Neetel Inside ニートノベル
表紙

女心なんて俺が知るはずないじゃないですか
始まってしまいました

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…どうしよう。



「どうしようっ!!」
心の声が出た。



この俺に嫁さんができる日がくるなんて!!




「今日からどう接すればいいんだっ!?」
本日二度目の心の声漏洩。





「結婚したって言ってもあんまり実感ないけどね 笑っ」


えっ!?


「さっきから来てたんだけどね。」



気付かなかったーーーーーーーーーーーーーーーっ

「お、おぉ」


最初の出だしからドッキリ感。

あれ?
でも、あんまり今までと変わらない。


そっか。
俺、結婚したから、嫁さん出来たからって一人で変に考えすぎていたのかもしれない。



「えっと、これからよろしく。です、、、。嫁さん。」
「どもども、旦那さん。」

とりあえず、嫁さん迎え入れた今日から、
2人の暮らしがスタートとなりそうだ。







     

朝。


トントントンと心地よい包丁のリズム
なぜか懐かしさを感じずにはいられない味噌汁のにおい


あー


野郎暮らしには働かなかった五感すべてが朝から
騒ぎ出す。



ベタだけど憧れていたシチュエーション。


ここら辺でおはようのチューとか来たら
俺新婚だけど、もう死んでもいいや。


俺って今まで何を悩んでいたんだろうな。




後原、神谷




ごめん、俺勝手に幸せになりそうだわw








「なおくんっ!なおくんっ!!」

目を開けると貞世の、、、嫁さんの顔があった。
クリッとした猫目にかかる今時貴重な黒色ヘア、ちょっと童顔な上に萌え声ときた。

俺にはもったいない。頬がニヤケテシマウ。





「さだっち、おは…」

「なおくんっ、遅いっ!あと30分で間に合うのっ!?」


っ!?



「20分前に声かけたのに全然起きてないじゃんっ、朝苦手なのは
なおくんだけじゃないんだからね?分かってるの?髭もそるんでしょ?無精ひげなんてみっともないからちゃんとそるのよ?ねぇっ、靴下左右違うじゃんっ!!前日に用意しとけば良かったんじゃないのっ!?朝ごはん食べたらちゃんとお椀洗ってよね!もう、私先に会社行くから、戸締りもしてねっ。」





…スミマセン。




小さくなる俺に玄関から貞世が振り返ってきた。
「あと…行ってきます。ダーリン♥…絶対遅刻しちゃダメよ?」


おでこにchu-頂いたおでこに手をあて、

俺は静かに思った。
なんか、新婚生活ちがくねぇかっ!!?











嫁メモ1:どうやら俺の嫁は朝からフルパワーらしい。



夢と現実のギャップを知る新婚生活一回目の朝となった。





     


直人「…。」

後原「……。」

神谷「…。」




時間だけが過ぎる。

ゴクリっ。


ファースト店だというのに、俺の唾音が妙に大きく聞こえた。


俺は今から、コイツらに言わなき…


「おいぃいぃっ、前と同じ展開じゃないかっ!!!」
後原が叫ぶ。


「落ち着け、後原。と言いたいが、
 直人、前回のお前のカミングアウトからの招集早くね?
 俺らのハートはそんなに強くないよ?
 一週間で立ち直るほど人の心(童○らの心)は強くないよ?」



「神谷、俺らって一括りしちゃいけないよ?」

「えっ?」

後原はそっと3、5DSを開く。

パカッ


「ね?ヒムちゃん。フフフ。ん?あぁ、ごめん。
 さっき大きい声出しちゃったから、驚いちゃったのかな‥。」




…………。




「直人っ、アレがお前のつけた傷の後遺症というやつだっ。
 後原がアッチの世界にログインしてから戻れきれてない。
 …いや、戻ることを本能的に拒絶しているじゃないか!」



「いや、それはごめっ。ん、なのか?って、そうじゃなくて!
 今日また集まってもらったのには、」





俺は今日の本題を口にした。

「いや、、、結婚ってなんなんだろうか…。」



後原と神谷は、息をひと呼吸吸い込んだ。


「お前は…」

「ヒムちゃん、ヒムちゃぁぁぁぁぁあぁあんんんっ。」

「後原っ!?しっかりしろぉぉぉっ!!!!!」

「ヒムヒムーーーーーっ、」

「後原、大丈夫だ。」
神谷は後原の肩をそっとつかんだ。

「?」

「大丈夫だ。お前は一人じゃない。辛かったんだよな?
 でも、大丈夫だ後原。俺もお前と同じだ。」

「か、神谷?」

後原は画面からそっと目を離し、神谷を見つめる。



「大丈夫だ。俺ら、まだ俺らだ。」


「か…神谷ぁぁあぁぁぁああああっ!!」


ガバチョっ。



童○の絆の強さを感じた。


「って、違う。コレも前と似たパターンだろうがっ!」
俺は改めて呼吸を整え、席に座り直した。


「まぁ、まずは話を聞いてくれないか?」



「手短になっ。」


     

初日

甘い朝を期待するも、嫁に寝起きの悪さを叱られる


2日目

今度こそ甘い朝をと期待するも、髭が痛いと朝チューを断られる


3日目

帰宅後、嫁の飯にマヨネーズをかけ食べようとしたらキレられた


4日目

俺休み、嫁仕事。なので、久々のゲームを堪能してたら嫁帰宅後、
やることやってから遊べと怒られる


5日目

何食べたいと聞かれたので、お茶漬けと答えたら機嫌が悪くなった。


6日目

トイレで隠れてゲームしてるのをなぜかバレ、こそこそするなと再び怒られる。


7日目

嫁休み、俺仕事。
寝ている嫁を起こさずに仕事行ったら、嫁がなぜか帰宅後ずっとベッドに引きこもっていた。






以上、俺の酸っぱい新婚生活1週間でした。


………。




「俺、俺、嫁のことが分からないっ!!!」



「なっ、落ち着け直人!?なぜにリア充のお前が泣くっ!!?」


「そうだぞ、直人!ってか、彼女もいない俺らに夢も希望もないこと言うんじゃないっ!」


「後原、今お前、ヒムちゃんが彼女じゃないと認めたのか?」

神谷の言葉に後原はハッとし3,5DSを抱きしめる。
「ヒムちゃん、聞かないで。聞かないでーっ。」




いつもの2人のやり取り。
だが、そこには俺は入れなかった。


「誰に相談すればいい?そう考えたとき、俺にはお前らしかいなかったんだ。」

ポツリと言葉が漏れる。



2人は黙って俺をみた。


神谷はしばらく考え
「直人、確かにこれはお前だけの問題ではない。
 
 アッチの世界でのスキルしかない俺らのうち一人が結婚できたのは奇跡だ。お前は俺らのストレスであると同時に希望だ。
 
 このチャンスを終わらせることは、俺らの負けを認めたことになる。俺らはこっちの世界での恋愛から逃げているんじゃない。

 ただ、こっちの方が理想に叶うだけで選んでこっちにいるんだと、三次元の女だって相手に出来るんだと、今こそ証明する時ではないだろうか。」



後原も3,5DSをそっと閉じる。
「そうだ。俺ら恋愛ゲーで鍛えたスキル。ダテじゃないからな。」


「お前ら!」



神谷は細めを更に尖らせ
「さぁ、直人っ。作戦会議といこうか?」







       

表紙

小野間 はく 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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