Neetel Inside 文芸新都
表紙

匿名で官能小説企画
スミレ

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 小さいころから木や花が好きだった。だから花壇の水やり係を押し付けられたのも、僕にしてみればそんなに嫌なことではなかった。
 やることは単純で簡単だ。晴れの日に、じょうろで花壇の花に水をやるだけだ。遊びたいざかりにとっては、たったそれだけのことが面倒くさい重荷なのだろうが、僕には至福の一時だった。
 花壇を見ていると、胸が締め付けられる。物言わぬ花。ただ粛然としてそこにある。ただあるだけで美しいその姿に、僕は虜になった。特に惹かれるのは、花壇の端に咲く、一輪のスミレだった。かわいらしい細い茎に、地にしっかり根をはった逞しさと、菫色の花弁の凛とした美しさ、今にも手折られてしまいそうな儚さが同居していた。

 僕の日課はこうだ。朝、まだ誰も登校していないうちに、花壇に水をやる。そこそこ広い花壇に、小さなじょうろ一つでは、水道との間を何往復もしなければならない。がんばって何度も何度も行き来して、花壇全体に水を注いで回る。そうして最後に、花壇の端に咲くスミレをじっくり眺める。
 こうやって見ていると、本当にかわいらしい。クラスで一番カワイイと人気の遠藤さんよりもかわいい。触れてはいけないような美しさと、抱きしめてあげたくなるような弱々しさに、見ているだけで胸がドキドキしてくる。
 興奮につられて、僕の手がズボンに伸びた。ジッパーをゆっくり下ろし、ブリーフの中からおちんちんを取り出す。そのまま右手でおちんちんを摘んで、ゆっくり上下に動かす。
 スミレを眺めているだけで、僕のおちんちんは既におつゆでべとべとになっていた。指でこするたびに、おちんちん全体がぬるぬるになっていく。液体が空気と混ざり、圧し潰されて隙間からにじみでる度に、ぐちょぐちょ、ぶちゅ、ぐちゅ、と音を立てる。あまりの気持ちよさに、つい腰も動いてしまう。
 僕はちらとスミレを見た。スミレは相変わらず何も言わず、ただその花弁をこちらに向けている。それで僕はますます興奮して、勢い良く手と腰を動かしていると、おちんちんの先が、ちょんと、スミレの雌しべに触れた。僕は射精した。

 僕の水やりは毎日続いた。プラスティックのじょうろで花壇全体に水をまいたあと、あのスミレには、僕のじょうろで僕の水をまいてやる。僕とスミレだけの、甘い一時……。

 ある日、僕は少し大胆なことを思いついて、それを実行した。僕はズボンと上着を脱ぎ、肌着とパンツも脱ぎ、靴と靴下を脱いで、全裸になった。これで、僕も君と一緒だね。僕はスミレを見ながら、心の中でそう呟いた。
 夏とは言え、朝の空気は冷たい。その、いつもと違う感覚が、僕を刺激した。
 花壇の前で全裸になって尻をつき、股を大きく開く。いつもは布で覆われている股間に、朝の空気が直接触れる。スミレも吸っているのと同じ空気だ。そう思うと僕のおちんちんは赤くふくれあがる。
 いつものようにおちんちんをしごいているはずなのに、いつもとは全然ちがった。しこしことこする度に、おちんちんがびくびくとはね、胸が苦しくなった。スミレと一緒になりたい。そう思った僕は、腰を浮かせると、スミレの茎をおちんちんに絡ませ、先っちょが花弁におさまるように押し込んだ。
「あぁッ! いくっ! スミレ! スミレっ、大好きッ!」
 びゅーびゅーと、いつもよりも激しい勢いで、白濁した液体がスミレの雌しべに注ぎ込まれた。あまりの量に、小さなスミレにはおさまりきれず、花弁の隙間から茎を伝って、白い汁がだらだらとこぼれた。
 僕は腰をついて、はぁはぁと肩で息をした。
 まるでスミレと一つなったかのような感覚に、これまでにない満足感を覚えていた。
「ちょっと、何してるの!?」
 突然、大声がした。
 咄嗟に後ろを向くと、そこには女子が一人、立っていたこちらを見ていた。クラスメイトの、遠藤すみれだ。遠藤すみれは、座り込んだ僕を、見下すようにしている。
 ヤバイ。大変なところを見られてしまった。こんなことをしているのが知られたら、クラス中からどんな目で見られるかわからない。それくらいで済めば、まだいい。先生に言いつけられて、親まで呼ばれるかもしれない。
 僕は自分で、興奮が一瞬で消えさっていき、かわりに混乱が支配し始めたのがわかった。
「な、何って、その……」
 僕が何か言おうとするのを無視して、遠藤すみれは花壇に近づいた。
 遠藤すみれは、僕の白い液まみれになったスミレを見て、言った。
「あんた、あたしの名前呼びながら、何してたの」
 あ、っと僕は思った。彼女は勘違いしている。僕が、スミレの花が好きでおちんちんをいじっていたのを、彼女は、自分自身がその対象なのだと思っているんだ。自分自身が、変態的な想像の生贄に供されたのだと思い違いをしているんだ。
「あたしのこと考えながら、こんな気持ち悪いことしてたの? 何とか言いなさいよ、この変質者!」
「あの、その、違……」
「何が違うのよ! 花なんかでこんなことして、頭おかしいんじゃないの? このッ――」
 遠藤すみれは、憎らしそうに噛み締めた歯を見せると、サンダル履きの足を大きく振りかぶった。
「や、やめてっ!」
 彼女が何をしようとしたか咄嗟に理解した僕は、反射的に体を彼女と花壇の間に投げ出した。座った姿勢からなので、飛び込むような形になった。彼女の蹴りが僕のお腹に当たる。バランスを崩した僕は、背中を花壇のレンガにぶつける。
「うぅ……」
 体を打った痛みに、僕は悶えた。
 だけど、必死に上体を起こすと、遠藤すみれを見た。
「ぅ……ゃ、やめてください……彼女は、悪くないんです……僕が全部悪いんです……」
 体を打った痛みからか、もしくは他の理由か、僕は涙を流しながら懇願した。
 遠藤すみれは、今、花壇を土ごと蹴り払おうとしたのだ。そんなことをしたら、花壇に植わっている花がどうなるか、言うまでもない。
「彼女には手を出さないで下さい……何でもしますから……お願い、します……」
 遠藤すみれはしばらく僕を見下ろしていた。眉を潜め目を細めたその表情は、僕を侮蔑しているように見えた。クラスで誰かが誰かを「キモイ」というときのそれよりも暗い目つきだ。
「ふーん、そうなんだ」
 遠藤すみれは、何かに納得したらしく、抑揚のない声で言った。
「何でもするんだ?」
 遠藤すみれは、起き上がろうとしていた僕に再び蹴りを入れる。身をまるめて防御しようとする僕に、何度も何度も蹴りを入れ、僕は仰向けで寝そべらされた。
「じゃーさ、あんた、今日からあたしの奴隷ね」
 そう言うと、遠藤すみれは、僕の股間を、足で軽く踏みつけた。思わず僕は苦悶の声を発する。土に汚れたサンダルの底のでこぼこが、僕のおちんちんをぎゅっと押さえつけていた。
「それなら、許してやってもいいよ」
「奴隷……って……?」
「いつでもどこでも、あたしの命令には絶対服従ってこと。授業中でも、休み時間でも、放課後でも。わかる?」
「で、でも……」
「別にいいのよ。嫌なら嫌で。だったら私も好きにするから」
「うぅ……」
「このことみんなに言いふらしてやるし、その気持ち悪い花も、ぐっしゃぐしゃにしてやる」
「わ、わかりました! だから、それは許してください……」
「そう。わかればいいのよ」
 そう言って、遠藤すみれはサンダルをグリグリうごかす。出したばかりでまだ敏感なおちんちんが、靴底のでこぼこでずりずりとこすられる。
「あぅ、うぁっ、やめてっ、それ、やめてっ」
「はぁ? あんた、さっきあたしが言ったこと、本当にわかってんの?」
 サンダルの押す力がぐっと強まる。
「ふわあぁぁぁっっっッ」
「あんたはあたしに逆らうことは許されないの。あたしの命令は全部聞いて、あたしのすることは全部受け入れるの。奴隷なんだから、当然でしょ?」
 サンダルが前後に動かされる。ゴム製のでこぼこがおちんちんに直交して動いて、おちんちんの先っちょの裏の部分をごりごりとこする。その度に、腰がびくびく動き、おちんちんから透明のおつゆが溢れ出す。
「あッ、あぁっ、ふわぁっ、ふぎぃっ」
「もしかして、ここが弱いの?」
 遠藤すみれはサンダル全体を動かすのをやめると、かかとをおちんちんの付け根の辺りに固定し、親指側を少し浮かせる。そのままつま先を曲げると、サンダルの先で、おちんちんの先っちょの裏のところをゴシゴシとこすりだした。
「おぉぉッ、そこっ、だめっ、そこぉッ」
「やっぱり、ここが弱いんだ〜、ぐりぐり」
「んあぉぉッ、や、やめッ、おかしくッ、ぼくっ、おかしくなるぅッッッ」
「こんなド変態がこれ以上どうおかしくなるってのよ」
「んにぃぃッッッ、ひぐっ、ひぐっ、ひぐぅぅぅッ!」
「ダメよ、我慢しなさい」
「んむりぃッ、そんなのむりぃっ、おっ、おおっ、いっぐ、いっぐ、いっぢゃううううぅぅぅ!」
 全身が反り返りそうとするのを、無理やり足で抑えつけられたまま、僕は体中を痙攣させて、おちんちんから白い液体をぶちまけた。白い汁は、僕の胸や顔に飛び散る。生暖かくてぬるぬるした感覚に包まれる。
「はっ、はっ、ひぃっ」
 浅く肩で息をする僕の脇腹に、遠藤すみれは蹴りを入れた。呼吸が阻害されてた僕は、酸欠で口をぱくぱくさせならが悶える。
「ダメっつったでしょ。なんで言うこと聞かないの」
「うぅ……ううぅー……」
 言葉らしい言葉を発せず、ただうめくだけの僕を見て、遠藤すみれは溜息をついた。
「ま、いいわ。次からは、ちゃんと命令を聞きなさいよ。じゃないと、わかってるわね?」
 遠藤すみれは蔑むように言うと、ぺっと唾を吐いて立ち去った。唾は僕の顔の上で白い液体と混り、僕の唇をかすめて顎に伝っていった。
 花壇の前に倒れこんだ僕は、なんとか首だけでも横に向けた。あのスミレは、何も言わず、いつもの美しさを湛えていた。
 どうして僕は人間になんか生まれたんだろう。僕も花に生まれれば、こうしてスミレと一緒の花壇で隣り合っていられたのに。毎日、一緒に過ごして、僕の花粉で、スミレに受粉させてあげられたのに……。
 ごめんね……僕、汚されちゃった……君の前で……。
 あふれた涙が、地面に染みこんでいくのがわかった。

       

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