかり幼女の電話番号をゲットして終了。果たしてこの番号が悪用される日は来るのか……、請う御期待。

 ♯9「ロリータハンター①」
 いつもの5人+幼女で銭湯へとやってきた面々。
 中へ入るやいなや、十子は巨乳娘の乳房を揉みしだき、その反応を男湯の方へと聞かせようとします。なんという超大サービス。
 ところが、意外にも塩崎はこれに無反応。「うぜえな、めっちゃアピってるやん」と冷めた反応。勃起不全かな? スフィンクスもこれに同じで、二人して肩を並べて平然と体を洗い続ける。しかしハゲだけは完全にフルボッキで、二人はこのハゲを酷く軽蔑します。
 いや、言うてもこれはハゲが普通でしょ。壁一枚隔てただけの女湯からそんな様子が聞こえてきたら、少なくとも自分は完全に勃ちますよ、しかもクラスメイトの巨乳。しかし二人はこのハゲをまるで汚いものでも見るかのように、「お前は来るな」とサウナ室へと入って行ってしまいます。強い同情と、理不尽な非難に私憤を燃やしつつ以下次号。

 ♯10「ロリータハンター②」
 銭湯編第2話。
 ハゲを置き去りにしてサウナを利用するも、塩崎はあっという間に限界を迎えてしまう。フラフラとサウナを出る塩崎の背中を見て笑いながら、スフィンクスは彼の過去に想いを馳せる。
 どうやら彼の目から見て、塩崎の雰囲気は大きく変わったらしい。問答無用で乳を揉みしだいていた過去(第1話)を回想しながら、彼が更生したのはあの幼女のおかげかも、と考える。まあ第1話のシーンはギャグですし……と、読者目線の自分としては割と冷静に読んでました。でも作者としては塩崎の現在の性格について一つ説明を入れておきたかったのかなーと。今はもうすっかり、あんなこと(乳揉み)するような感じじゃないですからねー。そんな作者の事情について勝手に穿った解釈を抱きつつ、次の瞬間、振り返るとそこにはハゲの姿が。大ゴマでシリアス作画なので迫力がありました。バトル漫画の「いつの間にか背後に立たれてた」みたいなカッコよさ。
 スフィンクスの考えに対して異論を投じるハゲ。
「ロリコンが簡単に変わるわけがない」と持論をぶつけます。無駄にシリアスな雰囲気で以下次号。
 子どもちんちん作画に対する作者の言葉を代弁するスフィンクスが面白かったです、クソ笑った。

 ♯11「ロリータハンター③」
「どういう意味だ?」と詰め寄るスフィンクスに回答する形でハゲの回想突入。どうやらハゲと塩崎の2人は過去に同じスーパーでアルバイトをしていた過去がある模様。塩崎がどう思っていたかはさておき、ハゲはひたすらオバちゃんの相手をさせられるスーパーのバイトに非常に強いストレスを溜め込んでいた。そんなハゲの唯一の癒しは親に手を引かれてやって来るロリータの存在で、ロリのレジの順番を調整する為にババアのレジ打ちを手早く片付けたりと微笑ましい努力を繰り返す。
 しかし、ある日ハゲのレジに並びかけていたロリを塩崎が「お待ちでしたらこちらのレジへどうぞ」とさらって行ってしまう。これにハゲは腹を立て、塩崎を影でロリコン呼ばわりするに至ったという経緯。
「酷いだろ?」と言わんばかりにハゲはスフィンクスに同意を求めるが、しかしスフィンクスに「ロリコンはお前だ」と突っぱねられてしまう。これに対するハゲの反応でめちゃくちゃ笑いました。少女漫画みたいなめちゃくちゃ可愛い作画。真っ赤な頬を膨らませてるコマで声出して笑った。
 ともかく、ハゲの言う「塩崎=ロリコン」とする根拠である「子どものお菓子にシールを貼ってあげる」も「待ってるお客さんを自分のレジへ誘導する」のも当たり前のことだろうと。自分も読んでてそりゃそうだ、と納得してしまいました。すっかりハゲの回想に騙されてしまっていた。現に塩崎がロリコンなのは事実なわけだしね。完全論破されたハゲは号泣。
 いやー、3話に渡ったこの話めっちゃ面白かったです。回想編でのハゲvs塩崎の謎に白熱したロリータ争奪戦に笑い、その後のスフィンクスとハゲの会話シーンで爆笑し。この作品には珍しい長編シリーズとあって、最高の回でした。

 ◆ロリコンハンター塩崎
 正直、始めは雑な作画とタイトルを見て敬遠していたのですが、読んでみて愚かな考えを改めました。
 作画も、下手な訳ではなくて実力のある方がわざと崩してるって感じですしね。その思惑通り、自分はこの雑ながらも愛着のある作画の虜となってしまいました。登場人物のキャラ付けも非常に巧く、とても分かりやすいです。これだけ雑に書いていても登場人物が全て一目で判別できるというのは凄いと思います。自分は漫画を描いたことはありませんが、読んでいて「あれ? これ誰?」となることはある訳ですし。
 大好きな作品リストに新たに加えさせていただきます、素晴らしい作品でした。