Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      

 話を少し前に戻そう。ディオゴとヌメロは二手に分かれて行動していた。列車に飛び乗った2人は前と後ろからセキーネとマリーを挟み撃ちの要頭で追い詰めようとしていた。なんせ52両あるアルフヘイム最長の
ドレイジォグティグレ号である。そのどれに居るのが分からない以上、ただ股間を我慢汁で濡らしてる訳にもいかない。チン毛とマン毛の根を掻き分けてでも、毛ジラミを探す勢いで2人を探さねばならなかった。ヌメロは前から、ディオゴは後ろから・・・それぞれフェラチオとバックで一人の女を攻めるかのように捜索していた。
ディオゴにとって不幸中の幸いだったのは、セキーネとマリーも後方から7両目に居たことだ。
だが、それはヌメロにとって不幸だった。後方での騒ぎに気付き、ヌメロがディオゴの許に急いで駆け付けた時にはディオゴとネロはセキーネの居る食堂車を飛び出した後だった。既に2人は2両後方で乱闘の真っ最中だった。助太刀に入りたい気持ちは山々だったが、そう出来ない訳があった。
ヌメロはそこに向かう道中で、屋根伝いに前方へと逃げていたマリーと出くわしたのである。
「・・・マリー王女ですね?」
念の為に尋ねてはいたが、ヌメロには確かな確信があった。
 マリーは絶望的な目でヌメロを見上げた。ところどころ彼岸花の刺繍が刻まれた漆黒のローブに身を包んだヌメロの姿はまさに死神そのものであった。
「はぁっ・・・はあっ・・・はぁっ」
答えることなど出来なかった。
答えずとも相手は答えを知っているのだから・・・
マリーはただ呼吸を荒げ吐息を漏らすしかなかった。
「・・・黙秘は無駄ですよ マリー殿下。」
ヌメロはマリーの兎耳をがしりとつかむと、露わになった喉笛にベングリオンナイフを突き付けた。
「ぁう・・・っ  ううっ」
マリーの目から涙が零れ落ちる。ヌメロの胸を何かがキュッと締め付けた。
(美しい女だ・・・10歳とは思えない)
ヌメロはマリーの首筋に見入っていた。
首筋の一本一本が何とも美しい。今まで敵の首を狩ってきたが、ここまで見入ったのは初めてだ。
エルフの血を引くだけのことはある。だが、ヌメロはそんな自分を悟らぬように我に返る。
「・・・ここであなたの喉をかっ切るのは容易いが、それは私の本意ではない・・・あなたに会わせたい方々が居るものでね。」

       

表紙
Tweet

Neetsha