Neetel Inside 文芸新都
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甲骨国軍参謀幕僚スズカ・バーンブリッツは激怒した
「バッカじゃあないの!?あんな大海原みたいなトレイシーフォレストを全焼させる砲弾を用意しろぉ!?出来ること考えて物喋れっつーの!このダルマ職人野郎!」

いくらアレッポの砲撃が森の攻略に
必要だといえ、 効率の悪過ぎるやり方だった。砲撃1つで焼やせる範囲など限られているし、爆撃した箇所が斑になってしまうのは明らかだった。おまけに爆撃した跡をGスポットが通過してしまえば元の木阿弥、爆撃した跡など微塵も残らない。
湧き出るアリの大群を針1本で一匹ずつ殺していくようなものだ。
砲撃にかかる莫大な費用の割に得られる見返りがあまりにも少な過ぎる。砲撃1つで西方戦線のクラウス軍の兵士を何人殺せるか想像せずとも良い。金は命より重い。故に金がかかるならそれだけ多くの敵兵の命を貰わなければ等価交換足り得ないのだ。
「あのクソバカ女がアあアァあ~~~~ッ!!!!」

あまりの怒りに丙武は受話器 を叩きつけた。

「前線に出て来ねえ癖に口だきゃァ
達者になりやがってぇ~~! !あのマンカスがァ!! 女は黙って肉便器の仕事を忠実にこなしてりゃぁいいものを~~~!!」
怒りのあまり男尊女卑向き出しの危険発言を発っした丙武を 軍団兵は少しドン引きしながら見つめた。いくら軍隊という組織が女卑的な風潮を避けられない組織と言えど、この発言は人格性を疑われる発言だった。

だが丙武の怒りも理解できないわけではない。効率は 悪かろうとも爆撃は森の攻略にはなくてはならない。
Gスポットが発生するのは木々が存在する場所だけだ。 なら、森を焼き払う以外にない。Gスポットだけでなく森に潜伏する厄介な兎人族も焼き払える。
だが、森が焼き払えない以上、Gスポットと厄介な兎人族に警戒しながら森を進むしかないのだ。だが今やその判断は最早不可能に近い絵空事となりつつあった。
今や兎人族の勢力は黒兎軍が加わったことにより、以前よりも強大になっていた。ただでさえ 機動性の高い白兎軍と制圧性の高いGスポットの
コンビネーションに苦戦を強いられていたのに、今度は闇夜の戦い
を得意とする黒兎軍だ。潜伏して白兎軍の目をかいくぐったとしても、黒兎軍の耳が待っている。
クリック音を放ちながらのエコロケーションで居場所を探られ、ワイヤーによる絞殺刑とブレードによる刺殺が待っている。
かといって強行突破しようものなら、たちまちGスポットに磔にされ、
兎人族軍に嬲り殺しにされる。
「どうあがいても敗北です、本当におつかれさまでしたア”アッ!」
負傷した今でこそ本部で指揮を執っている丙武だが、前線に出て現状を知っているだけに余計にブチ切れた
生き延びた兵士達は精神をやられ、もう戦える状態ではない。
黒兎人の放つクリック音におびえ、いつ首を掻かれるか分からぬ夜を過ごしたのだ。加えて神出鬼没のGスポットに怯え、クリック音の鳴り響く中を息を殺し、気絶と目覚めを何度も繰り返し生還したのだ。
「やめろぉ~~!舌打ちをやめてくれ~!!」

舌打ちの音が黒兎人族のクリック音に酷似していたため、生還した兵士の大半は舌打ちを聞くと極度に怯え、震えが止まらなくなっていた

「おォオ~のォォオ~れェェ~~~
あのビチグソのクリッカーどもォおおぉ~~~!」
丙武軍団の間では、黒兎人族の兵士は「クリッカー」と呼ばれるようになっていた。
「クリッカ一どもを率いているのはディオゴ・J・コルレオーネ大尉という男の様です」
「あの6つ耳野郎がぁァあ~!」
激痛を抑えるための麻薬で
ハイになっていた丙武は怒りのあまり持っていた48口径の大型拳銃を
握り潰してしまった。
目は血走り、何度も歯軋りをした囗からは血が何筋も流れていた。その
怒り狂った表情からは、以前 兎人族を活け作りにした時のような
ブッ飛んだ余裕に満ち溢れた姿は微塵も感じられなかった。
 クソ亜人をあと一歩というところまで追い詰めたと言うのに肝心の王手が打てない。それどころか、無駄に兵を消耗するばかり。
「大佐、拷問した黒兎軍兵士を吐かせました。」
情報を聞き出すため、丙武は何とか捕獲した黒兎軍兵士2名を拷問していた。まず、見せしめとして1人の
両手足を切断して達磨にし、本人ともう1人の目の前で両手足を焼いて食らっていた。これにより、もう1人がこの恐怖から逃れるために自白したがるという算段だ。
案の定、もう1人は自白した。
「人間タイプの黒兎人は、4つ耳の兎タイプとコウモリタイプと違って、プラス耳が2つある。基本、夜間の潜伏兵の索敵はこの人間タイプが行ってる・・・大尉はこちらを率いている。兎タイプは、人間タイプより脚力が優れていて機動性が高い。敵をGスポットまで誘導し、追いつめて始末する。コウモリタイプは、背中の翼を使って空中から索敵、加えて移動するGスポットの出現地点を 随時報告している」

「・・・そうか」
「なぁ 見逃してくれ 何もかも知ってることは話した!たの」 
頼むと言い切るのを待たず、黒兎軍兵士はマッシャーで顔面を破裂させられ即死した
「んなこと今更知ってどうなるって言うんだ このボケが!!!!」

丙武の言う通り、敵のプロフィールを知ったところでこの最悪な状況は変わらない。

「お困りかな?兄貴?」

怒り狂う丙武の前に現れたのは
ホロヴィズ将軍の息子メゼツ少尉であった。
甲骨国の丙家出身の2人は遠縁の親戚である、
丙家の中でも末端の一族出身の丙武に対し、
名家であるホロヴィズ一族出身のメゼツは
上官の筈の丙武を兄貴と呼ぶことを許されていた。
丙武はそんなメゼツを可愛がってはいたが、
メゼツは末端の分際でと内心バカにしていた。
いつもの余裕綽々な丙武の怒り狂う姿が滑稽に見えたのか、メゼツは微笑みかけるのであった。

       

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