Neetel Inside ベータマガジン
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★文芸・ニノベ作品感想3★
11月3日更新文芸作品感想

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「黒兎戦記」 作者:バーボンハイム先生

【まえがき】
 おなじみバーボンハイム先生の作品。文章の体裁こそ読みづらい部分はあるものの、いつも強かでストイックな話を書いているので今回も期待。感想は30話まで。

【ストーリー】
 ディオゴと共に共同戦線を張っていたセキーネだが、偽報に乗せられ撤退。後にゲオルクに支援を頼むも、ディオゴを始めとした黒兎人はそんなことは露知らず。暴徒と化した白兎人によって、ダニィやモニークの住む村が襲撃される。かろうじて保っていた均衡が崩れ始める。
 白兎人によってモニークは殺され、ダニィも拷問を受けてしまう。ディオゴは狂乱して暴れまわるが、ゲオルクらによって制止。共に戦うことを提案される。
 いよいよミシュガルド戦記と合流した。ここからはどう作品の後を追うか、それともオリジナルか。

【キャラクター】
 モニークがあっさり殺されすぎているような気がするけど、「戦記」だからこれもアリか。ダニィは少し不用心すぎる。ディオゴの性欲はヤバイ。ゲオルクの筋肉もマジヤバイ。

【世界観・オリジナリティ】
 前述通りミシュガルド戦記と合流。これから先の戦いはミシュガルド戦記にて把握しているが、異なる展開を見せるか、それともディオゴ視点での戦いを描くのか。はたまたダニィが主役となって戦いに身を投じるのか。

【文章力】
 短文と長文がランダムに入り交じるのは少し読みづらい。淡々と戦況を描く手法は「戦記」なので問題なし。このまま貫いてほしい。おせっかいかもしれないが、読点をつける・つけないは統一した方がいいような気がする。

【総括】
 いよいよ戦況も佳境。これからの戦いをどう描いていくか期待しています。(遅れた上に簡潔な感想ですみません)


     

「ミシュガルド戦記」 作者:後藤健二先生

【まえがき】
 文芸感想おなじみミシュガルド戦記。前回はゲオルクとボルトリックがハイランド地方の遺跡に進入するところまでを読みました。今回は脱出した後の14話まで。

【ストーリー】
 どんどん下層へと突き進んでいく二人。第10下層と書かれると風来のシ◯ンを思い出して頭が痛くなる。
 最下層?にあったのは天空の城ラピ……アルドバラン。獣神帝ニコラウスに洗脳されたエルフ・シャムをなんとか倒し、仲間に引き入れてなんとか城に潜入。
 その後アルドバランは空高く上昇し、シャムによってなんとか地上に帰還したゲオルクたちをおいてミシュガルドへ姿を消してしまった。
 話の切れ目の引きが弱いようにも感じた。「どうやって脱出するんだろう」と思わせておいて宝玉を使うしかないって言われると、「じゃあ最初から使えよ!」と言いたくなる。出航のシーンはいい感じだった。
 愛するものが皇帝に嫁がされたゲオルクの運命やいかに。

【キャラクター】
 ゲオルクの快刀乱麻(ではないが)っぷりは爽快。シャムは若い剣士かと思えばおっさん(おじいさん?)だった。外見描写出てた? ボルトリックは相変わらず抜け目ない感じで一番好印象。ゲオルクは巨乳好き。

【世界観・オリジナリティ】
 アルドバランを護っていたのはシャムだけだった?なんだかリアリティが薄いような気も。上の階層の魔獣が殺すから必要なかったのか。アルドバランの前提知識がないからあまりわからない。結局ニコラウスは何者だったんだ。
 エレオノーラが嫁がせられる場面、必要なのだろうけどなんだか冗長な気がする。この辺は感覚の違いなので樹にする必要はないと思うけど、気になったので一応。

【文章力】
 状況が分かりやすい文章。地の文と台詞のバランスがちょうどいいので読んでいても苦にならない。てにをはが少しおかしい部分があるのは誤差の範疇。そしてゲオルクにスポットを当てた三人称で進んでいく文章は、どう考えてもミシュガルド戦記ではなくゲオルク戦記である(言い尽くされた文言)。

【総括】
 シャムとゲオルクの剣戟が素晴らしかった。ボルトリックの戦い方(?)も彼らしくてよかった。キャラクターの魅力を引き出すのがとてもうまいので、今後にも期待。


 さて、以下の作品は多忙につき、僕の分身である白兎詩乃先生に協力を仰いで執筆していただきました。申し訳ありません。それでは御覧ください。


     

【第一印象】ざっと眺めて感じたこと。読みたいと思うかそうでないか。
【ストーリー】話の筋は通っているか。先を読みたくなる構成になっているか。
【キャラクター】魅力のあるキャラクターを書けているか。不自然ではないか。
【オリジナリティー】独特な設定であるか。この作品といえばこれと思えるものがあるか。
【文章力】文章作法は問題ないか。読みやすい文章であるか。読み手を唸らせる一文があるか。





白兎詩乃です。
くろとせんせーが多忙のため感想企画のお手伝いをさせて頂くことになりました。
「おいふざけんな黒兎出せ!」「俺は黒兎の感想を楽しみにしてたんだぞ!」「黒兎は俺のものだ! 俺だけのものだ!!」
と言われてもごめんなさいとしか言いようがありません。ごめんなさい。僕のものです。
僕は正直詳細なレビューと言うより単純に作品呼んで思ったこと書く読書感想文スタイルなので、そこまで深く指摘はできません。浅く、薄いです。
特に文章とか、明らかに読みにくい文章以外は基本的にそこまで言うことない感じです。
では。



「ニッポニア」 作者:新野辺のべる

【第一印象】
タグは「SF」と「時代劇」。「?」と思いつつ読んでみると、最初から宇宙船、からの未知の惑星への着陸、そして文明が衰退した星の調査で起こるモンスターパニック。
なるほどこりゃSFだ、と思ってたら実は探索員達は異星人で、襲いかかる化物はゴキブリ(人型に非ず)。
そしてカプセルに入った異形の巨人こそが地球人、それも日本人だったと言うどんでん返し。
なぜ人類が滅びたのか、それを日本人の成れの果て「ニッポニア」が追憶する……と言う導入。
おお、これは先が気になる展開だ。核戦争か、はたまた未知のウィルスか? 一体地球に何が起こったというのか……。
ニッポニアは厳かに語り始めた。

【ストーリー】
ニッポニア「文久3年正月21日の明け六つだから、西暦で言えば1863年2月25日午前六時ごろのこと。比叡山延暦寺から一人の僧が石段を下っていく。アカゲラが木をつつく音が遠ざかり、豆腐売りの声が近付いてくる。豆腐売りは町一番の早起きだ。庶民の朝食に間に合わせて届けなくてはいけないのだから。
 石段を下りきったところですれ違う。
『坊さん、豆腐は。』
『すまぬが、それは石段を登った先で掃き掃除をしている小坊主にでも渡してくれ。拙僧は寺には戻らぬのでな。』
 この僧はその日から還俗し、上中下之介(かみなかしものすけ)と名乗のるようになる。還俗して侍に戻る。延暦寺から立ち上る煙を眺めながら、下之介は決心を固めた。」
異星人「?」
俺「!?」
ニッポニアは何故か江戸末期の元坊主の男が侍になろうとする話を始めた。それもやたら長い。
ちょっと待って、何の話? 人類滅亡は? と異星人(と俺)が疑問に思うが、どうも江戸時代から話さなくてはいけないらしいので大人しく話を聞くことにする。
話自体は読んでみるとこれが中々面白く、へっぴり腰のなんちゃって侍が謎の刀を手にしたばっかりに行く先々で厄介事に巻き込まれる道中は見ていて飽きない。拷問もあるよ!
だけど……これ絶対十分の一くらいに省略できるよな?

【キャラクター】
SFパートは時代劇パートに比べて文量が圧倒的に短く、あまり印象には残らない。って言うか命の恩人を脅すな。時代劇パートが長引けば長引くほどある意味ニッポニアのキャラが立つ(無駄話大好き)と言うよくわからん状態ではある。
時代劇パートは下之介が主人公だが、これがまた相当な間抜けである。刀を買おうとしたら騙されて数ヶ月模造刀であることに気が付かなかったり(しかも木製)、無意識に武士を煽ってしまい果たし合いになりかけたり。
元がただの坊主なため、腕っ節はからっきし。当然まともに戦うと武士には負ける。なんかいつもボコボコにされてる印象があるが、悪運が強くなかなかくたばらない。
刀を狙ってくる付いてくる男装の麗人、ちるーは殺す殺すと息巻いておきながら下之介が苦しそうにしていたら焦る一面もありどうも非情に徹しきれない。紆余曲折を経て嫁になった。え?
人間臭い面々で好感は持てるが、果たして彼らの行動がどう滅亡に繋がるのやら。風が吹けば桶屋が儲かる理論に近いぞ今のところ。

【オリジナリティー】
少なくとも、コテコテ(と言ったら失礼か)のSFの語り出しからスタートして開始五分で江戸時代の話が挿入され以後ずーーーーーーーーーーっと人類の滅亡と関係無さそうな話題を延々とくっちゃべる小説はそうそう無いと思う。
SFと銘打ってはいるがこの話は作中作……とはちょっと違うか。二重構造になっているため現時点では時代劇以外の何物でもないと思う。
って言うか俺は日本人だからまだ幕末のイメージが湧くが、聞いてる異星人はチンプンカンプンだろ。

【文章力】
問題ない。上手い。
強いて言うなら北回帰線って他の星でも同じなの? とか蟻塚はあるのにゴキブリは見たことないの? とかSFパートは気にかかるが、俺の無知も含むため気にしても仕方ないことだろう。
時代劇パートこそが今のところ本筋なため、これから火の鳥みたいに別の時代の話したときにどうなるか、と言うのは気にかかるところ。

【総括】
面白いが、SFだと思って読むと面を食らう。旭日編は次で終わるようだが、次の話も坊主に戻った下之介の話なのか、それとも時代が飛ぶのか……。
少なくとも、人類滅亡の理由が明らかになる日はまだ遠そうだ。
新野辺のべる先生は是非とも投げることなく書ききって欲しい。途中で終わったら異星人キレるぞ。




「終戦の翼」 作者: ヤーゲンヴォルフ

【第一印象】
ジャンルは「戦記」。知ってた……と言おうとしたけど、今作はヤーゲンせんせが過去に書いてた作品とは多少異なるようだ。
これまでの作品はあくまで架空の国同士の戦争と言う形で書いてはいたが(全部かどうかは自信がない)、今回ははっきりと「日本海軍」と表記してある。太平洋戦争の話だ。
そして「終戦の翼」……少なくとも、軽快な話でないのは確かだろう。

【ストーリー】
誰の目からも日本の敗北は明らかだった。だが、戦争は未だ終結していない。
一九四五年。神風特別攻撃隊は、敵国の艦隊へ向かって飛ぶ。敵艦に落ちるために、飛ぶ。
敵戦闘機の機銃に晒され、墜ちる。艦隊の斉射に灼かれ、また墜ちる。
運良く『生き残ることができた』戦闘機は、晴れてその役目を果たせる。特攻という大役を。
敵艦に直撃したとして、撃沈できる保証などどこにもない。仮に出来たとして、もはや大局に影響など無い。
はっきりと言ってしまえば、彼らの行いは無駄である。
だが、無駄であることと無意味であることは、必ずしも一致しない。

【キャラクター】
観測機に乗り、特攻隊の先導を行う二義島兵曹長と、複座に乗る一之宮。彼らの役割は若い兵士を死地へ導くことに他ならない。
まだ若く、上の指示に疑問を覚える一之宮と、命令だと口では言うも内心はそうは思っていない二義島。
任務をこなしただけの彼等も、敗戦後は特攻という非情な手段の片棒を担いでいたとして、人の扱いを受けないであろう。
彼等は戦って、空で死ぬことを選んだ。見送ってきた若者たちと同じ、特攻を。
彼等にとってそれが幸福であったとは言い難いが、少なくとも自ら選んだ道ではあった。
だが……本当にそうするしかなかったのか、とは思わずにはいられなかった。
それが現代人の感覚と、当時を生きた者の意識の差なのかもしれない。

【オリジナリティー】
今作に関しては、あまり独自性はない……というかジャンルを考えるとこの項目は無視していいだろう。
強いて言うなら、特攻役のパイロットではなく観測機乗りに着眼した点を褒めるべきか。

【文章力】
やはりと言うべきか、戦闘機や艦隊の描写は慣れたもの。
だが、どちらかと言うならこの作品においては心理描写が主であろう。
子供からは臆病者と罵られ、自分の使命を『三途の河の水先案内人』と自嘲し、やりきれないものを感じていた二義島が、特攻を決意した最後の搭乗からある種の晴れ晴れとした感覚になると言うのは、何とも物悲しい。
文章力の項目で書くことかはわからないが、MMDの製作技術も見事。と言うかこんな事にも使えるのか。

【総括】
神風特攻隊とは何だったのだろうか。
死して護国の鬼となった英霊? 軍の狂気によって命を散らした哀れな被害者? 家族を守りたかっただけの若者?
少なくとも二義島が言うとおり、彼等は機械の歯車ではなく、意思を持った一人の人間であった。それだけは紛れもない真実である。


ところでヤーゲン先生作品消しすぎじゃない……?



「やさしい暗闇は誰のため」 作者:ぽこちん たつお

【第一印象】
ジャンルは「優しい」。確かにこの文量は感想書く側にとってはやさしい。
が、容量としては5KBもないだろう。楽ではあるのだが、流石に感想を書くには短い気がしなくもない。

【ストーリー】
黒い世界の白い森。幻想的な光景は優しいがどこか儚げであった。
場面転換し、白い部屋の中では臥せた病人に男が物語を読んでいた。
その物語の内容は、前述の光景、鈍色の世界と何か関係があるのだろうか――?
と言ったところだが、はっきり言うと全然何もわからない状態。続きが待たれる。

【キャラクター】
幻想的な光景の中にいる「私」、病室と思しき場所にいる病人と男。この三人だ。
もしかしたら「私」は病人の見ている夢なのかもしれないが、現時点では何とも言えない。

【オリジナリティー】
現状書かれている場面だけ読めば、オリジナリティーに溢れているとは言い難い。

【文章力】
最初の文章の「始め、はちいさな星だった。」の句点の位置が気にかかった。ややクセのある書き方に思える。
場面を想像するのに不足はなく、文章力が足りないとは俺は思わない。かと言って、優れているとも言い切れない。
何にせよ、文量が足りない。

【総括】
何回も言ったが、文量が足りず気の利いたことを書けない。
感想日が過ぎた後でage更新すると感想を書かないってルールは今は無効……になってるんだよな?
なので、どんどん書き進めて欲しい。
あと書き忘れていたが、作者名と作風の剥離が深刻。

     

■全体の総括

 今回は諸事情につき感想企画が滞ってしまい、大変申し訳ありませんでした。白兎詩乃先生もありがとうございました。色々と落ち着きましたので、こうして文章をしたためています。
 今後なのですが、小生、仕事が忙しくなってきたのもありまして以前のようなペースで感想を書くのが難しくなることだけ考慮していただければ、滞りなく進めていけます。1ヶ月半ほど休んだので、担当期間は少し延ばすつもりでいます。
 感想そのものにつきましても、急ぎ気味になるため粗が出ることもあるかもしれませんが、その際は容赦なく指摘をお願いします。

 気を取り直して次回日程ですが、サイコロを振るのは辞めました。予め日時を指定していこうと思います。
 次回の感想対象は、12月18日更新のニノベ作品。こちらの作品の感想を書こうと思いますので、12月19日になるまでに更新をよろしくお願いします。

 そして現在、年末年始に向けた企画内企画を考案中です。年末年始、更新できるように準備しておくといいことがあるかもしれません。
 次回もよろしくお願いします。

       

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